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ドライヤーの温度は何度まで大丈夫?

公開日 2021年2月5日|文=mofuwa編集部

明るい部屋のフローリングに落ち着いて座っている、淡い色の犬
乾かし終わりの見きわめは、風の温度ではなく地肌の手ざわりで決まります。写真:Lum3n/Pexels

ドライヤーの吹き出し口に手をかざしてみると、同じ設定のままでも、10センチと30センチではまるで違う熱さになります。犬に使うときは、人が自分の手をかざして、熱いと感じない温度。それが目安です。ただし、これは数字で決められる目安ではありません。温度そのものよりも、距離と、同じ場所に当てている時間のほうが、地肌に届く熱を大きく動かすからです。この記事では、犬のドライヤーの温度について、なぜ「何度まで」という形では答えが出ないのか、その代わりに何を測ればいいのかを、8つの問答に分けて書きます。最後まで読むと、確かめる場所が温度計から自分の手のひらに移ります。

犬のドライヤーは何度まで大丈夫ですか

答えから書きます。犬のドライヤーの温度は、人が自分の手をかざして熱いと感じない温度が目安です。温度計の数字ではなく、手の感覚で決めます。数字で決めないのは、慎重に濁しているからではありません。「何度まで」という形にすると、その数字が現場と合わなくなるからです。

合わなくなる理由は3つあります。ひとつめは、ドライヤーの機種によって吹き出し口の温度がまったく違うこと。ふたつめは、同じ設定のままでも、犬との距離が変われば地肌に届く熱が変わること。みっつめは、被毛の量と長さが違えば、同じ風でも地肌まで届く量が変わることです。この3つが同時に重なるので、温度を1つの数字に固定した瞬間、その数字は当てになりません。

だからこの記事では、犬のドライヤーは何度までなら大丈夫ですという書き方をしません。代わりに、温度より先に決めるものを2つ渡します。距離と、同じ場所に当てている時間です。この2つを決めてしまうと、温度の設定はあとから自然に決まります。

Note温度の答えは、ドライヤー側ではなく手のほうにあります

犬のドライヤーの温度を調べている人が求めているのは、たいてい「安心して回せる数字」です。ただ、その数字を持っても、距離を10センチ縮めれば条件は変わります。数字を持つ代わりに、確かめる場所を1つ決めてください。この記事ではそれを「毛の中に入れた自分の手」に置きます。手は、犬の地肌と同じ空気を同時に受け取っているので、機種が変わっても引っ越しをしても、そのまま使えます。

なぜ犬のドライヤーの温度は、数字で決めようとすると外れるのですか

いちばん大きい理由は、「ドライヤーの温度」と言ったときに、どこの温度を指しているかが決まっていないことです。吹き出し口の温度、毛の表面の温度、地肌の温度。この3つは全部違う数字で、犬にとって意味があるのは3つめだけです。ところが、家庭で測れるのはたいてい1つめです。

「ドライヤーの温度」が指している3つの場所
どこの温度か何で変わるか犬にとっての意味
吹き出し口機種・設定・使用時間いちばん高いが、そこに犬はいません
犬の毛の表面距離・風量・当てた秒数熱く感じても、地肌はまだぬるいことがあります
犬の地肌被毛の量・毛の長さ・場所唯一、犬が実際に受け取っている温度です
部屋の空気季節・暖房・湿度同じ設定でも、冬と夏で体感が変わります
人の手のひら犬の地肌と同じ位置に置いたとき地肌の温度をいちばん早く代弁します

設定の呼び名も、メーカーごとにそろっていません。「温風」「弱」「低温」「スカルプ」——同じ名前でも、出てくる風の温度は製品によって違います。だから、他の家で通用した設定が、自分の家のドライヤーで同じ意味を持つとはかぎりません。犬のドライヤーの話で、設定名だけを引き継ぐと外れるのはここです。

もうひとつ、使っているうちに温度が上がっていく機種があります。回し始めの1分と、5分後の風は別物になっていることがあります。最初に手をかざして決めた温度が、乾かし終わりまで同じだとはかぎりません。途中でもう一度、手で確かめる理由がここにあります。

吹き出し口の温度と、地肌に届く温度は、どこで別れますか

2か所で別れます。ひとつは距離、もうひとつは被毛の層です。ドライヤーから出た温風は、離れるほど広がって薄まります。狭い範囲に集まっていた熱が、広い面積に散らばるからです。だから、距離が変わるだけで、温度の設定を1段変えたのと同じくらいのことが起きます。

もう一方の被毛は、熱をさえぎる側にまわります。毛が密に生えている場所では、毛の表面が温かくなっても、地肌はまだぬるいままということが起こります。逆に、毛の薄い場所では、風がそのまま地肌に届きます。腹、内股、脇の下、耳のふち、肉球のあいだ、尾のつけ根。この6か所は、同じ距離・同じ設定でも、背中とは別の条件だと考えてください。

吹き出し口から犬の地肌まで、熱がどう薄まるか ドライヤーの温風は、距離で広がって薄まり、被毛の層でさらにさえぎられます。地肌に届くのは、その2つを通り抜けたぶんだけです。同じ設定でも、距離と毛量が違えば届く熱は変わります。 吹出口 温風 毛の層 断熱 地肌 届く熱 距離で薄まる 毛量で減る 近づけて長く当てたとき 毛の層を通り越して届く 熱が一か所に積み上がる 離して動かし続けたとき 風が広がってぬるくなる 同じ場所に熱がたまらない
設定を変える前に、まず距離を変えるほうが、地肌に届く温度は大きく動きます。

ここまでをまとめると、犬のドライヤーの温度は、犬ごとではなく「体の場所ごと」に違うということになります。背中で確かめた感触を、そのまま内股に持っていくと外れます。乾かす順番を決めるとき、毛の厚い場所から始めて、薄い場所を最後に短く済ませると、この差を扱いやすくなります。

温度計の代わりに、犬の地肌の熱さをどう確かめればいいですか

この記事でいちばん渡したいのがここです。手を毛の中に入れて、犬の地肌の隣で温度を測ります。風に手をかざすのではありません。かざすだけだと、毛の層を通り抜けたあとの熱が分かりません。手を毛の中まで差し込んで、地肌と同じ位置で受け取ります。

  1. 片手を毛の中に入れて、地肌に指の腹をつける

    乾かす場所の毛をかき分け、指が地肌に触れる深さまで入れます。この手はもう動かしません。温度を測る側の手です。犬が嫌がるようなら、背中の広い場所から始めてください。

  2. もう片方の手でドライヤーを持ち、離した位置から当てる

    最初は遠めから当てます。近づけるのは、地肌の側で何も感じないことを確かめてからです。近づけてから測るのではなく、測りながら近づけます。順番が逆だと、確かめたときにはもう当たっています。

  3. 3秒数えて、指の腹が熱いと感じたら離す

    3秒というのは、熱が積み上がり始めるまでの見当です。1秒では差が出ませんし、10秒待つと確かめる前に届いています。3秒で「ぬるい」なら扱える範囲、「熱い」なら遠ざけるか設定を下げる、という2択にします。

  4. 場所を変えたら、もう一度同じことをする

    背中で確かめた感触は、腹や内股では通用しません。毛の薄い場所に移るたびに、手を入れて確かめ直してください。手間に見えますが、実際にかかるのは1か所につき3秒です。

自分の手を使う利点は、道具がいらないことより、犬と同じ空気を同時に受け取っていることにあります。温度計は数字を出しますが、その数字が地肌のものなのか毛の表面のものなのかを教えてくれません。手は、置いた場所の温度をそのまま返します。犬のドライヤーの温度を確かめるうえで、これ以上に条件のそろった測り方はありません。

Point熱いかどうかより、「たまっているか」を見ます

地肌に手を入れたとき、最初はぬるいのに、そのまま当て続けると少しずつ熱くなっていくことがあります。これが、温度そのものよりも気をつけたいほうです。同じ温度でも、当てている時間が長いと熱は積み上がります。手の下で温度がじりじり上がってきたら、設定を下げるより先に、ドライヤーを動かしてください。動かせば、それだけで積み上がりは止まります。

距離と時間は、犬に届く熱のうち、それぞれ何を変えていますか

役割が違います。距離は、届く熱の強さを変えます。時間は、届いた熱がたまる量を変えます。強さとたまり方は別のものなので、片方だけを気にしても、犬のドライヤーの温度の問題は片づきません。近づけて短く当てるのと、離して長く当てるのとでは、地肌に残るものが違います。

距離・時間・動かし方が、それぞれ何に効くか
変えるもの地肌で起きること家での目安
距離を縮める届く熱が一気に強くなります手を入れた指が3秒で熱いなら、それ以上は近づけません
距離を広げる風が広がって弱くなります乾く速さは落ちますが、温度の心配はほぼ消えます
同じ場所に留める熱が積み上がっていきます3秒より長く同じ場所に置かない、と決めます
手を動かし続ける積み上がりがリセットされます手首を振って、常に風の当たる場所を変えます
風量を上げる水が飛ぶ量が増えます温度を上げるより、風量を上げるほうが先です
部屋を暖める冷風でも乾かしやすくなります冬は部屋の側を上げると、温風の出番が減ります

距離を取ることには、もうひとつ副産物があります。音が遠のきます。犬がドライヤーを嫌がる理由は、熱さだけではありません。耳のすぐそばで鳴り続ける音そのものが理由になっていることがあります。距離を20〜30センチ取るだけで、当たる熱も、届く音も同時に下がります。温度を下げても音は下がりませんが、距離を取ると両方が下がる。ここは覚えておくと得です。

風量を上げるほうを先にする、と書いたのには理由があります。乾くという現象は、熱で焼き飛ばしているのではなく、動く空気が水を運び去っている現象だからです。温度を上げるより、風量を上げるほうが、地肌への負担を増やさずに乾く速さが上がります。犬のドライヤーで最初に触るつまみは、温度ではなく風量です。

冷風だけで乾かすほうがいいのではないか、という疑問について

この疑問は、犬のドライヤーの温度を調べている人からよく出ます。答えは条件つきです。短時間で乾かしきれる毛量なら、冷風だけで足ります。乾かしきれない毛量なら、冷風だけにすると別の負担が増えます。増えるのは、濡れている時間そのものです。

濡れたままの時間が長いと、体温が下がります。地肌が湿ったままの状態も長く続きます。熱を避けたぶんが、そのまま「湿っている時間」に置き換わっているだけだと、差し引きで得をしていません。冷風は温度の心配を消しますが、時間の心配を増やします。犬のドライヤーで冷風だけを選ぶかどうかは、この差し引きで決めてください。

そして、温度の話をいちばん小さくできる方法があります。ドライヤーを使う前に、タオルで水をできるだけ減らしておくことです。タオルで押さえて水を吸わせるだけで、ドライヤーを当てている時間は目に見えて短くなります。こするのではなく、当てて押さえる。タオルを2枚使って、1枚目で大きく吸わせ、2枚目で仕上げると、温風の出番はさらに減ります。犬のドライヤーの温度で悩む時間の半分は、タオルの段階で減らせます。

猫の場合は、そもそもドライヤーの音と風の両方を嫌がることが多く、乾かす工程を無理に完走させないほうがうまくいきます。乾かしきることより、濡れている面積を減らすことを目標にする。この考え方は、ドライヤーを嫌がる犬にもそのまま使えます。

シャンプーの日と、洗わない日で、ドライヤーの出番はどう変わりますか

ここまで温度の話を続けてきましたが、そもそも、この問題が起きるのはシャンプーをした日だけです。洗っていない日は、乾かす工程がありません。乾かす工程がなければ、ドライヤーの温度を決める必要もありません。犬のケアを1週間で見たとき、温度を気にする日は1日か2日で、残りは別の作業だということになります。

シャンプーの日と、洗わない日でやることの違い
シャンプーの日洗わない日
水を使うか使います使いません
ドライヤー出番があります出番がありません
温度を決める必要ありますありません
かかる時間洗う時間+乾かす時間拭く時間だけ
いちばん気をつける場所地肌に熱がたまること同じ場所を何度もこすること

洗う日と洗う日のあいだは、拭く手順のほうが主になります。mofuwa グルーミングスプレーは、この日に犬の被毛と地肌の汚れを扱うための道具です。還元水が皮脂の油と乳化するので、湯を使わなくても、拭いた布のほうに汚れが出てきます。犬に直接吹きかけるより、布に含ませてから毛の流れに沿って一往復させるほうが、量も場所も自分で決められます。この手順には、ここまで数えてきた3秒が出てきません。熱を出す道具ではないので、腹や内股のように風がそのまま地肌に届く場所でも、手を毛の中に入れて温度を測りながら進める必要がありません。顔まわりは布に取ってから、という順番を守ってください。

  1. 布を1枚用意して、グルーミングスプレーを含ませる

    びしょびしょにしません。握って水が落ちない程度にします。濡れた面積が増えると、洗わない日なのに乾かす作業が発生します。

  2. 毛の流れに沿って、背中から尾のつけ根まで一往復

    逆立てるようにこすらないでください。犬の被毛は流れに沿って寝ています。流れどおりに動かすほうが、汚れが浮いて出てきます。

  3. 毛の薄い場所は、押さえるだけにする

    腹、内股、脇の下。この3か所は往復させず、布を当てて数秒置くだけにします。地肌が近いので、こする回数がそのまま刺激の回数になります。

  4. 最後に足の裏を1回

    外から運ばれてくるものが、いちばん集まる場所です。ここを毎日1回だけにしておくと、シャンプーの間隔そのものを延ばしやすくなります。

洗わない日を組み込むと、犬のドライヤーの温度で迷う回数が減ります。回数が減るということは、1回あたりを丁寧にできるということでもあります。週に何度も乾かしていると、どうしても急いで近づけることになります。

8つの答えを、手の位置と秒数に畳む|知りたいのは何度かではありません

最後に、ここまでを1枚に畳みます。犬のドライヤーの温度について、家で本当に決めるのは「手をどこに置くか」と「何秒で動かすか」の2つだけです。設定の数字は、この2つが決まったあとで自然に決まります。下の表は、順番どおりに並べてあります。

犬を乾かすときの、確かめる順番
順番やること決める基準
1タオルで水を減らすドライヤーを持つ前に、押さえて吸わせます
2風量を先に上げる温度より風量。乾かす速さは風で稼ぎます
3手を毛の中に入れる指の腹が地肌に触れる深さまで
4遠い位置から当て始める近づけながら測ります。測ってから近づけません
53秒で判断するぬるい=続ける/熱い=離すか下げる
6手を動かし続ける同じ場所に3秒より長く置かない
7毛の薄い場所は最後に短く腹・内股・脇・耳のふち・肉球のあいだ・尾のつけ根
8地肌を触って終わる毛の表面ではなく、地肌が乾いていれば終わりです

この8つのどこにも、温度の数字は出てきません。それでも犬のドライヤーの温度は決まっています。3秒で熱いと感じない、という条件が、そのまま温度の答えになっているからです。機種が変わっても、季節が変わっても、この条件は書き換えなくて済みます。数字で覚えるより、こちらのほうが長持ちします。

Caution乾かしたあとに変化が続くときは、動物病院にご相談ください

乾かしたあとで地肌が赤い、同じ場所をなめ続ける、フケが急に増えた、触られるのを嫌がるようになった、においが強くなった。こうした変化が数日続くときは、ドライヤーの温度や距離を調整する前に、動物病院にご相談ください。熱の当てすぎなのか、もともとの皮膚の状態なのかは、家では切り分けられません。相談に行くときは、乾かした日と使った設定、気になった場所をメモして持っていくと、その場で見てもらいやすくなります。

乾かし終わりの見きわめも、地肌で決めてください。毛の表面が乾いていても、地肌が湿っていることはよくあります。逆に、地肌が乾いていれば、毛先が少し湿っていても自然に乾きます。手を入れて、地肌が冷たくもなく湿ってもいなければ、そこで終わりです。あと少し、と思って追加で当てる時間が、いちばん熱がたまる時間になりがちです。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。