C12Q&A・豆知識
犬のpHとは?位置を示す数字で、1違うと10倍離れている
犬の皮膚のpHは、人の皮膚より高い側、つまりアルカリ寄りにあると報告されています。pHとは、酸性かアルカリ性かを0から14の数字で示したものです。7が中性で、それより小さければ酸性、大きければアルカリ性と呼ばれています。ここまでは辞書のとおりで、たいていの解説がここで終わります。犬と暮らしていてこの2文字に出会うのは、シャンプーのボトルの裏や、ケア用の水の説明書きです。そこで効いてくるのは2つ。pHの数字は「強さ」ではなく「位置」を指していること。そして、1違うと10倍違うことです。人の皮膚の表面は平均で5を下回るとされ、犬では品種ごとの中央値がおおむね5.8〜6.8という報告があります。数字の上では1前後の差ですが、その1は10倍の目盛りの上での1です。犬や猫のケアでpHという数字に出会ったとき、この2つを持っているかどうかで、同じ表示から受け取るものがまるごと変わります。
pHとは何を示す数字か|0から14のどこにいるか、という位置の話
pHとは、酸性かアルカリ性かを0から14の数字で示したものです。7がちょうど真ん中で、これを中性と呼びます。7より小さいほど酸性寄り、7より大きいほどアルカリ性寄り。犬や猫のケア用品の表示でこの2文字を見かけたときも、言っているのは「どちら側にどれだけ寄っているか」だけで、それ以上のことは何も言っていません。
もう少し踏み込むと、pHとは、その液の中に水素イオンがどれくらいあるかを表した数字です。水素イオンが多いほど数字は小さくなり、少ないほど大きくなります。数字が小さいほど中身が多い、という向きなので、最初は感覚が逆になります。ここでつまずく人が多いのですが、「小さいほど酸性、大きいほどアルカリ性」とだけ覚えておけば、日常のケアでは足ります。
大事なのは、この数字が良し悪しの順番ではないということです。pH2が悪くてpH7が良い、という並びではありません。レモン汁はおおむねpH2前後の領域にあるとされますが、だからレモンが乱暴なものだ、という意味にはなりません。pHとは、順位ではなく座標です。右か左か、どちら寄りにいるかを言っているだけです。
| おおよその位置 | 呼び方 | そこにあると言われるもの |
|---|---|---|
| 2前後 | 酸性 | レモン汁・食酢 |
| 4〜5 | 酸性寄り | 雨水・多くの果物の汁/人の皮膚の表面(平均は5を下回るという報告) |
| 5.8〜6.8 | 中性寄り | 犬の皮膚の表面(5品種の中央値の報告) |
| 6.4〜6.9 | 中性寄り | 猫の皮膚の表面(部位・性別による報告) |
| 7 | 中性 | 精製水 |
| 7〜8 | 中性からやや上 | 水道水(地域や条件で動きます) |
| 8〜9 | アルカリ性寄り | 重曹を溶かした水 |
| 10以上 | アルカリ性 | 石けんを溶かした水 |
この表を眺めていると、もう1つの前提に気づきます。pHとは、液体にしか付かない数字です。固まったものや、空気そのものには付きません。では「犬の皮膚の表面のpH」という言い方は何を指しているのかというと、皮膚の上にあるごく薄い水分の膜のpHを指しています。皮膚という組織にpHがあるのではなく、その表面を覆っている水のほうを測っています。犬の報告値に幅があるのも、測る部位や、直前に洗ったかどうかで、この膜の状態が変わるからです。
日本語では「ピーエイチ」と読むのが今は一般的ですが、「ペーハー」と読む場面も残っています。どちらも同じものを指していて、どちらが正しいという話ではありません。年配の方や、掃除・水回りの分野では「ペーハー」のほうをよく聞きます。用語として調べるときは、両方で検索すると出てくる資料が変わります。
ここまでで、pHとは何かという問いには答えが出ました。0から14の目盛りのどこにいるか、という位置の数字。ただ、犬のケアで使うにはもう1つ要ります。この目盛りには、身長や体重の目盛りと決定的に違うところが1つあります。
1違うと10倍|pHの目盛りが等間隔に見えて等間隔ではない理由
pHの目盛りは、1違うごとに10倍ずつ動きます。身長が1センチ違えば、差は1センチぶんです。体重が1キロ違えば、差は1キロぶんです。ところがpHが1違うと、水素イオンの量は10倍になります。2違えば100倍、3違えば1000倍。目盛りは等間隔に並んで見えるのに、そこに乗っている中身は等間隔ではありません。
なぜこんな作りになっているのか。理由は、水素イオンの量が、けたの単位で大きく動くからです。そのまま数で書くと、0が10個も20個も並ぶ数字を扱うことになります。読めないし、比べられない。そこで「けたの数」で表すことにしたのがpHという物差しです。pHとは、けたを数えた数字だと言ってもかまいません。けたを数えているので、1増えるごとに10倍になります。
この作りを知ったうえで、もう一度冒頭の話に戻ります。pH9とpH10は、見た目には1しか離れていません。けれども、そのあいだには10倍の開きがあります。数字だけを眺めていると「ほとんど同じ」に見えますが、位置としてはかなり離れています。逆にpH7とpH7.5のような差は、目盛りの上ではもっと小さな移動です。同じ「1」でも、目盛りの上での意味が場所によって変わるわけではありませんが、私たちの感覚のほうがついていきません。
ここで、冒頭に置いた1つめの話がつながります。pHは強さではなく位置です。「pHが高いほど強い」「低いほど刺激が大きい」という読み方をしてしまうと、位置の話を強さの話にすり替えることになります。位置は、相手が誰かによって意味が変わります。人にとってちょうどいい位置と、犬にとってちょうどいい位置は、同じ数直線の上の別の場所にあります。
製品の説明や、掃除の解説で「pHが1違うだけです」と書かれていることがあります。数字としては1でも、隔たりとしては10倍です。この一言を見かけたときは、書いた側が目盛りの作りを知らないのか、あえて小さく見せているのかのどちらかです。どちらにしても、読む側は10倍のほうで受け取っておくのが安全な読み方になります。
pH9とpH10を並べて見た経験|犬のケアでこの数字に出会う場面の背景
pHという数字に出会う場面は、犬や猫と暮らしていると意外に多くあります。シャンプーのボトルの裏。ケア用の水の説明。掃除用品の表側。動物病院で皮膚の話をされたとき。どれも、数字が1つだけ小さく置かれていて、その数字が何と比べたものかは書かれていません。書かれていない部分を読者が埋める前提になっている、というのがこの数字の背景です。
棚の前でよく起きるのは、こういう経験です。pH9と書かれたものと、pH10と書かれたものが並んでいる。1しか違わないのだから、似たようなものだろうと考えて、安いほうを取る。ここまでの話を踏まえると、この2つのあいだには10倍の隔たりがあります。1しか違わないという読み方が、そもそも目盛りの作りと合っていません。pHという数字を見たときの経験は、まずここでずれます。
犬のケアで、この位置の話がいちばん効いてくるのは皮膚まわりです。人の皮膚の表面は、330人を測った報告で平均4.9〜5.1、洗わずに置いたときの「自然な値」は平均4.7と見積もられています(Lambers ら、International Journal of Cosmetic Science 2006)。犬では、5品種を測った報告で中央値が5.75〜6.82でした(Kwon ら、Veterinary Dermatology 2025)。同じ報告に、犬の皮膚のpHは人よりアルカリ寄りで、年齢・性別・測る部位で動く、と書かれています。猫では、5か所を測った報告で6.39〜6.64、オス6.94・メス6.54という差が出ています(Szczepanik ら、Journal of Feline Medicine and Surgery 2011)。数字に幅があるのは、測り方でも部位でも動くからです。ここで大事なのは数字そのものではなく、人と犬猫では、ちょうどいいとされる位置がずれているという一点です。だから「弱酸性だから、どの動物にとってもよい」という言い方は、位置の話としては成立しません。
| 表示に書いてあること | そこから分かること | 書いていないと分からないこと |
|---|---|---|
| pHの数字だけ | その液がどちら寄りに位置しているか | 何を溶かしてその位置にしているか |
| pHの数字と原料 | 位置と、中身の両方 | 使ったときにその子の皮膚がどうなるか |
| 「弱酸性」とだけ | 5〜6あたりの領域にあるらしいこと | 誰の皮膚に合わせた話なのか |
| 「アルカリ性」とだけ | 7より上にあるらしいこと | 8なのか11なのかで、隔たりは1000倍違う |
| 何も書いていない | — | 位置も中身も確かめようがない |
表の4行目が、この記事でいちばん実用的なところかもしれません。「アルカリ性」という言葉だけが書いてあるとき、それがpH8なのかpH11なのかは分かりません。この2つのあいだには1000倍の隔たりがあります。同じ「アルカリ性」という3文字で呼ばれていても、位置としてはまったく別の場所にいます。逆に、数字が書いてある製品は、それだけで読む材料を1つ多く渡してくれている、と受け取れます。
最後に、動物病院での経験について1つ書いておきます。診察で皮膚の話になったとき、pHという言葉が出てくることがあります。そのときに聞いておくとよいのは、数字そのものよりも「今この子は、どちら寄りにいるとお考えですか」という位置のほうです。皮膚の赤み、かゆみ、においの変化が続いているときは、pHの数字を自分で調べる前に、動物病院で相談してください。数字は、診てもらったあとの毎日のケアを組み立てるための材料であって、診断の代わりにはなりません。
毎日のケアでpHをどう受け取るか|アルカリ側に位置する水の考え方
毎日のケアでpHを受け取るときの軸は、「強いか弱いか」ではなく「どちら寄りか」です。ここまでで、pHとは位置の数字であること、1違うと10倍動くこと、人と犬で位置がずれていることを書きました。最後に、この数字が犬猫の毎日のケアとどうつながるかを1つだけ置きます。なぜ、アルカリ側に位置する水は、洗剤を使わずに皮脂の汚れを浮かせられるのかという話です。
被毛や皮膚に残っている汚れの多くは、皮脂です。皮脂は油で、水とはなじみません。だから、ただの水で流しても落ちにくい。ここでアルカリ側の水と出会うと、油の一部が水になじみやすい形に変わるとされています。石けんが古くからアルカリ側で作られてきたのも、同じ考え方です。洗剤が汚れを落とす仕組みと、アルカリ側の水が汚れを浮かせる仕組みは、出発点が違います。前者は界面活性剤の働き、後者は位置の働きです。
ただし、ここで前のセクションの表に戻ってください。位置が同じでも、中身が同じとは限りません。何を溶かしてその位置にしているかで、まったく別の液になります。同じアルカリ性でも、電気分解で作った水と、粉を溶かして作った水では、残るものが違います。pHという数字は位置しか教えてくれないので、中身は別に読む必要があります。ここが、この数字のいちばんの限界です。
ここで、中身の側の話を1つだけします。ワンテンスの特許電解水は、水を電気分解して、アルカリ側に位置させた水です。技術としては特許5253483(三室ダブルイン型 電解分解技術)で、電解槽が3つの部屋に分かれ、部屋のあいだをイオン交換膜で仕切る構造です。部屋が分かれていることで、電解質に由来する不純物が生成した水の側に入りにくくなっています。特許は技術が登録されたことを示すもので、体に何が起きるかを証明した番号ではありません。ここは分けて読んでください。
数字をもう1つだけ添えます。電解効率という言葉があって、これは投入した水のうち、どれだけが実際に電気分解を受けたかを表したものです。一般的な飲料用のアルカリイオン水では約20%とされ、残りの8割は電気分解を受けていない水のまま混ざっています。ワンテンスの電解還元水は、この電解効率がほぼ100%です。同じ「アルカリ性の水」という呼び名でも、中身の作りが違うという話で、pHという数字だけを並べても見えてこない部分になります。
犬も猫も、体に置かれたものを、あとから自分でなめます。顔のまわりや内股は、こちらが拭いたあとに何が残っているかを、その子が口で確かめる場所です。ここだけは、拭く人の側で先に決めておくしかありません。そして、なめる場所に置くものを選ぶとき、pHの数字は答えを持っていません。位置は読めても、何を溶かしてその位置にしたのかが、数字には書かれていないからです。mofuwa スキンケアミストの中身は高機能性電解酸化水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアした成分でできています。だから、口のまわりや目のまわりのように、拭いたあとに自分でなめてしまう場所にも置けます。スキンケアミストを選ぶときに見ているのは、pHの数字よりも、なめる場所に置けるかどうかのほうです。ボトルの裏を見るときは、pHの数字の隣にある原材料の欄まで、続けて読んでください。数字が1つ刷ってあることよりも、そこに何が並んでいないかのほうが、なめる場所では大きい差になります。
- pHとは、酸性かアルカリ性かを0から14で示した位置の数字。7が中性
- 液体にしか付かない数字。皮膚のpHとは、表面の水分の膜を測ったもの
- 1違うと10倍。2違えば100倍、3違えば1000倍
- だからpH9とpH10は「1しか違わない」ではなく「10倍離れている」
- 人の皮膚は平均で5を下回り、犬は中央値5.75〜6.82という報告。犬のほうがアルカリ寄りに位置する
- 「アルカリ性」とだけ書いてあるとき、8なのか11なのかは分からない
- 位置が同じでも中身は同じではない。何を溶かしてその位置にしたかを別に読む
pHという2文字を見かけたときに、「強いのか弱いのか」ではなく「どちら寄りにいるのか」「うちの犬の位置と、どれだけ離れているのか」と読み替えられるようになれば、この言葉を調べた甲斐があります。数字が小さく刷られたボトルの裏を、明日から少し違う目で見られるはずです。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- 犬の皮膚のpHはいくつですか?
- 5品種を測った報告では、中央値が5.75〜6.82でした(Kwon ら、Veterinary Dermatology 2025)。年齢・性別・測る部位で動くため、1つの数字で言い切れる値ではありません。同じ報告に、犬の皮膚のpHは人の皮膚よりアルカリ寄りだと書かれています。
- 猫の皮膚のpHは、犬と同じですか?
- 猫の報告値は6.39〜6.64(部位別)で、犬の報告値と近い範囲にあります。オス6.94・メス6.54という差も出ています(Szczepanik ら、Journal of Feline Medicine and Surgery 2011)。犬と猫を直接比べた測定は、私たちが確認できた範囲では見当たりませんでした。
- 「弱酸性」と書いてあれば、犬にも合っていますか?
- 弱酸性という言葉だけでは分かりません。人の皮膚の表面は平均で5を下回るとされ、そこに合わせた弱酸性は、犬の皮膚の位置より酸性側です。数字が書いてあるか、何を溶かしてその位置にしているかまで読むと、材料が2つに増えます。
- pHが1違うと、どれくらい違うのですか?
- 10倍です。2違えば100倍、3違えば1000倍になります。pHは水素イオンの量を「けたの数」で表した数字なので、1目盛りごとに10倍ずつ動きます。pH9とpH10は、見た目には1しか離れていませんが、隔たりは10倍です。
本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
