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サロン通いをしている人のための停電・断水のとき|5分で終わらせるケア

公開日 2021年1月23日|文=mofuwa編集部

明るいリビングの淡い色のソファで、白いふわふわした毛の犬が落ち着いて休んでいる
整えるには、乾かす道具が要ります。止まっている数日は、目的のほうを絡ませないへ移します。写真:belen capello/Pexels

トリミングから帰った日の夜、その子の毛は指がすっと通ります。次の予約までの4〜6週間、その指ざわりをどれだけ保てるかが、サロン通いをしている人の毎日です。ところが停電と断水が重なった日、この毎日は途中で止まります。整えるという作業が、濡らして、乾かす道具があることを前提にしているからです。水が出ない、ドライヤーが動かない。この2つが同時に消えると、いつもの手順は最初の一手から成り立ちません。断水のあいだにペットのケアで起きるのは、手順が足りなくなることではなく、目的そのものが置けなくなることです。この記事は、乾かせない数日だけ、目的を「整える」から「絡ませない」へ移し替える話です。トリミングで作ってもらった状態を、次の予約まで持ち帰るための考え方でもあります。

サロンから帰った夜と、停電3日目の毛|通っている人が最初に気づく変化

トリミングから帰った日の指ざわりを、通っている人はよく覚えています。根元から毛先まで、途中で止まる場所がありません。この状態は、洗って、しっかり乾かして、流れをそろえた結果です。4〜6週間かけて少しずつ崩れていくのを、毎日のペットのケアで遅らせているのが、次の予約までの時間です。

停電と断水が重なると、この時間の進み方が変わります。1日目は、まだ違いが分かりません。2日目、耳の後ろに指を入れると、途中で止まる場所が出てきます。3日目には、その止まる場所が面になっています。崩れる速さが上がったというより、いつもなら毎日戻していた手が、そこで止まっているからです。ペットのケアは、進める作業というより、戻す作業のほうが多いという性質があります。

断水と停電で、いつもの手順のどこが止まるか
いつもやっていること必要なもの断水・停電の日
洗う水止まる
すすぐ水(洗うより多い)止まる
乾かす電気止まる
ブラシを通す手だけ使える
指で毛を分ける手だけ使える
拭く布と少量の水分条件つきで使える

表にすると、はっきりします。止まるのは前半3つで、使えるのは後半3つです。そして前半3つは、どれも「整える」という目的にひもづいています。整えるとは、いったん崩してから作り直すことなので、水と乾かす道具の両方が要ります。断水のあいだにこの目的を持ち続けると、できないことばかりが並びます。

サロン通いをしている人は、この落差をとくに強く感じます。プロが作った状態を保つ側に立っているので、崩れていく方向の変化に気づきやすいからです。気づけるのは良いことですが、そのぶん、いつもの手順に戻そうとして無理をしがちです。ここで必要なのは手順の代わりではなく、目的の置き換えです。

整えるという作業が、乾かす道具の側に立っている理由

整えるという言葉は広いので、いったん分解します。整えるとは、毛を一度濡らして重みで倒し、乾かしながら向きを決め直すことです。トリミングでやっているのは、突きつめればこれです。濡れているあいだは、毛は自由に向きを変えられます。乾いた瞬間に、その向きで固定されます。つまり向きを決めているのは、水ではなく、乾かす工程のほうです。

だから、乾かす道具が使えない日に濡らすのは、いちばん避けたい選択になります。濡れたまま自然に乾くと、毛はそのとき倒れていた向きのまま固まります。それが根元で絡んでいる向きなら、絡んだ形が固定されます。断水で水が貴重な日に、あえて濡らす理由はありません。ペットのケアの手順は、水から始まるように見えて、実は乾かす側から逆算して組まれています。

皮膚のことも書いておきます。被毛の奥が長く湿っていると、地肌が蒸れた状態が続きます。断水と停電の数日で無理に濡らして、乾かしきれずに終わるくらいなら、濡らさないほうが皮膚の側にとっては素直です。においが気になっても、この数日だけは順番を変えないでください。においは、絡みをほどいて空気を通すほうからでも、かなり動きます。

ここまでが、目的を置き換える理由です。整えるは、乾かす道具の側に立っている目的なので、道具が止まっているあいだは持てません。持てない目的を掲げたまま数日を過ごすと、できなかったことだけが残ります。断水のあいだのペットのケアは、目的のほうを、いま持っている手だけで届く場所に置き直します。

「絡ませない」に切り替える5分|断水の数日だけ持つ考え方

断水のあいだにペットのケアが持てる目的は、絡ませないことです。整えるは向きを作り直すことですが、絡ませないは、いま通っている場所を通ったままにしておくことです。手だけで届きます。全身をやる必要もありません。絡みが始まる場所は決まっているので、そこだけを毎日1回通せば足ります。5分で終わるのは、範囲を絞れるからです。

触るのは5か所です。どれも、動く場所か、こすれる場所です。毛は、動きとこすれのあるところから絡み始めます。

断水の数日に、毎日通す5か所
場所なぜそこか1か所の目安
耳の後ろ顔を動かすたびに毛が交差します30秒
脇の下前足の動きで、常にこすれています1分(左右で)
内もも座る・立つのたびに面がこすれます1分(左右で)
首輪・ハーネスの下道具が当たり続けている場所です1分
尾のつけ根床に接し、動きも多い場所です30秒
  1. 指で毛を分けて、地肌の側から見る

    上から道具を当てず、まず指で層を1枚だけ開きます。絡みは毛先ではなく、根元の側から始まります。上から見て整って見えても、開くと途中で止まる場所があります。断水の数日でやるのは、この止まる場所を見つけて、そこだけ通すことです。

  2. 止まった場所は、根元を押さえてから毛先側をほどく

    根元を指で押さえないまま引くと、力がそのまま皮膚に伝わります。押さえる手が先、動かす手が後です。1回でほどききらなくて構いません。今日は半分、明日はもう半分でも、絡みが面になるところまでは進みません。

  3. 毛の流れに沿って、短く動かす

    長いストロークは、整えるときの動かし方です。絡ませないのが目的の日は、短く、同じ場所を数回で足ります。1か所30秒から1分。5か所で5分です。時間を決めておくと、電気が止まっている数日でも、この5分だけは同じように回せます。

  4. 最後に、5か所のうち止まった場所を1つ覚えておく

    書ける状況なら書いてください。翌日、同じ場所がまた止まるかどうかで、進んでいるのか戻っているのかが分かります。数日の記録が、復旧したあとの順番を決めてくれます。

グルーミングスプレーは、ブラッシングのためのスプレーでもあります。5か所にかけてから指を入れると、毛の滑りがそろって、コームが同じ場所で止まりにくくなります。空気が乾いている日は毛が立って静電気が起きますが、湿らせてから梳かす形にすると、その立ち上がりも収まります。サロンで作ってもらった流れを次の予約まで持たせるのは、この5分の指通りの積み上げです。皮膚が赤い場所、傷がある場所には使わないでください。

Point目的を1つに絞ると、できなかったことが減ります

整えると絡ませないを両方やろうとすると、どちらも中途半端になります。断水と停電の数日は、絡ませないだけを持ってください。やることが5か所5分に決まるので、その日にできたかどうかがはっきりします。次のトリミングまでに戻せるかどうかは、この数日で絡みを面にしなかったかどうかで、かなり変わります。

電気と水が戻ってからの3日間|断水を一度経験した人が次に変えること

復旧した日に、ペットのケアを一気に取り戻したくなります。数日ぶんを取り返したい気持ちは自然です。ただ、その日にやるのは、洗うことではなく、絡みを先にほどききることです。ペットの被毛は、絡んだまま濡らすと、水を含んで締まります。締まった絡みは、乾かしても戻りません。順番でいうと、ほどく、洗う、乾かす、の3日に分けるくらいでちょうどいい間隔です。

  1. 1日目:5か所を、時間をかけて通しきる

    断水の数日は5分でしたが、この日は時間を取ります。止まる場所が残っていないところまで進めてから、その日は終わりです。洗うのは翌日で構いません。ここで急ぐと、締まった絡みごと洗うことになります。

  2. 2日目:洗って、乾かしきる

    地肌の側が最後まで湿ります。触って冷たさが残っているうちは、まだ乾いていません。乾かす工程が戻ってきたことが、整えるという目的を持てる合図です。ここではじめて、目的が元に戻ります。

  3. 3日目:毎日のケアを、いつもの形に戻す

    断水のあいだの5か所5分は、もともと毎日のケアの一部です。復旧後もそのまま残しておくと、次のトリミングまでの4〜6週間が楽になります。グルーミングスプレーをブラシと同じ場所に置いておくと、5分の手が出やすくなります。非常時のためのやり方ではなく、範囲を絞った日常のやり方だと考えてください。

次のトリミングの予約が近いときは、無理に家で整えきろうとしないほうがいい場合もあります。絡みをほどく作業まではやって、向きを作り直すところはサロンに任せる。断水を一度経験すると、この線引きがはっきりします。家でできるのはどこまでか、道具がある場所に任せるのはどこからか。サロン通いをしている人にとっては、その線が見えたこと自体が、次に活きる経験になります。

Cautionほどこうとすると痛がるときは、そこで手を止める

皮膚が赤い、じくじくしている、においの質が変わった、同じ場所をなめ続けている、絡みをほどこうとすると痛がる、脱毛している場所がある、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、家でのケアを続ける前に動物病院にご相談ください。数日洗えなかったこと自体が原因とは限りません。断水の前から続いていた変化が、この数日で見えるようになっただけ、ということもあります。

相談に行くときは、止まった場所、いつからか、その数日に何ができて何ができなかったかを伝えてください。断水と停電で手順が変わっていたことは、判断の材料になります。無理にほどいてから連れて行くと、もとの状態が分からなくなります。そのまま見てもらうほうが伝わります。

最後に、この数日をどう位置づけるかです。ペットのケアは、毎日同じことを続けるものだと思われがちですが、実際には使える道具に合わせて、目的のほうを動かしていいものです。乾かす道具があるときは整える。ないときは絡ませない。どちらもケアで、どちらも次のトリミングにつながっています。断水のあいだにできなかったことを数えるより、5か所5分を続けられた日を数えるほうが、その子の被毛にとっては意味があります。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。