C05犬種・猫種別ケア

スタンダードプードルの巻毛|毛玉を毎日のケアで防ぐ

公開日 2021年7月13日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、巻いた毛の大型犬が静かに立っている
巻いた毛は、水を含むと縮みます。乾くまでの時間が長い体では、その縮む時間も長く続きます。写真:Pexels/Pixabay

乾かし終わったスタンダードプードルの背中に指を入れると、脇の手前で手が止まる。ドライヤーを置いた直後です。洗う前には無かったはずのものが、乾いたあとにできています。この順番には理由があって、毛玉が育つのは洗っている時間ではなく、乾かしている時間のほうです。プードルの巻毛は、もともと水を含んで体を守るための毛でした。水を含んだ毛は、乾いていく途中で縮みます。そして体の大きいスタンダードは、乾ききるまでにかかる時間が長い。その長いあいだ、毛はずっと縮み続けています。

水を含むための毛|スタンダードプードルの巻毛が巻いている理由

プードルは、もともと水辺で仕事をしていた犬です。撃ち落とされた水鳥を、水の中から回収して連れ帰る。その仕事のために、水と付き合う被毛を持っています。巻毛は見た目のためについているものではありません。水を含み、含んだまま体のまわりに留めて、冷たい水がすぐ地肌に届かないようにする。そういう作りをしている子が多い、と考えてください。

巻いた毛は、まっすぐな毛にくらべて、毛と毛のあいだに空間を持っています。そこに水が入ります。水を抱えられるということは、乾くときに手放す水も多いということです。そして繊維は、水が抜けていく途中でわずかに縮みます。毛糸のセーターを濡らして干したことがあれば、乾いたあとに目が詰まっていた感覚が近いはずです。巻毛では、その縮みがカーブに沿って起きます。

もうひとつ、スタンダードプードルの毛には伸び続けるという作りがあります。ある長さで抜け替わって止まるのではなく、切らなければ伸びていく子が多い。換毛期に下毛がまとまって抜け、床に落ちるという形の抜け方も、はっきりしません。抜けた毛は落ちずに、巻きの中に残ります。

この4つを重ねると、スタンダードプードルの毛玉は「絡まったもの」というより「締まったもの」だと見えてきます。何かが引っかかって団子になったのではなく、水が抜けていく過程で、毛どうしの距離が詰まりきったものです。だから毛玉のでき方を考えるときは、洗う工程ではなく乾かす工程を見ることになります。

Note巻毛は「乾きにくい毛」ではなく「水を抱える毛」です

乾きにくい毛質だから困る、という話ではありません。水を抱えるためにそう巻いている毛が、家のドライヤーの前でも同じことをしているだけです。その作りを変えることはできませんが、水が抜けきるまでの時間には手を入れられます。毎日のケアで防ぐというのは、この時間に手を入れることを指しています。

半乾きの時間が長いほど、毛は締まり続ける

スタンダードは、プードルの中でいちばん体の大きいサイズです。体が大きいというのは、毛の生えている面が広く、毛の総量が多く、抱える水の量も多いということでもあります。同じドライヤー、同じ人の手でも、乾き終わるまでにかかる時間が長くなります。

ここが毛玉の話につながります。毛が締まるのは水が抜けていく途中なので、乾くまでの時間が長いほど、締まっている時間も長くなります。短い時間で乾ききってしまう体なら、締まりきる前に工程が終わります。時間のかかる体では、締まる工程が最後まで進みます。

乾いていく途中で、毛の側に何が起きているか
濡れている半乾き乾いたあと
毛の状態水を含んで重い水が抜けながら縮む縮み終わって止まる
毛どうしの距離水で離れている隣へ寄っていく寄ったまま固まる
毛玉まだできていないここで育つもう動かない
根元への指の通り重いが通る途中で止まりはじめる入らない
手を入れる余地あるいちばんあるほとんどない
見た目濡れて締まって見える表面はもう乾いて見えるふくらんで見える

表の真ん中の列が、スタンダードプードルでいちばん長く続く時間です。半乾きの時間が長い。毛の量が多いので、表面が乾いても根元はまだ湿っています。手のひらでなでると乾いたように感じるのに、指を根元まで入れると奥が冷たい、ということが起きます。

同じ一頭の中で、乾く速さが分かれる 毛先の側と根元の側では、水が抜けるまでの時間が違います。表面が乾いて見えている時間帯にも、根元は縮み続けています。 同じ体の中で、条件が2つに分かれます 毛先の側 風が直接あたる 先に乾いて軽くなる 手のひらで乾いたと分かる 縮みはここで終わる 根元の側 毛量にさえぎられる 最後まで湿りが残る 指を入れないと分からない 縮みがここで続く 表面の手ざわりだけでは、根元の湿りは分かりません
乾かし終えたつもりの時間が、いちばん締まる時間になることがあります。

根元が湿ったままだということは、そのぶん縮む時間が続いているということです。しかも根元は、上から見ても分かりません。乾かし終えたつもりでいる時間が、実はいちばん毛玉の育つ時間になっていることがあります。冒頭の、ドライヤーを置いたあとに手が止まる感覚は、この時間差から来ています。

空気の乾く季節には、これとは逆向きの話も乗ります。乾ききったあとの毛先は静電気で広がり、広がった毛先どうしが寄ってまとまります。湿っているあいだは根元が締まり、乾ききってからは毛先が寄る。スタンダードプードルでは、この2つが同じ日のうちに順番に起きます。とかすタイミングを1回きりにすると、どちらかを取りこぼします。

Point乾いたかどうかは、手のひらではなく指の腹で確かめます

毛量のある体では、手のひらは表面の毛先にしか触れていません。指を毛のあいだに差し込んで、根元の地肌にあてる。冷たさが残っていれば、まだ半乾きの時間の中です。首の後ろ、脇、内股、しっぽのつけねの4か所を、この確かめ方で回してください。うるおいを保つという意味でも、乾かしすぎと湿ったままの両方を避けたい場所です。

乾かす順番を変えるだけ|毎日のケアの考え方

毛玉を防ぐためにできることは、道具を増やすことではありません。乾かす工程のどこに手を入れるかを決めるだけです。考え方は3つに絞れます。締まる前にほどいておくこと。締まっている時間そのものを短くすること。そして、湿ったままの場所を残さないこと。スタンダードプードルの毎日のケアは、この3つでだいたい決まります。

  1. 濡れているうちに、根元を分けておく

    水を含んで重くなっている毛は、指で分けやすい状態です。脇、内股、耳の後ろ、しっぽのつけねを、地肌の見える線ができるまで手で分けておきます。この時点ではとかしません。分けておくだけで、乾いていく途中に毛どうしが寄る相手が減ります。

  2. 毛先ではなく、根元に風をあてる

    表面から乾かすと、乾いた毛先が屋根になって、根元の水が逃げにくくなります。片手で毛を持ち上げ、風の入口をつくってから、根元へ向けて乾かしてください。先に乾かすべきなのは、いちばん最後まで湿っている場所です。順番を入れ替えるだけで、半乾きの時間が短くなります。

  3. 半乾きのうちに、目の粗いコームを一度だけ通す

    完全に乾いてからとかすのでは、締まったあとになります。根元を指ではさんで支え、毛先の側からコームを入れて、少しずつ上へ移してください。この1回は、ほどくためではなく、寄っていく途中の毛を離しておくためです。ここで力を入れる必要はありません。

  4. 乾いたと思った場所に、もう一度指を入れる

    ドライヤーを置く前に、首の後ろ・脇・内股・しっぽのつけねの4か所を指の腹で確かめます。冷たさが残っていれば、そこだけ追加で乾かします。体の大きい子ほど、この見落としが毛玉の場所とそのまま重なります。

  5. 間の日は、毛先の滑りをそろえてからとかす

    空気が乾く時期は、とかすほど毛先が広がって寄ります。布に含ませて表面をなでてからとかすと、静電気による寄りが起きにくくなります。量は、布が湿るくらいで足ります。地肌まで届くほど入れた日は、その日のうちに乾かしきるところまでを1セットにしてください。

乾かす前・途中・あとで、手に持つものが変わる
濡れているとき半乾きのとき乾いたあと
使うもの指だけ目の粗いコーム指とコームの併用
ねらい分けておく寄る前に離す残りを確かめる
見る場所こすれる面の根元根元から毛先へ地肌の温度
やらないこと細かい目のブラシ根元からブラシを入れる湿ったまま終える
かける時間分けるだけの短時間場所ごとに区切って確かめるだけ

乾ききってから毛先が寄る側には、とかす前に手を入れておけます。mofuwa グルーミングスプレーは、グルーミングスプレーでありブラッシングスプレーでもあるので、コームを入れる前に毛先の滑りをそろえておく使い方ができます。布に含ませて、脇や内股のようにこすれる面をなでてください。静電気で隣へ寄りかけていた毛先が離れたところから、とかしはじめられます。舐めても差し支えのない基準でつくられているので、こすれる面の数だけ量を使って構いません。毛先の側を毎日そろえておくと、巻きの中に残った抜け毛が、縮みの芯になる前に落ちます。ただし、すでに締まりきった毛玉に吹きかけて置いておく使い方はしません。ゆるむのは、指とコームで毛どうしの距離を戻したあとです。

Caution引っぱらない、ハサミを入れない

締まった毛玉を早く取ろうとして、引き抜く・ハサミを入れる、はどちらも避けてください。締まった毛玉の下には、引っぱられて持ち上がった皮膚があります。毛だけを切っているつもりでも、ハサミの先が皮膚に届きます。ほどけないものは次のトリミングまで待つか、場所を伝えてサロンに任せてください。乾かす前にスプレーをかければ毛玉が治りますといった考え方でも進めないでください。

毎日のケアといっても、5つの手順を全部を毎回やる必要はありません。洗った日は1から4まで、間の日は5だけ。これで足ります。うるおいの面から見ても、洗う回数を毛玉に合わせて増やすのは逆向きです。締まった毛玉が水を含めば、乾くときにさらに締まります。順番は、ほどいてから洗う、です。

手ざわりの変化と、経験だけで様子を見ないほうがよい線

ここまでは、乾かす時間で説明のつく毛玉の話でした。時間や場所と結びつかない変化は、別のものとして扱ってください。乾かし方を変えていないのに、ある時期から同じ場所だけが毎回締まる。短くカットした直後で長さがないのに、面で固まる。そういうときです。

Caution指を入れる4か所のうち、1か所だけが毎回戻るとき

毛玉の下の地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、自分でほどこうとせず、動物病院にご相談ください。締まった毛玉の下は外から見えないぶん、変化が進んでから気づくことになります。指を入れる4か所のうち、同じ1か所だけが毎回戻るときは、その場所を伝えて先に診てもらってください。

何年か一緒に暮らしていると、手のほうが先に気づくようになります。同じ場所に指を入れる回数が積み重なって、いつもと違う手ざわりが分かる。この経験は、見つけるまでの速さという意味では確かに役に立ちます。ただし、経験は様子を見る期間を延ばす理由にはなりません。「前もこうだった」で数日置くより、写真を1枚撮って日付を残しておくほうが、あとで役に立ちます。

相談やトリミングの前には、最後にカットした日、締まっている場所、いつから気づいたかの3つをメモしてください。ほどけなかった毛玉は、無理に触らずそのまま連れて行ってください。途中までほどこうとした跡があると、もとの状態が分からなくなります。

スタンダードプードルと暮らすうえで、毛玉がゼロになることはありません。水を抱えるための毛が、乾くときに縮むという作りをそのまま持っているからです。できないようにするのではなく、締まる時間を短くしておく。乾かす順番を入れ替えて、乾いたと思った場所にもう一度指を入れる。毎日のケアで防ぐというのは、その2つを続けることです。手を入れる場所は、いつも同じところにあります。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。