C02技術・エビデンス
界面活性剤は悪者か?正しく知るための基礎
台所で、食器用洗剤を水で薄めすぎたまま油のフライパンを洗うと、界面活性剤は泡だけ立てて、油をぬるりと残していきます。この分子には、ある濃さを境にして急に油をかかえこみ始める、という切り替わりがあります。犬のケア用品で界面活性剤が危険だと言われるとき、話に上がっているのは成分の名前のほうです。ただ、犬の皮膚が受け取っているのは名前ではなく、そのときどれだけの濃さで、どれだけの時間そこに置かれたかという条件です。犬や猫の皮膚は人の3分の1ほどの薄さだとされています。人のシャンプーで積み上がってきた濃さの物差しを、そのまま持ち込めない理由がここにあります。
濃さを境にして働きが立ち上がる|薄めた洗剤と原液を並べ、界面活性剤と犬の皮膚の関係を比較する
界面活性剤は、水に少しだけ溶けているあいだ、油に対してほとんど何もしません。水になじむ側と油になじむ側を1つの分子に持っているので、水面にぽつぽつと並んで浮いているだけの状態が続きます。濃さが上がって水面が埋まりきると、行き場をなくした分子どうしが水の中で丸く集まり、油になじむ側を内側にした小さな粒をつくります。油をかかえこむ働きが始まるのは、この粒ができてからです。
台所で起きていることが、そのままこの説明になります。食器用洗剤を水で薄めすぎると、泡は立つのに油がぬるりと残ります。分子の数が足りず、粒ができるところまで届いていないためです。逆に原液を手のひらに落とすと、粒が過剰にでき、皿の油だけでなく手の脂まで一緒に持っていかれます。同じ洗剤で、片方は落ちず、片方は落としすぎる。変わったのは成分ではなく、濃さだけです。
| 水の中の濃さ | 分子の状態 | 油に対して起きること |
|---|---|---|
| ごく薄い | 水面に並んで浮いている | 油をつかむ相手がそろわず、ほとんど動かない |
| 境目の手前 | 水面が埋まりはじめる | 泡は立つが、油は残る |
| 境目を超えた | 水の中で丸い粒をつくる | 粒の内側に油をかかえこみ、水に流せる状態になる |
| かなり濃い | 粒が多くつくられる | 汚れの油に加えて、皮膚の側の脂もつかまえる |
この表を犬の側に置き直すと、危険という言葉が何を指していたのかが見えてきます。危険が生まれるのは3行目と4行目の差のところで、成分表のどこにも書かれていない場所です。ボトルに書いてあるのは、何が入っているかまで。どの濃さで使うかは、希釈の指示と、その家の手つきのほうが決めています。犬の皮膚に危険が及ぶかどうかを成分名だけで比較しようとすると、いちばん大きく差を生む変数が最初から比較の外に置かれることになります。
流して落とすものと、肌に残すもの|界面活性剤を犬のケア用品で使い分ける境目
濃さの次に結果を分けるのが、その濃さがどれだけの時間そこにとどまるかです。シャンプーは、濃い状態で毛と地肌に触れますが、触れている時間は浴室にいる数分だけで、すすぎで濃さが一気に下がります。スプレーやクリームのように肌に残すものは、そもそも濃さが低い代わりに、乾くまで、あるいは次に洗うまでそこにあり続けます。犬のケア用品で界面活性剤を使い分けるときの境目は、この「すすぎがあるかどうか」に引かれます。
- すすぎのあるもの:危険の大きさは、流し足りなかった量で変わります。毛の量が多い子ほど、地肌の泡が最後まで残ります
- すすぎのないもの:危険の大きさは、1日に重ねた回数で変わります。朝と夕方で2回かければ、その日は2回ぶんです
- どちらにも共通するもの:犬や猫は自分の毛をなめます。皮膚から入る量とは別に、口から入る量を数える必要があります
犬の皮膚が人の3分の1ほどの薄さだとされているのは、この2つの列の両方に差として出てきます。薄いということは、同じ濃さでも下の層に届きやすいということです。人が自分の髪で試して問題がなかった濃さを、そのまま犬に当てるやり方が危険なのは、成分が違うからではなく、受け取る側の厚みが違うからです。使い分けの線は、成分表の行ではなく、その子の体のほうに引かれています。
成分表の後ろ半分で止まる|犬の製品で界面活性剤の見分け方を、名前より前の情報から組む
界面活性剤という言葉は、1つの成分ではなく、水と油をつなぐ働きを持つ分子をまとめて呼ぶ役割の名前です。数百種類がここに入るので、成分表でこの語そのものを探しても見つかりません。書かれているのは「ラウレス硫酸Na」「ココイルグルタミン酸Na」のような個々の名前のほうです。犬の製品でこれを見分けようとすると、名前を1つずつ調べる作業になり、たいてい途中で止まります。
| 見るところ | 何が分かるか | 危険の見積もりで動く幅 |
|---|---|---|
| すすぎがあるか | 触れている時間の桁 | 大きい |
| 1日に何回使うか | 重なっていく量 | 大きい |
| 薄めて使うか、原液か | 皮膚が受け取る濃さ | 大きい |
| 成分表の何番目にあるか | おおよその配合の多さ | 中くらい |
| 成分名そのもの | 分子の種類 | 小さい |
表の下ほど、調べるのに手間がかかるのに、危険の見積もりはあまり動きません。見分け方としていちばん歩留まりがいいのは、成分表を開く前に、使い方のほうを3つ数えることです。すすぎがあるか、1日に何回か、薄めるか。この3つが決まると、同じ成分名でも触れる量が10倍単位で変わります。そのうえで成分表を見ると、確かめたい行が2つか3つに減っているはずです。
もう1つ、成分表の読み方で押さえておくと楽になるのが並び順です。多くの製品では、配合量の多いものから順に書かれています。先頭に「水」があり、その次か3番目に洗浄成分の名前が来ていれば、それがその製品の主役です。後ろのほうに並んでいる名前は、量としては小さい。全部の名前を同じ重みで心配する必要はありません。犬の製品で界面活性剤の見分け方を身につけるというのは、名前を覚えることではなく、この重みのつけ方を手に入れることです。
濃さを決めているのが誰か|犬のケア用品で界面活性剤の選び方が分かれる場所
ここまでの話を選び方に直すと、問いは1つになります。その製品で、濃さを決めているのは誰か。希釈して使うシャンプーなら、決めているのは飼い主です。原液のまま使うものなら、決めているのはメーカーです。そして、界面活性剤をそもそも入れていない製品なら、決める作業自体が発生しません。
mofuwa グルーミングスプレーは、3つ目にあたります。中身は高機能性電解還元水という電解水で、洗浄成分を足していません。油を落としているのは界面活性剤ではなく、水の側がアルカリに寄っていることで、油となじんで乳化が起きるという性質のほうです。粒をつくるための濃さという考え方が出てこないので、薄すぎて落ちない・濃すぎて落としすぎる、という2つの外れ方が最初から起きません。
この水は、食品や添加物の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)にある清涼飲料水の項目で、江東微生物研究所による水質検査を受けています。口に入る量を数えなくてよい水準まで下りているので、1日に何回重ねたかを気にせずに使えます。散歩から帰るたび、ブラシを通す前、寝床に上がる前。犬も猫も体から脂を出し続けるので、昨日きれいにした場所が今日また汚れます。毎日きれいにしてあげたい、を実際に毎日やれる形にするには、量の心配が外れていることが条件になります。
猫にも同じことが言えます。猫は起きている時間の多くを毛づくろいに使うので、体についたものはほぼ口へ入ります。肌に残すタイプの製品を猫に使うとき、危険の見積もりは皮膚からではなく口から始めるのが順当です。界面活性剤を含まない水そのものであれば、この見積もりの出発点が最初から下がります。
地肌が赤い、同じ場所をなめ続けている、フケが急に増えた。こうした変化が出ているときは、界面活性剤の種類を比べ直すより先に、いつから、どこから始まったかを書き出して、動物病院で診てもらう日を決めてください。そのうえで、家で毎日続けるものを選び直すほうが順番として早く進みます。製品の比較は、原因の切り分けが済んでからのほうが意味を持ちます。
「危険」という一語が畳んでいた3つの変数
界面活性剤は危険か、という問いが答えにくいのは、1つの語に3つの変数が畳み込まれているからです。濃さ、触れている時間、受け取る側の皮膚の厚み。この3つを開いてしまえば、あとは家で数えられるものばかりになります。
- 濃さ:薄めるか、原液か。粒ができる境目を超えているかどうかで、働きが切り替わります
- 時間:すすぐか、残すか。数分か、乾くまでか、次に洗うまでか
- 厚み:犬や猫の皮膚は人の3分の1ほど。人の経験をそのまま移せません
棚に並んでいるボトルを、この3つで並べ直してみてください。成分名を1つも調べなくても、どれがいちばん長く、濃く、薄い皮膚に触れているかは、今ある情報だけで順位がつきます。そこから先、名前を調べる価値があるのは上位の1本か2本です。mofuwa グルーミングスプレーのように洗浄成分を入れていないものは、この並びの下のほうに落ち着きます。危険という言葉を外して、濃さと時間で言い直す。犬と暮らす家では、それだけで比較がずいぶん短く済みます。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 「界面活性剤不使用」と書かれていれば、犬に使うものとして安心と考えてよいですか。
- その表示が保証しているのは、水と油をつなぐ働きの分子を配合していないという一点だけです。落とす仕組みが別にあるという意味なので、何で落としているのかを1行あとに探してください。アルカリ側の水で乳化させているのか、油そのものを溶かしているのか、拭き取りの物理的な力に任せているのか。仕組みが書かれていない製品は、不使用という表示だけが残ります。危険かどうかの見積もりは、入っていないものの一覧ではなく、入っているもので何が起きるかの側から立てるほうが確かです。
- 泡立ちが少ないシャンプーのほうが、界面活性剤が少なくて犬にやさしいということですか。
- 泡の量は、界面活性剤の量そのものではなく、その日の汚れの量にも左右されます。皮脂が多い状態では分子が油に取られて泡が立たず、脂が減ってから泡が残り始めます。同じ製品でも1回目と2回目で泡の立ち方が変わるのは、このためです。配合量を泡で読もうとすると、汚れの多い子ほど「少ない」と判定してしまいます。量を知りたいときは、成分表の並び順を見るほうが早く、危険の見積もりは、使い方の3つ(すすぎ・回数・希釈)のほうで大きく変わります。
- 子犬や高齢の犬では、界面活性剤の危険の見積もりを変えたほうがよいですか。
- 変える必要があるのは成分の側ではなく、触れている時間のほうです。子犬は洗われるのを嫌がって動くのですすぎが短くなりがちで、高齢の犬は立っていられる時間が限られるため、やはりすすぎが削られます。同じ製品・同じ量でも、地肌に残る量が増えるのはこの2つの時期です。洗う時間を延ばせないなら、1回に使う量のほうを減らすか、洗う日と洗う日のあいだに水だけのケアを挟んで、洗う日の負担を分散させるほうが現実的です。
本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
