C05犬種・猫種別ケア
グレートピレニーズのケア|毛玉を減らす3つの習慣
雨があがって30分、背中をなでたら、もう乾いていた。グレートピレニーズと暮らしていると、この手ざわりに何度も出会います。それなのに数日たって、同じ背中の根元で毛玉に指が当たる。上毛が水を弾くので表面は早く乾き、その内側の下毛だけが湿ったまま残っているからです。グレートピレニーズの毛玉は、濡れている最中ではなく、乾いたと思ったあとにできます。この記事では、表面の乾きと下毛の乾きという2つの条件を比較しながら、どっちが乾いているかの見分け方と、粒度の違う3つの習慣を書きます。
表面は乾いているのに、根元だけが濡れている|グレートピレニーズの毛玉が始まるところ
グレートピレニーズは、ピレネー山脈で家畜を守ってきた犬です。夜も外で、雨の日も雪の日も群れのそばにいました。そのために、外側の上毛は粗く長く、水と汚れを弾くようにできています。雨のあとに背中をなでて乾いていると感じるのは、気のせいではありません。上毛は本当に、その時点で乾いています。
問題はその内側です。上毛の下には、細かく密な下毛があります。空気を閉じ込めて体温を保つための層なので、空気が動きにくく、水分が抜けていきません。上毛の隙間から一度でも水が入ると、下毛は湿ったまま何時間も残ります。表面はもう乾いているのに、根元だけが冷たい、という状態が起こります。
そして毛玉は、濡れている最中にはできません。湿った下毛が少しずつ乾いていく途中で、隣の毛と寄り合って絡みます。だから毛玉に気づくのは、たいてい雨の翌日か、その次の日です。飼い主の側の記憶では「濡らしていない日」に出てきたことになるので、原因と結びつきにくいところがあります。
- 雨の日:上毛が弾くので、表面はほとんど濡れません
- 雨あがり:表面は乾き、下毛だけが湿って残ります
- その日の夜:湿ったまま寝るので、こすれる面から締まります
- 翌日以降:乾いていく途中で毛が寄り、毛玉として指に当たります
散歩だけの話でもありません。庭の草をかき分けて歩いた日、雪の上で伏せた日、犬用のベッドが少し湿っていた日。体の一部だけが濡れて、そこだけ乾き遅れるという条件は、季節を問わず起こります。
表面の乾きと下毛の乾き|グレートピレニーズの毛玉を分ける2つの条件
手を入れる場所を決めるには、乾きをひとまとめに考えないほうが早くなります。表面の乾きと、下毛の乾き。この2つを別々の条件として並べてください。同じ体の同じ場所で、片方だけが先に進みます。
| 表面の乾き | 下毛の乾き | |
|---|---|---|
| どこを見るか | 背中や体側の毛先 | 毛を分けた先の根元 |
| どう確かめるか | 手のひらでなでる | 指の腹を地肌にあてる |
| 雨あがり30分 | もう乾いている | まだ冷たく湿っている |
| 翌日の朝 | 変わらず乾いている | 場所によって、まだ湿っている |
| 毛玉との関係 | ここでは毛玉にならない | 乾く途中で毛どうしが寄る |
| 見落とす理由 | 触れば分かるので安心する | 毛を分けないと、触れない |
この2つを比較すると、よくある行き違いの理由がはっきりします。「濡れていないから、乾かさなくていい」という判断は、表面の乾きだけを見たときの結論です。下毛の乾きは、そこからさらに数時間、場所によっては翌日まで遅れます。
遅れ方は、体の場所でも違います。毛の長い場所と、面が合わさる場所は、風が通らないぶん最後まで残ります。
- 首まわりのラフ:毛が長く厚いので、いちばん最後に乾きます
- 脇と内股:面と面が合わさっていて、風がそもそも入りません
- しっぽの飾り毛:長さがあり、地面や体に触れて湿りをもらいます
- 後ろ脚の裏側:草をかき分けた日は、ここだけ濡れていることがあります
- お腹側:伏せた姿勢では床に接していて、乾きはじめるのが遅くなります
どっちが乾いているか|雨の日の翌日にわかる見分け方
見分け方は簡単で、道具も要りません。雨の日の翌日に、上毛を分けて根元を触る。これだけです。晴れた日ではなく、雨の翌日にやることに意味があります。差がいちばん大きく出る日だからです。
-
まず手のひらで、表面をなでる
背中と体側を、毛の流れに沿ってなでます。ここで乾いていることを確かめてください。ほとんどの場合、表面は乾いています。この結果を「乾いた」と読まないことが、この見分け方のいちばん大事なところです。
-
同じ場所の毛を、上へ寄せて分ける
片手で毛をまとめて持ち上げ、地肌が細い線になって見える状態をつくります。長毛の大型犬なので、力を入れなくても手のひらが沈みます。線が見えていないうちは、まだ上毛の話をしています。
-
指の腹を、地肌にあてて確かめる
湿っているかどうかより先に、冷たいかどうかを見てください。湿った下毛は、乾いた場所より低い温度に感じます。まわりの毛より冷たい場所があれば、そこがまだ乾いていません。
-
左右と、上下を比べる
背中の右と左、体側と首まわり。比較するものがあると、判断が早くなります。どっちも同じなら、その日はそれで終わりです。片側だけ冷たいときは、寝る向きや、当たっているものを思い出してください。
-
冷たかった場所だけ、毛先から順にほどく
まだ湿っている場所は、無理にとかさないでください。乾いてからのほうが、毛が滑ります。先にすることは、風を通すことです。毛を分けたまま数分置くだけでも、根元の抜け方が変わります。
毎日、全身の根元を触る必要はありません。雨が降った日、草をかき分けた日、雪の上にいた日。その翌日だけと決めてしまうほうが続きます。晴れが続いている週は、表面をなでるだけで十分です。回数を増やすより、確かめる日を間違えないことのほうが効きます。
確かめた結果は、一行だけ残しておくと次に活きます。「雨の翌日、右の内股が冷たかった」。これだけで、次の雨のあとにどこから見ればいいかが決まります。グレートピレニーズは体が大きいので、全身を毎回確かめるやり方は続きません。
動作・点検・置き場所|グレートピレニーズの毛玉を減らす3つの習慣
ここまでの見方を、続く形にします。3つ挙げますが、大きさはわざとそろえていません。1つ目は帰宅直後の数分の動作、2つ目は週に一度の点検、3つ目は季節ごとに環境そのものを組み替える話です。
-
習慣1|濡れた日は、帰ってすぐ根元を開いて風を通す
その場でできる、いちばん小さい動作です。玄関でタオルを当てるのは表面の話なので、そのあとに毛を分けて、根元へ風が入る状態を数分つくってください。乾かしきる必要はありません。空気が動く隙間をつくるだけで、下毛の乾きは進みます。ドライヤーを使うなら、温風を当て続けるより、毛を分けて風の通り道を変えるほうが早く終わります。
-
習慣2|週に一度、左右を比べて手ざわりの差を見る
毎日ではなく、曜日を決めた点検です。首まわり、脇、内股、しっぽのつけね、後ろ脚の裏。5か所を、左右で比べます。目的は毛玉を探すことではなく、差を見つけることです。片側だけ手が入りにくい、片側だけ冷たい。この差が、次の週にどこへ手を入れるかを決めます。差がなければ、その週は何もしなくてかまいません。
-
習慣3|雨の季節と換毛期は、寝床と乾かす場所を組み替える
いちばん大きい単位の話です。梅雨や長雨の時期、換毛期で下毛が緩む時期は、日々の手入れだけでは追いつきません。寝床を壁際から離して風が回るようにする、濡れて帰ったあとに立たせておく場所を決めておく、床材が湿りをためていないか見る。手を動かすのではなく、条件のほうを変える習慣です。季節の変わり目に一度考えれば足ります。
3つを並べると、かける労力が違うことが分かると思います。毎日やるのは1つ目だけ、しかも濡れた日にかぎります。2つ目は週に一度、3つ目は季節に一度。同じ粒度で3つ並べると、どれも中途半端になります。大きさを変えておくほうが、結果として続きます。
洗う回数を増やす、という方法は3つに入れていません。ほどけていない毛玉は、水を含んで締まるからです。順番は、ほどいてから洗う。全身を洗う回数だけを積み増すと、地肌に残っているうるおいまで毎回落とすことになります。グレートピレニーズは洗うのも乾かすのも半日かかる体格なので、そもそも回数で押し切れる犬ではありません。
そのうえで、毎日きれいにしておきたい側は下げなくて構いません。体が大きく、毛は長く、脂は毎日出ます。散歩にも行かせます。mofuwa グルーミングスプレーは、毎日シャンプーはできないという前提のまま、毎日のケアのほうを成立させるためのものです。使いどころは、根元まで乾いたのを確かめてから、とかしはじめる手前です。含ませた布で脇や内股のようにこすれる面をなで、そのままブラシを一方向に通します。舐めても問題のない基準でつくられているので、この体格でも量を気にせず使えます。グルーミングスプレーはブラッシングスプレーでもあるので、空気が乾いて毛先が広がる日は、静電気の起きにくい状態にしてから梳かせます。
湿った下毛は、乾いているときより毛どうしが張りつきます。その状態でブラシを入れると、ほどけずに引っぱることになります。先に乾かす、それからとかす。この2つを逆にしないでください。固まったものにハサミを入れるのも避けてください。毛玉は下の皮膚を持ち上げているので、毛だけを切っているつもりでも先が皮膚に届きます。
空気が乾く季節は、条件が入れ替わります。下毛が乾きすぎて静電気が起き、とかすほど毛先が広がって寄る日が出てきます。その時期は、いきなりブラシを入れずに、毛の表面を一度ならしてからとかしてください。湿らせすぎないこと、濡らしたらその日のうちに根元まで乾かしきることは、雨の日と同じです。
湿りでは説明がつかない毛玉
ここまでは、下毛の湿りで説明のつく毛玉の話でした。濡れた覚えがないのに固まる、同じ一か所だけが何度も戻る。そういうときは、別の見方をしてください。
- 晴れが続いているのに固まる:湿りではなく、当たり続けているものを探してください
- いつも同じ一か所だけ:ハーネス、首輪、寝床の縁が、毎日同じ場所を押さえている可能性があります
- その場所を気にしている:なめる、かく、床にこすりつける。毛玉より先に、皮膚のほうを見ます
- ほどいたあとの地肌が赤い、においがある:湿った状態が続いた結果として起こることがあります
- 触ると嫌がる、声を出す:痛みがあるときは、ほどく手をその場で止めてください
- 左右で毛の量が明らかに違う:毛玉の話ではなくなっている場合があります
毛玉の下の地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、フケが増えた、元気や食欲が落ちている。この中のどれかが出ている毛玉は、自分でほどく作業をそこで止めて、動物病院で診てもらってください。厚い被毛は下が見えないぶん、変化が進んでから気づくことになります。
相談やトリミングの前には、いつから気づいたか、場所、直前に濡れた日があったか、左右の差をメモしておくと話が早くなります。固まってほどけなかったところは、触らずにそのまま見せてください。手を入れた跡が残っていると、どこまでが元の状態だったのか分からなくなります。
グレートピレニーズの毛玉は、手入れの回数だけで決まるものではありません。水を弾く上毛と、乾きにくい下毛という2つの条件を同時に持っている犬だからです。どっちの乾きを見ているのかを、その都度はっきりさせる。雨の翌日に根元を触る見分け方が身につけば、残りの3つの習慣は自然に回りはじめます。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 雨のあと、表面は乾いているのにグレートピレニーズの毛玉ができます。なぜですか。
- 上毛が水を弾くので、表面は早く乾きます。ところが内側の下毛は密で空気が動かないため、湿りが翌日まで残ることがあります。毛玉は濡れている最中ではなく、湿った下毛が乾いていく途中で毛どうしが寄ることでできます。表面の乾きと下毛の乾きを別の条件として見て、雨の翌日に毛を分けて根元を触ってみてください。
- どっちを先にやればいいですか。乾かすのと、ブラッシングです。
- 乾かすほうが先です。湿った下毛は毛どうしが張りついているので、その状態でブラシを入れるとほどけずに引っぱることになります。帰宅後は毛を分けて根元に風を通し、乾いてから毛先の側からとかしてください。乾かしきる前でも、空気が動く隙間をつくっておくだけで、あとの手間が変わります。
- 毎日、全身の根元を触ったほうがいいですか。
- その必要はありません。確かめる日を決めるほうが続きます。雨が降った日、草をかき分けた日、雪の上にいた日の翌日だけで足ります。あとは週に一度、首まわり・脇・内股・しっぽのつけね・後ろ脚の裏の5か所を左右で比べてください。差がなければ、その週は何もしなくてかまいません。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
