C12Q&A・豆知識

夏のアスファルトは真昼に60度を超える

公開日 2021年4月23日|文=mofuwa編集部

明るい公園で、淡い色の石畳の小道を歩いている白っぽい毛の犬
同じ場所でも、人の顔の高さと足の高さでは、当たっている温度が違います。写真:Nikolaos D. Nomikos/Pexels

真夏のよく晴れた日の午後2時、アスファルトの上へ手の甲を当てると、5秒もたないことがあります。アスファルトの表面温度は、真夏の日中に60度を超えることがあるとされています。この60度は、気温の数字ではありません。気温は、地面から1.5メートルほどの高さで、直射日光の当たらない場所で測ると決められています。60度という数字が指しているのは、そこから1.5メートル下、日の当たる地面そのものの温度です。この記事では、気温という軸とアスファルトの表面温度という軸を、時刻ごとに並べて比べます。読み終わったときに手元に残るのは60度という数字ではなく、出かける前の5秒です。

気温という軸と、地面の温度という軸|アスファルトの60度は何と比べた数字か

まず、2つの数字を分けます。気温と、地表温度です。この2つは測っている場所も高さも違うので、同じ日の同じ時刻でも別々の数字になります。アスファルトの60度という数字は、後者のほうに属しています。

気温には測り方の決まりがあります。地面から1.5メートルほどの高さで、直射日光と地面からの照り返しを避けた場所で測ります。天気予報で読み上げられる数字も、この条件で測ったものです。だから、真夏の暑い日でも気温は30度台にとどまります。40度を超える日が全国のニュースになるのは、その条件で40度に達するのが珍しいからです。

いっぽう、アスファルトの表面温度は、日の当たっている舗装そのものの温度です。日射を受け続けて、色が濃くて、熱を抱え込みやすい素材が、風の通らない高さにある。条件が重なると、気温より20度も30度も高くなることがあります。真夏の日中に60度を超えることがある、というのは、この重なりが起きたときの話です。

60度という数字を、裸で覚えないでください。この60度には条件が付いています。よく晴れた真夏の日、日陰にならない場所、色の濃い舗装、風が弱い、直前まで日が当たり続けていた。条件のどれかが外れれば、同じ時刻でももっと低くなります。逆に、条件がそろえば60度を超えることもあります。「アスファルトは60度です」という言い方はできません。

Noteこの記事の数字は、目安として読んでください

以下に出す数字は、よく晴れた真夏日のおおよその目安です。舗装の色、厚み、下の地盤、風、直前の日照時間で大きく変わります。測る道具によっても差が出ます。並べている理由は、数字を覚えてもらうためではなく、気温とアスファルトの温度が別々に動くことを見てもらうためです。実際に出かける日は、数字ではなく次の項の手のひらで確かめてください。

時刻ごとに並べると差が見える|気温とアスファルトの表面温度の違い

同じ日の中で、2つの数字がどうずれていくかを並べます。ずれ方には方向があって、朝はほとんど差がなく、昼にかけて広がり、日が落ちてから縮みます。この形を頭に入れておくと、時刻の選び方が変わります。

よく晴れた真夏日の目安。実測値ではなく、差の広がり方を見るための並びです
時刻気温の目安アスファルトの表面温度の目安手の甲を当てたときの感じ
午前6時25度前後気温と同じくらいひんやり感が残る
午前9時28度前後30度台後半ぬるい
午前11時31度前後50度前後熱いと感じ始める
午後2時33度前後60度を超えることがある5秒もたないことがある
午後5時31度前後40度台から50度台まだ熱い
午後8時28度前後30度台ぬるさが残る

表で目を引くのは午後2時ですが、実際に気をつけたいのは午後5時の行です。気温は下がり始めているのに、アスファルトの温度は下がりきっていません。舗装は日中に受けた熱を抱えていて、日が傾いてもすぐには手放しません。「涼しくなったから」という判断は、気温という軸で下したものです。地面の軸では、まだ数字が残っています。

午前中の差も見ておきます。午前9時の段階では、気温と地表温度の違いはまだ小さいままです。差が急に開くのは、日が高くなって、舗装に日が当たる角度が変わってからです。午前11時にはもう50度前後まで来ていることがあります。「まだ午前だから」も、気温の軸で下した判断です。

もうひとつ、日陰の扱いを書いておきます。日陰のアスファルトと、日なたのアスファルトは、同じ道の上でも別の数字です。建物の影に入っている数メートルだけ温度が落ちていることがあります。ただし、影は時刻とともに動きます。行きに日陰だった場所が、帰りには日なたになっています。

人の高さと足の高さで、同じ場所が別の数字になる|犬とアスファルトの距離の違い

ここからが、この記事のいちばん言いたいところです。同じ道を歩いていても、人とその子では、体が置かれている高さが違います。人の顔は地面から1.5メートルほど上にあります。犬の鼻と足は、地面から数センチから数十センチのところにあります。気温の測り方が1.5メートルの高さで決められているのは、人の生活する高さに合わせてあるからです。

同じ道の上で、高さが違うと当たっている数字が違う 気温という数字は人の高さで測られています。犬の鼻と足は、その1メートル以上下にあって、日の当たった舗装のすぐそばにいます。 同じ場所・同じ時刻の話をしています 人の顔の高さ 地面から約1.5メートル 日の当たらない場所で測る 風が通り抜ける 気温として発表される数字 真夏でもおおむね30度台 犬の鼻と足の高さ 地面から数センチ〜数十センチ 日の当たる舗装のすぐ上 風が通りにくい 気温としては発表されない 60度を超えることがある 顔の高さで涼しいことは、足の高さの説明になりません
60度という数字が届いているのは、右の高さのほうです。

高さの違いは、2つの経路で効いてきます。ひとつは、肉球が舗装に直接触れること。もうひとつは、舗装から立ちのぼる熱を、低い位置で吸い込むことです。体の小さい子ほど地面に近く、鼻の位置も低くなります。同じ散歩でも、人が受け取っている条件とはかなり違います。

靴を履いている人と、履いていないその子、という違いもあります。人が靴底ごしに「熱いな」と感じるとき、あいだには数ミリの素材が入っています。肉球は厚い皮膚でできているとされますが、素材ごしではありません。この違いは、時間が長くなるほど大きくなります。信号待ちで同じ場所に立ち止まっている数十秒が、いちばん条件が重なる時間です。

念のため書いておきます。ここまでの話は、真夏の日中にアスファルトの上を歩けないという話ではありません。時刻と道の選び方で、当たっている数字は変えられます。次の項で、その選び方を並べます。

どちらを選ぶか|アスファルトと土と草の使い分けと、道の選び方

路面には種類があって、日を受けたあとの温まり方が違います。使い分けの基準は「色の濃さ」と「日陰があるか」と「日が当たっていた時間」の3つです。素材の名前だけでは決まりません。同じアスファルトでも、街路樹の下をずっと通っていた区間と、日なたの区間では違います。

路面ごとの温まり方の目安と、選ぶときの見方
路面日中の温まり方夕方の下がり方選ぶときの見方
アスファルト色が濃く、高くなりやすい遅い。熱が残る日陰の区間があるかで決める
コンクリートアスファルトよりは低めやや遅い色が明るいぶん、差が出る
土の道低いことが多い早い乾ききっているかを見る
草の上いちばん低いことが多い早い日が当たり続けていないか見る
屋内・地下の通路外気の影響を受けにくい変化が小さい床材の冷たさで確かめる

表を見ると、土と草が有利に見えます。ただし、そこにも条件が付きます。草でも、遮るものがない広場で半日ずっと日を受けていれば温まります。選び方として確かなのは、素材の名前ではなく、「いまその面に日が当たっているか」「直前まで当たっていたか」のほうです。日陰の下にあるアスファルトは、日なたの土より低いことがあります。

時刻の選び方も、使い分けの一部です。午前6時台と午後8時以降は、気温とアスファルトの温度の差がいちばん小さい時間帯です。表の一番上と一番下の行にあたります。差が小さいということは、こちらの体感と、その子の足元の条件が近いということです。判断が当たりやすくなります。

ここまでを一言でまとめると、選び方の軸は「素材」ではなく「日の当たった時間」です。アスファルトだから避ける、草だから安心する、という分け方をすると、実際の温度から離れていきます。素材は目安、日の当たり方が本体、というくらいの順番で持っておくと外しません。

手の甲を5秒|出かける前にできるアスファルトの見分け方と、帰ってからのケア

数字の話をここまで書いてきましたが、家で使えるのは温度計ではありません。手の甲を、これから歩く舗装に当てて、5秒数えるだけです。手のひらではなく手の甲を使うのは、皮膚が薄くて、熱を早く感じ取れるからです。

  1. 1. 玄関を出てすぐの場所ではなく、実際に歩く道で試す

    建物の影になっている玄関先と、その先の日なたでは条件が違います。角を曲がった先の、いちばん日の当たっている区間で確かめてください。

  2. 2. 手の甲を当てて、声に出さずに5秒数える

    指先ではなく甲の面を当てます。5秒のあいだ当てていられなければ、その面は歩く場所として選びません。

  3. 3. もたなかったら、時刻か道のどちらかを変える

    3時間ずらすか、日陰の区間がある道に替えるか、どちらかです。同じ時刻に同じ道を選び直しても、条件は変わりません。

  4. 4. 帰りの時刻でも、もう一度やる

    行きに日陰だった場所が、帰りには日なたになっています。行きの結果を帰りに持ち越さないでください。

5秒という数え方に、厳密な根拠があるわけではありません。ただ、この見分け方には、数字にない強みがあります。その場で、これから歩く面そのものを測っていることです。アスファルトの表面温度が60度を超えることがある、という知識は日を選ぶのに使えますが、目の前の1本の道の話はしてくれません。手の甲は、その道の話をします。

帰ってきたあとにやることも、ひとつだけ決めておきます。足の裏と、指のあいだと、腹側の低い面を確かめること。アスファルトの上を歩いた日は、地面に近い面ほど外のものを受け取っています。毎日のケアとしては、ここを一往復するだけで足ります。

夏は洗う回数を増やしたくなりますが、皮膚の側の条件を毎日動かすことにもなります。散歩から帰ったその場で使えるものとして、mofuwaグルーミングスプレーがあります。布に含ませて、足の裏と指のあいだ、腹側を一往復させる。グルーミングスプレーの原料の水は清涼飲料水の規格基準をクリアしているので、口が届く足先や腹側でも、布を湿らせる量を気にせず使えます。洗う日には洗う日の役目があり、洗う日と洗う日のあいだは、この一往復が足元を受け持ちます。熱くなった面を歩いた日ほど、指のあいだと腹側に外のものが乗ってきます。その日のうちに布へ移す場所として、足の裏、指のあいだ、腹側の3か所を決めておいてください。

最後に線を引きます。肉球の色が変わった、皮がむけている、歩き方が変わった、しきりにそこをなめている。こうした変化は、家で様子を見ないでください。アスファルトの上を歩いた日かどうかにかかわらず、気づいた時点で動物病院へ相談してください。散歩のあとにぐったりしている、呼吸が戻らない、といったときも同じです。

まとめます。真夏の日中、アスファルトの表面温度は60度を超えることがあるとされています。これは気温とは別の軸の数字で、条件がそろったときの話です。覚えて帰ってほしいのは60度という数字ではなく、気温が涼しいことは足元の説明にならない、ということと、手の甲を5秒当てれば目の前の道の答えが出る、ということの2つです。数字は日を選ぶために、手の甲は道を選ぶために使ってください。

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よくある質問

アスファルトが60度になるのは、気温が何度の日ですか?
気温だけでは決まりません。60度を超えることがあるとされるのは、よく晴れて日射が強く、風が弱く、直前まで日が当たり続けていた条件が重なったときです。気温が33度でも、条件がそろえばアスファルトの表面温度はそこまで上がることがありますし、同じ33度でも曇っていれば大きく下がります。気温を基準にせず、その日その場所の面を手の甲で確かめてください。
土や草の上を選べば、アスファルトのことは考えなくていいですか?
素材で決めきらないほうが確かです。草でも、遮るものがない場所で半日ずっと日を受けていれば温まります。逆に、街路樹の下でずっと影になっているアスファルトは、日なたの土より低いことがあります。見るのは素材の名前ではなく、いまその面に日が当たっているか、直前まで当たっていたかのほうです。どの路面でも、歩く前に手の甲を5秒当てる手順は変わりません。
夜になれば、アスファルトの温度は下がっていますか?
下がってはいきますが、気温ほど早くは下がりません。舗装は日中に受けた熱を抱えていて、日が落ちてもしばらく残ります。午後5時ごろは気温が下がり始めているのにアスファルトはまだ40度台から50度台ということがあり、午後8時ごろでようやく30度台の目安になります。涼しくなったという体感は人の顔の高さのもので、足の高さの話とは別です。夜に出るときこそ、手の甲で確かめてください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。