C12Q&A・豆知識
アルコール入りの製品はペットに使える?
手指用のスプレーを使ったあと、まだ湿っている手をその子がなめに来て、あわてて後ろに引っ込めたことがあります。アルコール入りの製品は、ペットがなめる可能性のある場所には使わない、というのが基本の線です。理由は、アルコールが体に残るからではありません。むしろ逆で、アルコールは揮発するので残りません。ただし、揮発しきるまでには必ず時間があります。その時間のあいだになめれば、口に入ります。つまり判断の線は、成分の名前ではなく「揮発しきるまで、その場所からその子を離しておけるか」のほうにあります。この記事では、アルコールとは表示のどこに書かれている言葉なのか、なぜ残らないのに気をつけるのか、どこまでなら大丈夫と言えるのかを8つの問答に分けて書きます。あわせて、ペット用品の「安全」という言葉が何を根拠にしていて、そこからは何が言えないのかも開きます。
アルコール入りの製品は、ペットに使ってよいのですか
答えから書きます。ペットがなめる可能性のある場所には使わない。それ以外の場所では、乾ききるまで近づけない。この2行で、たいていの場面は決まります。使ってよい製品と、だめな製品を名前で分ける考え方ではなく、同じ製品でも、使う場所で答えが変わるという分け方です。
この線の引き方には理由があります。アルコールは揮発する成分なので、時間がたてば残りません。だから「使ったあとにずっと体に残り続ける」という心配は、性質としては当たっていません。代わりに出てくるのが、揮発しきるまでの時間です。その時間のあいだ、液は液のままそこにあります。ペットは濡れているものに寄っていく習性があるので、いちばんなめやすいのが、まさにその時間帯になります。
- なめる可能性がある場所:体、口のまわり、前脚、内股、食器、寝床、いつも顔をつける床
- 離しておける場所:ケージを外に出して拭く、留守のあいだに拭く、扉を閉めた部屋の床
- 自分の手:使ったあと、乾くまでその子に触らない、なめさせない
- 判断がつかない場所:離せるかどうかが分からないなら、使わないほうを選ぶ
- いつも寄ってくる子:離すという前提が成り立たないので、場所ではなく製品のほうを替える
アルコール入りの製品は、人の生活の道具として広く使われていて、揮発して残らないという性質が扱いやすさになっています。ここで書いているのは、その性質がペットのいる部屋では別の意味を持つ、という条件の話です。物の側の条件(揮発する・時間がかかる・濡れているあいだは液のまま)だけを見て、使う場所を決めてください。
アルコールとは、製品の表示ではどう書かれている言葉ですか
アルコールとは、ここでは「揮発しやすく、水と混ざる、消毒や洗浄に使われる液体成分」の総称だと思ってください。厳密な化学の定義はもっと広いのですが、家庭の製品を読むうえではこれで足ります。困るのは、表示に「アルコール」という4文字で書かれているとは限らないところです。
- エタノール/エチルアルコール:手指用や食品まわりの製品でよく見る書き方です
- 変性アルコール/変性エタノール:飲用できないように別の成分を加えたもの
- イソプロパノール/IPA:拭き上げ用の製品に使われることがあります
- 発酵アルコール/醸造アルコール:由来を書いた表現で、揮発する性質は同じです
- 「アルコール◯%」だけの記載:濃度は分かりますが、種類は分かりません
濃度も一緒に読みます。濃度が高いほど揮発は速く、低いほど水の割合が増えて乾きが遅くなります。「高いほうが強い」「低いほうが優しい」という単純な順番ではなく、乾くまでの時間が変わる、という読み方をしてください。ペットのいる部屋では、この乾くまでの時間がそのまま注意する時間の長さになります。
| 表示の言葉 | 分かること | 分からないこと |
|---|---|---|
| エタノール◯% | 揮発する成分が入っていて、その割合 | 乾くまでにかかる時間 |
| アルコールフリー/ノンアルコール | その基準で言うアルコールを入れていない | 他に何が入っているか |
| 除菌/消毒と書いてある | その表示が許される区分の製品だということ | 何に対して、どの条件で確かめたか |
| 用途:手指用 | 人の手を対象に作られている | 動物の体に使う前提かどうか |
| 用途:台所用・住居用 | 拭く対象が物であること | その物をなめる子がいる家での扱い |
| 何も書いていない | — | 確かめようがないので、ペットの体には使いません |
「アルコールフリー」と書いてある製品についても、一言だけ足しておきます。その表示が指しているのは、たいてい特定の種類のアルコールを入れていない、ということです。入っていないものの名前は分かりますが、入っているもの全部が確かめられたわけではありません。ペット用品を選ぶときは、入れていないものの表示より、入っているものが列挙してあるかどうかのほうが判断に使えます。
残らないはずのアルコールに、なぜ時間の話がついてくるのですか
ここがこの記事の中心です。揮発するというのは、液体が気体になって空気のほうへ出ていく、ということです。出ていってしまえば、そこには残りません。拭いたところを翌日なめられても、アルコールは口に入りません。この点だけを見ると、残るタイプの成分より扱いやすいとも言えます。
問題は、出ていくのが一瞬ではないところです。塗った瞬間から消えるのではなく、表面から順に空気へ移っていきます。そのあいだ、液は液のままそこにあります。濡れているということは、まだそこにあるということです。目で見て湿っているうちは、揮発は途中です。
そして、ペットは濡れているものに寄っていきます。拭いたばかりの床、湿っている手、水滴のついた器。においが変わったところを確かめに来る子もいます。いちばんなめやすい時間帯と、いちばん液が残っている時間帯が、そのまま重なります。アルコールが「残らない成分」であることと、「その場でなめられない」ことは、別の話になります。
この構造が分かると、よくある質問の答えも決まります。「少量なら大丈夫ですか」ではなく、「その少量が乾くまで、その子を離しておけますか」という質問に置き換わります。量の話に見えていたものが、時間と場所の話になります。ペットとの暮らしで扱いやすいのは、こちらの形です。
揮発しきるまでの時間は、何によって長くなりますか
何分で乾く、という数字はここには書きません。条件によって何倍も変わるので、数字にすると必ず外れるからです。代わりに、時間を長くする条件と短くする条件を並べます。この6行を覚えておけば、その場で見当がつきます。
| 条件 | 時間が長くなる側 | 時間が短くなる側 |
|---|---|---|
| 量 | たっぷり噴いた | 薄く広げた |
| 濃度 | 水の割合が多い | 揮発する成分の割合が多い |
| 相手の素材 | 布・毛・カーペット(吸い込む) | フローリング・金属(表面に残る) |
| 室温 | 冬の朝の冷えた部屋 | 暖まっている部屋 |
| 空気の動き | 締め切った部屋 | 窓を開けている、送風がある |
| 形 | 溝や継ぎ目にたまった | 平らな面に伸ばした |
とくに気をつけたいのは布と毛です。表面積が大きいうえに、繊維の中へ入り込みます。フローリングなら表面から抜けるだけですが、布は内側から出てこなければなりません。見た目が乾いていても、繊維の奥がまだ湿っていることがあります。ペットの寝床やクッションにアルコール入りの製品を使わないほうがいいのは、この時間差が読めないからです。
確かめ方は時計ではありません。手の甲を当てて、ひんやりしなくなったら乾いている、が使いやすい目安です。揮発するときに熱を奪うので、まだ残っているあいだは冷たく感じます。ペットを部屋に戻す前に、この一手間を入れてください。安全側に倒すなら、乾いたと思ってからもう数分待つほうが確実です。
アルコール入りの製品を使うときは、その子が次に行く場所から遠い順に拭くと、待たせる時間が短くなります。たとえば、部屋の奥から入口へ向かって拭けば、最後に拭いたところが乾くころには奥はとっくに乾いています。逆に入口から拭くと、いちばん最初に踏まれる場所がいちばん最後まで湿っていることになります。段取りだけで、なめられる可能性はかなり減らせます。
どこまでなら大丈夫、という線はどこに引けますか
線は1本です。揮発しきるまで、その場所からその子を離しておけるかどうか。離せるなら使えます。離せないなら、その場所には使いません。大丈夫かどうかを製品の側に決めてもらうのではなく、自分の家の間取りと、その子の動き方で決めるという考え方です。
| 場所 | 乾くまで離せるか | どうするか |
|---|---|---|
| 体・口のまわり・前脚 | 離せない(本人の体です) | アルコール入りの製品は使わない |
| 食器・水の器 | 離せない(次に口をつけます) | 使わない。洗ってよく乾かす |
| 寝床・クッション・布 | 乾いたか分からない | 使わない。洗える素材にしておく |
| ケージ・トイレの外側 | 外に出せば離せる | 外で拭き、乾かしてから戻す |
| 床(区切れる部屋) | 扉を閉めれば離せる | 拭いて、乾いてから入れる |
| 自分の手 | 触らなければ離せる | 乾くまで、その子に触らない |
この表で「離せない」に入っているものには、共通点があります。どれも、その子の口が最後に触れる場所だということです。体と食器と寝床は、待たせるという解決が使えません。だから、ここだけは製品のほうを替える、という順番になります。ペットのいる家で置き場所を分けておくと、家族の誰が使っても間違いが起きにくくなります。
書いてはいけない言い方も、ここで確認しておきます。アルコールはすぐ揮発するので、ペットがなめても大丈夫です。これは、揮発しきったあとの話を、湿っているあいだにも当てはめてしまっています。少量なら安全ですも同じで、量の話にすり替えています。正しく言うなら「乾いたあとには残りません。乾くまでは離してください」の2文になります。
「安全」と書かれた表示は、何を根拠にしている言葉ですか
ペット用品を選ぶとき、いちばん目に入るのが「安全」という言葉です。この2文字は、単独では読めません。何を、何に照らして、誰が、どういう条件で確かめたのか。この4つが添えられて初めて、どこまでの話なのかが決まります。逆に言えば、根拠が添えられていない安全という表示は、確かめようがない、というだけの意味になります。
例として、mofuwaで使っている電解水の場合に、この4つがどう埋まるのかを並べます。照らしている物差しは、清涼飲料水の規格基準です。飲みものに使う水に定められている基準に成分を載せて、その範囲に収まっていることを確かめてある、という意味で、「飲みものです」という意味ではありません。菌の試験については、試験条件下で、検査時間30〜60秒後に生菌が検出されなかったという結果があります(江東微生物研究所ほか、日本食品分析センター、ユニオンバイテック、日本繊維製品品質技術センターといった検査機関に出したものです)。水分の浸透しやすさが精製水の35倍というのは自社での検証で、外部の検査機関のものと分けて読む数字です。
つくり方の側には特許5253483(三室ダブルイン型 電解分解技術)があります。電解槽が3つの部屋に分かれていて、部屋のあいだをイオン交換膜で仕切ってあるので、電解質に由来する不純物が生成した水の側に入りません。だから規格基準という物差しに載せられます。ただし特許は「技術の登録」であって、使ったときに体に何が起きるかを証明した番号ではありません。この線は自社の技術についても同じように引きます。
| 確かめられていること | そこから言えること | そこからは言えないこと |
|---|---|---|
| 清涼飲料水の規格基準をクリアした成分 | 成分が飲料水の基準の範囲にある | 飲ませてよい、ということ |
| 試験条件下で30〜60秒後に生菌が検出されなかった | その試験条件でのその時間の結果 | 家の中で同じ結果になること |
| 検査機関の名前が出ている | どこへ確かめに行けばいいか | その子の体の上での挙動 |
| 浸透が精製水の35倍(自社検証) | 条件をそろえた比較での差 | 使用感や仕上がりの保証 |
| 特許5253483がある | その電解の方法が登録されている | 効き目が証明されていること |
だから、書いてはいけない形もはっきりします。これを使えば安全ですは、製品を主語にして結果まで保証しています。試験で生菌が検出されなかったので、家でも同じようになりますは、試験条件の外へ結果を持ち出しています。安全という言葉は、根拠と一緒でなければ置けません。アルコール入りの製品を読むときも、この物差しはそのまま使えます。
なめられる場所に置く1本は、どこを見て選びますか
体、口のまわり、寝床。ここまでで「離せない」に分類した場所には、待たせるという解決が使えません。だから、この場所に使うものだけは、乾くまでの時間を計算しなくていい形のものを選びます。選ぶときに見るところは5つです。
- 成分が列挙してあるか:入っているものの名前が全部書いてあるか
- アルコール類の記載があるか:あるなら、乾かす時間を前提にした使い方になります
- 用途に対象動物が書いてあるか:体に使う前提で作られているかどうか
- なめる可能性のある場所への記載:口のまわりや前脚に使えると書いてあるか
- 根拠の書き方:規格基準の名前、検査機関の名前、試験条件が添えてあるか
mofuwaのグルーミングスプレーを、いまの5つで読むとこうなります。中身は特許電解水で、成分は列挙されていて、アルコールフリーです。揮発を待つ成分が入っていないので、乾くまでの時間を計算する必要がありません。用途には犬と猫が書かれていて、体に使う前提でつくられています。散歩から帰ったあと、ブラッシングの前、においや汚れが気になるとき。どれも、そのあとその子が自分の体をなめる場所です。根拠の側は、成分が清涼飲料水の規格基準の範囲にあることと、菌の試験を江東微生物研究所などの検査機関に出した結果があること。この2つが、試験条件つきで読める形で並んでいます。なめられる場所に置く1本は、待たせる時間が要るかどうかで選べます。
ただし、ここまで書いてきた線は自社の製品にもそのまま当てはまります。グルーミングスプレーについても、表示に書けるのは成分と試験条件までです。その子に合うかどうかは、少量から試して見るしかありません。無香料で界面活性剤を使っていないことも、どの子にも刺激が起こらないという意味にはなりません。
なめられる場所に使えるものであっても、顔のまわりには直接かけないほうが扱いやすいです。理由は成分ではなく、霧が目や鼻に入ると、その子がその道具そのものを嫌いになるからです。清潔な布に含ませてから、口のまわりを一方向に一往復。ペットの側の「嫌じゃない」を守っておくほうが、結果として毎日のケアが続きます。
なめてしまったあとは、何を見て、どこへ連絡しますか
最後に、いちばん知りたいであろうところを書きます。すでになめてしまったときは、製品の表示を読み直すより先に、その子の様子と、なめた場所と、なめたおおよその量を控えてください。読み直すのはそのあとで間に合います。連絡するときに必要になるのは、成分名よりもこの3つです。
-
その場から離す
まだ湿っているなら、まずその場所から離します。拭き取ろうとして押さえつけると、口のまわりに広げてしまうことがあります。先に距離をとってください。
-
なめた場所と、おおよその量を書き留める
床なのか、手なのか、体なのか。ひとなめなのか、しばらくなめていたのか。時刻も一緒に書いておくと、あとで様子の変化と並べられます。
-
製品の容器を手元に置く
成分表示と用途表示が書いてあるのは容器です。動物病院に相談するときは、容器そのものを持っていくと話が早く進みます。写真でもかまいません。
-
様子を見る場所を決めておく
口をしきりに気にしていないか、よだれが増えていないか、食べ方が変わっていないか。見る項目を先に決めておくと、あとから思い出そうとしなくて済みます。
何かをなめたあとで、よだれが増えた、口をしきりに気にする、食欲が落ちた、嘔吐や下痢がある、ふらつく、元気の落ち方が続いている。こうした変化があるときは、表示を読み直すより先に動物病院にご相談ください。そのときに、製品の容器と、なめた場所・時刻・おおよその量を伝えられると、獣医師の側で切り分けができます。判断に迷っている時間そのものが、いちばん惜しい時間です。
ここまでを1行にまとめます。アルコール入りの製品は、乾くまで離せる場所にだけ使う。体と食器と寝床は離せないので、そこには使わない。安全かどうかを製品名で決めようとすると答えが出ませんが、場所で決めると毎回同じ答えが出ます。ペットとの暮らしで長く続く判断は、たいていこういう形をしています。
そして、安全という言葉に出会ったときは、何に照らして、誰が、どういう条件で確かめたのかを1つずつ探す。3つとも見つかっても、そこから言えないことは残ります。残ることを知っているほうが、表示との距離のとり方が決まります。アルコールの話も、ペット用品全般の読み方も、結局はこの同じ物差しの上に乗っています。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
