C12Q&A・豆知識
30〜60秒で生菌が検出されなくなるという試験
「検査時間30〜60秒後に生菌が検出されませんでした」という一行が、電解水の資料に載っています。この記事は、その一行を分解する記事です。この秒数が意味しているのは、決められた試験条件のもとで、その時間が過ぎた時点の検体から、生菌が検出されなかった、ということです。比べている相手は、同じ試験の開始時点の菌数です。それ以上でも、それ以下でもありません。だから、この数字だけを取り出して「◯秒で除菌できる」と読むと、実際に確かめられた範囲を超えます。この記事では、どの菌とウイルスを何秒で調べたのか、どこの検査機関が実施したのか、そしてこの除菌試験からは言えないことは何かまでを、8つの問答で書きます。いちばん時間を使ったのは4つ目の項です。
「30〜60秒で生菌が検出されなかった」とは、何が起きたという意味ですか
答えから書きます。決められた試験条件のもとで検体と液を接触させ、30秒または60秒が過ぎた時点で調べたところ、その検査方法では生菌が検出されなかった、という意味です。ここまでが、この一行が言っていることの全部です。
分解すると、4つの要素が入っています。①決められた条件で ②決められた秒数のあいだ接触させて ③決められた方法で調べたら ④検出されなかった。この4つのどれか1つでも外すと、別の話になります。とくに外されやすいのが①で、条件を落として「30秒で除菌」とだけ書くと、あらゆる場面で同じことが起きるように読めてしまいます。
もう一つ、言葉の精度の話をします。「検出されなかった」と「いなくなった」は、同じではありません。どの検査方法にも、これ以下は数えられないという限界があります。検出されなかったというのは、その方法で数えられる範囲には見つからなかった、という報告です。ゼロになったことの証明ではありません。地味な違いに見えますが、試験結果を読むときにはここがいちばん大事な線です。
商品を主語にして状態を変える文——たとえば この水は菌を除菌します や スプレーするだけで殺菌します のような書き方——は、この記事ではしません。確かめられているのは試験の中で起きたことであって、商品が現場で何をするか、ではないからです。書けるのは「この試験条件で、この秒数に、生菌が検出されませんでした(検査機関名)」という形までです。以降もこの形を守ります。
どの菌とウイルスを、何秒で調べた試験なのですか
対象は16の菌種・ウイルスです。すべてを同じ秒数で調べているわけではありません。30秒のもの、60秒のもの、15秒から測っているものがあります。「30〜60秒」という幅は、この違いから出ています。
| 種類 | 試験対象 | 検査時間 |
|---|---|---|
| 一般細菌 | 標準混合菌/カンピロバクター/黄色ブドウ球菌 | 30秒 |
| 一般細菌 | 大腸菌O157:H7/緑膿菌/サルモネラ | 30秒 |
| 一般細菌 | MRSA/腸炎ビブリオ/アクネ菌 | 30秒 |
| 真菌(カビ) | カンジタ/クロコウジカビ/フザリウム/つる枯病菌 | 30秒 |
| ウイルス(エンベロープあり) | SARS-CoV-2/インフルエンザH3N2 | 60秒 |
| ウイルス(エンベロープなし) | ネコカリシウイルス | 15秒/30秒/10分 |
いずれも結果は「生菌検出されず」でした。ここで注目してほしいのは、検査時間が対象によって違う、というほうです。60秒のものがあるということは、30秒では足りない対象があるという意味でもあります。1つの秒数で全部を語れないから、幅で書かれています。幅で書かれている数字を、いちばん短いところだけ取り出して使うと、正確ではなくなります。
対象の顔ぶれにも意味があります。細菌だけでなく、真菌(カビのなかま)とウイルスが入っています。この3つは性質が違うので、同じ試験の中で並べて調べられていること自体が情報です。とくにエンベロープを持たないウイルスは、一般に条件が厳しいとされる相手なので、15秒・30秒・10分と段階を分けて測られています。
対象の中に、人の医療の場で名前を聞くものが混じっていることに気づいた方もいると思います。それは「そこまで使える」という意味ではなく、「試験の対象としてその菌種が選ばれた」という意味です。試験対象の名前は、用途の広さを示すものではありません。ここも読み違えやすい場所です。
この試験を実施した4つの検査機関と、機関名が必要な理由
実施したのは、次の4つです。江東微生物研究所/日本食品分析センター/ユニオンバイテック/日本繊維製品品質技術センター。対象と項目によって、実施した機関が分かれています。
- 江東微生物研究所/微生物についての試験を扱う機関です。清涼飲料水の規格基準についての調査も、ここで行われています
- 日本食品分析センター/食品や日用品の分析を扱う、国内では広く知られた第三者機関です
- ユニオンバイテック/微生物・環境まわりの試験を扱う機関です
- 日本繊維製品品質技術センター/繊維製品の品質と試験を扱う機関です。布に対する条件で調べる項目に関わります
なぜ機関名を毎回書くのか。数字だけを置くと、それが誰の測った数字なのかが分からなくなるからです。同じ「30秒」でも、自社で測ったものと、第三者の機関が測ったものでは、読む側の扱いが変わります。数字と、測った主体は、必ずセットで運ぶ。これはこの記事だけのルールではなく、試験結果を扱うときの基本の形です。
同じ理由で、自社で測ったものは自社で測ったと書きます。たとえば水分の浸透についての「精製水の35倍」という数字は自社検証です。第三者機関の試験結果とは、性質が違います。どちらが上ということではなく、読むときの扱いが違うので、混ぜないというだけです。浸透の話と除菌試験の話を1つの段落にまとめないのも、同じ理由です。
技術そのものについては、特許5253483(三室ダブルイン型の電解分解技術)として登録されています。ただし、特許は技術が新しいと認められた登録であって、効果が証明されたという意味ではありません。ここも線を引いておきます。特許番号と試験結果は、別々に読むものです。
この除菌試験から言えないことを、先に4つ挙げます
ここが、この記事でいちばん書きたかった項です。試験結果を読むときにいちばん役に立つのは、そこから言えることではなく、言えないことのほうです。この除菌試験について、はっきり言えないことが4つあります。
- ①家庭での実際の使用について/試験は決められた条件のもとで行われます。家の中は、温度も、対象の量も、接触のしかたも一定ではありません。同じ結果になるとは言えません
- ②その子の体の上で起きること/試験の検体と、生きている犬や猫の皮膚は別のものです。皮膚には常在菌がいて、皮脂があり、被毛があります。試験の結果を、体の上の話に移すことはできません
- ③持続時間/この試験が測っているのは、接触してから30秒後・60秒後の時点です。その後どうなるかは、この試験の対象外です。「◯時間続く」とは言えません
- ④保存したあとのこと/試験は、試験のときの液で行われています。開封して時間がたった液や、別の容器に移した液が同じかどうかは、この試験では分かりません
4つとも「だめだ」という話ではありません。試験の対象外だ、というだけです。試験は、条件を決めて、そのぶんだけ正確に測るものです。条件を決めるということは、決めた外側については何も言わない、ということでもあります。試験結果を読む力とは、その外側の線がどこにあるかを見る力のことです。
この4つを覚えておくと、ほかの製品の資料を読むときにも同じ見方ができます。秒数が書いてあったら、まず「何秒の時点の話か」と「その後のことは書かれているか」を見る。検査機関名が書いてあったら、どの項目をどこが測ったのかを見る。この2つだけで、読み方の精度がかなり変わります。
除菌という言葉が指しているのは、菌の数のほうです
ここで言葉の整理をします。除菌とは、菌の数を減らすことを指す言葉です。ゼロにすることではありません。似た言葉が3つ並んでいて混ざりやすいので、指しているものと、根拠にしている制度を分けておきます。
| 言葉 | 指していること | どこで使われる言葉か |
|---|---|---|
| 除菌 | 菌の数を減らすこと | 雑貨・日用品などで使われます |
| 殺菌 | 菌を死滅させること | 医薬品・医薬部外品の領域の言葉です |
| 抗菌 | 菌が増えにくい状態を保つこと | 主に加工された製品について使われます |
| 滅菌 | すべての微生物を除くこと | 器具などの処理について使われます |
この表からわかるのは、言葉の強さの順番の話ではなく、根拠にしている制度が違うという話だということです。日用品について殺菌という言葉を使えないのは、その製品が弱いからではなく、その言葉が別の制度のものだからです。言葉を選ぶことは、どの制度の上で話すかを選ぶことです。
だから、この記事では次のような書き方をしません。30秒でしっかり除菌できます/スプレーするだけで菌を殺します/ウイルスを不活化します。どれも主語が商品になっていて、試験で確かめられた範囲を超えています。書けるのは「その試験条件下で、30〜60秒後に生菌が検出されませんでした(江東微生物研究所ほか調べ)」という形までです。長くて回りくどく見えますが、この長さが正確さの分です。
読む側としても、この形になっているかどうかが手がかりになります。秒数だけが大きく書かれていて、試験条件も検査機関も書かれていない資料は、まだ読み切れていない資料です。書いていないから嘘だという意味ではありません。判断に必要な材料が、まだそこに載っていない、というだけです。足りない材料は問い合わせれば出てきます。
秒という単位が、家の中では測りようがない理由
試験は秒で測ります。家の中では、その秒を再現できません。ここを押さえておくと、数字との距離の取り方が決まります。理由は3つあります。
-
接触している時間が一定にならない
試験では、決められた時間だけ接触させて、決められた時点で測ります。家では、かけた瞬間から乾き始めます。被毛の上か、床の上か、布の上かで、乾くまでの秒数がまったく違います。
-
量が一定にならない
押す回数、距離、風の有無で、実際に乗る量が変わります。秒数は、量とセットで初めて意味を持つ数字です。量が動くなら、秒数だけを合わせても同じことにはなりません。
-
対象が一定でない
試験の対象は、種類も量も決められています。家の中にあるものは、そうではありません。床、布、被毛、皮膚。表面の性質が違えば、同じ秒数でも起きることが違います。
では、この秒数は無意味なのか。そうではありません。秒数は、家で再現するための数字ではなく、その液が試験の中でどう振る舞ったかを示す数字です。製品を比べるときや、資料の書き方を見るときに使うものであって、家でストップウォッチを出すためのものではありません。
実際、家で秒数を数えようとすると、たいてい別の失敗が起きます。接触時間を長くしようとして量を増やし、乾ききらない状態を作ってしまう、という順番です。被毛の根元が湿ったままになるのは、日常のケアとしては避けたい状態です。試験の秒数を家に持ち込まないほうが、結果として毎日のケアはうまくいきます。
手元の製品で、家庭で確かめられる3か所
試験の話ばかりだと、家で何を見ればいいのか分からなくなります。資料を取り寄せなくても、手元の容器で確かめられることが3つあります。この3つは、除菌試験の結果を読むより先にできることです。
| 見る場所 | 確かめること | なぜそこを見るか |
|---|---|---|
| 用途の表示 | 何に使うものとして売られているか | 用途の外の使い方は、試験の外の使い方になります |
| 使用頻度の記載 | 毎日を前提に書かれているか | 頻度は、成分の強さとは別に設計の話です |
| 成分の表示 | 何が入っているかが読める形か | 商品名だけでは中身が分かりません |
3つ目については、もう一段あります。成分について「何の基準をクリアしているか」が書かれていれば、そこがいちばん確かな手がかりです。mofuwa グルーミングスプレーの場合は、原料の水が清涼飲料水の規格基準をクリアした成分であることが、調査機関の名前とともに示されています。これは成分の基準についての話であって、飲みものだという話ではありません。基準の名前が具体的に書かれているかどうかを見る、という読み方をおすすめします。
使い方としては、洗い流さないタイプなので、体を洗えない日のケアや、ブラッシングの前のひと拭きに使うものです。水を使わない日のケアという位置づけで、布に含ませて地肌に近いところを拭く、という使い方をされている方が多くいます。気になる状態への対処としてではなく、毎日の手入れの一部として置いておくものだと考えてください。
家で使うときに見るのは秒数ではありません。拭いたあと、被毛の根元が乾いているかどうかです。指を毛の中に入れて、地肌に近いところを触ってください。ひやりとするなら、まだ湿っています。試験の秒数は資料を読むための数字で、毎日のケアの目安になるのは乾きのほうです。
除菌試験の結果を、3つの文に畳んで持ち帰る
最後に、この記事を3つの文にまとめます。この3つだけ持ち帰っていただければ、ほかの製品の除菌試験の資料も同じ形で読めます。
| 文 | この文が防いでくれる読み違い | |
|---|---|---|
| 1 | その試験条件下で、検査時間30〜60秒後に生菌が検出されませんでした(江東微生物研究所ほか調べ) | 「30秒で除菌できる」と短く覚えてしまうこと |
| 2 | 対象は16の菌種・ウイルスで、検査時間は対象によって30秒・60秒・15秒と分かれています | 1つの秒数で全部を語れると思ってしまうこと |
| 3 | 家庭での実使用・体の上でのこと・その後の持続・保存後については、この試験の対象外です | 試験結果を、暮らしの中の保証として読んでしまうこと |
この3つの文には、必ず主語が入っています。主語は「試験」であって、商品ではありません。商品を主語にした瞬間に、確かめられた範囲の外に出ます。試験を主語にしているあいだは、書いてあることと確かめられたことが一致します。数字の扱いで迷ったら、主語をどちらにしているかを見てください。
そして、この記事で秒数について書いたことは、どれも「安全だから使ってよい」という結論には向かっていません。試験結果は、判断の材料の1つであって、判断そのものではありません。何をどこに使うかは、その子の状態を見ている人が決めることです。とくに皮膚に変化が出ているときは、材料をそろえる前に相談する順番になります。
地肌が赤い、同じ場所をなめ続けている、においが数日たっても戻らない、毛が薄くなってきた、耳を振る回数が増えた、元気の落ち方が続いている。こうした変化があるときは、除菌試験の資料を読み比べる前に動物病院にご相談ください。試験の秒数は、皮膚に何が起きているかを教えてくれません。変化に気づいた日付と、いま使っているものの現物を持っていくと、その場で切り分けてもらえます。
Product
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特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
