C12Q&A・豆知識

被毛が乾くまでにかかる時間の目安

公開日 2021年7月16日|文=mofuwa編集部

明るく風通しのよい部屋で、淡い色の布の上に落ち着いて座っている淡い色の犬
乾くまでの時間は、その子の被毛と、その日の部屋の両方で決まります。写真:SLZ/Pexels

洗ったあと、ドライヤーを当てはじめてから手を止めるまでの時間を、一度だけ計ってみてください。20分で終わる家もあれば、1時間を超える家もあります。被毛が乾くまでにかかる時間は、短くて量の少ない被毛なら20分前後、長くて密な被毛では1時間を超えることもある、というくらいの幅で語られます。ただ、この幅だけを目安として持ち帰っても、たぶん役に立ちません。これは、よその家と比べる数字ではないからです。比べる相手は、同じ子の、条件が違う日どうしです。犬を乾かす時間は、毛の長さ、密度、室温、湿度で大きく動きます。だから「何分」は決められません。決められるのは「何が時間を決めているか」のほうです。この記事では、乾く時間を左右する条件を、体の側と部屋の側という2つの軸に分けて比較します。行き着く先は、時計ではなく地肌を触る話です。

軸1|体の側が持っている条件|犬を乾かす時間は、地肌までの距離で変わります

1つめの軸は、その子の体が最初から持っている条件です。毛の長さ、毛の密度、毛の量、そして地肌までの距離。この4つが、乾かす時間の下限を決めています。同じ手順で、同じ部屋で、同じ道具を使っても、この4つが違えば時間は違います。ここは、その日のうちには変えられない側です。

まず、水がどこに残っているかを押さえます。洗ったあとの水は、毛の表面ではなく、毛と毛のあいだと、地肌のすぐ上に残っています。触って濡れていると感じるのは表面ですが、乾かす時間を長くしているのは奥のほうです。表面はすぐ乾くので、手を止めたくなるのはたいてい奥がまだ濡れている時点になります。被毛が密なほど、奥の水は空気に触れにくくなり、乾く時間は延びます。

体の側の条件が、乾かす時間をどちらへ動かすか
体の側の条件時間が延びる方向時間が縮む方向
毛の長さ長い(水が伝う道のりが長い)短い
毛の密度密(奥まで空気が入らない)まばら
毛の量多い(水を抱える総量が多い)少ない
下毛の有無下毛がある(二層で空気が止まる)上毛だけ
地肌までの距離遠い(風が届くまでに減る)近い
体格大きい(面積が広く、順番待ちが増える)小さい

この表の並びを見ると、犬を乾かす時間が「何分」で言えない理由がはっきりします。6つの条件が、その子ごとに違う組み合わせで乗っているからです。長いけれど量が少ない子もいれば、短いけれど密な子もいます。前者と後者では、同じ「10分乾かした」でも、地肌の状態はまったく違います。よその家の時間を借りてきても、自分の家では合いません。

Note体の側の条件は、その日には変えられません

毛の長さは、切れば変わります。密度も、季節で少しずつ動きます。けれども今日これから乾かす、という場面では、どれも動かせません。だから、この軸は「時間を短くするために触るところ」ではなく、「自分の家の時間がなぜその長さなのかを説明するところ」として使います。説明がつくと、毎日のケアで焦らなくなります。

軸2|部屋の側が持っている条件|同じ犬でも、時期によって乾かす時間が変わります

2つめの軸は、その日の部屋です。室温、湿度、空気の動き、そして時期。体の側と違って、こちらはその日のうちに動かせます。そして、動かせるわりに見落とされます。同じ子を同じ手順で乾かしているのに、先週より時間がかかった、という日があります。たいてい、変わったのは部屋のほうです。

そもそも「乾く」とは何かを、一度だけ確認しておきます。被毛に残った水が蒸発して、空気の側へ移ることです。ここで効いてくるのが、空気があとどれだけ水を受け取れるか、という余地です。湿度が高い日は、空気がすでに水を多く抱えています。受け取る余地が少ないので、同じ風を当てても水は空気へ移りにくく、乾かす時間は延びます。乾かしているのは犬ではなく、部屋の空気だと考えると、条件の見え方が変わります。

部屋の側の条件が、乾かす時間をどちらへ動かすか
部屋の側の条件時間が延びる方向時間が縮む方向
湿度高い(空気に受け取る余地が少ない)低い
室温低い(水が蒸発しにくい)適度に暖かい
空気の動き動かない(湿った空気が体のまわりに留まる)ゆるく流れている
部屋の広さ狭くて閉め切り(すぐ湿気が満ちる)広い、または換気ができる
時期梅雨から夏の湿度が高い時期空気が乾く時期
洗面所で完結壁と扉に囲まれ、湿気の逃げ場がない湿気を逃がす経路がある

時期の話を、もう少し具体的に書きます。梅雨から夏にかけては、同じ子を同じ手順で乾かしても時間が延びます。気温が高いぶん水は蒸発しやすいのですが、空気がすでに多くの水を抱えているので、受け取る余地のほうが足りません。逆に空気が乾く時期は、乾かす時間そのものは縮みます。ただし、この時期は静電気が起きやすく、乾いたあとの被毛のもつれが増えます。どちらの時期にも、別のやりにくさがあります。

部屋の側の条件でいちばん軽んじられているのが、湿気の逃げ場です。洗面所の扉を閉めて乾かすと、その小さな部屋の湿度はすぐ上がります。体から出た水が、そのまま自分のまわりの空気に戻ってきている状態です。扉を開けるか、換気扇を回すか、部屋を移すか。この1つだけで、犬を乾かす時間の後半がはっきり変わります。

時間を延ばす条件と、縮める条件を並べて比較する

2つの軸から出てきた条件を、延ばす側と縮める側に並べ直します。比較して見えてくるのは、延ばす条件のほとんどが「空気が動かないこと」に集まっているという点です。密な被毛も、閉め切った洗面所も、高い湿度も、言っていることは同じで、水が空気へ移る道が細いという話をしています。

犬を乾かす時間を、延ばす条件と縮める条件 体の側と部屋の側から出てきた条件を、時間を延ばす向きと縮める向きに分けて並べたものです。左は動かしにくい条件が多く、右は今日から動かせる条件が多く含まれます。 本文の2つの表から、そのまま抜き出して並べています 延ばす条件 被毛が長く、密である 下毛があり二層になる 湿度が高い時期である 扉を閉めた狭い場所 空気がまったく動かない 水を先に吸わせていない 縮める条件 被毛が短く、量が少ない 上毛だけで空気が抜ける 空気が乾く時期である 湿気の逃げ場がある ゆるい風が流れている 先に水を吸わせてある 左は主に体の側、右は主に部屋の側の条件です
並べて比較すると、右側のほとんどが部屋の側の条件だと分かります。今日動かせるのは右側です。
条件を1つ動かしたときに、何が変わるか
動かす条件変わることどのくらいで済むか
洗面所の扉を開ける湿った空気が外へ出て、受け取る余地が戻る0秒。開けるだけ
水を先に吸わせる後半の乾かす時間が短くなる2〜3分
風を根元に向ける奥の水が動きはじめる当て方を変えるだけ
部屋の空気を動かす体のまわりに湿気が留まらない換気扇か、窓を少し
洗う時期をずらす湿度の高い日を避けられる予定の組み替え
熱を上げる地肌に届く熱が増える時間は縮むが、ここは動かさない

表のいちばん下だけ、扱いが違います。熱を上げれば時間は縮みますが、この条件は動かさないでください。被毛の奥は風が届きにくく、そのぶん熱もこもります。人の手が当たっている表面の温度と、地肌に届いている温度は同じではありません。乾かす時間を縮めるために動かしていい条件と、動かしてはいけない条件があります。比較表を作る目的は、この線を自分で引けるようにすることです。

先に動かすのはどっちか|犬を乾かす時間を短くしたいときの順番

2つの軸のうち、どっちから手をつけるか。答えは部屋の側です。理由は単純で、その日に動かせるのがこちらだけだからです。体の側の条件は、説明には使えますが、今日の時間は変えられません。どっちが大事かという話ではなく、どっちが今日動くかという話です。

  1. 湿気の逃げ場を先に作る

    扉を開ける、換気扇を回す、または洗面所から出て別の部屋に移る。乾かしはじめる前にやります。閉め切った空間で始めてしまうと、後半の時間がまるごと延びます。ここは0秒でできて、時間の動き方がいちばん大きい条件です。

  2. 水を先に吸わせてから風を当てる

    風を当てる前に、乾いた布で水を吸わせます。こするのではなく、押し当てて離す。被毛の奥から水を抜くのではなく、抱えている総量を減らすのが目的です。ここに2〜3分使うと、後半の時間はそれ以上短くなります。

  3. 風は根元に向ける

    表面に当てても、乾くのは表面だけです。指で被毛を分けて、地肌が見える状態にしてから風を入れます。1か所ずつ、場所を移しながら。表面をなでるように当て続けると、乾いたように見えて奥が残ります。

  4. 順番は、乾きにくい場所から

    腹、内股、脇、尾のつけ根、耳のうしろ。空気が入りにくく、あとまわしにすると最後まで残る場所です。ここを先にやって、背中は最後にします。背中は放っておいても乾く側なので、順番の後ろで足ります。

  5. 終わりは時計で決めない

    何分たったかではなく、地肌を触って決めます。決め方は次のセクションに書きます。時計で終わりを決めると、乾く時間が長い日ほど早く切り上げてしまうことになります。

この5つを回すと、たいていの家で犬を乾かす時間は短くなります。ただし、短くなった時間そのものより、短くなった理由を持ち帰ってください。短くなったのは、風を強くしたからでも、熱を上げたからでもありません。水が空気へ移る道を、先に広げておいたからです。この理由を持っていれば、湿度の高い時期に時間が延びたときも、何を戻せばいいかが分かります。

Point乾かす日の数そのものが、時間の総量を決めています

乾かす時間が毎回1時間近くかかる家では、1回あたりを縮めるより、乾かす日の数を減らすほうが総量は大きく動きます。洗う日と洗う日のあいだは、mofuwa グルーミングスプレーで毎日きれいにしておける日です。散歩から帰った日に足と腹をぬぐう、ブラッシングの前に被毛をなじませる。この2つで足りる日を作ると、ドライヤーを持ち出す回数そのものが減ります。洗う日と間の日で道具を分けておくと、乾かす時間の総量が下がります。

測るのは時計ではなく地肌|犬を乾かす時間を、自分の家の数字にする

最後に、終わりの決め方を書きます。被毛を分けて、地肌に指の腹を当ててください。ひやりと冷たく感じるなら、まだ水が残っています。冷たさが消えて、周りと同じ体温に感じるようになったら、そこは乾いています。これを、腹、内股、脇、尾のつけ根、耳のうしろの5か所でやります。5か所とも冷たくなければ、終わりにしていい状態です。

なぜ時計ではないのか。この記事でずっと書いてきたとおり、時間を決めている条件が日によって違うからです。先週20分で終わった日と、今日の湿度の高い日とでは、同じ20分が指している状態が違います。時計は条件を見ていません。地肌は、条件をぜんぶ含んだ結果だけを教えてくれます。物差しとして正確なのは、あとから見て動かない時計ではなく、その場の地肌のほうです。

そのうえで、時間を1回だけ計る意味もあります。地肌の5か所が冷たくなくなるまでに、自分の家では何分かかったか。これを一度だけ計っておくと、以後はそれが自分の家の基準になります。よその家の20分でも1時間でもなく、この子の、この部屋での数字です。次からは、その数字より延びた日に「今日は何が違ったか」を探せばよくなります。湿度か、扉か、水を吸わせたかどうか。探す場所は、この記事の2つの表の中にあります。

mofuwa グルーミングスプレーは、特許電解水をそのまま吹きかけて、ブラッシングの前に被毛へなじませるスプレーです。ドライヤーを出さない日の被毛の手入れを、まるごと引き受ける道具です。散歩から帰ったら足と腹をぬぐう、梳かす前に静電気の起きにくい状態にしておく。この2つを毎日やれる形にするために作られています。舐めても問題のない基準でつくられているため、量を気にせずかけられます。香りはつけていません。地肌の一点を狭く整えたい日は、mofuwa スキンケアミストを地肌に向けて使います。洗う日はシャンプー、間の日はグルーミングスプレー。この分担ができると、乾かす時間を計る日そのものが減ります。

生乾きのまま時間が経つと、被毛の奥に湿った状態が続きます。皮膚の上が湿ったままになると、においが立ちやすくなり、毎日のケアでもつれも増えます。乾かしたはずなのに翌日ににおいが残る、という日が続くときは、乾ききっていない場所が同じところに偏っていないかを見てください。そのうえで、皮膚の赤みやかゆみ、においの変化が3日以上続くようなら、乾かし方を変える前に動物病院で相談してください。

Product

mofuwa グルーミングスプレー

mofuwa グルーミングスプレー

300ml / 2,970円(税込)

特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。

商品ページを見る

よくある質問

犬を乾かす時間は、何分を目安にすればいいですか
何分という数字では決められません。短くて量の少ない被毛なら20分前後、長くて密な被毛では1時間を超えることもある、という幅で語られますが、毛の長さや密度、その日の室温と湿度で大きく動きます。おすすめは、地肌の5か所が冷たくなくなるまでの時間を、自分の家で一度だけ計っておくことです。以後はその数字が基準になります。
冷風だけで乾かすと、時間はどれくらい延びますか
どれくらい延びるかは、部屋の湿度と空気の動きによって変わるので、一概には言えません。ただ、冷風でも空気が流れていれば水は蒸発します。時間は延びますが、地肌に届く熱を減らせるという利点があります。時間を気にするなら、熱を上げるより先に、湿気の逃げ場を作るほうを試してください。
時期によって、乾かす時間はどのくらい変わりますか
湿度の高い時期は、同じ子を同じ手順で乾かしても時間が延びます。空気がすでに水を多く抱えていて、受け取る余地が少ないためです。逆に空気が乾く時期は時間が縮みますが、静電気が起きやすく、被毛のもつれは増えます。時期が変わって時間が延びたときは、まず部屋の側の条件を見直してください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。