C12Q&A・豆知識

ブラッシングは毎日しないとダメ?

公開日 2021年4月9日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、淡い色のブランケットの上に落ち着いて伏せ、ブラシを当てられている白っぽい毛の犬
犬のブラッシングの頻度で見ているのは、月の合計回数ではなく、前回から何日空いたかです。写真:https://kaboompics.com//Pexels

犬のブラッシングを10日で3回やった月と、同じ10日で3回でも1日目・2日目・10日目に固まってしまった月とでは、回数が同じでも残り方が違いました。毎日でなくてかまいません。ただし、毎日はやらないと決めた時点で、決めることがひとつ増えます。それが間隔です。犬のブラッシングの頻度という言葉は、たいてい「月に何回やるか」という意味で使われますが、実際に差になっているのは合計の回数ではなく、1回と次の1回のあいだが何日空いたかのほうです。この記事では、頻度をめぐる疑問を8つに分けて、答えから順に書いていきます。読み終わったときに決まっているのは「何回やるか」ではなく、「次にやる日」です。

犬のブラッシングの頻度は、毎日でなくてかまいません

答えから書きます。犬のブラッシングは、毎日しなければならないものではありません。毎日やっている家もありますし、週に2回で足りている家もあります。頻度そのものに、すべての犬へ当てはまる正解の数字はありません。被毛の長さも、下毛の量も、家の中の環境も、その子の年齢も違うからです。

ただし、この答えには続きがあります。「毎日でなくていい」を受け取った瞬間に、次の問いが立ちます。では、いつやるのか。ここを決めないまま「毎日でなくていい」だけを持ち帰ると、たいてい「気づいたときにやる」という形に落ち着きます。犬のブラッシングの頻度でいちばん結果が読めなくなるのが、この形です。

気づいたときにやる、というのは間隔を決めていないという意味です。3日で気づく週もあれば、12日気づかない週もあります。同じ月に同じ回数やっていても、間隔が3日から12日までばらついていると、1回ごとの手ごたえがそろいません。頻度の話をしているつもりで、実際にはばらつきの話をしていることになります。

Noteこの記事で「頻度」と呼んでいるもの

以下、犬のブラッシングの頻度という言葉を、「月に何回やるか」ではなく「前回から何日空けるか」の意味で使います。同じ月3回でも、10日おきの3回と、2日連続のあと8日空いた3回では、体の側に起きていることが違うためです。回数は結果として決まります。決めるのは間隔のほうです。

では犬のブラッシングの頻度は何で決めるのですか|回数ではなく、次までの日数を決める

決め方は単純です。「次にやる日」を、今日のうちに決めておきます。3日後でも、4日後でも、毎週の火曜と土曜でもかまいません。条件はひとつだけで、こちらが先に決めてあることです。決めた日にできなかったら翌日にずらす。ずらしたら、そこからまた同じ日数を数える。これだけで、犬のブラッシングの頻度は安定します。

「気づいたときにやる」との違いは、判断がどこにあるかです。気づいたときにやる形では、毎回「今日やるべきか」を判断しています。ケアの手を動かす前に、判断がひとつ挟まっています。忙しい日は、この判断のほうが先に落ちます。手を動かす時間が5分しかない日でも、判断が済んでいれば5分は使えます。判断から始めると、5分あっても使われません。

同じ月3回でも、間隔の入り方で変わるもの
間隔の入り方1回にかかる時間手が届かない場所次にやる日
10日・10日・10日だいたい同じ毎回ほぼ同じ決まっている
1日・1日・28日3回目だけ長い3回目に増える決まっていない
3日・5日・22日回ごとにばらつく回ごとに変わる気づいたとき
毎日1回は短い少ない決まっている

表の4行を見比べると、いちばん下の「毎日」と、いちばん上の「10日おき」は、性格が近いことが分かります。どちらも1回にかかる時間が読めて、次にやる日が決まっています。間に挟まっている2行が、回数としては同じでも読めない形です。犬のブラッシングの頻度を上げるかどうかより先に、この読めない形から出ることのほうが効きます。

猫と暮らしている家でも考え方は同じです。猫は自分で毛づくろいをするぶん、こちらの手が入る間隔はもっと空きます。それでも、背中の真ん中や尾のつけ根のように自分では届きにくい場所があるので、間隔だけは決めておくと差が出ます。

なぜ間隔がばらつくと差が出るのですか|犬のブラッシングで、抜けた毛がどこにあるかの話

理由は、抜けた毛の居場所にあります。抜けた毛は、抜けた瞬間に床へ落ちるわけではありません。多くは被毛のあいだに引っかかって、その子の体の上に留まります。床に落ちている毛は、留まりきれずにこぼれたぶんです。つまり、掃除機のごみの量は、体の上にどれだけあるかの目安にはなりません。

体の上に留まる毛は、日数に比例して積み上がります。3日ぶんと10日ぶんでは、ほどく作業の量が違います。間隔が伸びるほど1回が重くなり、重い1回は次から先送りされます。これが、間隔のばらつきが自分で自分を大きくしていく仕組みです。犬のブラッシングの頻度を上げようと思ってなぜか上げられないときは、意思の問題ではなく、この循環に入っていることが多いです。

間隔が伸びると、1回が重くなって先送りされる 前回からの日数が伸びるほど、被毛のあいだに留まっている量が増えます。1回にかかる時間が伸びると、その重さを覚えているので、次にやる日がさらに後ろへ動きます。 間隔 10日 1回 重い 次回 先送り 量が増える 時間が伸びる 気づいた日にやる場合 間隔が3日から12日までばらつく 1回の重さが毎回変わる 3日おきに固定した場合 1回で外へ出る量がそろう 次にやる日を考えなくてよい
犬のブラッシングの頻度が上がらない理由は、たいていこの一周にあります。

もうひとつ、間隔が空くと見えなくなるものがあります。前回との差です。3日前にさわった背中と今日の背中なら、変わったかどうかが分かります。12日空くと、比べる相手が記憶の中に残っていません。犬のブラッシングは毛を外へ出す作業であると同時に、その子の体を手で確かめる時間でもあるので、間隔が空くほどこちら側の情報も落ちていきます。

3日おきという数字は、どこから来ているのですか|頻度の目安がどこまで言えるか

正直に書きます。3日という数字そのものに、すべての犬へ当てはまる根拠があるわけではありません。被毛の長さも下毛の量も違うので、合う間隔は家ごとに変わります。3日を出しているのは、「毎日」と「気づいたとき」のあいだで、いちばん覚えやすくて、いちばん崩れにくい間隔だからです。

覚えやすさは、続くかどうかにそのまま効きます。1日おき、3日おき、週2回の曜日固定。この3つは、頭の中で次の日が計算できます。「5日から7日くらいのあいだで」といった幅のある決め方は、決めていないのと同じ働きをします。幅があると、その幅の後ろの端が基準になり、そこからさらに伸びるからです。

決めた間隔は、1か月は動かさないでください。1週間で判断すると、その週にたまたま抜け毛が多かったか少なかったかで決めてしまいます。1か月続けると、1回にかかる時間がそろってくるか、まだばらついているかが見えます。そろってきたなら、その間隔がその子に合っています。毎回15分を超えるようなら、間隔を1日ぶん詰めてみます。

Point頻度の記録は、回数ではなく日付でつける

カレンダーに丸を打つだけで足ります。1か月ぶんの丸が並ぶと、間隔がそろっているかどうかが一目で分かります。「今月は8回やった」という数え方だと、8回がどう散らばっていたかが消えます。犬のブラッシングの頻度を見直すときに必要なのは、合計ではなく並び方のほうです。

毎日やっても大丈夫ですか|犬のブラッシングを増やすときに、一緒に変えるもの

毎日やること自体は大丈夫です。ただし、間隔を詰めるときは、1回の中身も一緒に変えてください。10日おきにやっていたときと同じ強さ、同じ長さ、同じ道具のまま毎日に切り替えると、皮膚の側に当たる回数だけが増えます。10日ぶんをほどくための力を、1日ぶんの毛に当てることになるからです。

毎日にするなら、変えるのは3つです。1回を短くする。力を弱める。当てる場所を分ける。全身を毎日やろうとすると続きません。月曜は背中、火曜は脇と内股、水曜は尾のつけ根、というように場所で割ると、1回が1分前後で終わります。1分で終わる形にしておくと、忙しい日でも間隔が飛びません。

書いてはいけない言い方も並べておきます。毎日ブラッシングすれば皮膚のトラブルを防げますという言い方は、このコラムでは使いません。ブラッシングは、その子の体を毎日1回さわる時間をつくる作業です。皮膚に何かが起きているときは、頻度をどう変えても、こちらの手だけで判断できることは多くありません。そこは動物病院の領域です。

反対に、間隔を空けたほうがよい場面もあります。皮膚に赤みが出ている、さわると避ける、同じ場所だけ気にしてなめている。こうしたときは、頻度を上げてどうにかしようとしないでください。手を当てる回数を増やすと、こちらが確かめたいことより先に、その子の側の負担が増えます。

そもそもブラッシングとは何をしている時間ですか|犬の頻度の疑問は、ここで分かれる

頻度の疑問がきれいに割れないのは、ブラッシングが3つの作業を同時にやっているからです。①被毛のあいだに留まっている抜け毛を外へ出す。②毛のあいだに空気を通す。③その子の体を手で確かめる。この3つは、必要な間隔が同じではありません。

ブラッシングが同時にやっている3つと、それぞれに向く間隔
何をしているか間隔が空くとどうなるか向いている間隔
抜け毛を外へ出す1回の量が積み上がる毛が抜ける時期は短く
毛のあいだに空気を通す根元が詰まったままになる季節と部屋の湿り方で変わる
体を手で確かめる前回と比べられなくなる短いほど差が見える

③だけを取り出すと、答えが変わります。体を確かめるという目的なら、間隔は短いほどよく、しかも1回は10秒で足ります。ブラシを持たずに、背中から腰へ手のひらを一往復させるだけです。犬のブラッシングの頻度を上げるのが難しい家でも、この10秒なら毎日入ります。道具を出す作業がないぶん、判断も要りません。

つまり、頻度の疑問は「ブラッシングを毎日やるか」ではなく、「3つのうち、どれを毎日にするか」に分けると答えが出ます。抜け毛を出す作業は3日おき、体を確かめる作業は毎日。この2段にしておくと、忙しい週に落ちるのは前者だけで済みます。

決めた間隔が守れない週は、どうすればいいですか|10秒だけ残して、次にやる日を決め直す

守れない週は必ず来ます。そのときにやってはいけないのは、翌週にまとめて取り返すことです。まとめた1回は重くなり、重い1回は次の先送りを呼びます。前の項で書いた循環に、そのまま戻ります。飛ばした回は数えず、次にやる日だけを決め直してください。

そのうえで、間隔が空いた週にも、10秒の側だけは残せます。mofuwa グルーミングスプレーを布に3回吹き、背中から腰へ一往復させる。これで10秒です。電解還元水をベースにしたスプレーで、余分な皮脂と油は乳化して布のほうへ移ります。ブラシを出す作業がないので、やるかどうかの判断もひとつ要りません。前の項で分けた3つのうち、抜け毛を外へ出す作業は飛んでも、体を手で確かめる作業は飛ばずに済みます。

空気が乾いている時期は、静電気で毛が立って、ブラシが引っかかることがあります。引っかかるからと力を足すと、その日の1回だけが重くなります。グルーミングスプレーを含ませた布で表面をなでてから当てると、同じ間隔でも手ごたえが変わります。もともとブラッシングスプレーとしても使えるように作られているので、梳かす前に置くのが本来の順番です。頻度を変えずに1回を軽くする、という考え方です。

Point間隔を守るための、いちばん小さい仕掛け

ブラシを引き出しにしまわず、次にやる日に通る場所へ置いておくだけで、間隔の崩れ方が変わります。道具を出すという作業がなくなると、判断がひとつ減ります。犬のブラッシングの頻度が落ちるときは、やる気ではなく、動線が原因になっていることが多いです。

犬のブラッシングの頻度では説明がつかない変わり方はどれですか

最後に、頻度の話から外れる部分を書いておきます。次のような変わり方は、ブラッシングの頻度をどう調整しても、こちらの手だけでは判断できません。気づいた時点で、家で様子を見る前に動物病院へ相談してください。

反対に、抜け毛の量そのものは、それだけでは判断の材料になりません。季節でも、部屋の温度でも、毛が入れ替わる時期でも変わります。見るのは量ではなく、変わり方と場所です。そして変わり方は、間隔がそろっているときにしか見えません。頻度を決めることの実利のひとつは、ここにあります。

まとめます。犬のブラッシングは毎日でなくてかまいません。毎日やらないと決めたら、次にやる日を今日のうちに決めてください。3日おきでも、週2回の曜日固定でもかまいません。1か月動かさずに続けると、1回にかかる時間がそろってきます。そろってきたら、その間隔がその子に合っています。頻度という数字を探すより、間隔を1つ決めるほうが、先に答えにたどり着きます。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。