C05犬種・猫種別ケア
アイリッシュセッターと暮らすなら知っておきたい、毛玉の話
先週の火曜日にはもうできていた毛玉に、気づいたのは日曜日でした。アイリッシュセッターの被毛は、赤褐色のつやが表面をそろえているので、内側で何が起きても見た目が変わりません。太い毛やちぢれた毛なら、絡んだ分だけ表面が浮いて乱れます。細くまっすぐな毛は、下で組み合っても、上の流れがそのまま残ります。目で気づいた日と、触れば分かっていた日のあいだには、それだけの差ができます。この記事では、その2つの段階を比較して、いま自分の子がどちらなのかを確かめる手を書きます。
つやのある表面の下で、アイリッシュセッターの毛玉は育ちます
アイリッシュセッターの被毛は、赤褐色で、絹に近い細さのまっすぐな長毛です。1本1本が細いので、そろって同じ向きに寝ます。そろって寝た毛の面は、光をきれいに返します。あのつやは、毛が同じ向きにそろっていることの結果です。そして、この「そろって見えること」が、毛玉を隠します。
毛の太さで考えると分かりやすくなります。太い毛やちぢれた毛が内側で絡むと、絡んだ分だけ上の毛が押し上げられて、表面が浮きます。見た目が乱れるので、目で気づけます。細くまっすぐな毛は、下で数十本が組み合っても、上を通っている毛の流れを持ち上げるほどの力になりません。表面はそろったまま、つやも残ったままです。
だから、アイリッシュセッターの毛玉には順番があります。まず根元の側で毛どうしが組み合い、次にそこへ抜けた毛が入り、少しずつ締まっていきます。この間ずっと、外から見た体はきれいなままです。表面に変化が出るのは、内側のかたまりが持ち上がるほど大きくなってからで、そこまでには何日もかかります。
- 毛が細い:少ない力で組み合い、組み合っても上の流れを動かしません
- 毛がまっすぐ:表面がそろうので、つやが乱れにくくなります
- 毛が長い:組み合う面積が広く、根元の側から締まっていきます
- 色がひとつ:赤褐色の一色なので、影の差が目に入りにくくなります
- 換毛期がある:抜けた毛が長い被毛の中に留まり、芯になります
毛玉の場所は、体の下側と、動きの多いところに寄ります。耳の後ろ、胸元、前脚のつけね、腹、後ろ脚の裏、しっぽの根元。ここは、上から見下ろしたときにいちばん見えない面でもあります。見えない場所に、見えない状態で進む。この2つが重なるので、気づくのが遅れます。
この犬種のつやは、被毛の状態が良いときのしるしでもあります。ただし、つやが残っているからといって、下で何も起きていないとは言い切れません。つやを見て安心するのをやめて、手のひらで確かめる。この記事で言いたいのは、そこだけです。
見えるまでと、触れば分かるまで|毛玉に気づく時期を比較する
同じ毛玉でも、気づき方によって、見つかる時期がずれます。手で分かる時期と、目で分かる時期は、別ものです。ここでは、アイリッシュセッターの毛玉を、その2つの段階に分けて比較します。どちらが正しいかではなく、いま自分の子がどちらの段階にいるかを決めるための表だと思ってください。
| 触って分かる段階 | 目で見て分かる段階 | |
|---|---|---|
| 表面の見え方 | つやも流れもそろったまま | 一か所だけ流れが割れる |
| 毛玉の深さ | 根元から数ミリのところ | 根元から地肌まで届いている |
| 大きさ | 指の腹にわずかに触れる | つまんで持ち上がる |
| 気づくきっかけ | なでたときの手ざわり | 影とへこみが目に入る |
| 気づく時期 | 組み合った数日後 | そこからさらに何日も後 |
| 家でできること | 毛先から少しずつほどける | 無理をせず、場所を伝えて任せる |
季節でも条件が変わります。空気が乾く時期は、とかすたびに静電気が起きて毛先どうしが寄るので、組み合うまでが速くなります。換毛期は、抜けた長い毛が被毛の中に留まって芯になるので、締まるまでが速くなります。どちらの時期も、目で見える速さは変わりません。内側だけが速く進むので、差はむしろ広がります。
つまり、この犬種で見た目を頼りにすると、いちばん手を入れやすい数日を、毎回そのまま逃すことになります。やり方を増やす話ではありません。気づき方を、目から手に変えるという話です。
どっちの段階か|手のひらと指の腹で確かめる条件
段階を分けるのに、道具は要りません。手のひらで面を見つけて、指の腹で深さを見る。この2段構えで足ります。犬を横に立たせて、片手で体を支え、もう片方の手だけを動かします。ブラシは持たずに始めてください。ブラシを持つと、確かめる前にとかしてしまいます。
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手のひら全体を、毛の流れに沿って滑らせる
指先ではなく、手のひらです。面で触ると、点では気づけない引っかかりが分かります。胸元から前脚のつけね、腹、後ろ脚の裏、しっぽの根元の順に、ゆっくり通してください。途中で滑りが変わるところが、確かめる場所です。
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滑りが変わった場所で、指の腹を根元まで下ろす
毛を左右に分けて、指を地肌の方向へ入れます。途中で止まるなら、そこに毛玉があります。止まる位置が根元から数ミリなら、まだ触って分かる段階です。地肌まで指が届かないときは、次の段階に入っています。
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止まった場所を、上下からつまんで大きさを見る
指の腹にわずかに触れる程度なら、その日のうちにほどけます。つまんで持ち上がるなら、下の地肌も一緒に持ち上がっています。持ち上がるかどうかが、家でやるか任せるかの線です。力を入れて確かめないでください。
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左右を同じ順で通して、差をメモする
片側だけに集まるときは、寝る向きや、いつも当たっているものが決まっています。日付と場所だけの1行で足ります。次に同じ場所を触ったとき、進んだのか止まっているのかが分かります。アイリッシュセッターの毛玉は目で追えないので、記録がそのまま目のかわりになります。
内側は光を入れても見えないので、明るい場所に移す意味はあまりありません。それより手が乾いていることのほうが効きます。湿った手は毛の上を滑らないので、引っかかりの差が分からなくなります。手を拭いてから始めてください。週に一度、抱き上げたついでに全身を通す、と決めておくと続きます。
気づく前に手を入れる|アイリッシュセッターの毛玉に届く順番
手で見つけたら、そのままほどきます。順番を守れば、道具は粗いコーム1本で足ります。細い毛は力に弱いので、強く引くほど切れて、切れた毛がまた芯になります。急がないことが、いちばんの近道です。
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とかす前に、毛先の滑りをそろえる
乾いた日ほど、いきなりコームを入れると静電気で毛先が広がります。mofuwa グルーミングスプレーを布に含ませて、被毛の表面を毛先の方向へ一度なでてください。含ませるのは、布の面がしっとりする程度で足ります。先に滑りをそろえておくと、コームが引っかからずに一度で通ります。
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根元を指ではさんで固定してから、毛先を動かす
毛玉の根元側を親指と人差し指ではさみ、そこを支点にします。そのうえで、毛先の側からコームを入れます。根元から入れると、地肌ごと引っぱることになります。この犬種の毛は細いので、引かれた感覚が犬に伝わるまでが早い。ゆるんだところで手を止めて、残りは翌日に回してください。
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ほどけた分だけ進めて、その日はそこで終える
半分ほどけたら、そこで置きます。翌日また同じ場所に手を入れれば足ります。一度で終わらせようとするほど、毛が切れて次の芯が増えます。週に一度の全身より、毎日1か所のほうが、この毛質には合っています。
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ほどいてから洗う。洗ってからほどかない
毛玉が残ったまま濡らすと、水を含んで締まります。乾く過程で、さらに固まります。洗う日は、その前に手のひらで全身を通しておくところまでを1セットにしてください。換毛期は、洗う前後に抜けた毛を運び出す手を1回増やします。
ほどけない毛玉に、家でハサミを入れるのは避けてください。毛玉の下では、引っぱられた皮膚が持ち上がっています。毛だけを切っているつもりでも、先が皮膚に届きます。引き抜くのも同じです。持ち上がる大きさになっているものは、次のトリミングまで待つか、場所を伝えて任せてください。地肌が赤い、痛がるといったときは、先に動物病院にご相談ください。
mofuwa グルーミングスプレーは、毎日きれいにしてあげたいという前提で作られた無香料のスプレーです。散歩のあとや、コームを入れる前に、被毛の表面をなでるように使えます。舐めても問題のない基準でつくられているので、量を気にしなくて済みます。組み合ったばかりの毛先は、滑りがそろうだけで指でほどけることがあります。ただし、すでに締まっている毛玉に直接吹きかけて、そのままにしないでください。濡らした日は、その日のうちに乾かしきります。
2021年6月に加わった mofuwa スキンケアミストは、全身ではなく、気になる部分にだけなじませて使うタイプです。アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリーで、肌のコンディションを整えるために作られています。毛玉をほどいたあと、引っぱられていた地肌の側にも手を届けておきたいときに使ってください。グルーミングスプレーが被毛の側、スキンケアミストが地肌の側と、受け持つ面が分かれています。地肌が赤い、じくじくしているときは、何かを足す前に動物病院にご相談ください。
表面がきれいなまま、地肌のほうが変わるとき
ここまでは、手で追える範囲の話でした。被毛の見た目が変わらないまま、地肌の側だけが変わっていることがあります。この犬種では、その変化も表面からは見えません。だから、毛玉を確かめる手のついでに、地肌のほうも見る習慣にしておいてください。
- 同じ一か所に、何度も毛玉が戻る:ハーネスや寝床の縁が当たり続けていないか見てください
- その場所を、なめる・かむ・床にこすりつける:毛玉より先に、地肌のほうを見てください
- ほどいたあとの地肌が赤い、においがある:湿ったまま続いた結果として起こることがあります
- 手のひらを通したとき、犬が同じ場所で振り向く:痛みがあるときは、その場で手を止めます
- 換毛期でもないのに、毛が根元から抜けて地肌が見える:手入れの話ではなくなります
毛玉の下の地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。この中に当てはまるものがあれば、手でほどくのはやめて、動物病院で地肌の側を見てもらってください。この犬種は表面がきれいに見えるぶん、変化が進んでから気づくことがあります。手で気づいた日を1行残しておけば、いつからの変化かをその場で伝えられます。
相談やトリミングの前には、手で気づいた日、場所、そのとき指が根元まで届いたかどうかの3つをメモしてください。確かめる手順のところで書いた1行が、そのまま使えます。ほどけなかった毛玉は、途中まで引かずに、そのまま連れて行ってください。半分ほどいた跡があると、もとの深さが分からなくなります。
アイリッシュセッターと暮らすうえで、毛玉はゼロにはなりません。細くまっすぐな毛は、それだけで組み合いやすいからです。見た目で判断するのをやめて、週に一度、手のひらで全身を通す。目で気づくより何日も早く見つかるので、そのぶん、ほどく時間も短くてすみます。つやのある背中は、そのままにしておいて大丈夫です。確かめるのは、いつも見えていない側です。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 毎日ブラッシングしているのに、アイリッシュセッターに毛玉ができます。
- ブラシが通る場所と、毛玉ができる場所がずれていることがあります。この犬種の毛玉は、体の下側と動きの多いところ、つまり上から見下ろしたときに見えない面に寄ります。とかす前に、手のひらで胸元・腹・脚の裏・しっぽの根元を通してみてください。引っかかりのある場所を先に見つけてから、そこへ手を入れる順番にすると変わります。
- 表面につやがあるので、毛玉はないと思っていました。
- つやは、細くまっすぐな毛が同じ向きにそろっていることの結果です。内側で数十本が組み合っても、上を通る毛の流れを持ち上げるほどの力にならないので、見た目は変わりません。つやがあることと、内側で何も起きていないことは別に考えてください。確かめ方は、見ることではなく触ることです。
- 毛玉を見つけたとき、その日のうちに全部ほどくべきですか?
- 半分でかまいません。細い毛は強く引くと切れて、切れた毛がまた次の芯になります。ほどけた分だけ進めて、その日はそこで終える。翌日また同じ場所に手を入れる。この進め方のほうが、結果として早く終わります。つまんで持ち上がる大きさになっているものは、無理をせず、場所を伝えてサロンに任せてください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
