C12Q&A・豆知識

犬の被毛は1平方センチに何本生えているか

公開日 2021年3月12日|文=mofuwa編集部

明るく清潔な部屋で、淡い色の敷き物の上に落ち着いて立っている淡い色の犬
同じ1匹の体でも、背中と腹では毛の生えている密度が違います。差は乾き方に出ます。写真:Iza Ponchie/Pexels

1平方センチという面積は、指の腹をひとつ置いたくらいの広さです。そこに犬の毛が何本生えているかというと、一般に数百本から数千本とされています。幅がずいぶん広いのは、数え方が定まっていないからではなく、部位によっても、その子によっても、本数がまるで違うからです。背中の上と腹では、同じ1匹の体でも密度が違います。だから「犬の毛は何本か」という問いは、答えを1つに決めた瞬間に使えなくなります。この記事では、本数そのものより、同じ体のなかで部位ごとに何倍違うのかのほうを見ます。密度の差は、触ったときの手ざわりと、洗ったあとの乾き方という2つの形で家に出てきます。数字を覚えるのではなく、その差を確かめる方法までを書きました。

犬の毛の本数は、1平方センチあたり何本とされているのか

答えを先に置きます。犬の被毛は、1平方センチあたり数百本から数千本とされています。桁で言えば百の位から千の位です。これ以上の精度で「何本」と書いてある数字を見かけたら、その数字がどの部位を、どの季節に、どうやって数えたものかを確かめてください。条件を書かずに1つの数字だけを出すことは、この話題ではあまり意味がありません。

比べる相手も置いておきます。人の頭では、1平方センチあたり百数十本から二百本程度とされることが多いようです。これも数え方によって変わる数字なので、幅として受け取ってください。それでも、犬の毛の本数がその何倍かにあたる、という感覚はつかめます。同じ面積に、それだけの毛が立っている。ここから先の話は、全部この「密に立っている」という条件から出てきます。

本数の幅が広くなる理由
幅を作っているもの何が変わるか家で分かるか
部位同じ体でも、背中と腹で密度が違う分かる(指と乾き方で)
個体差毛の太さと生え方は、その子ごとに違う分かる(他と比べれば)
季節毛が入れ替わる時期は量が動く分かる(記録があれば)
年齢年月とともに薄くなる場所が出る分かる(左右を比べれば)
数え方1本を何と数えるかで結果が変わる分からない
測った面積小さい面積で数えるほど、ばらつく分からない

表の下2行が、数字を裸で置けない理由です。毛は1つの穴から複数本まとまって出ていることがあります。この場合、穴の数を数えるのか、出ている毛の本数を数えるのかで、結果が何倍も変わります。どちらで数えたかを書かずに「犬の毛は何本」と言い切ってしまうと、比べられない数字になります。

Noteこの記事では、出典のある1つの数字を探しません

犬の毛の本数について、条件を全部そろえた1つの正確な数字を探すことは、家の側ではできません。できるのは、幅として押さえたうえで、自分の家の子の体のなかで差を測ることです。ここから先は、その差の測り方を書きます。数字を覚えるための記事ではなく、数字の読み方を決めるための記事です。

本数の見方は2つある|絶対の数と、部位ごとの比較

犬の毛の本数を扱うとき、見方は2つに分かれます。1つは「全身で何本か」「1平方センチで何本か」という、絶対の数を見る軸です。もう1つは、「同じ体のなかで、部位ごとに何倍違うか」という、比較の軸です。この2つは似ているようで、使える場面がまったく違います。

2つの軸の性質
絶対の数を見る軸部位ごとの比較を見る軸
問いの形1平方センチに何本か背中は腹の何倍か
答えの形数百〜数千本という幅同じ体のなかでの倍数
必要な道具拡大して数える道具指と、乾かす時間
個体差の扱い幅が広がって使いにくくなる同じ子の中で比べるので消える
季節の扱い時期によって数字が動く差の順番は大きく動かない
家での使い道会話の材料になる手を入れる場所と順番が決まる

絶対の数を見る軸は、話としては面白いのですが、家では使えません。個体差と季節差を全部飲み込むと、幅が10倍近くまで広がるからです。10倍の幅を持った数字は、何かを決める材料になりません。犬の毛の本数を調べたのに、調べたあとで何をすればいいか分からない、という感覚が残るのはこのためです。

比較の軸のほうは、幅の問題が消えます。同じ1匹の、同じ日の体のなかで比べるので、個体差も季節差も両側に等しくかかります。背中が腹より密であるという関係は、その子がどんな毛質でも、どの季節でも、だいたい保たれます。数字は出ませんが、順番は出る。家で使えるのは、この順番のほうです。

もう1つ、比較の軸には利点があります。確かめる道具が、指と時計だけで済みます。毛の密度は、指を根元まで差し込めるかどうかで分かります。もっとはっきり出るのは、洗ったあとに乾くまでの時間です。密な場所ほど、最後まで湿りが残ります。次の節で、その差を並べます。

密度の高い場所と低い場所を並べる|見分け方は乾き方に出る

同じ体のなかで、毛が密に生えている場所と、そうでない場所を並べます。順番はおおむね決まっていて、上の面ほど密で、下の面ほど薄いという傾向があります。雨や日ざしを受ける側が上だと考えると、そうなっている理由も想像がつきます。以下は傾向であって、その子ごとに前後します。

部位ごとの密度の傾向と、乾き方の違い
部位毛の密度の傾向指を入れたときの感じ洗ったあとの乾き方
背中・腰の上高いほう根元まで入りにくい全身のなかで最後まで湿る
首のまわり高いほう面として押し返してくる分けながら風を当てないと残る
尾のつけ根高いほう指が途中で止まりやすい遅い。忘れられやすい場所
胸のまんなか中くらい毛が寝ていて指は入る水が伝って集まりやすい
腹・内股低いほう地肌がすぐ見える早く乾く
足の先と指のあいだ場所により差が大きい指のあいだは密でない乾いたように見えて残る
密な場所と、薄い場所の見分け方 同じ1匹の体を、毛の密度が高い側と低い側に分けたものです。触ったときの手ざわりと、洗ったあとに乾くまでの時間で見分けられます。 傾向の話です。その子ごとに順番は前後します 密な側(上の面) 背中・腰の上・首のまわり 指が根元まで入りにくい 面として押し返してくる 乾くのが最後になる 風は分けながら当てる 薄い側(下の面) 腹・内股・脇の下 地肌がすぐに見える 指がすっと通る 早く乾いてしまう 風を当てすぎない 同じ時間だけ乾かすと、片側は乾きすぎ、片側は湿ったままになります
本数を数えなくても、指の入り方と乾く順番で密度の差は分かります。

この表と図から言えることは1つです。全身に同じ時間だけ風を当てると、必ずどちらかが合いません。腹に合わせれば背中が湿ったまま残り、背中に合わせれば腹には風を当てすぎることになります。犬の毛の本数の差は、乾かすという1つの作業のなかで、こういう形になって出てきます。

見分け方をもう1つ足しておきます。毛を左右に分けて、地肌がすぐ見えるかどうか。分け目がすぐできて地肌が見えるなら薄い側、分けても地肌まで届かないなら密な側です。犬の被毛は場所で条件が違うので、この確認は数か所でやってください。1か所だけ見て全身を判断すると、たいてい外れます。

Point密度の差は、季節が変わっても順番は変わりにくい

毛が入れ替わる時期には、全体の量が動きます。ところが、背中のほうが腹より密である、という順番はあまり動きません。だから、一度その子の順番を覚えてしまえば、季節ごとに測り直す必要はありません。犬の毛の本数を毎回数え直すより、この順番を1回覚えるほうがずっと役に立ちます。

家で使えるのはどっちの数え方か|本数か、部位の差か

結論を書きます。家で採るのは、部位の差を見る軸のほうです。絶対の本数は、会話の材料としては面白いのですが、手を動かす順番を決めてくれません。逆に部位の差は、数字が出ないかわりに、今日どこから乾かすかをその場で決めてくれます。

どっちの軸を採るかの判断
やりたいこと使う軸理由
乾かす順番を決めたい部位の差湿りが残る場所が先に分かる
ブラシを入れる場所を決めたい部位の差指が止まる場所と一致する
抜け毛の量の変化を追いたい部位の差同じ場所どうしで比べられる
犬の毛の本数を知りたい絶対の数幅として押さえるところまで
よその子と比べたいどちらも向かない毛質も生活も条件がそろわない
変化が続くか見たい部位の差前回の同じ場所が基準になる

表の下から2行目を補足します。よその子との比較は、この話ではほとんど使えません。毛の太さも、密度も、暮らしている部屋の湿度も違います。犬の毛の本数を他の子と比べて多い少ないを言っても、そこから決められることがありません。比べる相手は、同じ子の別の部位か、同じ場所の前回です。

部位の差を測る手順も、短く書いておきます。洗ったあと、乾かす前に、密な側と薄い側を1か所ずつ決める。そして、薄い側が乾いた時点で時計を見て、密な側が乾くまでにあと何分かかるかを数えます。1回やれば、その子の差が分かります。次からは、その差のぶんだけ密な側を先に始めればよいことになります。

この測り方には、副産物があります。「あと何分」の値が、前より長くなっていたら、その場所の状態が変わったということです。抜けた毛がたまって空気が通りにくくなっているのかもしれませんし、湿度が上がっただけかもしれません。どちらにしても、気づく材料になります。犬の被毛を数字で管理する必要はありませんが、時間なら家で測れます。

部位の差を知ったあとの、乾かす順番の選び方

最後に、順番の決め方をまとめます。密な場所から始めて、薄い場所で終わる。これだけです。背中・首のまわり・尾のつけ根を先に、腹・内股・脇の下をあとに。理由は単純で、先に始めた場所ほど、風に当たっている合計時間が長くなるからです。犬の毛の本数が多い場所ほど、その時間を必要とします。

  1. 水気を落とすところまでは、全身を同じにやる

    乾いた布で押さえて水気を取る段階は、順番を気にしなくてかまいません。こすらずに、押さえて吸わせます。ここで取れる量が多いほど、あとの時間が短くなります。

  2. 密な側から風を当て始める

    背中の上、首のまわり、尾のつけ根。毛を分けて、根元に風が届く状態を作ってから当てます。表面だけに当てても、本数の多い場所は内側が残ります。

  3. 途中で、薄い側に手を移す

    密な側が半分ほど乾いたところで、腹と内股へ移ります。薄い側は短時間で乾くので、最後まで放置するとかえって長く風を受けることになります。行ったり来たりでかまいません。

  4. 最後に、密な側の根元をもう一度確かめる

    指を差し込んで、根元が冷たくないかを見ます。冷たさが残っているところは、まだ湿っています。足の指のあいだも、ここで一緒に確かめます。乾いたように見えて残りやすい場所です。

  5. かかった時間を、次回のために覚えておく

    密な側と薄い側の差が何分だったか。その差が、その子の毛の密度の差そのものです。本数を数える代わりに、時間を記録します。

この順番は、ドライヤーを使わない日にも同じまま残ります。犬は体から脂を出すので、昨日きれいにしても、今日また汚れます。mofuwaのグルーミングスプレーは、その毎日のほうを受け持つ道具です。水にこだわった電解還元水をベースにしたケア用品で、吹きかけてそのまま梳かせます。原料の電解水は清涼飲料水の規格基準をクリアしているので、なめる子でも量を気にせずに使えます。だから、部位の密度の差を、そのまま手数の差として置けます。密な背中は往復を多めに、薄い腹は一往復で切り上げる。乾かす順番を決めたのと同じ理由で、梳かす順番も決まります。

Caution毛の生え方そのものが変わったときは、相談してください

左右のどちらかだけ毛が薄くなった、以前は密だった場所の地肌が見えるようになった、同じ場所をなめ続けている、地肌の赤みやかさぶたが続いている、抜ける量が前の同じ時期より明らかに多い。こうした変化があるときは、乾かし方や手入れを変える前に動物病院にご相談ください。犬の毛の本数や密度は季節でも動きますが、左右差と、なめる動作がそろうときは別の話になります。いつから、どの場所で、左右差があるかの3つをメモして持っていくと、その場で切り分けてもらいやすくなります。

ここまでを1行にすると、こうなります。本数を知ることより、部位で何倍違うかを知るほうが、家では役に立ちます。数百本か数千本かという幅は、覚えても手が動きません。背中は腹より密で、だから乾くのが遅い。この関係を1回確かめておけば、ドライヤーを当てる順番も、グルーミングスプレーで梳かす順番も、同じ並びで決まります。毎日のケアで覚えておく数字は、部位の順番だけで足ります。

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よくある質問

犬の毛の本数は、季節によってどのくらい変わりますか?
毛が入れ替わる時期には全体の量が動きます。ただし、背中のほうが腹より密であるという部位ごとの順番は、季節が変わっても大きくは動きません。数を測り直すより、乾くまでの時間が前の季節と比べて伸びたかどうかを見るほうが、家では確かめやすくなります。
1つの毛穴から何本も生えていると聞きました。本数はどう数えるのが正しいですか?
毛穴の数で数えるのか、生えている毛の本数で数えるのかで、結果は何倍も変わります。どちらが正しいというより、条件を書かずに1つの数字だけを出すことができない、というのが実際のところです。この記事では幅として押さえて、同じ体のなかの部位の差を見る方向に振っています。
猫の被毛でも、部位によって密度は違いますか?
猫でも、上の面と下の面で密度の傾向は分かれます。ただし猫は自分で毛づくろいをするので、自分の口が届く場所と届かない場所という別の差も乗ります。背中のまんなかや尾のつけ根は届きにくく、年齢が上がるほどその差が広がります。乾き方を見るときは、その2つを分けて考えてください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。