C14トリマー/獣医師視点

おしっこが足やお尻についたとき、トリマーはどうするか

公開日 2021年2月14日|文=mofuwa編集部

明るく清潔な部屋の淡い色の床で、足を伸ばして横になっている淡い色の犬
おしっこがついた足で先に見るのは、濡れている場所ではなく、濡れが止まっている境目です。写真:Yaroslav Shuraev/Pexels

おしっこが足についたと言われたら、現場が先に指を当てるのは、濡れが止まっている境目です。濡れている場所そのものは、あとから見ます。境目がはっきりしていれば、今日ついたものです。境目がぼやけて、乾いた毛のほうまで色が変わっていれば、前の日からのものが下に残っています。同じ「ついた」でも、この2つは手の入れ方が逆になります。乾いた尿は毛の中で固まり、拭いても布の上をすべるだけで動きません。この記事では、ついた範囲とにおいから見分ける順番、家での拭き取りのやり方、そして床材と寝床の側で決まってくる部分までを置きます。

境目とにおいで分ける|おしっこが足についたときの見分け方

おしっこが足についたとき、最初にやるのは拭くことではなく、どこまで広がっているかを指で確かめることです。毛の上を軽くなでていくと、濡れている部分から乾いている部分へ移る場所で、指の感触が変わります。この境目がくっきりしていれば、ついたばかりのものです。反対に、境目がぼやけて、乾いているはずの毛まで色が変わっているなら、前の排泄のときについたものが下に残っています。

  1. 境目に指を当てる

    濡れが止まっている線を探します。線がはっきりしているか、ぼやけて広がっているか。ここで当日のものか、前の日からのものかが分かれます。

  2. 毛を起こして根元を見る

    表面が濡れていても、根元が乾いているなら浅いところで止まっています。根元まで湿っているなら、地肌に触れている時間が長かったということです。

  3. においの強さを確かめる

    ついた直後のにおいは薄く、時間がたつほど濃くなります。強いにおいは、量ではなく置かれていた時間を表します。

  4. 反対側の足と比べる

    左右で違えば、姿勢の問題です。片側に体重を寄せて排泄している子は、いつも同じ足につきます。

この順番で見ると、同じ「おしっこがついた」という状態が2つに割れます。当日ついたものは水で動きますが、前の日から残っているものは水だけでは動きません。乾いた尿は毛の表面で固まり、布でこすっても布のほうがすべります。ここを見分けずに拭き始めると、力ばかり強くなって、その子が足を引っ込めるようになります。

現場で拭き取りの前に確かめる理由は、もうひとつあります。飼い主への説明で伝えたいのは、その日の汚れ方ではなく、どのくらいの時間、おしっこが足についたままになっていたかだからです。この時間は排泄の場所や床材で決まるので、拭き方をいくら教えても短くなりません。見分けた結果のほうが、家で動かせるものにつながります。

どこまで広がっていれば多いのか|足とお尻についた量の目安

量の目安は、ついた面積ではなく、体のどこまで上がっているかで見ます。足の先だけなら、排泄のあとに踏んだものです。足首から上まで上がっていれば、排泄の最中に跳ね返っています。お尻や太ももの内側についているなら、姿勢そのものか、排泄にかかる時間が関わっています。

おしっこがついた場所から読み取れること
ついた場所起きている可能性が高いこと先に見直すもの
足の先だけ排泄のあとに自分で踏んでいる排泄した場所から出るまでの動線
足首から上まで床に当たって跳ね返っている床材と、排泄する場所の広さ
お尻と太ももの内側姿勢が低い、または時間がかかっている排泄のときの姿勢と、その日の回数
前足にもついている終わったあとに向きを変えて踏んでいるトイレの出入口の向き
寝床の上で見つかる寝ているあいだに出ている可能性がある寝床の布と、夜のあいだの様子

この表でいちばん気にしてほしいのは、いちばん下の行です。足についたおしっこを寝床で見つけたときは、拭き取りの話ではなくなります。寝ているあいだに出ているのか、足についたまま寝床へ上がったのかで、意味がまったく違います。寝床の布に丸い跡が残っていれば前者、線状にこすれた跡なら後者です。布を1枚白いものに替えておくと、この見分けは翌朝に付きます。

においについても、目安を持っておくと迷いません。拭き取りのあとに残るにおいは、毛の根元に届かなかったぶんです。拭いた直後ににおいが消えて、2時間後に戻ってくるなら、表面だけが動いています。におい自体が日ごとに強くなっていく場合は、足の側ではなく排泄の側に理由があります。ここは家で判断する部分ではないので、あとの節で線を引きます。

湿らせてから動かす|拭き取りの順番を逆にする

現場での拭き取りは、乾いた布で始めません。乾いた布で強くこすると、固まった尿が毛を巻き込みながら根元へ落ちていきます。表面はきれいに見えるのに、においだけが残るのはこのためです。順番は、湿らせる、毛の流れに沿って動かす、最後に押さえて水分を取る、の3つです。こすって取るのではなく、浮かせて移すという形になります。

湿らせる一手に使えるものとして、現場で選ばれてきたのがmofuwa グルーミングスプレーです。足やお尻は、そのあとその子が自分で舐める場所だからです。犬は前足を、猫は内股から足先までを、休む前に必ず舐めて整えます。舐める場所にそのまま使えることを前提につくられているので、拭き終わったあとに舐められても、場所を選んで手を止める必要がありません。

尿と一緒に動かしたいものが、もうひとつあります。足の毛には、排泄のときについたものだけでなく、床から拾った脂と埃が混ざっています。アルカリ電解水が油となじんで乳化するので、汚れのもとになっている余分な脂は落ち、地肌に要る皮脂は残ります。においが2時間後に戻ってくるのは、この脂と混ざった層が動いていないときです。水だけで拭いた日と比べると、翌朝の残り方に差が出ます。

毎日おしっこがついた足を拭くことになる家では、量を気にせず使えることで差が出てきます。グルーミングスプレーは毎日きれいにしてあげたいという気持ちを、毎日やれる分量に収めた1本です。排泄のたびに少しずつ使っても、香料や保湿剤が足の毛に積み上がりません。拭き取りが1日に3回あっても、3回とも同じやり方で済ませられます。

足の側では説明できなくなる線|おしっこの変化で受診を考える

拭き取りを変えても追いつかないときは、ついた側ではなく出ている側が動いています。家でできるのは、いつ、どこに、どのくらいついたかを書き留めておくところまでです。ここから先は、家での見分け方の範囲を越えます。

足についた状態から、排泄の側を見たほうがよい変化
気づく形何が変わっているか書き留めておくこと
今までつかなかったのに、毎日つくようになった姿勢か、1回あたりの時間変わり始めた日と、その日の回数
寝床で見つかる日が続く寝ているあいだに出ている朝に見つけた跡の形と大きさ
においが日ごとに強くなる尿そのものの状態拭いた直後と2時間後の差
お尻まわりの皮膚が赤い、湿ったままになるついている時間の長さ赤くなった範囲の広がり方
同じ場所を舐め続けて毛が薄くなるその子が気にし続けている舐め始めた時刻と、続く長さ
Caution拭き取りの回数を増やしても、翌朝の状態が戻らないとき

拭き取りを1日3回に増やして1週間たっても、朝の足の状態が同じ/お尻まわりの赤みが広がっていく/寝床で見つかる日が3日続く/水を飲む量や排泄の回数が同時に変わった。こうした残り方は、足についたものを動かすだけでは戻りません。いつから、どの場所に、1日に何回ついていたか。この3つを書いた紙と、朝に撮った写真を持って、動物病院で診てもらう日を取ってください。足の見え方は拭いた直後に変わるので、拭く前の1枚のほうが伝わります。そのうえで、家での拭き取りは同じやり方で続けて構いません。

記録は1行で足ります。日付、ついた場所、拭いた回数。この3つがそろっていれば、変わり始めた日をあとからさかのぼれます。その子の排泄は毎日のことなので、記憶のほうは3日で上書きされます。紙の端でもカレンダーの余白でも構いません。

床材と寝床を先に入れ替える|おしっこが足についた日の様子見

足につく量を減らす手は、その子の体ではなく床の側にあります。硬くて水を弾く床では、おしっこが跳ね返って足首から上まで上がります。吸い込む床材に替えると、跳ね返る量そのものが減ります。トイレの面を広くする、出入口の向きを変えるといった見直しも、踏んで歩く距離を短くします。

様子見の長さは1週間です。床材と寝床を替えた日から数えて、1週間後の朝に同じ場所を見ます。おしっこが足についた範囲が狭くなっていれば、動かしたのは正しい条件です。変わらないなら、条件をもう1つ入れ替えます。今日できるのは、寝床に白い布を1枚敷いておくことだけです。明日の朝、その1枚が前の日より多くを教えてくれます。

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よくある質問

ウェットシートで拭くのと、どう違いますか。
ウェットシートは布と水分が一体になっているので、湿らせる工程と拭き取る工程が同時に進みます。ついたばかりのおしっこなら、これで足ります。前の日から残って固まっているものには向きません。湿らせてから離れるまでに少し時間が要るのに、シートは当てた瞬間に動かすことになるからです。もうひとつ、足は舐める場所なので、シートに含まれている成分がそのまま口へ入ります。毎日3回使う場所では、この積み上げのほうが気になります。湿らせる役と、拭き取る役を分けて、湿らせる側に舐めても構わないものを置くと、回数が増えても迷わなくなります。
足を触らせてくれない子には、どうすればよいですか。
足先から始めているうちは、たいてい嫌がります。犬も猫も、足先は体の中でいちばん触られ慣れていない場所だからです。順番を逆にして、太ももの外側から始め、足首、足の甲、最後に指のあいだへ下りていきます。1回で下まで行かなくて構いません。おしっこがついた日は、ついた場所だけを短く済ませて、そのあと何もない日に上のほうを触っておきます。触られる練習と、汚れを落とす作業を同じ日にまとめないほうが、結果として早く進みます。
お尻まわりの毛は、短く切っておいたほうがよいですか。
排泄のたびについてしまう子では、短くしておくと拭き取りの手間がはっきり減ります。長い毛はおしっこを吸って地肌に押し当てる形になるので、ついている時間も長くなります。ただし短くするのは、肛門のまわりと、そこから太ももの内側へ続く帯の部分だけで足ります。全体を短くすると、今度は地肌が床や寝床に直接こすれます。サロンで頼むときは「衛生面だけ」と伝えると、この範囲で仕上がります。自宅でハサミを使うのは、その子が動いたときに危ないので避けてください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。