C05犬種・猫種別ケア
セントバーナードと暮らすなら知っておきたい、体のにおいの話
ソファに座ったセントバーナードの胸に顔を近づけると、首のうしろよりも先に、そこからにおいが来ます。口元がたるんでいて、よだれが落ちる。落ちたよだれは床まで届かず、胸のいちばん厚い毛のところで止まります。そこで乾き、また上から新しいよだれが落ちてくる。セントバーナードの体臭として感じているにおいの多くは、この胸で乾いたよだれのにおいです。体そのもののにおいと、胸のにおい。この記事は、その2つを別々に嗅いで比べる話です。
よだれが胸の毛で止まる|セントバーナードの体臭が生まれる場所
朝に口のまわりを拭いたのに、夕方にはもうにおう。セントバーナードと暮らしている方から、この順番の話をよく聞きます。口の下も、あごのたるみの内側も拭いた。それでも数時間で戻ってきます。拭いた場所と、においが出ている場所がずれています。回数を増やしても、ずれたままなら結果は変わりません。
口元がたるんでいる犬では、口を閉じていても唇の内側に水分が残ります。歩けば揺れ、水を飲んだあとはまとまって落ちます。落ちたよだれは、床まで一直線には行きません。前脚の付け根の少し上、体の正面でいちばん毛が密になっている面で止まります。胸のいちばん厚いところです。
そこで乾きます。乾いたところへ、また上から新しいよだれが落ちてくる。同じ面で、濡れると乾くが1日に何度も繰り返されます。繰り返しが続いた毛は、湿ったまま時間が過ぎる面になります。空気が動かず、湿りが抜けない面は、雑菌が増えやすい条件がそろった場所です。セントバーナードの体臭として感じているにおいの多くは、ここで作られています。
- 口元がたるんでいる:唇の内側に水分が残り、動くたびに落ちる子が多くなります
- 胸の毛が厚い:落ちたよだれが床まで届かず、途中で受け止められます
- 体が大きい:胸の面積が広く、乾ききる前に次のひとしずくが落ちてきます
- 毛が密に生えている:面の内側は空気が動かないので、湿りが長く残ります
犬の体のにおいというと、まず皮脂が思い浮かびます。もちろんセントバーナードにも皮脂は出ていて、それ自体は体を守るために要るものです。ただ、皮脂のにおいは体の広い面から、うすくゆっくり立ちます。胸のよだれのにおいは、一か所から近づくと強く立ちます。立ち方が違うものを、同じ「体臭」とひとくくりにしていると、拭く場所も回数も決められません。まず出どころを2つに分けるところから始めます。
口のまわりを拭くのは正しい手当てです。ただ、よだれがいちばん長くとどまっているのは、口ではなく胸です。口を拭いた直後でも、胸の毛には乾いたよだれがすでに層になって残っています。においが数時間で戻るときは、拭き取りの回数を増やす前に、拭いている場所のほうを見直してください。
体のにおいと胸のにおい|セントバーナードの体臭を2か所に分ける比較
やり方そのものは簡単です。1日1回、背中と胸に、別々に鼻を近づけます。順番は背中が先、胸があとです。逆にすると、胸のにおいが鼻に残ったまま背中を嗅ぐことになり、比較になりません。どちらも毛の表面ではなく、毛を左右に分けて根元に近づけてください。
| 体のにおい(背中・腰) | 胸のにおい(前脚の付け根の上) | |
|---|---|---|
| 出どころ | 皮膚と毛から少しずつ立つ | 落ちたよだれが乾いた面 |
| 立ち方 | 面として、うすく広がる | 一点から、近づくと強い |
| 濃くなるきっかけ | 洗ってからの日数 | 水を飲んだ回数、食事の回数 |
| 強く出る場面 | 湿度の高い日、寝床で長く過ごした日 | 食事のあと、遊んだあと |
| 主な手の入れ方 | 換気と、寝床の洗濯 | 胸だけの拭き取り |
| 変わるまでの時間 | 数日かけて動く | その日のうちに動く |
この2つは、変わるまでの時間がまるで違います。胸のにおいは、その日のうちに動きます。拭けば下がり、水を飲めばまた上がる。一方で体のにおいは、洗ってからの日数と部屋の湿り具合でゆっくり動くので、今日拭いても今日は変わりません。だから、においが強い日に何をするかは、どっちが強いかで決めたほうが早く届きます。
よだれが落ちる先は、胸だけではありません。食器のふちと、寝床の布にも同じものが移っています。食器は毎日洗っていても、ふちの裏側や置き台の縁は見落としがちです。寝床は、胸が当たる面がいつも同じなので、そこだけ色が変わっていることがあります。においの出どころを数えるときは、体の外にあるこの2つも一緒に数えてください。
今日はどっちが強いか|鼻を近づける順番と、嗅ぎ分けの条件
比べるときは、条件をそろえないと結果が動きます。同じ部屋、同じ時間帯、同じ順番。この3つだけ決めてください。夕方の散歩から帰ったあと、と決めてしまうのがいちばん続きます。次の順で進めます。
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先に部屋の換気を5分だけする
部屋の空気がこもっていると、犬のにおいなのか部屋のにおいなのか分からなくなります。窓を2か所開けて、空気の通り道をつくってから始めてください。換気は比べるための下ごしらえであり、同時に体のにおいそのものを下げる手でもあります。
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背中の真ん中を、毛を分けて嗅ぐ
毛の表面ではなく、指で毛を左右に分けて地肌の近くに鼻を寄せます。うすく広がる感じがするなら、それが体のにおいです。強さは「弱い・ふつう・強い」の3段階で十分です。細かく分けるほど、翌日と比べにくくなります。
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前脚を軽く上げて、胸の毛を分けて根元を嗅ぐ
胸のいちばん厚い面を、指2本で分けます。乾いたよだれが層になっていると、毛が板のように寄っていることがあります。ここで強く立つなら、胸のにおいのほうが勝っている日です。嫌がる子には無理をせず、立ったままの姿勢で正面から分けても構いません。
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どっちが強かったかを、一言だけ書き留める
「背中」「胸」「同じくらい」の3つで足ります。1週間書くと、その子の体臭がどちらの側に寄っているかが見えてきます。数字も写真も要りません。続けられる形にしておくことのほうが大事です。
胸が勝っている日は、やることが1つに決まります。ぬるま湯で湿らせた布を固くしぼって、胸の面を毛の流れに沿って拭く。そのあと、乾いた布で押さえて水分を移してください。こすらないこと、そして濡れたまま終わらせないことの2つだけ守れば十分です。湿ったまま置くと、条件が振り出しに戻ります。
背中のほうが強い日は、拭いてもその日は変わりません。手を入れる先は体ではなく、部屋と寝床です。換気を長めにとり、寝床の布を洗い、犬が長くいる場所の空気を動かす。結果が出るまで数日かかりますが、そのぶん戻りも遅くなります。同じくらいの日は、胸の拭き取りだけ先にやって、寝床の洗濯を週の予定に入れておくと回ります。
胸を毎日拭くと決めると、布を湿らせるものも選べます。乾いて層になったよだれは、水だけでは緩みにくいからです。mofuwa グルーミングスプレーを布に含ませ、毛の流れに沿って胸の面をなでてください。アルカリ電解水が余分な皮脂や油と乳化するので、毛に残っていたものが布のほうへ移ります。舐めても問題のない基準でつくられているため、胸のように口が届く場所でも量を気にせず湿らせられます。セントバーナードの胸は面積が広いので、量を数えなくていいことがそのまま続けやすさになります。濡らしたら、その日のうちに乾かしきるところまでを1セットにします。
胸が勝つ時期と、体が勝つ時期|セントバーナードの体臭が入れ替わるとき
同じ子でも、どっちが強いかは時期で入れ替わります。入れ替える条件は、気温と湿度、それと水を飲む量です。暑くなると水を飲む回数が増え、口元から落ちる量も増えます。湿度が上がると、胸の面が乾ききる前に次が落ちてきます。逆に空気が乾いた時期は、落ちたよだれが早く乾くので、胸のにおいは弱く出ます。
| 時期 | 起きていること | 強く出やすい側 |
|---|---|---|
| 雨の続く時期 | 湿度が高く、胸の面が乾ききらない | 胸のにおい |
| 暑い時期 | 水を飲む回数が増え、落ちる量が増える | 胸のにおい |
| 空気が乾く時期 | 落ちたよだれが早く乾く | 体のにおい |
| 寒くて窓を開けない時期 | 換気が減り、部屋と寝床に残る | 体のにおい |
| 換毛の進む時期 | 抜けた毛が胸の面に留まる | 両方が同時に上がる |
表のいちばん下だけ、少し性質が違います。抜けた毛が胸の面に留まると、よだれを抱えたまま体の上に残ります。この時期は、拭き取りの前にブラシで抜けた毛を運び出しておくと、拭くべき面が出てきます。順番を逆にすると、濡れた毛が固まって、かえって取りにくくなります。
その運び出しは、空気が乾いた時期ほど手間取ります。静電気で毛がブラシに巻きつき、胸の面まで届く前に止まってしまうからです。グルーミングスプレーはブラッシングスプレーとしても使えるので、梳かす前に胸と前脚の付け根をひと吹きで湿らせておくと、毛が散らずにブラシへ乗ります。運び出したあとで拭けば、拭くべき面が最初から見えています。体が大きい犬ほど、毎日きれいにしてあげたいという気持ちは、道具の手軽さに左右されます。
セントバーナードの体臭が強くなると、まず思いつくのは全身を洗うことです。ただ、体の大きな犬を洗うと、乾ききるまでの時間も比例して長くなります。乾ききらない時間が長いほど、湿ったままの面が増えます。洗う回数を上げるより先に、胸の拭き取りと換気で足りる時期かどうかを見てください。洗うと決めた日は、乾かす時間を先に確保してから始めてください。
時期の違いは、記録があると1年目から使えます。3月と7月と11月に、3日ずつでかまいません。どっちが強かったかと、その日の天気を並べて書いておく。翌年の同じ時期に読み返せば、その子の体臭がどの条件で動くのかが自分の言葉で分かります。犬種として言えることより、その子で確かめたことのほうが役に立ちます。
拭いた日にも下がらないとき|条件では説明のつかない変化
ここまでは、よだれと湿りと換気で説明のつくにおいの話です。条件で説明がつくということは、条件を外せば動くということでもあります。胸を拭いた日にいったん下がる、換気した週に弱くなる。そういう動きがあるなら、この記事の枠の中にいます。
動かないとき、あるいは動き方がおかしいときは、別の見方をしてください。次のような変化です。
- 拭いた数時間後には、もう同じ強さに戻っている:胸を拭いてもその日のうちに戻るなら、よだれの量そのものが変わったのかもしれません
- においの質が変わった:すっぱい、甘い、金属のような、いつもと違う種類のにおいは、強さの話ではありません
- 片側からだけ強く立つ:よだれは体の正面に落ちるので、左右で差が出る理由がありません
- 胸の地肌が赤い、じくじくしている、毛が抜けている:湿った状態が続いた結果として起こることがあります
- その場所をなめる、こすりつける、触ると嫌がる:においより先に、皮膚と痛みのほうを見てください
- よだれの量が急に増えた、食べ方が変わった:口の中の状態が変わっているサインとして扱ってください
においの質が変わった、片側だけが強い、地肌が赤い・じくじくしている、毛が抜けて地肌が広く見える、触ると痛がる、よだれの量が急に増えた、食べ方が変わった、元気や食欲が落ちている。この並びに1つでも心当たりがあるときは、家での拭き取りを足すより先に、動物病院で診てもらってください。毎日の記録を持っていけば、それがそのまま経過の説明になります。
相談に行く前に、いつからか、体と胸のどっちが強いか、拭いてどれくらいで戻るか、家で使っているものは何かをメモしてください。1週間書き留めた「背中・胸・同じくらい」の記録があれば、それがそのまま経過の説明になります。においは診察室で再現できないので、家で数えた回数と場所が、いちばん確かな手がかりになります。
セントバーナードと暮らしていて、においがゼロになることはありません。口元がたるんでいて、胸の毛が厚いという作りを持っているからです。消そうとするより、どこから来ているのかを分けておく。体のにおいと胸のにおい。今日はどっちが強いのか。それが分かっていれば、夕方に届いた一瞬のにおいに、慌てなくて済むようになります。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- セントバーナードの体臭は、洗う回数を増やせば弱くなりますか?
- 回数を増やしても、においの出どころが胸のよだれなら結果は大きく変わりません。体が大きいぶん乾ききるまでの時間も長くなるので、湿ったままの時間が増えて、かえって戻りが早くなることもあります。全身を洗う回数より、胸の面を毎日拭くことと、部屋の換気のほうが先です。
- 口のまわりを毎日拭いているのに、においが残ります。
- よだれは口から落ちて、胸のいちばん厚い毛のところで止まります。口を拭いた直後でも、胸には乾いたよだれが層になって残っていることが多いので、拭く場所を胸まで広げてみてください。あわせて、食器のふちと寝床の布にも同じものが移っています。
- 体のにおいと胸のにおいは、どうやって見分ければいいですか?
- 背中を先に、胸をあとに、毛を分けて根元に鼻を近づけます。うすく広がるように感じるのが体のにおい、一点から近づくと強く立つのが胸のにおいです。強さは弱い・ふつう・強いの3段階で書き留めれば十分で、1週間続けるとどちらに寄っているかが見えてきます。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
