C12Q&A・豆知識

犬の平熱は人より約1度高い

公開日 2021年5月14日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、淡い色の布の上に落ち着いて横になっている淡い色の犬
手のひらで「あたたかい」と感じる時点で、こちらの体温より高いところにあります。写真:Ketut Subiyanto/Pexels

抱き上げたときに「少し熱いかな」と感じるのは、その子の平熱が、こちらの手の温度より高いところにあるからです。先に数字を書きます。犬の平熱は38度台とされていて、人の平熱よりおよそ1度高いと説明されます。ここでいう「約1度」は、人の平熱と比べたときの差のことです。年齢・体格・時間帯・測る場所で幅があるので、1つの数字で言い切れるものではありません。この記事で書きたいのは、その1度が家の何を変えるか、です。平熱が高いということは、乾かすときの体感も人と同じではない、ということになります。人の手が「ぬるい」と感じる温度でも、その子には十分な場合があります。体温の測り方と、何度からが異常なのかという判断は、この記事では扱いません。そこは動物病院の領域です。

犬の平熱は38度台とされ、人よりおよそ1度高い

数字から書きます。犬の平熱は、一般に38度台とされています。人の平熱は36度台とされているので、その差はおよそ1度です。ここでいう「約1度」は、何かの絶対値ではなく、人と比べたときの差のことです。比べる相手を書かずに「38度台です」とだけ置くと、高いのか低いのかが分かりません。

この数字には、必ず条件がつきます。年齢、体格、時間帯、直前に動いていたかどうか、測る場所。どれか1つ変わるだけで、出てくる数字は動きます。だから「犬の平熱は◯◯度です」と小数点まで書ける性質のものではありません。この記事でも、幅と条件をつけた形以外では書きません。

人と犬の平熱を、比べる相手つきで並べる
一般に言われる範囲条件
人の平熱36度台とされます測る場所と時間帯で動きます
犬の平熱38度台とされます年齢・体格・活動量で動きます
差およそ1度どちらも幅を持った数字どうしの差です
幅の大きさ同じ個体でも一日の中で動きます朝と夕方で同じとは限りません

「およそ1度」という言い方をしているのは、ごまかしているからではありません。幅のある数字どうしを引き算しているので、出てくる差にも幅があるからです。1.0度と書けるほど、もとの数字がそろっていません。家で使うぶんには、「人より1度ぶん高いところにいる」で十分に足ります。

Note測り方と、何度からが問題かの線引きは扱いません

体温の測り方と、何度からが異常なのかという判断は、この記事では書きません。測る場所や器具によって出る数字が変わり、そこから発熱かどうかを決めるのは獣医師の領域だからです。家で数字を出して自分で線を引こうとすると、たいてい判断が遅れます。この記事で扱うのは、平熱が人より高いという事実が、毎日のケアの何を変えるか、というところまでです。

「約1度高い」とは、犬の平熱を何と比べた1度ですか

比べている相手は、人の平熱です。それ以外ではありません。室温でも、お湯の温度でも、外気温でもありません。ここを取り違えると、数字の意味がまるごと変わってしまいます。「1度高い」というのは、抱いている人の体と比べて1度ぶん上にある、という意味です。

なぜこの比較が家で役に立つのかというと、家にある温度計が、たいてい人の手だからです。お湯を触るのも、ドライヤーの風を確かめるのも、体に触れて熱を見るのも、全部こちらの手でやっています。その手が36度台の体についているという前提を、ふだんは意識していません。

つまり、こちらの手が「あたたかい」と感じている時点で、その温度は人の体温より上にあります。そして、その子の体はもう1度ぶん上にいます。同じ温度に触れていても、暑い側に感じるか、ちょうどいい側に感じるかが、人とその子でずれます。この記事で言いたいのは、この1点です。

犬の平熱を人と比べて理解しておくと、家での判断が1つ楽になります。手で「ちょうどいい」と感じたものは、その子には少し温かすぎる側に寄っている可能性がある。逆に、手で「少しぬるい」と感じたものが、その子にはちょうどいいこともある。この読み替えが、次のセクションから先の話の土台になります。

なぜ、犬の平熱は1つの数字で言い切れないのですか

理由は3つあります。個体差、時間帯、状況です。どれも数字を動かします。しかも、動く幅は小さくありません。だから、犬の平熱を「◯◯度です」と1つの数字で覚えても、目の前のその子に当てはまるとは限りません。覚えるなら、数字ではなく幅と条件のほうです。

この6つを見て分かるのは、平熱というのは「その子のいつもの位置」であって、種としての固定値ではないということです。だから、家で意味を持つのは全体の平均値ではなく、その子のいつもがどのあたりかを知っていることのほうです。ただし、それを数字で持つ必要はありません。

数字で持たなくていい、というのは大事なところだと思います。家で数字を測り始めると、その数字だけで判断しようとしてしまいます。幅の大きい数字を1回測って、高いか低いかを決めるのは無理があります。数字は動物病院で見てもらうときに出してもらうものにして、家では別のものを見るほうが、結果として早く気づけます。

では家では何を見るのか。ふだんと違うかどうか、です。いつもと同じ場所で寝ているか、いつもと同じ姿勢か、いつもと同じ量を飲んでいるか。犬の平熱を数字で追いかけるより、こちらのほうが変化に早く出ます。数字の話は、ここまでにしておきます。

平熱が高い体を乾かすとき、体感はどう変わるのですか

ここからが、この記事の本題です。平熱が人より1度高いということは、乾かすときの体感も人と同じではない、ということです。乾かす作業は、こちらの手で風の温度を確かめて、こちらの感覚で「まだ足りない」「もういい」を決めています。その物差しが、そもそも1度ぶんずれています。

しかも、ずれているのは体温だけではありません。その子の体の表面は、被毛に覆われています。風が当たっているのは毛の外側で、熱がこもるのは毛の中で、水が残っているのは地肌に近い側です。人が自分の腕に風を当てて確かめる感覚は、このどれとも一致しません。

風が当たる面と、平熱に近い面のあいだ 乾かしているとき、手が確かめているのは毛の外側です。熱と湿りが残るのは毛の中で、いちばん奥にあるのは平熱に近い地肌です。外側が乾いて見えても、内側が終わっているとは限りません。 外側から順に乾くので、見た目と実際のあいだに時間差が出ます 毛の外側 手が触れる面 風が当たる面 先に乾いて見える 毛の中 空気がこもる層 熱と湿りが残る 乾きが遅れる層 地肌 平熱に近い面 38度台の側 最後に確かめる 風が止まる境目 その日の底 外側の手ざわりで終わりを決めると、内側が湿ったまま残ります
確かめる場所は、風が当たる面ではなく、いちばん奥の面です。

図の右側を見てください。いちばん奥にある地肌は、38度台の体そのものの面です。ここは、外から風を当てても、いちばん最後にしか届きません。そして、ここが湿ったまま残ると、そのあいだ体は熱を逃がし続けます。平熱が高い体にとって、湿ったまま置かれる時間は、人が想像するより負担の側に寄ります。

だから、乾かす作業で見るところは2つに分かれます。1つは、風の温度を上げすぎないこと。もう1つは、湿ったまま終わらせないこと。この2つは、同じ「乾かす」という言葉の中にありますが、方向が逆に見えます。温度を上げれば速いのに、上げないほうがいい。次のセクションで、そこを開きます。

人が「ぬるい」と感じる温風でも、犬は大丈夫なのですか

多くの場合、大丈夫です。人の手が「少しぬるいな」と感じる程度の風でも、乾かすには足りていることがあります。理由は2つあります。1つは、その子の体が38度台の側にいるので、同じ風でも温度差の感じ方が違うこと。もう1つは、乾かすときに効いているのが温度だけではないことです。

乾くという現象は、温度と、風の量と、その場の湿り具合で決まります。温度を上げなくても、風を当てる場所を動かし続けるほうが、結果として速く終わることがあります。同じ場所に温風を当て続けると、その場所の空気が湿ったまま留まって、そこから先は乾きません。手を動かすほうが効きます。

人の手の感覚と、その子の側で起きていること
人の手の感覚人の側の理由その子の側で起きていること
ちょうどいい温かさ36度台の手にとって心地よい平熱より上の風を当てていることがあります
少しぬるい手が温度差を感じにくい乾かすには足りていることがあります
まだ乾かない気がする毛の外側だけを触っている地肌はまだ湿っていることがあります
もう乾いた手ざわりが軽くなった毛の中に湿りが残っていることがあります
嫌がって動く風の音のせいだと思う熱がこもっている合図のこともあります

この表の下の2行が、いちばん見落とされます。手ざわりで「乾いた」と決めた時点では、まだ終わっていないことがあります。そして、途中で動きたがるのを「ドライヤーが苦手だから」で片づけると、熱の側の合図を見落とします。平熱が高い体は、熱を逃がす手段が人ほど多くないとされているので、こもると外へ出たがります。

だから、判断はこうなります。温度を上げたくなったら、代わりに風を当てる場所を動かす。人が「ぬるい」と感じるからといって、温度のつまみを上げる方向へ行かない。上げるのは温度ではなく、風が当たる面の数です。時間は少し延びますが、その子の側の負担は下がります。

犬の平熱の話で、家が決められることと決められないこと

線をはっきり書いておきます。家が決められるのは、環境の側だけです。部屋の温度、風の当て方、乾かす順番、乾かす時間帯。これは全部こちらで決められます。決められないのは、その子の体温が今どこにあるか、そしてそれが正常の範囲かどうかです。

犬の平熱をめぐって、家と動物病院で分かれる線
家で決められること動物病院に渡すこと
温度部屋の温度と風の温度その子の体温が今どこにあるか
判断乾かし方を変えるかどうか発熱かどうか、原因は何か
記録いつもと違う様子があった日付数字としての体温
ケア毎日の被毛と皮膚の手入れ体調に関わる処置
聞くこと今日の様子をそのまま伝える数字の意味を説明してもらう

この表の右の列を、家で埋めようとしないでください。数字を家で出して、その数字だけで判断すると、たいてい遅れます。幅の大きい数字を1回測って、高いか低いかを決めるのは無理があります。家で持っておく価値があるのは、数字ではなく「いつもと違うと感じた日付」のほうです。

その代わり、左の列は毎日埋められます。部屋の温度を測る。乾かす順番を決めておく。乾かしたあとに地肌へ手を入れる。この3つはこちらの判断だけで動かせます。犬の平熱が人より高いという事実は、この3つをどう決めるかに使うための知識だと思ってください。

洗う日と洗う日のあいだ、犬の平熱の高さをどう扱いますか

洗う日と洗う日のあいだも、体は濡れます。雨の日の散歩、飲んだあとの口まわり、暑い日の肉球。ここで大事なのは、濡れた量ではなく、濡れている時間の長さです。平熱が高い体にとって、湿ったまま置かれる時間はそのまま熱が逃げ続ける時間になります。この時間を短くするのが、間の日に手を入れる意味です。

  1. 濡れている場所を先に決める

    全身を触るのではなく、その日に濡れた場所だけを決めます。雨の日なら腹と胸の下、飲んだあとなら口まわり、暑い日なら肉球のまわり。場所が決まると、10秒で終わります。

  2. 湿った面を、押さえて水分を移す

    こすらずに、乾いた面を当てて押さえます。こする動きは摩擦を足すだけで、水はあまり移りません。押さえるほうが速く、皮膚の側にも負担が残りません。

  3. 毛の中に手を入れて、地肌を確かめる

    毛の外側だけを触って終わらせないでください。指を毛の中へ入れて、地肌が湿っていないかを確かめます。ここが、この記事で何度も出てきた「いちばん奥の面」です。

  4. 熱がこもっていないかを、同じ手で見る

    地肌に触れたついでに、その場所が周りより熱くなっていないかを見ます。数字ではなく、体の中での差として見ます。片側だけ熱い、同じ場所だけ熱い、というときは記録してください。

拭くものについて書いておきます。水だけで拭くと、拭いた場所に湿りが残りやすくなります。洗剤を含むものは、なめる可能性のある口まわりや足には向きません。mofuwa グルーミングスプレーは、布に含ませて押さえるだけで、すすぎも乾かす手間も出ません。38度台の体から熱が逃げ続ける時間を、こちらの手で延ばさずに済むということです。中身は無香料の特許電解水で、界面活性剤を使っていません。清涼飲料水の規格基準をクリアした水なので、口のまわりや足の指のあいだのような、そのままなめてしまう場所にも当てられます。毎日の被毛と皮膚の手入れは、さきほどの表でいえば、家が決められる側の列に入ります。

Point部屋の温度計を、その子の高さに置く

部屋の温度計は、たいてい人の目の高さにあります。床から数十センチの高さは、目の高さと同じ温度とは限りません。夏は床に近いほうが暖かく、冬は逆になることがあります。平熱が38度台の体は、その高さの空気の中にいます。温度計をもう1つ、寝床のそばに置いておくと、乾かす日も乾かさない日も判断が変わります。

1度の差を毎日のケアに置き直す|犬の平熱に残る疑問と、家が持っておく記録

最後にまとめます。犬の平熱は38度台とされ、人の平熱よりおよそ1度高い。この1度は、人と比べたときの差で、条件によって幅があります。そして、この1度が家で意味を持つのは、体温を測る場面ではなく、こちらの手を物差しに使っている場面です。

1度の差を、毎日のケアの判断に置き直す
場面人の物差しのまま1度の差を入れると
乾かす風の温度ちょうどよく感じるまで上げるぬるく感じても、当てる面を動かす
乾いたかどうか手ざわりが軽くなったら終わり地肌に指を入れて確かめる
途中で動きたがるとき音が苦手なのだと考える熱がこもった合図の可能性も見る
部屋の温度人が快適な高さで測るその子のいる高さでも測る
洗う日のあいだ濡れた量を気にするグルーミングスプレーで押さえて、濡れている時間を短くする

残る疑問は、たいてい「では、うちの子の平熱は何度なのか」というところだと思います。その数字は、家で出すものではなく、動物病院で出してもらうものです。健康なときに一度知っておくと、あとで比べる材料になります。次に行く機会があれば、そのときに聞いてみてください。

この記事は、犬の平熱という数字を、家のケアの側から読み直したものです。数字そのものより、こちらの手が物差しになっているという事実のほうが、毎日効きます。手が36度台の体についていること。その子の体はもう1度上にいること。この2つを覚えておけば、乾かす日の判断は変わります。

Cautionいつもと違う様子が続くときは、動物病院にご相談ください

ぐったりしている、震えている、いつもの場所で寝ない、水を飲む量が急に変わった、呼吸が速い状態が続く、食べる量が戻らない、体の一部だけが熱く感じる。こうした様子があるときは、家で体温の数字を出して判断しようとせず、動物病院にご相談ください。体温の測り方も、何度からが問題なのかという線引きも、獣医師の領域です。気づいた日時と、そのときの部屋の温度をメモして持っていくと、話が早く進みます。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。