C05犬種・猫種別ケア

ラサアプソのケア|毛玉を減らす3つの習慣

公開日 2021年7月27日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の床の上に、長い毛の小型犬が静かに立っている
床につく長さの毛は、歩くたびに床の面を通っています。その面は、立っている姿勢では見えません。写真:Pexels/Pixabay

ラサアプソが部屋を横切るとき、脚より先に、体の下の毛が床の面をなでていきます。チベットの寺院で番犬として過ごしてきた犬で、切らずにいると毛は床につくまで伸びます。だからラサアプソの毛玉は、芯に「床から拾ったもの」を抱えていることが多くなります。細かい砂、人の髪、布の繊維。しかもその場所は体の下側なので、立っている姿勢のままでは、その子自身からも飼い主からも見えません。ここでは、床につく長さのまま暮らす場合と短くする場合の違いを比べたうえで、毎日・毎週・時期ごとの3つの習慣に落としていきます。

床の面をなでている毛|ラサアプソの毛玉に芯ができるまで

ラサアプソの被毛は、上に長く硬めの毛があり、その下に柔らかい毛を持つ子が多い被毛です。そして切らずにいると、毛は床につくまで伸びます。寺院の中で番犬として過ごしてきた犬で、屋外の作業で毛が擦り切れるような暮らし方をしてきませんでした。伸びたままの長さが、そのまま残っています。

床につく長さの毛は、歩くたびに床の面を通ります。脚が床に触れるより先に、体の下側の毛が床をなでている。そこにあるものが、毛のほうへ移ります。細かい砂、自分の抜けた毛、人の髪、布の繊維、食べこぼしの粉。どれも1回では気にならない量です。

移ったものは、長い毛の中ほどに引っかかって止まります。落ちずに残ったそれが芯になって、周りの毛が巻きつく。ラサアプソの毛玉は、毛だけが絡んだものというより、拾ったものを毛が包んだものになりやすいという言い方ができます。芯が毛でないぶん、とかしても崩れません。

やっかいなのは、その場所が見えないことです。体の下側は、立っている姿勢では長い毛に覆われています。上から見下ろしても、横から見ても、そこは毛の裏側です。

体の上側にできる毛玉と、下側にできる毛玉の違い
背中など体の上側胸から下、体の下側
きっかけこすれ、静電気床の面をなでて拾う
芯の中身抜けた毛が中心抜けた毛と、拾ったもの
気づき方見れば分かる抱き上げないと分からない
進み方少しずつ大きくなる拾った日に一気に固まる
コームの入り根元まで入る芯のところで止まる
とかしたあと毛先がそろう芯を出さないと戻らない
Note芯が毛でないなら、とかす作業では終わりません

抜けた毛が絡んだだけの毛玉は、根気よくとかせば1本ずつに戻ります。芯に砂や繊維が入っている毛玉は、とかしても芯がその場に残ります。だから同じ場所に、何度でも戻ってきます。ラサアプソの毛玉で「昨日ほどいたのに」が起きるときは、芯そのものを出せていないことがあります。

床につく長さのままか、短くするか|毎日の中身が変わる違い

ラサアプソと暮らすうえで、毛の長さには大きく2つの選び方があります。床につく長さのまま維持する暮らし方と、床に触れない長さまで短くする暮らし方です。どちらが正しいという話ではありません。ただし、選んだほうによって毎日やることの中身がまったく変わります。

毛の長さで、毎日の手入れの中身が入れ替わる 床につく長さのままなら、拾ったものを出す作業が毎日の中心になります。短くすれば、床に触れる面そのものが減ります。かわりに、こすれる場所へ毛玉が散ります。 同じ犬種の中で、条件が2つに分かれます 床につく長さのまま 毛が床の面をなでる 芯に拾ったものが入る 毛玉は体の下側に集まる 毎日15分ほど手が要る 短くする 床に触れる面が減る 芯は抜けた毛が中心 毛玉はこすれる面に散る 毎日3分から回せる 選び方は、見た目ではなく取れる時間の量で決まります
どちらを選んでも毛玉はできます。変わるのは、場所と進む速さです。
2つの選び方で、毎日と季節がどう変わるか
床につく長さのまま短くする
毎日やること拾ったものを毛から出すこすれる面をとかす
かかる時間15分前後3〜5分
毛玉の出る場所胸の下、内股に集まる脇、首、しっぽに散る
サロンの間隔短めに、洗いと乾かしを頼むカットのたびに長さを決める
湿度の高い時期床の湿りを毛が抱えて重くなる影響は小さい
空気が乾く時期毛先が広がって寄る静電気で毛先どうしが寄る
向いている暮らし室内中心で、時間が読める外に出る、時間が読めない

表を見て分かるのは、どちらを選んでも毛玉はできるということです。変わるのは「どこに」と「どのくらいの速さで」だけです。床につく長さのままなら、下側に集まって、拾った日に一気に固まります。短くすれば、こすれる面に散って、少しずつ大きくなります。

選び方でいちばん現実的な決め手は、毎日どれだけ時間が取れるかです。見た目の好みから入ると、続かなかったときに毛玉のほうが先に進みます。週の中で毎日15分が確保できないなら、短くする側から始めて、余裕が出てから伸ばすという順でかまいません。短くすれば毛玉を予防できますという考え方ではなく、手が回る条件を先に決める、という順番です。

習慣1:その日のうちに、下側の毛を一度通す

1つめは、毎日の動作です。散歩から帰ったとき、または部屋の掃除が終わったときに、体の下側の毛を一度だけ通します。とかす作業ではありません。その日に拾ったものを、固まる前に外へ出すための30秒です。

  1. 立たせたまま、手のひらを胸から後ろへ滑らせる

    毛の流れに沿って、胸の下からお腹、内股へと手のひらを通します。ここで探しているのは毛玉ではなく、引っかかりです。手が止まったところに、その日拾ったものがあります。

  2. 止まった場所で、指を毛の中に立てて根元まで下ろす

    手のひらでは表面しか触れません。指を1本立てて、地肌まで下ろします。途中で止まるなら、その位置に芯があります。深さが分かると、あとで出すときに迷いません。

  3. 指2本で毛を左右に開き、芯を目で見る

    毛を開いて、砂粒か、繊維か、抜けた毛の束かを見ます。芯が毛でないものなら、つまんで取り出せば終わりです。とかす必要はありません。取り出したら、周りの毛は自然に戻ります。

  4. 取れないものは、その場で無理をしない

    固まっていて指で出せないときは、その日は場所を覚えるだけにしてください。翌日、または週に一度の点検のときに、時間を取って扱います。30秒で終わらないものは、この習慣の対象外です。

この習慣が効くのは、芯がまだ固まっていないうちに触るからです。拾った直後の砂や繊維は、毛の中で浮いています。1日置くと、周りの毛が巻きついて動かなくなります。ラサアプソの毛玉を減らすうえで、いちばん短い時間でいちばん効くのがここです。

習慣2:週に一度、下から見上げて芯を探す

2つめは、毎日の動作ではなく点検です。週に一度、見えない面を「見る」姿勢を作ります。毎日の30秒は手で探していますが、手だけでは芯の正体までは分かりません。週に一度だけ、目で確かめる時間を持ってください。

  1. 床に膝をついて、犬の下から見上げる

    抱き上げてお腹を上に向けるのを嫌がる子は多いので、まず立たせたまま下から覗く方法を取ります。人が姿勢を変えるだけで、いままで一度も見ていなかった面が見えます。スマートフォンのライトを下から当てると、毛の中の影が分かります。

  2. 胸の下、脇の下、内股、後ろ足の内側の4か所を順に見る

    順を固定してください。この4か所は、床に近く、かつ左右の面が合わさる場所です。拾ったものが入り込んで、そのまま挟まります。左右を必ず比べます。

  3. 見つけた芯は、毛先の側からゆるめて出す

    根元からコームを入れると、皮膚ごと引き上げることになります。根元を指ではさんで支え、毛先の側から目の粗いコームを浅く入れて、少しずつ上へ移してください。芯が見えたら、コームではなく指でつまんで取り出します。

  4. 取り出したあとに、地肌を確かめる

    芯があった場所の地肌に、赤み、こすれた跡、においがないかを見ます。長いあいだ挟まっていた場所は、湿ったままになっていることがあります。ここは毛の話ではなく皮膚の話なので、気になる跡があればその週の記録に残しておいてください。

Point週に一度は、曜日ではなく行動に紐づけると続きます

「日曜にやる」と決めると、忘れた週がそのまま飛びます。掃除機をかけ終わったら、その流れで下から見る。床をきれいにした直後は、次に拾うものが減っている時期でもあるので、取り出した芯がそのまま「先週床にあったもの」の記録になります。5分で終わります。

習慣3:時期ごとに、毛の長さの方針を決め直す

3つめは、動作でも点検でもなく判断です。年に何度か、毛の長さをこのままにするか短くするかを決め直す時期を持ちます。一度決めた長さを、一年ずっと守る必要はありません。s2で比べた2つの選び方は、時期によって行き来してかまいません。

決め直すのに向いている時期は、生活のほうが変わるタイミングです。カレンダーで日付を決めるより、次のような時期に合わせるほうが自然に回ります。

毛玉が増えたときに、毎日の手を増やして押し返そうとすると、続かなくなったところで一気に戻ります。時期の側で条件が変わったなら、長さの方針を変えるほうが早い。床につく長さを一年通して維持することだけが、ラサアプソらしさではありません。夏だけ短くして、涼しくなってから伸ばす、という決め方も選べます。

Note3つの習慣は、粒度がわざと違います

習慣1は毎日の動作で30秒、習慣2は週に一度の点検で5分、習慣3は時期ごとの判断です。同じ粒度のことを3つ並べても、忙しい週に3つとも落ちます。粒度が違えば、1つが落ちても他が残ります。まず習慣1だけを2週間続けて、余裕ができてから習慣2を足す、という順でかまいません。

道具の使い分けと、家で触らないほうがよい毛玉

道具は、体の上側と下側で使い分けます。上側は面をとかす作業、下側は芯を出す作業なので、必要なものが違います。上側はブラッシングで毛先から根元へ順に進めれば足ります。下側は、まず指、次に目の粗いコーム、という順です。細かい目のブラシを下側にいきなり入れると、芯に当たった歯が皮膚まで届きます。

上側と下側で、道具と手順を使い分ける
背中など体の上側胸から下、体の下側
最初に持つものブラシ指
次に持つものコーム目の粗いコーム
進める向き毛先から根元へ毛先から浅く、横へ広げる
終わりの目安コームが通る芯が取り出せた
やらないこと同じ場所を往復させる根元からいきなり入れる

下側の30秒には、mofuwa グルーミングスプレーを一緒に置いておきます。布に含ませて、胸の下や内股のようにこすれる面を、毛の流れに沿ってなでてください。犬は体から脂を出すので、昨日きれいにした毛が、今日また床の面をなでています。拾った砂や繊維は、その脂と一緒に毛に残ります。中身のアルカリ電解水は油と乳化するので、その日ついたぶんが毛から離れます。必要な皮脂は残る作りで、すすぎにも拭き取りにも戻らないので、散歩から帰るたび、30秒のうちに収まります。グルーミングスプレーを通したあとにコームを入れると、毛先の滑りがそろっているぶん、指が芯のある場所で止まります。すでに固まっている毛玉には直接吹きかけず、水分を足したなら、その日のうちに乾かしきるところまでを1セットにします。

Caution下から見上げた面に、こういう変化が出たとき

毛玉の下の地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、自分でほどこうとせず、動物病院にご相談ください。体の下側は目に入らないぶん、変化が進んでから気づくことになります。週に一度の点検で見つけた日に、そのまま連絡を入れてください。

サロンや動物病院に行く前には、最後にカットした日、毛玉のある場所、取り出した芯が何だったかをメモしてください。取れなかったものは、無理に触らずそのまま連れて行ってください。途中まで引っぱった跡があると、もとの状態が分からなくなります。

ラサアプソの毛玉は、床につく長さの毛が床の面をなでる、という作りから来ています。その作りは変えられません。変えられるのは、拾ったものをその日のうちに出すこと、週に一度だけ見えない面を見ること、そして時期ごとに長さの方針を決め直すことの3つです。毎日15分の作業を根性で続けるより、粒度の違う3つを回すほうが、結果として毛玉は減ります。

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よくある質問

ラサアプソの毛玉が、いつも同じ場所に戻ってきます。とかし方が悪いのでしょうか?
とかす力の問題ではないことがあります。芯に床から拾ったものが入っていると、周りの毛をほどいても芯はその場に残るので、また同じところで固まります。毛を左右に開いて、芯が何かを目で確かめてください。砂や繊維なら、指でつまんで取り出すところまでが1回の作業です。
床につく長さを保つのと短くするのとでは、どちらが毛玉が減りますか?
短くすれば床に触れる面が減るぶん、拾ったものが芯になる毛玉は減ります。ただし毛玉そのものが無くなるわけではなく、脇や首など、こすれる面のほうへ場所が移ります。どちらを選ぶかは、毎日どれだけ時間が取れるかで決めるのが現実的です。時期によって行き来してかまいません。
体の下側を触らせてくれません。どうすればいいですか?
仰向けにするのをやめて、立たせたまま下から覗く方法に変えてください。人が床に膝をついて見上げるだけで、いままで見えなかった面が見えます。触るのは1日1か所でかまいません。嫌がる場所が決まっているなら、そこだけ痛みがある可能性もあるので、無理に押さえず動物病院にご相談ください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。