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賃貸でにおいが気になる人が保護犬・保護猫を迎えたで困ること、その手当て

公開日 2021年1月9日|文=mofuwa編集部

明るい窓ぎわの淡い色の床に、クリーム色の猫が静かに座っている
迎えてすぐは、その子のふだんが分かりません。においの基準は、記録の側から作ります。写真:Sergey Meshkov/Pexels

保護犬を迎える前夜に、賃貸の部屋の窓を全部開けて、寝床を置く場所を決め直した。迎える側の準備は、たいていここまでは進んでいます。困るのは翌日からです。玄関を入って3日、部屋のにおいが変わった気がする。でも、それがその子のにおいなのか、緊張して出た皮脂のにおいなのか、もともと部屋にあったにおいに自分が気づいただけなのかが分かりません。迎える時期のいちばんの困りごとは、その子の「ふだんのにおい」をまだ誰も知らないことです。比べる相手がないまま気にし続けると、換気も拭き取りも回数だけが増えていきます。この記事では、賃貸で保護犬・保護猫を迎える人が最初の2週間に何を記録し、どこから手をつけ、何をやらなくていいのかを、7つの問答で並べます。

「これはこの子のにおいですか」|保護犬・保護猫を迎えて最初に出る疑問

迎えて3日目に、部屋のにおいが変わった気がする。賃貸で保護犬・保護猫を迎える人から、いちばん早く出てくるのがこの疑問です。ただ、この時点では答えが出せません。比べる相手がないからです。その子が落ち着いているときのにおいも、よく眠れた日のにおいも、まだ一度も知らないうちに、変わったかどうかを判断しようとしていることになります。

実際、迎えて数日のにおいには、少なくとも4つの出どころが混ざっています。どれか1つに決めたくなりますが、嗅いだその瞬間には区別がつきません。

この4つは、1回嗅いだだけでは分けられません。分けられるのは、日をまたいで2回目を嗅いだときだけです。だから保護犬・保護猫を迎える最初の2週間は、においを消す作業よりも、においを書き留める作業のほうが先に来ます。順番を逆にすると、消したあとの部屋がその子のふだんを教えてくれなくなります。

Note最初の2週間は、基準をつくる期間です

賃貸で暮らしていると、においが部屋の側に残ることを気にするぶん、迎える初日から消臭のほうへ手が伸びます。気持ちとしては自然です。ただ、初日から条件を動かしてしまうと、あとで「強くなった」「弱くなった」と言うための出発点が残りません。最初の2週間だけは、部屋を変えるより、部屋を見る側にいてください。

賃貸のどこから手をつけますか|手を入れられる場所は、体の側だけではありません

においに手を入れられる場所は、大きく4つあります。その子の体、布と空気、食器と水皿、そして自分の記録です。このうち、保護犬・保護猫を迎える直後にだけ使えないものが1つあります。その子の体です。触られることに慣れていない子は少なくありませんし、慣れているかどうかも、迎える時点では分かりません。

だから順番が決まります。使えない1つを外して、残りの3つから始めます。賃貸で気にしているのは部屋の側に残るにおいなので、この順番はむしろ噛み合っています。

迎えた直後に、それぞれの場所が使えるかどうか
手を入れられる場所迎える直後に使えるか最初にやること
その子の体(拭き取り・ブラシ)まだ使えないことが多い触らせてもらえる範囲を先に確かめる
布と空気(寝床・カーテン・換気)初日から使える洗える布を1枚だけ決めて、週に1回回す
食器と水皿初日から使える毎日洗って、乾かしてから戻す
自分の記録初日から使える3項目だけ、1日1回書く

布は、全部を一度に洗おうとしないでください。寝床に敷く布を1枚だけ決めて、それを回します。洗える1枚があると、においが強い日にそこだけ替えられます。カーテンやラグまで同じ週に動かすと、においが減ったのか、洗ったから減ったのかが分からなくなります。賃貸だと布の面積が限られているぶん、1枚を回すやり方は現実的です。

食器と水皿は、地味ですが効きます。フードの脂が残った器は、洗ってから乾かすまでのあいだにおいが出ます。帰宅後にまとめて洗うのではなく、使い終わったらそのつど水で流し、乾いてから戻す。ここだけは、迎える初日からその子に触らずにできます。

最初の2週間、何を記録すればいいですか|賃貸で知りたいのは3つだけ

記録と言うと構えてしまいますが、書くのは3項目です。多くすると続かず、少なくすると比べられません。保護犬・保護猫を迎える人が賃貸で知りたいのは、結局この3つに収まります。

1日1回、3項目だけ書く
項目書き方何が分かるか
場所寝床/玄関/ソファ/その子の体、から1つ動くにおいと、動かないにおいが分かれます
時間帯帰宅後/夜/朝、から1つ散歩から戻った直後だけ強いのかが分かります
強さ0(しない)〜3(部屋に入って分かる)数字にすると、翌週の同じ曜日と比べられます
  1. 1日1回、時刻を決めて嗅ぐ

    外から帰ってきた直後がいちばん分かります。部屋に居続けていると、鼻のほうが慣れます。玄関を開けた瞬間の1回だけを、その日の数字にしてください。同じ時刻に決めておくと、比べられる数字になります。

  2. 強さは、迷ったら小さいほうに寄せる

    0〜3のうち、1と2で迷う日が必ず出ます。そのときは小さいほうにしてください。迷った日を大きく書くと、翌週に下がったように見えてしまいます。基準は厳しくするより、ぶれないほうを優先します。

  3. その日に変えたことを、1行だけ添える

    布を洗った、換気の時間を伸ばした、フードを替えた。変えたことが2つ以上並んだ日は、翌日の数字を比べる材料になりません。だから1日に1つだけ変える、が自然と決まります。

  4. 2週間ためてから、はじめて読み返す

    途中で読み返すと、その日の数字に引きずられます。14日ぶんが並んで、はじめて「この子のふだん」が形になります。ここが、迎える人にとっての出発点です。

2週間ぶんが並ぶと、たいてい3つのうちどれかの形になります。曜日に関係なく毎日同じ数字なら、それがその子のふだんです。帰宅後だけ数字が上がるなら、外から持ち帰るもののほうです。特定の場所だけ上がるなら、布か床のほうです。賃貸で気にしていた「部屋に残るにおい」がどれなのかは、ここではじめて言えます。

迎えてすぐ、体を拭いてもいいですか|触らせてもらえる範囲のほうが先にあります

においが気になると、体を拭きたくなります。ただ、保護犬・保護猫を迎える直後は、この手が最初から使えるとは限りません。触られることに慣れていない子にとっては、拭くという行為そのものが、その日いちばん大きな出来事になります。においを1日早く減らすかわりに、触られること自体を嫌いになってしまうと、そのあと数か月ぶんの手が失われます。

だから、拭くかどうかの前に、触らせてもらえる範囲を確かめます。順番はこうです。

この4段階を進むのに、1週間で足りる子もいれば、2か月かかる子もいます。進む速さは、こちらが決められません。賃貸でにおいを気にしていると、どうしても速さのほうを急ぎたくなります。けれど、においは部屋の側から手を入れられます。体の側は、その子の許容が追いついてからで間に合います。

背中を1往復撫でられるようになった日から、グルーミングスプレーが使えます。毎日きれいにしておきたい、を毎日やれる形にするための道具です。犬も猫も体から脂を出すので、迎えた翌日にも、前の日と同じだけ汚れが乗ります。賃貸で気にしているにおいのもとの1つは、そこにあります。使い方は、布に含ませて、手のひらごと背中に当て、毛の流れに沿って1往復するだけです。いきなり体に吹きかけないでください。音と冷たさで、せっかく進んだ段階が戻ることがあります。舐めても問題のない基準(清涼飲料水の規格基準)でつくられているので、迎えたばかりで自分の体をなめて確かめる子でも、かかる量を気にしなくてかまいません。余分な皮脂と、散歩から持ち帰った油分は水と混ざって乳化し、布の側へ移ります。ブラシを入れられる段階まで進んだら、その前に1往復しておくと、静電気が起きにくい状態で梳かせます。記録の数字が動きはじめるのは、たいていここからです。

換気はどれくらい必要ですか|においの通り道とは、入口と出口の2か所のこと

換気の質問は、たいてい「何分開ければいいですか」の形で来ます。ただ、時間より先に決まるものがあります。においの通り道とは、空気が入る場所と出る場所が別々にある状態のことです。窓を1か所だけ大きく開けても、空気は入って戻るだけで、部屋を通り抜けません。時間を倍にしても、通り抜けない空気は入れ替わりません。

賃貸だと、開けられる窓が1つしかない部屋もあります。そのときは、窓と玄関のように離れた2か所を同時に少しずつ開けるか、浴室やキッチンの換気扇を回して、そちらを出口にします。換気扇は出口として働くので、入口の窓を数センチ開けるだけで空気が動きます。1月の寒い時期に全開にしなくて済むぶん、続けやすい形です。

入口と出口をどう作るか
部屋の条件入口出口1回の目安
窓が2か所ある小さいほうの窓大きいほうの窓5分を1日2回
窓が1か所だけその窓を数センチ浴室やキッチンの換気扇10分を1日2回
寒くて開けにくい日窓を指2本ぶん換気扇を回しっぱなし短く、回数を増やす

時間帯は、帰宅後に1回、寝る前に1回が続きます。帰宅後は、外から持ち帰ったものが玄関から部屋へ運ばれた直後なので、動かす価値がいちばん高い時間です。寝る前は、寝床の周りの空気が一晩こもるのを短くできます。回数を増やすより、この2回を毎日同じようにやるほうが、記録と比べやすくなります。

Point換気は、記録の数字を動かす最初の1つに向いています

3日目までは何も変えず、4日目から換気だけを足す。こうすると、その1つで数字が動いたかどうかが、はっきり見えます。洗剤も布も同じ週に動かすと、何が効いたのかが分かりません。迎える最初の2週間は、変えるものを1つずつにしてください。

やらなくていいことはありますか|同じ週に、条件を2つ以上変えない

これが7つの中で唯一、手を減らす問答です。保護犬・保護猫を迎える人が賃貸でやりがちで、しかも最初の2週間はやらなくていいことが3つあります。どれも「悪いこと」ではありません。ただ、基準を作る前にやると、そのあと何も比べられなくなります。

3つに共通しているのは、同じ週に条件を2つ以上動かしているという点です。賃貸で気にしているぶん、早く効かせたくてまとめてやりたくなります。けれど、まとめてやった週は、次の週と比べる相手がなくなります。迎える最初の2週間は、手を増やす期間ではなく、手を1本ずつ足す期間だと考えてください。

もう1つ、やらなくていいことがあります。その子が来る前の暮らしを想像することです。どこにいたのか、どう扱われていたのか。分からないことを埋めようとすると、いま目の前にあるにおいまで、その想像に引っぱられます。記録に書けるのは、今日この部屋で嗅いだ数字だけです。それで十分足ります。

Note減らす手も、記録に1行書いてください

「今日は何も変えなかった」も立派な記録です。何も変えなかった日が数日あると、その数字がその子のふだんの基準になります。変えた日ばかりが並んだ2週間は、あとから読み返しても何も言えません。やらなかったことを書き残せるのが、この記録の使いどころです。

いつから「変化」と考えていいですか|大丈夫かどうかは、記録の側が決めます

2週間ぶんの記録がそろうと、はじめて「変わった」が言えるようになります。基準は、迎える前の想像でも、よその家の話でもなく、その子の14日ぶんの数字です。3日目に強く感じた日も、2週間の中に置いてみると、ふだんの範囲に収まっていることがよくあります。大丈夫かどうかを決めるのは、その日の気分ではなく、並べた数字のほうです。

そのうえで、記録に次のような形が出たときは、においの話として片づけないでください。賃貸の部屋の条件でも、迎えた直後の緊張でも説明がつかない変わり方です。

Cautionにおいの質が変わった日は、記録より先に動く

においの質が変わった、片側だけからにおう、その場所をなめ続けている、皮膚が赤い、じくじくしている、食欲や元気が落ちている。いずれかに当てはまるときは、換気や拭き取りの回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。迎えたばかりだと「まだ慣れていないだけ」と考えがちですが、慣れの話かどうかは家では分けられません。記録を持って行くと、いつから、どこが、どのくらいだったのかをその場で伝えられます。

受診のときは、2週間の記録をそのまま見せてください。強さの数字と、その日に変えたことの1行があれば、家の条件で説明がつく範囲かどうかを切り分けてもらえます。前の晩に慌てて洗ってしまうと、もとの状態が分からなくなります。そのまま連れて行くほうが、伝わる情報は多くなります。

7つの問答を、迎える日から2週間の順番に置き直す

最後に、ここまでの7つを時間順に並べ直します。賃貸で保護犬・保護猫を迎える人にとって、最初の2週間にやることは、実際にはこれだけです。手が少なく見えるかもしれませんが、この2週間で作った基準が、そのあと数年ぶんの判断の土台になります。

  1. 迎える日(1日目):何も変えない

    窓を開ける、寝床を置く、食器を洗う。それ以外は動かしません。この日の数字が、いちばん最初の基準になります。においが気になっても、消臭や香りには手を伸ばさないでください。触るのも、その子から寄ってきたときだけです。

  2. 2〜3日目:記録だけを始める

    帰宅後の1回、場所と時間帯と強さを書きます。3項目です。この2日間は、条件を1つも動かしません。比べる出発点をつくる期間なので、何もしないこと自体が作業です。

  3. 4日目〜1週目:換気だけを足す

    入口と出口の2か所を決めて、帰宅後と寝る前の2回。ほかは変えません。1週目の終わりに、記録の数字が動いたかどうかを見ます。動かなくても構いません。動かなかったと分かることが結果です。

  4. 2週目:布を1枚だけ回す

    寝床の布を1枚決めて、週の頭に洗います。食器と水皿は毎日。体に触るのは、その子が寄ってきて、背中に手を置かせてくれる段階まで進んでいたらです。そこまで来ている子なら、布にグルーミングスプレーを含ませて背中を1往復、そこで終わりにします。ここでも、動かすのは週に1つだけです。

  5. 2週目の終わり:14日ぶんを読み返す

    並べて、いちばん多く出た数字がその子のふだんです。帰宅後だけ上がるのか、特定の場所だけ上がるのかも、ここで見えます。次の週から手を入れる場所は、この読み返しが決めます。

この順番のいいところは、賃貸でにおいを気にしている人の心配と、保護犬・保護猫を迎える人が守りたい「触らせてもらえる範囲」が、ぶつからないことです。部屋の側は初日から動かせて、体の側はその子の速さで進められます。2つを同時に急がなくていい、という順番になっています。

2週間が終わったあとも、記録は週に1回でかまいません。強さの数字だけを、同じ曜日の同じ時刻に書き続けてください。迎えた最初の2週間に作った基準は、半年後に「何か違う」と感じたときに、その感じが気のせいかどうかを教えてくれます。においを気にしていた時間が、そのままその子を知る時間に変わっていきます。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。