C12Q&A・豆知識
アンダーコートとは?保温を担う内側の毛
ブラシを通したあとに綿のように残る、細くて短いあの毛が、アンダーコートと呼ばれている毛です。アンダーコートとは、体の内側に生える、保温を担う細く柔らかい毛のことです。外側にある太い毛の下に、もう一層あるという構造になっています。ここまでは辞書に載っている説明で、たいていの記事はここで終わります。この記事で書きたいのは、その先です。温めているのは、毛そのものではありません。毛と毛のあいだに止まっている空気のほうです。そう読むと、アンダーコートとは「毛」というより「空気を抱える層」だということになります。層だと思って見ると、換毛の時期にやっている作業の意味も変わります。詰まれば保温も通気も同時に落ちるので、やることは取り除くことではなく、通すこと。犬と猫の被毛を、その順番で見直す読みものです。
アンダーコートとは何を指す言葉か|外側の毛の下にある、もう一層
まず場所から書きます。アンダーコートとは、皮膚のすぐ上に生えている、細く柔らかい毛の層のことです。その外側に、太くてまっすぐな毛がもう一層あります。人の目に見えていて、手で触れているのは、たいてい外側のほうです。アンダーコートは、その下に隠れています。
この二層のつくりは、すべての子にあるわけではありません。内側の毛がほとんどない子もいますし、季節によって量が大きく変わる子もいます。「うちの子にアンダーコートはあるのか」は、ブラシに何が残るかで分かります。太くてまっすぐな毛だけが取れるなら、内側の層は薄い。綿のようにふわふわした短い毛が固まって取れるなら、その層があります。
言葉の使われ方も整理しておきます。アンダーコートとは、毛の種類の名前です。「下毛」と呼ばれることもあります。外側は上毛、オーバーコートなどと呼ばれます。呼び方は文献や場面で揺れますが、指しているものは同じです。この記事では、皮膚に近い側の細い毛をアンダーコートと書きます。
| 外側の毛 | アンダーコート | |
|---|---|---|
| 太さ | 太い | 細い |
| 手ざわり | かたい・張りがある | やわらかい・綿のよう |
| 主な役目とされること | 水と汚れをはじく | 空気を抱えて温度を保つ |
| 生えている場所 | 外側 | 皮膚のすぐ上 |
| 抜け方 | 少しずつ | 時期によってまとまって |
| ブラシへの残り方 | 1本ずつ | かたまりで |
ここまでが、辞書に載っている範囲の説明です。この説明だけを覚えても、明日のケアは何も変わりません。変わるのは、次の節で書く「何が温めているのか」を知ったときです。アンダーコートとは何かを、役割の側から読み直します。
保温を担うのは毛そのものではない、という理由
毛は、それ自体がよく温まる素材ではありません。温度を保っているのは、毛と毛のあいだにできた、動かない空気のほうだとされています。細い毛が密に立ち、そのすき間に空気が止まる。止まった空気は熱を伝えにくいので、体の熱が逃げにくくなります。アンダーコートとは、この「動かない空気」を作るための構造だ、という読み方ができます。
細くて縮れている理由も、ここから説明がつきます。まっすぐな毛は、ぴったり寄り添ってしまうので、あいだに空気が入りません。縮れた細い毛は、たがいに寄りかかりながらすき間を作ります。すき間の数だけ、空気を抱える場所ができる。アンダーコートが外側の毛と違う形をしているのには、そういう理由があるわけです。
- 止まっている空気は、熱を伝えにくい:だから毛と毛のあいだが保温の主役になります
- 動いている空気は、熱を運び去る:風が吹くと寒く感じるのは、止まっていた空気が入れ替わるからです
- すき間が多いほど、空気の量は増える:内側の毛が細く縮れているのは、すき間を作るためです
- すき間が水で埋まると、役目が反転する:水は空気よりずっと熱を伝えるので、濡れた層は冷えます
- すき間が抜け毛で埋まっても、同じことが起きる:空気が動けなくなり、湿気もその場に残ります
- だから「量が多いほど暖かい」わけではない:詰まりすぎた層は、空気の層として働きません
最後の項目が、この記事の核です。アンダーコートは、多ければ多いほどいいというものではありません。抱えている空気が入れ替われる状態で、はじめて層として働きます。毛の量そのものではなく、毛が作っているすき間の質のほうが効いている。これがアンダーコートとは何かを、役割から読んだときの答えになります。
犬でも猫でも、この理屈は同じです。ただ、猫は自分で毛づくろいをするぶん、内側の層に手が入る量が変わります。自分で届く場所と、届かない場所があるからです。背中のまんなかや尾のつけ根は、年齢が上がるほど届きにくくなります。同じ被毛でも、場所によって層の詰まり方に差が出るのは、そのためです。
アンダーコートの説明は、たいてい「二層あるから暖かい」で終わります。この言い方だと、層があること自体が保温だと読めてしまいます。実際には、層のなかの空気が止まっていて、かつ入れ替われる状態にあることが条件です。条件のほうを覚えておくと、毎日のケアで何をしているのかが自分で説明できるようになります。
詰まったときの変化は、冬より先に夏へ出ることがある
空気の層として読むと、詰まったときに何が起きるかも見えてきます。抜けた毛がその場に残ると、すき間が埋まり、空気が動かなくなります。動かない空気は熱を伝えにくいのですが、同時に、湿気も熱もその場に留めます。保温という役目だけが残って、逃がすほうの役目が落ちる、という状態です。
だから、詰まりの変化は寒い時期より先に、暑い時期や湿度の高い時期に出ることがあります。冬の詰まりは「暖かい」で済んでしまい、気づかれません。気づくのは、湿度が上がって、同じ層が熱と湿気を抱えたままになったときです。夏に急に気になり始めた、という経験のもとをたどると、詰まり自体は前の季節から続いていた、ということがよくあります。
| 層の状態 | 手で触れたときの感じ | 見て分かること | 起きやすい時期 |
|---|---|---|---|
| すき間が保たれている | 指が根元まですっと入る | 毛を分けると地肌が見える | 通年 |
| 抜け毛がたまり始めた | 指が途中で止まる | 毛を分けても地肌まで届かない | 毛が入れ替わる時期 |
| 層が固まってきた | 面として押し返してくる | 分け目が作れない | 湿度の高い時期 |
| 濡れたまま置かれた | 冷たく、重い | 乾くのに時間がかかる | 洗ったあと・雨の日 |
| 層が薄い場所がある | 外側の毛だけが指に当たる | 地肌がすぐ見える | 年齢が上がったあと |
表の下から2行目は、ケアの話というより順番の話です。濡れた層は、乾いた層とはまったく別の状態になります。すき間が水で埋まっているので、空気の層としては働いていません。洗ったあとに根元まで乾かす、という手順が繰り返し語られるのは、この層を空気の側へ戻すためです。
いちばん下の行も書いておきます。年齢が上がると、内側の層が薄くなる場所が出てきます。薄くなること自体は、必ずしも異常とは限りません。ただし、左右のどちらかだけ薄い、同じ場所をなめ続けている、地肌の色が変わっている、といった変化がそろうときは、被毛の話ではなくなっている可能性があります。判断は動物病院にご相談ください。
取るのではなく、通す|アンダーコートとどう付き合うかの考え方
ここまでを1文にすると、こうなります。アンダーコートとは空気を抱える層であり、目的はその空気を入れ替えられる状態に保つことです。この一文に立つと、毎日のケアでやることが変わります。取れた毛の量を成果にするのをやめて、根元まで指が通るかどうかを成果にします。
-
まず、指で確かめる
ブラシを持つ前に、毛の流れに逆らって指を差し込みます。根元まですっと入る場所と、途中で止まる場所を分けます。止まる場所だけが、この日の作業対象です。全身を一律にやる必要はありません。
-
止まった場所を、少しずつ割く
力で引き抜こうとしないでください。層が固まっているところは、外側から少しずつ範囲を狭めます。一度に取ろうとするほど、皮膚を引っぱることになります。1か所につき数分で切り上げ、翌日に続きをやるほうが結果がそろいます。
-
取れた量ではなく、指の通りで判断する
抜けた毛が山になっても、根元まで指が通らなければ層は詰まったままです。逆に、ほとんど取れなくても指が通るなら、その場所は終わりです。アンダーコートの手入れは、量ではなく通り道を作る作業だという考え方に切り替えます。
-
湿ったまま終わらせない
作業のあとに毛が湿っているなら、そこは空気の層に戻っていません。乾いた面で押さえ、根元の湿りが残らない状態にしてから終わります。ここを飛ばすと、通したはずの場所がまた閉じます。
-
同じ場所を、次の日にもう一度見る
1回で終わる場所と、翌日また詰まる場所が分かれます。翌日また詰まる場所は、抜け毛ではなく別の理由で寝ている可能性があります。その場所の記録を残しておくと、相談するときの材料になります。
mofuwaのグルーミングスプレーは、この「指が通るか」を成果にする手入れのためにつくられたケアスプレーです。中身は高機能性電解還元水で、無香料、界面活性剤は使っていません。布に含ませてから、毛の流れに沿って通します。層の内側まで押し込む必要はありません。外側の毛の滑りが変わると、ブラシが途中で止まりにくくなり、そのぶん指を入れたときに根元まで届く場所が増えます。毛づくろいで口に入る量まで含めて考えられている中身なので、換毛の時期に毎日通しても、かける量を減らしながら使う必要はありません。1か所あたり数分で切り上げる、という上の手順と、かかる手間の大きさがそろっている1本です。
ここでも線は同じです。層に通り道を作るのは指とブラシ、外側の毛の滑りを変えるのがグルーミングスプレーで、成果の測り方はどちらも同じ「指の通り」です。この2つを同じ日にそろえておくと、翌日に同じ場所を見たときの判断が早くなります。被毛のケアが続かなくなるのは、たいてい1回あたりの作業が長すぎるときで、換毛の時期に毎日やれる長さへ収めることのほうが、1日に取れた量より結果に効きます。
地肌の赤みが続いている、かさぶたやふけが増えた、左右のどちらかだけ毛が薄い、同じ場所をなめ続けている、触ると嫌がるようになった、においが強くなった。こうした変化があるときは、ブラシを入れる前に動物病院にご相談ください。詰まりだと思って手を入れると、皮膚のほうへ負担がかかることがあります。いつから、どの場所で、左右差があるかどうかの3つをメモして持っていくと、その場で切り分けてもらいやすくなります。
最後に、この言葉を知ったことで何が変わるかを書いておきます。アンダーコートとは何かを、毛の名前としてではなく、空気の層として覚えておくこと。それだけで、換毛の時期に「たくさん取れた」を目標にしなくなります。冬に暖かそうに見える層が、湿度の高い時期には別の顔をすることも分かります。毎日の手入れの目的が、量から通り道へ移る、というのがこの言葉の使いどころです。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
