C02技術・エビデンス

犬と猫のケアにアルカリ性の水が使われる理由|pHは強さではなく汚れの住所

公開日 2021年3月28日|文=mofuwa編集部

やわらかな自然光が入る明るい部屋で、白いタイルの床に座っている淡い色の小さな犬
同じ「汚れ」でも、落とすときに向かう方向は正反対のことがあります。写真:Pexels/Pixabay

犬や猫の体から出る皮脂は酸性側にいる汚れなので、アルカリ性の水と向き合わせたときに動きます。首の後ろや背中を乾いた布でなでても、指の腹に残るぬるつきだけが減らない。これは力が足りないというより、相手のいる側に近づいていないことのほうが多い汚れです。pHは洗浄の場面では、強さの目盛りではなく、相手がどちら側にいるかを示す住所です。犬と猫のケアに使う水がアルカリ側と酸性側に分かれているのも、落とす相手が先に決まっているからです。数字の大きさを競っているのではなく、向き合う相手が違います。

首まわりのぬるつきと、鏡のくもり|pHという数字に洗浄の場で出会った経験

犬や猫の首まわりや背中に残るぬるつきは、乾いた布でなでる回数を増やしても減りません。水で濡らした布に替えると少しは減りますが、翌日には同じ場所に戻っています。この「拭いても減らない」は、力が足りないというより、相手の側に近づいていないことのほうが多いのです。犬や猫の皮脂は、台所の換気扇についた油と同じ酸性側にいます。だからアルカリ性の側から近づいたときに、はじめて形が変わります。

同じことが、家の掃除でも起きています。浴室の鏡の白いくもりは毎日拭いても落ちないのに、クエン酸を溶かした水を吹きかけて数分置くと、同じ布で取れます。反対に、換気扇のフィルターの油はクエン酸の水では動かず、重曹を溶かしたお湯やアルカリ性と書かれた洗剤に浸すと、指で押しただけでずるりと動く。水あかはアルカリ側、油は酸性側にいるので、どちらも反対側から近づいたときだけ動きます。pHという数字を知らなくても、洗剤の裏の表示で選び分けた経験のほうを、たいていの家が先に持っています。

家の中の汚れを、どちら側にいるかで並べる
汚れいる側向き合わせる側家で見かける場面
皮脂・体から出る脂酸性側アルカリ側首まわり、背中、えりの内側
調理の油酸性側アルカリ側換気扇、五徳、コンロまわり
水あかアルカリ側酸性側鏡、蛇口、風呂の床
尿の乾いた跡アルカリ側酸性側トイレまわり、ペットシーツの下
砂・ほこりどちらでもない水と物理的な力足先、毛の表面

この表でいちばん見落とされるのが最終行です。砂やほこりはpHと関係がありません。どちらの洗剤でも同じように落ち、落ちなければ拭き取る回数の問題です。洗浄でpHが関わってくるのは、相手が脂かミネラルかのどちらかに絞られたときだけです。この線を先に引いておくと、あとの話がすべて短くなります。

汚れの側にもpHがある|洗浄が酸とアルカリに分かれてきた背景

pHは、そこにある水素イオンの多さを0から14の数字で表したものです。7がまんなかで、数字が小さいほど酸性側、大きいほどアルカリ側。ここまでは中学の理科で習う話です。洗浄の場面でこの数字が使われるようになったのは、汚れの側にも同じ目盛りが引けると分かってからです。汚れは単なる「よごれ」ではなく、成分ごとにこの目盛りのどこかに位置しています。

同じ側どうしは、向き合っても動きません。酸性の汚れに酸性の水をかけても、水は汚れの形を変えないまま流れていきます。反対側から近づいたときにだけ、汚れの側が形を変え、水と一緒に動ける状態になります。洗浄における酸とアルカリの使い分けは、好みでも強さ比べでもなく、相手の位置から逆算した結果です。掃除用の洗剤の裏に「酸性」「弱アルカリ性」と書かれているのは、用途の指定ではなく、相手の指定です。

この背景を知っていると、犬や猫に使うものの表示の読み方が変わります。「よく落ちる」と書かれたものより、「何に使うか」が書かれたもののほうが、選ぶ材料になります。相手の書かれていない1本は、どちら側から近づくものなのかが分からないので、落ちたかどうかを毎回自分で判断するしかありません。棚の前では、アルカリ性か酸性かという表示より先に、その1本が何を相手にしているかを探すほうが早く決まります。

同じ側と反対側で、汚れがどう振る舞うか
かける側相手が酸性の汚れのとき相手がアルカリ性の汚れのとき
酸性の水形が変わらず、そのまま残る形が変わり、水と一緒に動ける
中性の水表面のものだけが流れる表面のものだけが流れる
アルカリ側の水形が変わり、水と一緒に動ける形が変わらず、そのまま残る

表のまんなかの行が、水道水で拭いたときの結果です。表面に乗っているだけの砂やほこりは流れますが、酸性側にいる脂もアルカリ側にいる水あかも、形が変わらないので残ります。何度拭いても同じ場所が戻ってくるとき、たいていはこの行にいます。回数を増やすより、向き合う側を変えるほうが早い、というのがpHから出てくる結論です。

皮脂が相手ならアルカリ側になる理由|洗浄の向きが先に決まるということ

犬と猫のケアで落としたい相手の中心は、体から出る皮脂です。犬や猫はヒトより分泌する脂の量が多く、その脂は毛の根元から表面へ広がって、砂やほこりを抱えます。この相手は酸性側にいるので、向き合わせる水はアルカリ性の側になります。順番としては、水のpHを先に決めたのではなく、落とす相手を決めたら、水のpHが自動的に決まったということです。

mofuwa グルーミングスプレーが高機能性電解還元水というアルカリ側の水でつくられているのは、この順番の結果です。水に電気を流して、アルカリ側だけを取り出した水で、界面活性剤を加えていません。洗剤を足さずに脂が動くのは、水そのものが脂と向き合える側に立っているからです。洗浄という言葉から想像される泡は立ちませんが、泡は汚れを動かす条件ではありません。

では酸性側の水は、体まわりのケアで使えないのかというと、そうではありません。酸性側の水は落とす役ではなく、届ける役を受け持ちます。浸透しやすい性質を生かして、乾いた地肌に水分を届けたり、目のまわりのように洗い流せない場所で使ったりする。落とす相手がいないところでは、アルカリ側である必要がないからです。同じ会社が両方の水をつくっているのは、どちらかが優れているからではなく、受け持つ場面が違うためです。

PointpHの数字だけでは、まだ何も決まらない

アルカリ側だと分かっても、そこから先は水によって違います。同じ「アルカリ性の水」でも、電気分解のされ方によって脂と向き合える度合いが変わるためです。数字は方向を示すだけで、どれだけ相手に届くかまでは示しません。pHは洗浄の入り口であって、答えそのものではありません。表示にpHしか書かれていない場合、そこから読み取れるのは「どちら側の汚れに向いているか」までです。なお、ここで扱っているpHは汚れの側の話で、犬や猫の皮膚そのもののpHとは別の数字です。皮膚の表面のpHは、獣医皮膚科の報告では人の皮膚より中性側にあるとされますが、測った部位や年齢で数字が動くため、1つの値には置けません。

この順番を逆にすると、話がややこしくなります。「pHが高いほどよく落ちる」と考えると、数字の大きさを競うことになり、皮膚にとっての強さの話と混ざってしまいます。実際に決めているのは相手のいる側だけで、そこから先は、その水がどうつくられたかという別の話に移ります。

犬と猫の毎日で、pHの変化はどこに出るか|洗浄の使い分けを家の手順に落とす

家で見えるpHの変化は、数字としてではなく、同じ場所の汚れが動いたかどうかとして現れます。首の後ろを乾いた布で拭いて、指の腹の感触を覚えておく。翌日、同じ場所にアルカリ側の水をかけてから同じ布で拭いて、感触を比べる。このとき差が出れば、相手は脂の側にいたということです。差が出なければ、相手は砂かほこりで、pHの話ではなかったことになります。

  1. 拭く場所を2か所に決める

    首の後ろと、背中のまんなか。犬でも猫でも、脂が表面まで上がってきやすく、舌やブラシが届きにくい場所です

  2. 乾いた布で先に拭く

    ここで取れるものは、表面に乗っているだけの砂とほこりです。pHと関係のない分を先に外します

  3. アルカリ側の水をかけて少し待つ

    かけた直後ではなく、十数秒おきます。向き合った相手が形を変えるまでの時間です

  4. 同じ布で同じ方向に拭く

    力も回数も変えません。変えるのは水だけにしておくと、差がどこから来たか分かります

  5. 翌日の戻り方を見る

    1回で落ちたかどうかより、翌日どれだけ戻ったかのほうが、その子の脂の出方を表します

この手順の3番目で mofuwa グルーミングスプレーを使うと、拭き取る前に脂と向き合う側の水が届きます。アルカリ側の電解水そのものが脂となじむため、界面活性剤を足さずに、表面の脂を動かせる状態にできます。舐めても問題のない基準でつくられているので、量を気にせず、毛の根元まで届くようにかけられます。洗浄の使い分けとして毎日の側に置けるのは、洗い流す工程が要らないからです。

季節でも、拭いたときの手ごたえは変化します。暑い時期は脂の量そのものが増えるので、同じ手順でも布の汚れ方が濃くなります。寒い時期は量が減るかわりに、毛が厚くなって表面まで上がるのに時間がかかり、上がってきたときにはすでに時間がたっています。量が減る時期のほうが、においだけ残ることがあるのはこのためです。どちらの時期も、向き合う側は変わりません。変わるのは、かける回数と待つ時間のほうです。

pHという数字は、家で測るものではありません。測っても、その数字から次の一手は出てきません。犬と猫のケアで使えるのは「相手が皮脂なら、アルカリ性の側から近づく」という1行だけで、あとは同じ場所を同じ手順でなでて、動いたかどうかを見るだけです。洗浄の理由を数字ではなく相手で覚えておくと、表示の前で迷う時間が短くなります。

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よくある質問

犬や猫の体のぬるつきに、人用のシャンプーや食器用の洗剤を使ってもいいですか。
人用につくられたものは、人の皮膚と、人の暮らしで出る汚れを前提に設計されています。犬や猫の場合は、体をなめるので、すすぎ残りがそのまま口に入るという条件が加わります。相手が皮脂で、アルカリ性の側から近づくという理屈そのものは同じでも、どこまで残ってよいかの前提が違います。棚の前では、対象動物の記載と、使える場所の記載があるものから選んでください。
アルカリ性の水は、犬や猫の皮膚に強すぎませんか。
pHの数字が示しているのは、汚れのどちら側から近づくかであって、皮膚に当たる強さそのものではありません。同じアルカリ性でも、何をどれだけ含んでいるかで条件が変わるので、数字だけを見て強い弱いは決められません。家で見るのは、使ったあとにその子が同じ場所をなめ続けていないか、地肌に赤みが出ていないかのほうです。そうした変化が続くときは動物病院にご相談ください。
犬の皮脂の汚れに、クエン酸や酸性の水を使う場面はありますか。
皮脂を落とす相手としては、向き合う側が逆になります。酸性側は、水あかや尿の乾いた跡のように、アルカリ側にいる汚れと向き合う側です。犬や猫のまわりでは、トイレまわりやペットシーツの下に残る跡がここに当たります。体そのものに酸性側の水を使う場面は、落とすためというより、乾いた地肌に水分を届けたり、洗い流せない場所で使ったりする役のほうになります。
pH試験紙で、うちで使っている水のpHを測る意味はありますか。
測れば数字は出ますが、その数字から次の一手は出てきません。読み取れるのは「どちら側の汚れに向いているか」までで、どれだけ相手に届くかは、その水がどうつくられたかという別の話になります。家で比べるなら、首の後ろのような同じ場所を、同じ布で、同じ回数なでて、指の腹の感触が変わったかどうかを見るほうが早く決まります。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。