C12Q&A・豆知識
猫はシャンプーしなくていい?
猫が毛づくろいで舌を届かせられないのは、背中の真ん中と、尾のつけ根の2か所です。ここは首をどれだけ回しても口が来ず、前脚でも回り込めません。多くの猫に、水で洗うシャンプーは必要ありません。ただし、この「必要ない」は「何もしなくていい」とは違います。猫が自分でやれる範囲と、やれない範囲が、体の形の都合ではっきり分かれているからです。シャンプーが必要になるのは、その子が自分では戻せないものが体に乗ったときと、獣医師から指示があったときの2つです。この記事では、猫にシャンプーが必要かどうかを8つの問答に分けて開きます。舌が届く場所と届かない場所、年齢とともに線が動く理由、洗うと決めた日に猫が本当に嫌がっているもの、そして水を使わない日に何をするか。最後の1つが、多くの家では本命になります。
「猫にシャンプーは必要ですか」への答えを、5つの条件で割ります
答えから書きます。多くの猫に、水で洗うシャンプーは必要ありません。猫は起きているあいだ、舌と前脚で自分の体の手入れをしています。人が手を出さなくても、毛の表面に乗ったものの多くは、その子自身の手入れで戻っていきます。ここまでは、猫という動物の作りの話です。
ただし、ここで止めると読み違えが起きます。「シャンプーは必要ない」は「何もしなくていい」ではありません。猫が自分でやれる範囲と、やれない範囲は、体の形の都合ではっきり分かれています。やれない範囲を人が引き受けるかどうかは、シャンプーが必要かどうかとは別の問いです。条件で割ると、次の5行になります。
| 体に起きたこと | シャンプーは | そう判断する理由 |
|---|---|---|
| 自分で届く場所が汚れた | 必要ない | 毛づくろいで戻ります。人が洗うと、そのぶん手入れの回数が増えます |
| 自分で届かない場所が汚れた | 必要ない(拭けば足りる) | 届かないだけなので、届かない場所だけ人が担当すれば済みます |
| 油・薬品・泥など、自分では戻せないものが乗った | 必要になることがある | 口に入る形で残るものは、毛づくろいに任せられません |
| 皮膚の状態について、獣医師から洗浄の指示が出た | 指示に従う | この場合のシャンプーは、日々のケアではなく処置です |
| 年齢や体調で、毛づくろいの回数が落ちた | 必要ない(人の担当を増やす) | 洗う回数ではなく、届かない場所を人が引き受ける形にします |
たいていの家に当てはまるのは、上の2行です。猫にシャンプーが必要かどうかは、汚れの量ではなく、その汚れをその子が自分で戻せるかどうかで決まります。量で決めようとすると、目に見える汚れが増えるたびに洗うことになり、回数だけが積み上がります。戻せるかどうかで決めると、洗う日は年に数えるほどになります。
猫にシャンプーが必要ないというのは、水を使う手順が要らないという意味です。手入れそのものが要らないという意味ではありません。この記事の残りは、その差を埋めるために書いています。差が出るのは、決まった2か所です。
猫の舌と前脚は、体のどこまで届いているのですか
猫の手入れは、2つの道具でできています。1つは舌、もう1つは前脚です。舌には細かい突起が並んでいて、毛をとかす櫛のような働きをするとされています。前脚は、舌が直接届かない場所へ舌の代わりを運ぶために使われます。前脚をなめてから顔や耳をこする動きは、道具を持ち替えているところです。
- 顔・耳・頭:舌は届きませんが、前脚をなめてからこすることで届きます
- 胸・前脚・脇:首を下げれば舌が直接届きます。いちばん手入れの回数が多い場所です
- 腹:横になって体を丸めれば届きます。姿勢さえ取れれば問題になりません
- 後ろ脚・内股:後ろ脚を上げて体をひねると届きます。関節が動く範囲に依存します
- 尾:口でくわえて引き寄せれば、先のほうまで届きます
- 背中の上・尾のつけ根:ここだけが、どの姿勢でも残ります
並べてみると分かるとおり、猫の体のほとんどは、その子の道具で届きます。だから、健康な成猫で、外に出ず、特別なものが乗っていなければ、シャンプーが必要な場面はめったに来ません。人が洗って落とす前に、その子が自分で落としています。
この事実は、逆から読むと使い道があります。届く場所が汚れて見えるときは、汚れの量ではなく手入れの回数のほうが落ちている可能性があります。いつも舐めていた胸や前脚がべたついて見えるなら、それは汚れの話ではなく、その子の側の変化かもしれません。ここは、あとの節でもう一度戻ってきます。
毛づくろいをした場所は、毛の流れがそろって、根元まで落ち着きます。手入れが届いていない場所は、毛先だけが違う向きを向いていたり、抜けかけた毛がその場に留まっていたりします。汚れているかどうかより、毛の流れがそろっているかどうかを見るほうが早く分かります。
背中の真ん中と尾のつけ根だけが最後まで残るのは、なぜですか
理由は、単純な形の問題です。猫の口は、首の可動域の内側にしか行けません。首をどれだけ深く回しても、背骨の上を通る一直線は、口の軌道の外側に残ります。前脚は肩から前へは伸びますが、後ろへ回して背中の中央を掻き寄せる方向には作られていません。後ろ脚は掻けますが、掻くのと毛をとかすのは別の動きです。
| 場所 | なぜ届かないか | 残りやすいもの |
|---|---|---|
| 肩の後ろから腰まで、背骨の上の帯 | 首を回しても口の軌道の外にある | 抜けかけた毛、外から乗ったほこり |
| 尾のつけ根 | 尾はくわえられるが、つけ根は口の手前にある | 皮脂が集まりやすく、毛が束になりやすい |
| 首の後ろ | 自分の前脚も口も回らない | 他の猫がなめる場所。単独なら残る |
猫が2頭以上で暮らしていると、この帯は埋まることがあります。猫どうしが互いになめ合う行動があり、なめる場所は決まって首の後ろから背中の上です。自分で届かない場所を、相手が担当している形になります。逆に言えば、1頭で暮らしている猫では、その担当が空席のままです。シャンプーが必要かどうかを考える前に、この空席をどうするかのほうが先に来ます。
だから、単独で暮らしている猫では、背中の真ん中と尾のつけ根に、抜けかけた毛と皮脂が留まりやすくなります。ここが毛玉の出発点になることもあります。そして、この2か所のためにシャンプーをする必要はありません。届かないという理由で残っているものは、届かせれば済みます。水を使う手順は、その解き方の中で最も手間のかかる選択肢です。
年齢が上がって届かなくなるのは、気持ちの問題ですか、体の問題ですか
先に答えると、多くは体の側、つまり動ける範囲の問題です。毛づくろいは、体をひねる、首を深く回す、後ろ脚を上げる、といった動きの組み合わせでできています。関節や筋肉が動く範囲が少しずつ狭くなると、その組み合わせの一部が使えなくなります。使えなくなった動きが担当していた場所から、順に残っていきます。
残る順番には傾向があります。最初に残るのは、いちばん深い姿勢を必要とする場所です。腰から尾のつけ根にかけて、次に背中の後ろ半分、そのあと後ろ脚と内股。顔や胸は最後まで手入れが続くことが多く、ここだけを見ていると変化に気づきません。シャンプーが必要かどうかを考える前に、見る場所を後ろへずらしてください。
| 出る順番 | 場所 | 見え方 |
|---|---|---|
| 1番目 | 腰から尾のつけ根 | 毛が束になる。触ると根元が湿ったように感じる |
| 2番目 | 背中の後ろ半分 | 抜けかけた毛がその場に残り、毛の流れが乱れる |
| 3番目 | 後ろ脚の外側と内股 | 毛先だけが絡む。座ったあとに毛が寄る |
| 最後まで残る | 顔・胸・前脚 | ここだけ見ていると変化に気づけない |
ここで水を使うシャンプーに切り替えると、実はうまくいかないことが多くなります。体をひねれなくなっている子にとって、洗い場で立ち続けることも、姿勢を変えられることも、同じ動きの負担だからです。届かない場所が増えたときの答えは、洗う回数を増やすことではなく、届かない場所の担当を人が引き受けることです。
年齢に沿ってゆっくり減っていくのと、数日から数週間で急に落ちるのは、別のことです。いつもなめていた場所を急になめなくなった、逆に同じ場所だけをなめ続けている、口をよく気にしている。こうした変化があるときは、毛の手当てを増やす前に動物病院にご相談ください。毛づくろいは、口と関節と皮膚のどこが変わっても形が変わります。
猫にシャンプーが必要になるのは、どういう場合ですか
必要になる場合は、2つに絞れます。1つは、その子が自分では戻せないものが体に乗ったとき。もう1つは、獣医師から洗浄の指示が出たときです。この2つ以外で、猫にシャンプーが必要になる場面はほとんどありません。逆に、この2つに当てはまるなら、回数の目安や季節は関係ありません。
- 油や整髪料など、なめると口に入るもの:毛づくろいで取ろうとするので、放置は選べません
- 泥や砂が毛の奥まで入った:乾かしてから梳かすほうが早いことも多く、水が最善とは限りません
- 自分では届かない場所に、広い範囲で何かが乗った:拭ける量を超えているかどうかで決めます
- 獣医師から、薬用の洗浄剤を使うよう指示があった:この場合は指示された頻度と方法に従います
判断が難しいのは、3つ目です。「拭ける量かどうか」は、面積ではなく手順の回数で考えると決めやすくなります。布を替えながら5回で終わるなら拭くほう、20回かかりそうなら洗うほう、という決め方です。時間ではなく回数で考えるのは、猫が同じ姿勢でいてくれる時間が短いからです。
皮膚の状態に合わせた洗浄剤は、何をどのくらいの間隔で使うかまで含めて処方されるものです。かゆがっているから、皮膚用のシャンプーを買って洗うという順番にすると、あとから状態を見てもらうときに、元の状態が分からなくなります。皮膚に変化があるときは、洗う前に動物病院にご相談ください。
洗うと決めた日、猫が嫌がっているのは水ですか、音ですか
洗うと決めた日の話をします。猫が強く嫌がるのは、水そのものよりも、音と足元の不安定さであることが多くあります。シャワーが壁や床を叩く音、ドライヤーの風の音、換気扇の音。洗い場は、家の中でいちばん音が反射する場所です。しかも足元は濡れて滑ります。水に触れる前の段階で、すでに条件が悪くなっています。
| 嫌がっている中身 | その場で何が起きているか | 変えられること |
|---|---|---|
| 音 | シャワー・ドライヤー・換気扇が同時に鳴る | 音の出るものを1つずつ使い、同時に鳴らさない |
| 足元 | 濡れた床で足が滑り、姿勢を保てない | 滑らないマットを1枚敷いてから水を出す |
| 時間の長さ | 洗う・すすぐ・乾かすで15分を超える | 洗う範囲を体の一部に絞り、全身をやめる |
| 温度 | 湯の温度が高く、体がこわばる | 人が心地よい温度より低めにする |
| 持ち上げられること | 体が浮いて、逃げ道が消える | 四つ足を床につけたまま進める |
そして、いちばん時間がかかるのは乾かす工程です。タオルで水を吸わせる時間を長く取るほど、ドライヤーを当てる時間が短くなります。猫にとっての負担は、濡れている時間そのものより、音が続いている時間のほうに寄っています。押し当てて水を移し、面を替えてもう一度押し当てる。この繰り返しを先にやっておくと、乾かす時間が目に見えて縮みます。
ここまでを踏まえると、洗う日の設計はこうなります。洗う範囲を絞り、音を減らし、吸わせる工程を長く取る。猫にシャンプーが必要な日は少ないぶん、その少ない1回をどう組むかで、次の1回の難しさが決まります。嫌がった記憶は、次の手順のはじめから効いてきます。
届かない2か所を、3分の手順に落とすと何になりますか
ここが、この記事の本命です。猫にシャンプーが必要ないぶん、人の仕事は1つに絞られます。その子の口が届かない場所を担当することです。場所は決まっています。背中の真ん中と、尾のつけ根。全身をやる必要はありません。範囲が狭いので、慣れると3分かかりません。
-
背中の真ん中に、乾いた手を置く
いきなり道具を出さず、手のひらを置いて数秒待ちます。ここが今日の作業範囲だと先に伝える工程です。逃げるようなら、その日は手を置くところまでで終わりにしてかまいません。
-
布に水分を含ませ、毛の流れに沿って一往復させる
布は薄いものを1枚。含ませる量は、握って垂れない程度です。毛の流れに逆らわず、肩の後ろから腰へ向かって一方向に動かします。逆から入れると毛が立ち、その日の手入れが増えます。
-
尾のつけ根を、指の腹で押さえるように拭く
ここは皮脂が集まりやすく、毛が束になりやすい場所です。こするのではなく、布を当てて押さえ、少し置いてから離します。強くこするほど、毛は絡みます。
-
最後に、布の乾いた面で水分を戻す
同じ布を裏返して、同じ道筋をもう一度。濡れたまま終わらせないための工程です。この一手があると、そのあとにブラシを入れても毛先が引っかかりません。
布に含ませるものについて書きます。mofuwa グルーミングスプレーは、特許を取得した電解水をベースにした、無香料・界面活性剤不使用のケア用品です。猫に使うものを選ぶときは、この2つが先に来ます。猫は自分のにおいで自分と場所を確かめている動物なので、香りが足されると手入れの回数そのものが変わります。もう1つは、口に入る前提で選べるかどうかです。清涼飲料水の規格基準をクリアした水なので、毛づくろいのついでに口へ運ばれても差し支えありません。尾のつけ根に集まっているのは皮脂で、余分な皮脂と油は乳化して布のほうへ移ります。これを使えば洗わなくても清潔になりますという言い方はしません。やっているのは、その子の口が届かない2か所に、人の手を届かせることです。
使い方で1つだけ気をつけたいのは、音です。グルーミングスプレーを体に直接吹くと、噴射音で驚く猫がいます。先に布へ吹きつけ、それから体に当てる。この順番にするだけで、続けられるかどうかが変わります。音を減らすという考え方は、洗う日の工夫として知られていますが、この3分の手順でも同じだけ効きます。
| いつ | やること | かかる時間 |
|---|---|---|
| 週に2回 | 背中の真ん中を、毛の流れに沿って一往復 | 1分 |
| 週に2回 | 尾のつけ根を、押さえるように拭く | 1分 |
| 週に1回 | 首の後ろを、指の腹で確かめる | 30秒 |
| 月に1回 | 毛の流れがそろっているかを、全身で見る | 1分 |
| 季節の変わり目 | 抜けかけた毛の量が、前の月と違うかを見る | 1分 |
猫にシャンプーが必要かを家で決める3つの見どころ
最後に、判断を3つに畳みます。猫にシャンプーが必要かどうかは、この3つで足ります。回数の目安も、季節も、他の家の話も要りません。見るのは、その子の体の上だけです。
| 見るもの | どう見るか | 答え |
|---|---|---|
| 乗ったものの種類 | なめて口に入るものかどうか | 口に入るなら洗う側、そうでなければ拭く側 |
| 場所 | その子の舌と前脚が届く場所かどうか | 届く場所なら任せる、届かない場所なら人が担当する |
| 手入れの回数 | いつもなめている場所の毛の流れがそろっているか | 乱れているなら、汚れではなくその子の側の変化を疑う |
この3つで割ると、多くの家では「洗う」に行きません。猫にシャンプーが必要な日は年に数回、あるいは一度も来ないこともあります。そのぶん、届かない2か所を人が担当する日が、毎週やってきます。必要か必要でないかを毎回考えるより、担当する場所を決めてしまうほうが、結果として手数が減ります。
この記事で書かなかったことも、はっきりさせておきます。洗う必要があるかどうかの判断が、皮膚の状態に触れるところから先は、家では決められません。毛の話と皮膚の話は、途中まで同じ場所を触っていても、途中から別の話になります。線を越えたと感じたら、その時点で手を止めてください。
同じ場所をなめ続けている、逆に急に毛づくろいをしなくなった、地肌が赤い、毛が抜けて地肌が見える範囲がある、フケが目に見えて増えた、においが数日で変わった、触ると痛がる。こうした変化があるときは、シャンプーの回数を変える前に動物病院にご相談ください。洗ってしまうと、その日の状態がそのままでは見てもらえなくなります。いつからか、どこか、どのくらいの範囲かをメモして持っていくと、その場で切り分けてもらえます。
最後に、この記事が数えていたものに戻ります。洗うか洗わないかを分けているのは、汚れの量ではなく、その子の口と前脚が届く範囲です。その範囲は体の形で決まっているので、季節でも年でも動きません。動くのは、届かない2か所を人が担当する回数のほうです。週に2回、1分ずつ。そこが埋まっていれば、洗う日を数える機会はほとんど来ません。
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特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
