C12Q&A・豆知識

猫の平熱と、体温調節の手段の少なさ

公開日 2021年6月4日|文=mofuwa編集部

明るく清潔な部屋で、淡い色の毛布の上に落ち着いて休んでいるクリーム色の猫
猫の平熱は38度台とされ、犬とほぼ同じか少し高い位置にあると言われています。写真:Yori H/Pexels

夏の昼、猫が家のいちばん涼しい床を選んで体を長く伸ばして寝ているのは、その子が持っている数少ない放熱の手段の1つです。数字を先に置きます。猫の平熱はおよそ38度台とされ、人のおよそ36度台より高く、犬とほぼ同じか少し高い位置にあると言われています。この記事で見ていくのは、その数字そのものより、体温を下げる手段の数のほうです。猫は汗をかく腺が限られた場所にしかないとされ、犬のように口を開けた呼吸で熱を逃がすこともあまりしません。上げる手段は複数あるのに、下げる手段だけが少ない。この非対称が、猫を濡らしたあとの時間の意味を変えます。犬と猫で、体温調節に使える手段を並べて比べ、そこから濡らした日の手順をどう組み立てるかまでを書きます。なお、体温の測り方と、その数字が正常かどうかの判断は、この記事では扱いません。そこは動物病院の領域です。

猫の平熱は何度とされるのか|人と犬を並べて見るときの条件

数字から書きます。猫の平熱は、およそ38度台とされることが多い数字です。ただし、この数字を単独で置いても意味を持ちません。数字は比べる相手があってはじめて意味が出ます。だからここでは、人と犬を横に並べて書きます。

平熱としてよく挙げられる目安(一般に言われている幅)
平熱の目安位置関係
人およそ36度台この記事の中でいちばん低い
犬およそ38度台人より高い
猫およそ38度台犬とほぼ同じか、少し高いとされる

見てのとおり、猫と犬の平熱はほとんど同じ帯にあります。人から見れば、どちらも「1度以上高い」ことになります。猫を抱いたときに温かいと感じるのは、この差があるからです。手のひらの温度より、その子の体のほうが高いところにいます。

そして、この数字には必ず条件が付きます。平熱は1つの値ではなく、幅として語られるものです。幅が出る理由も書いておきます。

Noteこの記事では、測り方と数字の判断を扱いません

平熱という言葉を調べていると、「何度以上なら」という線を知りたくなります。その線を引くのは、家ではなく動物病院の仕事です。この記事では、体温をどう測るか、出た数字をどう判断するかは書きません。書けるのは、猫の平熱がどのあたりとされているかという目安と、そこから先の「体温をどう調節しているか」という手段の話までです。特定の論文名や機関名を出典として挙げることもしません。

体温を上げる手段と、下げる手段|猫でこの2つの数がそろわない理由

ここから、この記事の中心に入ります。体温調節には、上げる方向と下げる方向の2つの軸があります。ふつうは両方に手段がそろっていますが、猫はこの2つの数がそろっていないと言われています。上げる手段は複数持っているのに、下げる手段が少ないのです。

まず上げるほうです。震えて熱をつくる、体を丸めて表面積を小さくする、毛を立てて空気の層をつくる、日なたや暖かい場所へ移動する。どれも猫が日常的にやっていることです。冬に丸くなって寝る姿も、日なたを追いかける動きも、上げる方向の手段として説明されます。

下げるほうを見ると、様子が変わります。人は全身の皮膚から汗をかいて、その気化で熱を逃がします。猫は、汗をかく腺が肉球など限られた場所にしかないとされていて、全身の汗で下げるという手段を持っていません。そして犬がよく使う、口を開けた呼吸による放熱も、猫は普段あまり使わないとされています。

上げる手段と、下げる手段 猫は体温を上げる方向の手段を複数持っている一方で、下げる方向の手段が限られているとされています。数がそろっていません。 猫が持っているとされる手段を並べたもの 上げる方向の手段 震えて熱をつくる 体を丸めて表面積を減らす 毛を立てて空気の層をつくる 暖かい場所へ移動する 寄り添って熱を分け合う 下げる方向の手段 毛づくろいで唾液を気化させる 涼しい場所へ移動する 体を伸ばして表面積を広げる 活動そのものを減らす 肉球からのわずかな汗
上げる側と下げる側で、手段の数がそろっていません。

右側の並びをもう一度見てください。5つのうち3つが「行動」です。移動する、姿勢を変える、動かない。つまり猫が体温を下げるときは、体のしくみで下げているというより、居場所と過ごし方を選んで下げていることになります。

残る2つのうち、いちばん猫らしいのが毛づくろいです。舌でなめて被毛に唾液をつけ、それが気化するときに熱を持っていく、という説明がされます。猫にとって、体を湿らせることは放熱の手段そのものだということです。この一点が、あとの節でそのまま効いてきます。

犬と猫で、体温を下げる手段はどれだけ違うのか|手段を並べた比較表

平熱がほとんど同じ帯にある2種でも、下げ方はかなり違うとされています。並べて比べると、犬には主力の手段が1つあり、猫にはそれがない、という形が見えてきます。手段ごとに並べます。

体温を下げる手段を、犬と猫で並べたもの
手段犬猫どういう手段か
口を開けた呼吸主力として使う普段はあまり使わないとされる気道から水分を気化させて熱を逃がす
毛づくろいで湿らせるほとんどしない日常的に使う被毛についた唾液が気化するときに熱を運ぶ
肉球からの汗わずかわずか全身を冷やすほどの量ではないとされる
涼しい場所へ移動使うよく使う床材・日陰・高低差を選ぶ
姿勢を変える使うよく使う体を伸ばして接する面を増やす
活動量を落とす使う使う熱をつくる量そのものを減らす
全身の皮膚からの発汗持たない持たない人はこれを主力にしている

この表でいちばん大きい違いは、1行目です。犬は口を開けた呼吸という、その場ですぐ始められる手段を持っています。暑いと感じたら、動かずにその場で始められます。猫は同じ場面で、まず移動先を探すか、毛づくろいを始めることになります。どちらも、始めるまでに一手かかります。

もう1つの違いは、猫の主力が「湿らせること」に寄っている点です。湿らせて気化させる手段は、自分でなめる量を加減できるあいだは、量を選べる手段です。自分でなめた分だけ湿り、気化し終わればそこで止まります。始めるのも止めるのも、その子が決めています。

Point猫が口を開けて呼吸しているのを見たときは

猫は普段、口を開けた呼吸をあまりしないとされています。だから、それが見られたときは「その手段まで使っている状態」だということになります。暑さのせいなのか、別の理由なのかを家で見分けようとせず、続くようであれば動物病院にご相談ください。いつから、どのくらいの時間続いているか、そのとき部屋が何度だったかを控えておくと、話が早く済みます。

濡れている時間を短くするか、風を強くするか|猫を乾かす日の使い分け

ここまでの話を、家の作業につなげます。猫にとって、体が濡れている時間は放熱が続いている時間です。自分でなめて湿らせたときと違うのは、量も終わりも自分で決められない、という点だけです。濡れた面が広ければ広いほど、気化は長く続きます。

だから、猫を濡らしたあとの手順で効くのは、乾かす道具の性能より「濡れている時間そのものの長さ」のほうです。ここで選択肢が2つに割れます。濡れている時間を短くするか、風を強くするか。並べて比べます。

濡れたあとの2つの選び方
濡れている時間を短くする風を強くする
やること濡らす面積と量を最初から絞る乾かす側の力を上げる
向いている場面部分的な汚れ、日常のケア全身を洗ったあと
猫の側の負担作業時間そのものが短い音と風が続くぶん、動く子は長引く
失敗したときに起きること拭き残しが出る途中で逃げて、半乾きのまま終わる
立て直しやすさ同じ場所をもう一度やればよい最初からやり直しになりやすい
向かない条件汚れが広い範囲に及んでいるとき音や風を強く嫌がる子

多くの家で現実的なのは、左の列です。猫はドライヤーの音と風を嫌がることが多く、右の列を選ぶと、乾かす時間より逃げる時間のほうが長くなることがあります。半乾きのまま終わってしまえば、濡れている時間はかえって延びます。風の強さで勝負すると、勝てないことがあるということです。

左を選んだときの手順も書いておきます。面積を絞るというのは、汚れた場所だけを湿らせて、それ以外を濡らさない、という設計です。体の半分を濡らして半分を乾かすより、手のひら1枚ぶんを湿らせて拭き取るほうが、終わりが早く来ます。

  1. 濡らす場所を1か所に決める

    全身を対象にせず、その日いちばん気になる場所を1つ選びます。面積が決まると、終わりの時間も決まります。

  2. 布を先に湿らせ、体には直接かけない

    布に含ませてから当てると、濡れる範囲が布の大きさを超えません。体に直接かけると、思ったより広く濡れます。

  3. 拭いたら、乾いた布で押し当てて水を移す

    こするのではなく、押し当てて移します。水を減らすほど、気化にかかる時間も短くなります。

  4. 地肌に指を入れて、湿りが残っていないか確かめる

    表面が乾いていても、地肌が湿っていれば時間はまだ続いています。時計ではなく、地肌で確かめてください。

猫の平熱は季節で動かないが、下げる手段が要る時期は動く|あいだの日にやることまで

締めに、時期の話をします。猫の平熱そのものは、夏だから上がる、冬だから下がる、という動き方をするものではありません。体はその位置を保とうとします。季節で変わるのは平熱ではなく、それを保つためにどちらの手段をどれだけ使うか、という配分のほうです。

時期によって、使われる手段の配分が変わる
時期よく使われる方向家の側で起きやすいこと
冬上げる手段が中心暖かい場所に長くいる。空気が乾く
春・秋どちらも軽く使う気温と湿度がそろわない日が混ざる
梅雨下げる手段が使いにくい湿度が高く、気化そのものが進みにくい
夏下げる手段が中心涼しい場所を探して移動が増える

この表で注意して見たいのは、梅雨の行です。猫の下げ方は気化に頼っているので、空気が湿っているほど、その手段が効きにくくなります。気温がそれほど高くない日でも、湿度が高ければ条件は変わります。濡らしたあとに乾くまでの時間も、同じ理由で季節ごとに違ってきます。

そう考えると、猫のケアで効くのは、洗う日の手際よりも「濡れている時間を人の側で決めること」だと分かります。暮らしのほとんどは、洗う日と洗う日のあいだです。その日にできるのは、全身を整えることではなく、その日いちばん気になっている1か所を、水を足さずに整えることです。

その1か所に当てるのが mofuwa グルーミングスプレーです。布に含ませて一往復させると、濡れる範囲は布の大きさで止まり、すすぎも乾かす工程も出てきません。ドライヤーを出さずに終わるので、音を嫌がる子でも数十秒で済みます。猫が自分で舌を届かせにくい背中の真ん中や尾のつけ根など、届かない場所を1か所だけ選ぶ使い方が向いています。

毎日やってよい、というのがこのスプレーの前提です。グルーミングスプレーの中身は電解水で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。猫は拭いたところをすぐなめにいきますが、なめても差し支えない基準の水なので、そこで止めに入る必要がありません。アルカリ電解水は皮脂の油と乳化するので、梅雨どきに毛の表面へ残りやすい脂も、同じ一往復で布へ移ります。

最後にもう一度、この記事の線を引いておきます。ここで書けたのは、猫の平熱がどのあたりとされているかという目安と、体温を下げる手段が少ないという条件、そしてそこから導ける家の手順までです。その子の体温がいまどうなっているかは、家では決められません。

Cautionいつもと違うと感じたら、動物病院にご相談ください

口を開けた呼吸が続く、いつもの場所から動かない、ふらつく、食欲が落ちている、体が震えている、いつもより触られるのを嫌がる。こうした変化があるときは、平熱と比べてどうかを家で判断しようとせず、動物病院にご相談ください。いつから、どのくらいの時間、部屋の温度と湿度がどうだったかを控えて持っていくと、その場で切り分けてもらえます。体温という数字を判断できるのは、目安として書かれた数字ではなく、実際に診てもらった獣医師の目のほうです。

最後は、時期の話に戻ります。猫の平熱は季節で動きませんが、下げる手段を使う量は梅雨と夏に寄ります。その2つの時期は、濡らす面積を絞る側へ振ってください。手のひら1枚ぶんの範囲と、布1枚。この2つが決まっていれば、猫の側で放熱の時間が思ったより長引くことはありません。

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よくある質問

猫の平熱は犬より高いのですか
およそ38度台とされ、犬とほぼ同じか少し高い位置にあると言われています。ただし平熱には個体差があり、年齢や時間帯、直前の行動によっても動きます。1つの数字で言い切れるものではなく、幅として受け取るほうが実際に近い数字です。人のおよそ36度台と比べると、猫も犬も高い側にいます。
猫はなぜ犬のように口を開けて呼吸しないのですか
猫は普段、口を開けた呼吸をあまり使わないとされています。下げる手段の中心が、毛づくろいで被毛を湿らせて気化させることと、涼しい場所へ移動することに寄っているためだと説明されます。逆に言えば、猫が口を開けて呼吸しているときは、その手段まで使っている状態だということになります。理由を家で見分けようとせず、続くようであれば動物病院にご相談ください。
猫を濡らしたあと、どのくらいで乾かせばよいですか
何分という形では決められません。毛の長さ、密度、部屋の温度と湿度で変わるからです。時計ではなく、地肌に指を入れて湿りが残っていないかで確かめてください。猫にとって濡れている時間は放熱が続いている時間なので、乾かす道具を強くするより、最初に濡らす面積を絞るほうが結果として短く終わります。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。