C09シーン別・暮らし

在宅ワークの日、シニア猫と暮らす人はどうしている?

公開日 2021年5月22日|文=mofuwa編集部

明るい窓のそばの淡い色の机で、白いシニアの猫が静かに休んでいる
同じ部屋にいる時間の長さは、見ている時間の長さとは別のものです。写真:大 董/Pexels

在宅ワークに切り替えて3か月たった日に、老猫の首のうしろの毛が薄く固まっているのに気づきました。一日じゅう同じ部屋にいて、机のすぐ横で寝ていて、それでも気づいたのはその日でした。通勤していたころのほうが、帰宅後にちゃんと触っていたかもしれない。在宅ワークとペットのケアの相性は、思っているほどよくありません。一緒にいる時間が長いことは、見ている時間が長いことを意味しないからです。この記事では、なぜ在宅の日ほど老猫の変化に気づけなくなるのかを先に整理して、そのあとで、仕事の区切りに1か所ずつ紐づける手順を組み立てます。

同じ部屋にいるのに毎日を見ていない|在宅ワークとペットのあいだに起きること

先に、なぜそうなるかを整理します。手順から始めると、たいてい2週間で止まるからです。在宅ワークの日、老猫は机の横か、椅子の上か、日の当たる床にいます。ペットが視界のどこかに必ずいる一日です。視界には一日じゅう入っています。それでも、見てはいません。視界に入ることと、状態を確かめることは、別の行為だからです。

理由は4つあります。1つめは、猫の側の時間です。老猫は日中の眠っている時間が長く、しかも眠りが浅くなって、短い睡眠を何回にも分けます。起きている場面には出くわすのに、まとまって観察できる場面がありません。2つめは、こちらの側の時間です。在宅ワークは会議と作業が交互に来るので、まとまった空白がありません。

3つめが、この記事でいちばん大きい理由です。通勤していたころには「帰宅後」という区切りがありました。玄関を開けて、鞄を置いて、そこから家の時間が始まる。ペットのケアは、その切り替えにくっついていました。在宅ワークになると、家の時間と仕事の時間の境目がなくなります。境目にくっついていた行動は、支えを失って落ちます。

4つめは、いつでもできるという感覚です。在宅なら、あと30分後でも、昼でも、夕方でもできる。いつでもできる用事は、一日の終わりまで先送りされます。そして一日の終わりには、その日の仕事の残りが控えています。これが在宅ワークの日に起きていることの全体です。時間がないのではなく、時刻が決まっていないほうが問題になっています。

通勤していた日と、在宅ワークの日で、何が変わったか
通勤していた日在宅ワークの日
区切り帰宅後という明確な切り替え境目がない。仕事と家が同じ室内
まとまった時間夜に30分ほど確保できた細切れ。会議と作業が交互に来る
猫を見る場面朝と夜の2回に集中していた一日じゅう視界にあるが、確かめていない
気づき方変化があると、夜にまとめて気づいた少しずつなので、差として見えない
続けやすさ習慣が時刻に紐づいていた紐づける先を、自分でつくる必要がある
Note在宅ワークには、通勤にはなかった強みがあります

ここまで不利な点を並べましたが、在宅ワークの日にしかできないことがあります。1回を短く、回数を多くできる、ということです。通勤していると、その子に触れる機会は朝と夜の2回しかありません。在宅なら、休憩のたびに触れます。老猫は同じ姿勢を長く続けられないので、1回3分を5回に分けるほうが、15分をまとめて取るより体に合っています。分割できるという一点だけで、在宅ワークは老猫と相性がよくなります。

休憩のたびに1か所だけ|在宅ワークの日に家でできる老猫の見かた

ここから手順です。原則はひとつだけ。仕事の区切りに紐づけて、1回につき1か所しか見ない。時刻では決めません。在宅ワークの一日は、時刻どおりには進まないからです。会議が終わった、区切りがついて席を立った、飲みものを取りに行く。その動作に、老猫を見る行為をくっつけます。ペットのケアで家でできることは、この形にしておくと崩れません。

  1. 朝、仕事を始める前|まず全体を、触らずに見る

    机に向かう前に、その子がどこにいて、どんな姿勢でいるかだけを見ます。触りません。10秒です。老猫は寝ている場所そのものが情報になります。いつもの窓ぎわではなく、暗いところにいる。丸まらずに伸びている。この2つは、あとで思い出すときの基準になります。在宅ワークの日は、この10秒が唯一の「全体を見る」場面です。

  2. 午前の区切り|背中のまん中を、手のひらで1往復

    会議が終わった、資料を出し終えた。そのタイミングで席を立ち、手のひらを背中に当てて、首から腰まで1往復させます。道具は持ちません。手のひらだけです。老猫は毛づくろいが届かなくなる場所から順に変わります。背中のまん中は、その最初の場所です。20秒で終わります。

  3. 昼の区切り|今日の1か所を決めて、そこだけ触る

    昼は、少しだけ長く取れます。首のうしろ、腰の上、尾のつけ根、わき腹、おなか。この5か所から、今日の1か所を決めます。順番に回すので、同じ場所には5日に1回戻ってきます。決めた1か所だけを、指で毛を分けて地肌が見えるところまで確かめてください。3分です。全身をやろうとした日は、翌日から続きません。

  4. 午後の区切り|食器と水皿のふち、それと寝床の布

    その子ではなく、その子が使っているものを見ます。食器のふち、水皿の水の減り方、寝床の布の湿り。老猫は、体の変化より先に、使うものの変化として出ることがあります。水の減りが増えた、寝床の同じ場所だけがへこんでいる。ここは触らずに見るだけで足ります。1分。

  5. 仕事を終えたあと|においを1か所で確かめて、書く

    一日の最後に、首のうしろに鼻を近づけます。在宅ワークで一日じゅう同じ室内にいると、においの変化にはいちばん気づけません。だから、感じるかどうかではなく、昨日と比べて強いか弱いか同じか、の3択で書き留めます。カレンダーの余白に「同」「強」「弱」の1文字で足ります。10秒です。

この5回を合わせても、一日で5分ほどです。大事なのは合計の長さではなく、5回に分かれていることのほうです。老猫は同じ姿勢で長く保定されるのを嫌がります。3分で解放されると分かっている手は、拒まれにくくなります。在宅ワークだからこそ、この分け方ができます。

昼の3分は、手のひらのあとに道具を1つだけ足せます。mofuwa グルーミングスプレーです。老猫は風呂そのものが負担になるので、湯船には入れないという選び方をしている家が多いはずです。それでも、毛づくろいが届かなくなった首のうしろは、毎日ぶんだけ脂が乗っていきます。その子に直接吹きかけず、布に含ませてから、決めた1か所を毛の流れに沿ってなでる。アルカリ電解水と余分な皮脂が乳化して落ちるので、必要な皮脂は毛に残ります。猫は自分で毛づくろいをするので、口に入るものであることが前提になりますが、このグルーミングスプレーは清涼飲料水の規格基準をクリアした水でできています。量を気にしなくていいぶん、布が湿って見えるほど含ませないでください。猫は濡れること自体を嫌います。指で確かめたあとに続けると、動作がひとつ増えるだけで済みます。

Point紐づける先は、時刻ではなく動作にしてください

「15時にやる」と決めた習慣は、在宅ワークでは長くもちません。会議が延びた日に一度飛ぶと、そのまま戻らないからです。「席を立ったらやる」に変えると、席を立つ回数だけ機会が来ます。飲みものを取りに行く、洗面所へ行く、洗濯機を回しに行く。毎日どこかで必ず起きる動作に紐づけてください。老猫のケアで大事なのは1回の中身ではなく、途切れないことのほうです。

毎日の場所と、4日に1回でいい場所|老猫のケアで頻度を分ける

手順を始めると、次につまずくのはここです。全部を毎日やろうとして、3日で止まる。在宅ワークだと機会が多いぶん、やれてしまうので、かえって増やしがちになります。増えた手は、こちらが飽きるより先に、老猫のほうが嫌がります。だから頻度を先に決めます。

頻度を分ける基準は、その場所をその子自身がまだ手入れできているかどうかです。老猫になると毛づくろいが届かなくなる順番があります。届かなくなった場所は人が代わるので毎日、まだ届いている場所は間隔を空ける。年齢で一律に決めず、その子の体で決めてください。

老猫で、場所ごとに頻度をどう分けるか
場所その子が届いているか在宅ワークの日の頻度
首のうしろ・肩自分では届きません毎日。手のひらか、布で1往復
背中のまん中若いころより届きにくい毎日。手のひらだけで足ります
腰の上・尾のつけ根座る姿勢が変わると届きにくい2日に1回。指で毛を分けて確かめる
わき腹まだ届いています4日に1回。手のひらで確かめるだけ
おなか届きますが、姿勢が負担になる4日に1回。無理に仰向けにしない
前脚・肉球のあいだ毛づくろいで残しやすい3日に1回。座っているときに1本ずつ
食器・水皿・寝床の布その子の側の変化が出る毎日。触らず、見るだけ

この表のとおりに回すと、毎日やる場所は3つだけ、あとは間隔が空きます。在宅ワークの一日に用意する枠は5回でしたが、その5回のうち毎日埋まるのは朝の10秒・午前の20秒・夕方の10秒だけです。昼の3分は日替わりで、午後の1分は見るだけ。合計で5分に収まるのは、こうして分けているからです。

逆に、頻度を上げてはいけないところもあります。おなかと、耳の中と、口のまわりです。老猫は皮膚が薄くなり、たるみが増えます。おなかを見るために仰向けにする姿勢は、それだけで負担になります。耳の中と口のまわりは、家庭で毎日いじる場所ではありません。回数を増やすほど良いという考え方は、老猫には当てはまりません。触った回数そのものが条件になります。

在宅ワークで機会が多いことは、頻度を上げてよいという意味ではありません。同じ回数を、1回あたり短くするために使ってください。週の合計時間は変えず、1回を3分に切って回数を増やす。これが在宅で老猫と暮らすときの、いちばん噛み合う配分です。ペットの側の負担を増やさずに、こちらの機会だけを増やせます。

Caution毎日やっていると、変化が差として見えなくなります

毎日その子を見ている人は、少しずつ進む変化を差として認識できません。在宅ワークで一日じゅう同じ室内にいると、においについてはとくにそうなります。だから「感じたか」ではなく、「昨日と比べて」の3択で書き残してください。1文字ずつ並んだ記録は、2週間たつと形になります。老猫のケアで家庭ができるいちばん確かなことは、この記録です。

在宅が長く続いた人がやめたこと|老猫のケアで、増やすより先に減らした3つ

最後に、続いている人が何をやめたかを書きます。増やしたことより、やめたことのほうが効いています。やめたのは3つです。全身を一度に見ること、時刻で決めること、その日にできなかったぶんを翌日に足すこと。この3つをやめると、在宅ワークとペットのケアはぶつからなくなります。ペットのために仕事を止めるのでも、仕事のためにペットを後回しにするのでもなく、区切りの中に置き直すという形になります。

3つめについて補足します。昨日できなかったから今日は2か所、という足し方をすると、いずれ追いつかない日が来ます。飛ばした日は、飛ばしたまま次へ進んでください。5か所を順に回しているなら、次の日は次の場所です。老猫のケアは、貸し借りの帳簿ではありません。毎日ぴったり同じである必要もありません。

ここまでは、家でできる範囲の話です。老猫では、家のケアで扱える範囲と、そうでない範囲の境目が、若い子より手前にあります。次のような変化に気づいたときは、ケアの回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。在宅ワークで毎日見ているぶん、こちらのほうが早く気づけるはずです。

Caution早めに相談したい変化

毛づくろいの回数が急に減った、または一か所をなめ続けている。地肌が赤い、じくじくしている。フケが急に増えた。水の減り方が数日で変わった。同じ場所にいる時間が急に長くなった。触ると嫌がる場所ができた。体重が落ちてきた。記録した1文字がこれらのどれかと重なった日は、回数を足すより先に動物病院で相談してください。老猫は、変化が出てから進むまでが早いことがあります。記録した「同・強・弱」の1文字は、そのまま伝える材料になります。

在宅ワークとペットの暮らしは、放っておくと近すぎて見えなくなります。近さを、分割に変えてください。一日じゅう家にいるという条件は、まとめて見るためではなく、1回を短く切って何度も戻るために使えます。老猫にとっては、そのほうが体に合っています。5回に分けた5分は、通勤していたころの30分より、その子の側の負担が小さいはずです。

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よくある質問

在宅ワークの日と、出社の日で、やることを変えるべきですか?
枠の数だけ変えてください。中身は変えません。出社の日は朝と夜の2回しか枠がないので、毎日の3か所(首のうしろ・背中・においの記録)だけに絞ります。在宅ワークの日は5回に分かれるので、そこに日替わりの1か所を足します。老猫の側から見ると、やることの総量はほとんど変わっていません。
老猫が、触られるのを途中で嫌がって逃げてしまいます。
追いかけないでください。逃げた時点で、その回は終わりです。次の休憩まで待って、別の場所から始めます。1回を3分に切っているのは、このためでもあります。逃げられた回数が続くときは、触る場所ではなく、こちらの姿勢を見直してください。上からかぶさる形だと、老猫は先に身構えます。横に座って、同じ高さから手を出すほうが続きます。
ペットのケアの記録は、どのくらい残しておけばいいですか?
2週間ぶんあれば、動物病院で話す材料になります。カレンダーの余白に、その日に見た場所と、においの3択の1文字を書くだけで足ります。在宅ワークだと毎日書けてしまうので、かえって細かく書きすぎることがあります。細かい文章より、同じ形式で並んでいるほうが、あとから比べられます。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。