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換毛期とは?年2回とは限らない毛の入れ替え

公開日 2021年4月16日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の柔らかいラグの上で、淡い色の猫と白っぽい毛の犬が並んで休んでいる
床に落ちる毛の量よりも、いつからいつまで、どこが抜けているかのほうが手がかりになります。写真:Helena Jankovičová Kováčová/Pexels

3月と11月にだけ抜けるはずの毛が、8月の終わりにも、1月の半ばにも、同じように床へ落ちていました。換毛期とは、下毛が入れ替わる時期のことです。ただし、年2回とは限りません。春と秋に区切られてきたのは、外で暮らす動物にとって光と温度が大きく動く時期がそこだからで、室内で空調の効いた部屋にいると、その動き自体が小さくなります。ここでいう年2回とは、暦の決まりではなく、外の条件がそろったときに起きやすい形のことです。この記事は、抜け毛の量そのものより、いつからいつまで、どこが抜けているかを見るという読みものです。「換毛期だから」で説明を止めると、そこから先に進めなくなります。

8月の終わりにも床に毛が落ちていた|換毛期の変化を1年たどった経験

1年のあいだ、カレンダーに毛の量を3段階で書き込んでいた家の話から始めます。掃除機のごみの量と、ブラッシングで取れた量を、多い・ふつう・少ないの3つだけで毎日つけていく。手間としては1日3秒です。それを12か月続けたら、山が2つではなく4つありました。

大きい山は3月と11月でした。ここは想像どおりです。ただ、8月の終わりから9月の頭にかけて、それから1月の半ばにも、小さい山がありました。どちらも、暦の上では換毛期とは呼ばれていない時期です。量としては春や秋の半分ほどですが、その1週間だけ「多い」が並んでいました。

そのときに困ったのは、量そのものではありませんでした。困ったのは、説明が付かないことです。「換毛期だから」で片づけられる時期は年に2回しかなく、残りの10か月に抜けた毛の説明が手元に残りません。抜けているのは事実なのに、その事実を置く場所がない。8月末の毛を、春の換毛期の続きだと考えるのか、別のことだと考えるのかで、次にやることが変わります。

Note記録は量ではなく、日付の並びを見るためのもの

3段階の記録には、正確さはありません。同じ「多い」でも日によって違います。それでも意味があるのは、1年ぶんを並べたときに、山がいくつあって、どのくらい続いたかが見えるからです。換毛期とは期間の名前なので、1日の量では判断できません。始まりと終わりが分かってはじめて、その時期の話ができます。

換毛期とは何を指す言葉か|年2回と言われてきた背景にあるもの

言葉の側から整理します。換毛期とは、被毛が入れ替わる時期のことで、とくに下毛が抜けて生え替わる時期を指すとされています。毛が抜けること自体は一年じゅう起きていて、それは換毛期とは呼びません。ある期間にまとまって入れ替わるときだけ、そこに名前が付きます。つまり、換毛期という言葉は「抜けている」ではなく「まとまって入れ替わっている」を指しています。

被毛は、外側の毛と内側の毛で役割が違うとされています。外側は水や汚れをはじく側、内側は空気を抱えて保温する側です。季節で入れ替える必要があるのは、保温を担っている内側のほうです。暑い季節に厚い層を持っていると熱がこもり、寒い季節に薄いままだと保温が足りません。だから、内側の層を季節に合わせて厚くしたり薄くしたりします。これが換毛期に起きていることの中心です。

外側の毛と内側の毛で、換毛期に動くのはどちらか
外側の毛内側の毛
主な役割とされるもの水と汚れをはじく空気を抱えて保温する
季節で量を変える必要小さい大きい
換毛期に動くのは少ないこちらが中心
ブラシに付いたときの見え方太くて長い細くて短く、絡まる
抜けたあとの居場所床に落ちやすい被毛の中に留まりやすい

年2回という数え方の背景にあるのは、光と温度です。日の長さが伸びていく時期と、縮んでいく時期。それに気温の上がり下がりが重なると、内側の層を入れ替える引き金がそろうとされています。北の地域で外で暮らしている動物ほど、この引き金がはっきり入ります。春に厚い層を落とし、秋に厚い層を作る。だから山が2つになります。

ここで注意しておきたいのは、年2回とは「2回しか起きない」という意味ではないことです。2回というのは、引き金がいちばん強く入る時期が年に2つある、という観察から来た数え方です。引き金の入り方が変われば、数え方のほうも変わります。犬でも猫でも、暮らしている場所の条件がここに効いてきます。

室内では換毛期の輪郭がぼやける|光と温度という引き金をめぐる考え方

室内で暮らしている犬や猫では、この2つの引き金がどちらも弱まります。照明があるので夜も明るく、日の長さの変化が体に届く量が減ります。空調があるので、真夏と真冬でも部屋の温度差は外ほど大きくなりません。引き金が弱いと、入れ替えは起きなくなるのではなく、時期の輪郭がぼやける形になることがあるとされています。

輪郭がぼやけるというのは、山が低くなって、裾野が長くなるということです。春に2週間で終わっていたものが、3月から6月までゆるやかに続く。秋の山も同じように広がる。その結果、一年じゅう少しずつ抜けている、という形に見えます。量の合計は変わっていないのに、いつが換毛期とは言いにくくなります。

引き金の入り方で、抜け方の形が変わる 光と温度の動きが大きい環境と、小さい環境では、同じ入れ替わりでも見え方が違います。合計の量ではなく、山の形が違うという話です。 同じ1年ぶんの毛の、並び方の違いを見ています 引き金が強い環境 日の長さの変化が体に届く 外気温の差が大きい 山が高く、期間は短い 始まりと終わりが分かる 年2回と数えやすい 引き金が弱い環境 照明で夜も明るい 空調で温度差が小さい 山が低く、裾野が長い 始まりと終わりが曖昧 一年じゅう少しずつに見える どちらが良い悪いではなく、見え方が変わるという話です
室内で暮らしていると、右の形になることがあります。どちらも入れ替わりは起きています。

同じ家の中でも、条件はそろっていません。窓のそばで日中を過ごしている子と、廊下の奥にいる子では、目に入る光の量が違います。玄関に近い場所は外気の影響を受けます。換毛期とはその子の体で起きていることなので、家の中のどこで過ごしているかまで含めて、条件になります。2頭いて、抜ける時期がずれることがあるのは、このあたりが関係していると考えられます。

ここまでを、断定しない形でまとめておきます。室内の環境が入れ替わりの時期に影響することは知られていますが、どの条件がどれだけ効くかを家庭で切り分けるのは難しいです。言えるのは、「年2回」という前提で自分の家を測ると、合わない月が出てくることがある、というところまでです。合わないときに疑うべきなのは、その子ではなく前提のほうです。

Point換毛期とは、暦ではなくその子の記録で決まる

「3月と11月が換毛期」という覚え方は、外の条件を基準にした平均です。自分の家の換毛期を知りたいなら、1年ぶんの記録を取るのがいちばん近道になります。3段階でかまいません。翌年、同じ時期に同じことが起きるかどうかまで見えると、その子の周期が読めます。読めると、抜け始めた日に「今年も来たか」と思えるようになります。

「換毛期だから」で説明を止めない|犬と猫の換毛期をめぐる、家での考え方

本題です。「換毛期だから」という説明には、便利さと危うさが同居しています。便利なのは、抜け毛が増えたときに落ち着けることです。危ういのは、そこで観察が止まることです。換毛期とは期間の名前であって、何が起きているかを説明する言葉ではありません。名前が付いた時点で、それ以上は見なくてよいことになってしまいます。

止めないための見方は3つです。①場所。②左右。③根元と毛先。この3つは、量とは無関係に見られます。

「換毛期だから」の先で、実際に見るもの
見るもの入れ替わりらしい変化止まらずに確かめたい変化
場所背中・腰・脇など広い面から出る一か所だけが集中して薄くなる
左右両側から同じように出る片側だけ、または左右で差が広がる
根元と毛先根元から抜けた毛が全体に混じる毛先だけが切れて短くなっている
地肌毛量は減るが地肌は見えない地肌が見える、赤みやべたつきがある
期間数週間で山が下りてくる山が下りずに増え続ける

右の列にあたる変化は、換毛期とは別に考えたほうがよいものです。時期が重なっていると、どうしても「換毛期だから」で説明が付いてしまいます。だから、時期で説明する前に場所と左右を見る、という順番にしておきます。順番を決めておけば、忙しい日でも見落としません。

入れ替わりの時期に、家でできることも書いておきます。やることは1つで、被毛の中に留まっている毛を、外へ出しておくことです。抜けた毛は床に落ちる前に、毛のあいだで引っかかって留まります。留まった毛が増えると、根元に空気が通りにくくなり、毛先のほうだけが絡んで見えます。ブラッシングは、その留まっているぶんを運び出す作業です。

空気が乾いている時期は、静電気で毛が立って、ブラシが引っかかることがあります。引っかかりを力で越えようとすると、その日だけ手が重くなります。ここで手に持つのが mofuwa グルーミングスプレーです。グルーミングスプレーはブラッシングスプレーでもあるので、静電気で立った毛を寝かせてからブラシを入れる、という順番がつくれます。布に含ませて背中から腰へ一往復させてから当てると、被毛の中に留まっていた下毛が、同じ手数でも多く出てきます。舐めても問題のない基準でつくられているため量を気にせず使えるので、山が大きい月は背中から腰まで、山が小さい月は首から肩だけ、と記録に出ている場所に合わせて範囲を決められます。

最後に線を引いておきます。地肌が見える、同じ場所だけが薄くなっていく、赤みやべたつきやにおいがある、さわると避けるようになった。こうした変わり方は、時期では説明しないでください。換毛期と重なっていても別のことが起きている可能性があるので、家で様子を見る前に動物病院へ相談してください。

まとめます。換毛期とは、下毛がまとまって入れ替わる時期のことです。年2回という数え方は、光と温度の引き金が強く入る環境での観察から来たもので、室内で暮らしていると山が低く裾野が長い形になることがあります。だから、自分の家の換毛期とは、暦ではなく1年ぶんの記録から決まります。そして「換毛期だから」と言えたところで、話を終わりにしないこと。場所と左右と根元を見てから、その言葉を置いてください。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。