C05犬種・猫種別ケア

ボストンテリアはなぜ顔のシワの汚れが起きやすいのか。短毛から考える

公開日 2021年2月2日|文=mofuwa編集部

毛が短く、顔の造作がそのまま見えている犬
毛が短い子は顔がよく見えますが、浅い段差は影ができないので目では分かりません。写真:Pexels/Pixabay

ボストンテリアの顔を両手ではさんで、鼻の上を指でなぞってみてください。短い毛の下に、指が入り込むような深いひだは見つからないはずです。顔は短いのに、シワは浅い。この作りのせいで、「シワのケア」を調べて手を伸ばした飼い主が、探す場所を間違えたまま、実際に汚れが残っている場所を素通りしてしまうことがよくあります。たまるのは、目の下のわずかなくぼみと、鼻のまわりです。なぜそこなのかを先に説明してから、手順に入ります。

ボストンテリアのシワは浅い|深いひだを探すと、汚れは見つかりません

顔の短い犬種はどれも、鼻から口までが短いぶん、顔の皮膚が前に余ります。余った皮膚がたたまれてひだになる——ここまでは共通です。ただし余る皮膚の量は犬種によってかなり違います。ボストンテリアは、顔の骨格に対して皮膚の余りが少ないほうで、たたまれたひだが深く重ならない作りを持っている子が多くいます。

その結果どうなるか。指を差し込めるようなシワは、探しても見つかりません。それでも顔まわりの汚れは出ます。出る場所が「深いひだの中」ではなく、ごく浅いくぼみと、段差の縁に移っているだけです。「うちの子にはシワがないから、顔のケアは要らない」という結論に行き着いてしまうと、実際に汚れている場所が何日も残ります。

探しがちな場所と、実際に汚れが残る場所
探しがちな場所そこで見つかるか実際に汚れが残る場所
鼻の上の、深く重なったひだこの犬種では、ほとんど見つかりません鼻の頭の付け根を横切る、浅い段差
口のまわりの、垂れた皮膚の内側垂れが小さく、内側と呼べる空間がありません口のわきの、毛の向きが変わる境目
あごの下の、たっぷりした毛の中毛が短いので、たまる場所になりません下あごの先の、水がしたたる位置
目のまわりの、ぐるりと一周するひだ一周はしていません目の下の、指1本ぶんの浅いくぼみ

汚れが残るのは、この右の列です。どれも「シワ」と呼ぶには浅く、「平ら」と言うには段がある場所ばかりで、言葉にしにくいところが厄介です。この記事では、以降これを段差と呼びます。呼び方を変えると、探し方も変わります。

被毛の話もしておきます。ボストンテリアは毛が短く、上毛だけに近い作りです。顔の造作がそのまま見えるので汚れも見えそうなものですが、浅い段差は影ができないので、正面から見ているかぎり分かりません。毛が短いということは、汚れを受け止める毛が少ないということでもあり、皮脂と水分が皮膚の側に直接残ります。

Point「シワを開く」から「段差をなぞる」へ

深いひだを持つ犬種のケアは、指でひだを開いて、中に布を入れるのが基本になります。ボストンテリアではこれができません。開く空間がないからです。代わりにやるのは、段差の線に沿って、布を当てた指を滑らせること。動きがまったく違うので、他の犬種のやり方をそのまま持ち込まないでください。

体格の面でも、この犬種は顔が地面からそれほど遠くありません。散歩のあと、器から水を飲んだあと、床のにおいを嗅いだあと。顔まわりが濡れたり汚れたりする機会は、深いシワを持つ犬種と変わらずにあります。違うのは、汚れがどこに落ち着くかだけです。

段差に指を滑らせる|家でできるボストンテリアの汚れの見つけ方と手順

ここからが手順です。家でできることは、見つけることと、乾いた状態に戻すことの2つだけで足ります。道具もほとんど要りません。

  1. 顔を正面からではなく、斜め横から見る

    明るい場所で、顔の少し横に回り込んでください。正面からは影ができない段差も、斜めからだと光が当たって線に見えます。浅いシワの汚れを目で探すなら、この角度しかありません。窓の光が横から入る位置が、いちばん分かりやすいです。

  2. 目の下に指の腹を当て、鼻に向かって滑らせる

    指1本ぶんの幅で、目の下から鼻の付け根に向かってゆっくり滑らせます。途中で指がわずかに沈む場所が、その子の段差です。爪は使いません。左右で位置が違うこともあるので、両側とも確かめてください。

  3. 鼻のまわりを、上下2方向でなぞる

    鼻の頭の付け根を横に一度、鼻の脇から口へ向かって縦に一度。この2方向で、鼻のまわりの汚れはほぼ拾えます。湿っている場所、指に抵抗が残る場所を覚えておいてください。

  4. 乾いた布を当てて、押さえて離す

    こすらないでください。柔らかい布かコットンを段差に当て、数秒押さえて、水分と汚れを布に移します。浅いぶん皮膚が近く、こすると赤くなります。落としきろうとしないこと。1回で取れなければ、明日また当てれば済みます。

  5. 顔のブラッシングは、いちばん最後に短く

    短毛なので毛を整える必要は少ないのですが、抜けた毛が段差に引っかかって残ることがあります。体のブラッシングを終えたあと、顔まわりだけ、やわらかいブラシで毛の流れに沿って数往復。目の近くに道具を入れるのは避けてください。

初めて探す日は、この5つを通しでやってみてください。2回目からは、2番と4番だけで構いません。その子の段差の位置はほとんど動かないので、一度覚えれば探す時間が要らなくなります。毎日のケアとして続くのは、ここまで削ったあとの形です。

Caution浅い段差でやってはいけない3つ

綿棒でくぼみを掘る/濡らした布で往復にこする/人用の化粧品やアルコールを含むもので拭く。深いシワを持つ犬種向けの方法をそのまま使うと、この犬種では皮膚に直接届いてしまいます。段差が浅いということは、皮膚までの距離が近いということです。押さえて離す以上のことは、家ではやらないでください。

毎日どこまでやるか|浅いシワのケアでつまずく3つの場面

手順そのものは難しくありません。続かなくなるのは、たいてい次の3つの場面です。

毎日の分量は、片側10秒ずつ、合計20秒を目安にしてください。これ以上長くしても、浅い段差では取れる量が増えません。むしろ触られている時間が延びるぶん、嫌がられて明日が難しくなります。短く終わることが、この犬種の毎日のケアではいちばん効きます。

換毛期には、短毛でも抜け毛が出ます。細くて硬い毛が顔の段差や首の付け根に引っかかって残り、そこに水分が加わると、においの出方が変わります。この時期だけは、顔まわりのブラッシングを週に2〜3回に増やしてください。段差の中を触る回数は増やさなくて構いません。増やすのは、段差の周りに落ちた毛を払う回数のほうです。

洗う日については、顔を体と分けて考えてください。毛が短いので乾きは早いのですが、段差の縁だけは水が残ります。体を拭き終えたあとに、もう一度だけ顔の段差へ乾いた布を当ててください。それだけで、洗った日の汚れの残り方が変わります。

毎日の20秒で何を含ませるかも、決めておくと迷いません。ボストンテリアの段差は皮膚までが近いので、顔に向けて何かを吹きつけるのは向きません。mofuwaのグルーミングスプレーも、顔に使うならコットンか布に含ませてからです。舐めても問題のない水でできているので、口のわきや下あごの先のように、その子の舌が自分で届く場所にも当てられます。人用の化粧水やアルコールを含むものを顔に持ち込めないのは、ここが違うからです。

含ませた布は、段差の線に沿って一方向へ動かします。往復させないでください。そのあと乾いた面で数秒押さえて、水分を残さないところまでを一組にします。グルーミングスプレーを使った日も、最後に押さえて離す手順は変わりません。散歩のあと、水を飲んだあと、床のにおいを嗅いだあと。顔が汚れる機会は毎日あるので、毎日のほうに置けるものを選んでおくと、20秒が続きます。

頻度を上げる前に、におい以外の変化を見る

汚れが減らないとき、多くの方はまず頻度を上げます。1日1回を2回に、2回を3回に。ですが浅い段差でこれをやると、皮膚をこする回数が増えるだけになりがちです。頻度を上げる前に、次の見方を挟んでください。

同じ「汚れが減らない」でも、次の一手が変わります
家で見ることそう見えるとき次にやること
拭いた翌朝に、乾いているか乾いている頻度はそのまま。当てる時間を数秒延ばす
拭いた翌朝に、乾いているか朝も湿っている水を飲む器の高さ、寝床の位置を先に見直す
左右で差があるか片側だけ頻度の話ではありません。相談してください
段差の皮膚の色まわりと同じ毎日のケアを、そのまま続けて構いません
段差の皮膚の色赤い、じくじくしている家でのケアを止めて、相談してください

この表でいちばん見てほしいのは2行目です。朝になっても湿っているなら、原因は拭き方ではなく、濡れる機会の側にあります。水を飲むたびに顔が器のふちに触れているなら、器を替えるほうが早いこともあります。頻度を上げても、濡れる回数が減らなければ追いつきません。

Caution家での拭き取りを、いったん止める変化

段差の皮膚が赤い、じくじくしている、においが急に強くなった、触ると嫌がる、片側だけ変化がある、目のまわりが腫れている、目を開けにくそうにしている、顔を床にこすりつける回数が増えた、元気や食欲が落ちている。この並びのどれかが出ていたら、家での拭き取りはそこで止めて、獣医師に診てもらってください。段差が浅いということは皮膚が近いということでもあり、変化が出たときの進み方は早いことがあります。

受診の前に、いつから、顔のどのあたりか、家で何を使っているかをメモしてください。斜めから撮った顔の写真が数日ぶんあれば、そのまま経過の記録になります。診察の直前に拭いてしまうと、汚れの色や状態が分からなくなることがあります。気になるところは、そのままにして連れて行ってください。

経過を見てもらっているあいだも、顔まわりに汚れをためない工夫は続けられます。あご、口のわき、鼻、目の下。遠いところから順に、布を当てて押さえて離す。この20秒は、通院が重なった週も同じ形で残してください。段差の位置はその子の中でほとんど動かないので、一度覚えた手順がそのまま使えます。目や鼻に向けて吹きつけないことだけ守れば、家でやることは増えません。

Product

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よくある質問

うちのボストンテリアには、シワらしいシワが見当たりません。ケアは必要ですか?
深いひだが見つからないのは、この犬種では珍しくありません。汚れが残るのは目の下の浅いくぼみと鼻のまわりの段差なので、明るい場所で顔を斜め横から見て、指の腹を滑らせて探してみてください。指がわずかに沈む場所が見つかれば、そこが手を入れる場所です。
顔の汚れを、濡らした布で拭いてもいいですか?
濡らすなら、そのあと乾いた布で押さえるところまでを一組にしてください。段差が浅いぶん皮膚までの距離が近く、濡れたまま置くと乾くのに時間がかかります。往復にこするのも避けてください。当てて、数秒押さえて、離す。この動きだけで足ります。
毎日のケアは、1日に何回やればいいですか?
1日1回、片側10秒ずつで十分です。回数を増やすより、当てている時間を数秒延ばすほうが効きます。拭いた翌朝に湿りが残るときは、頻度ではなく、水を飲む器の高さや寝床の位置など、濡れる機会の側を見直してください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。