C09シーン別・暮らし

停電・断水のときを楽にする、保護犬・保護猫を迎えた人の毎日の習慣

公開日 2021年7月31日|文=mofuwa編集部

やわらかな光の入る部屋で、クリーム色の猫と白い犬が並んで休んでいる
水も電気もない日に残せるのは、手数ではなく、いつもと同じことが1つあるという事実です。写真:Nuri Askerhan/Pexels

夜10時すぎ、部屋の明かりが落ちて、冷蔵庫のうなりが止まった。迎えて3週間、やっと寝床の外の床で眠るようになっていたその子が、音の消えた瞬間に奥へ戻って、朝まで出てこなかった。翌朝には水も止まっていて、器を洗うこともできない。保護犬・保護猫を迎えた家で、停電と断水が重なった日に起きるのは、たいていこういうことです。断水そのものよりも先に、家の音と光が変わったことのほうが効いています。ペットのための備えというと、水と食べ物をどれだけ置いておくかの話になりますが、迎えたばかりの家ではもう1つ必要なものがあります。この記事は、保護犬・保護猫と暮らす家で、その子にとっての「いつもの1つ」をどう残すか、という読みものです。

冷蔵庫の音が消えた夜|保護犬・保護猫を迎えた家が、停電と断水で最初にする経験

停電の瞬間に起きるのは、暗くなることだけではありません。家の中で鳴り続けていた音が、いっぺんに止まります。冷蔵庫のうなり、換気扇、エアコン、テレビ。ふだんは誰も聞いていない音ですが、消えたときには全員が気づきます。保護犬・保護猫を迎えた家では、この瞬間にその子の側で何かが動きます。寝床の奥へ戻る、家具の後ろに入る、こちらが近づくと立ち上がって別の部屋へ移る。

翌朝、断水が続いていると、今度は人の手順が崩れます。器が洗えない。足を拭くための水が惜しい。トイレまわりの掃除が一度に済ませられない。ペットのために用意していた水も、飲む用と使う用で取り合いになります。やることは減っていないのに、使える手だけが減っている。この状態が半日も続くと、こちらの動きが速く、短くなります。

そして、その速さがその子に伝わります。迎えて数週間の保護犬・保護猫は、この家の人がどう動くかを、まだ覚えている途中です。動きの速さが変わっただけで、覚えかけていたものが一度止まります。断水の日に「ケアができなかった」と感じるとき、実際に止まっているのは水を使う作業だけではありません。その子との距離のほうが、先に戻っています。

この日にやりたくなることは、だいたい決まっています。安心させようとして、いつもより多く声をかける。抱き上げて明るい場所へ連れて行く。隠れているところをのぞきに行く。気持ちとしては自然ですが、保護犬・保護猫を迎えたばかりの家では、この3つがどれも「いつもと違うこと」になります。変わったものが1つ増えるだけで、戻るまでの日数は延びます。

ペットと停電・断水の話が、水の量と保存の話だけで終わらないのはここです。用意しておくべきものは、たしかに水と食べ物が先です。ただ、迎えて間もない家ではもう1つあります。条件が変わった日にも、変えずに残せるものを1つ持っておくことです。それが決まっていると、断水の日にこちらが何をすればいいかも、同時に決まります。

慣れは、部屋ではなく音と光と時刻でできています|ペットの断水対策が空回りする背景

保護犬・保護猫が新しい家に慣れていくとき、覚えているのは部屋の間取りだけではありません。音、光、時刻、そして人の動く順番。この4つの組み合わせが、その子にとっての「この家」です。寝床の場所を覚えたように見えても、それは「この音とこの明るさのときに、ここにいると何も起きない」という形で覚えられています。

停電は、この4つのうち3つを同時に変えます。音が消え、光が変わり、人の動く順番が変わる。断水は、そこに4つ目を足します。水を使う工程が抜けることで、毎日の順番そのものが組み替わります。器を洗ってからごはん、散歩から帰って足を拭いてから部屋、という順番が消えると、その前後にあった時刻もずれていきます。

停電と断水が、その子の側で何を変えるか
変わるもの停電で断水で
音家電の音がすべて止まります水の音がしなくなります
光明るさと、光の来る向きが変わります変わりません
時刻夜の始まりが早くなります食事とケアの時刻がずれます
人の動く順番手元を照らす分、動きが遅くなります洗う工程が抜けて、順番が変わります
その子の居場所音の消えた方向から離れます人が動き回る場所を避けます

ここが、ペットの断水対策が空回りしやすい背景です。備えの話は、どうしても物の話になります。水を何リットル、食べ物を何日ぶん、拭くものを何枚。物は増やせますが、増やした物は、その子にとっては全部「初めて見るもの」です。断水の日に新しい容器が出てきて、新しい場所に置かれ、いつもと違う手つきで使われる。保護犬・保護猫にとっては、変わったものがまた1つ増えたことになります。

迎えて日が浅いほど、この差は大きく出ます。長く一緒にいる子なら、家の中で何が起きても人の側を見て判断できます。保護犬・保護猫を迎えて数週間の段階では、その基準がまだできあがっていません。だから、条件が変わったときに戻る先が「人」ではなく「隠れられる場所」になります。振り出しに戻ったように見えるのは、そのためです。

もう1つ書いておきたいことがあります。こういう日に、その子が前にどこでどう暮らしていたのかを考えたくなります。ただ、そこは分かりません。分からないことを想像で埋めても、今日の手は1つも増えません。使えるのは、目の前で起きたことだけです。音が消えた瞬間に奥へ入った。人が速く動いた日は出てこなかった。この2つが、その日の材料になります。

ケアより先に「いつもの1つ」を残す|保護犬・保護猫と断水の日をわたる理由

ここからが習慣の話です。ペットの断水と停電への備えとして、やることは1つだけ決めます。停電でも断水でも続けられることを、平常時のうちに1つ選んでおく。選ぶ基準は3つです。電気が要らないこと、水が要らないこと、そして毎日同じ時刻にできること。この3つを満たすものなら、内容は何でも構いません。

選んだあとにすることは、変えないことだけです。停電した日も、断水の日も、その1つだけは同じ時刻に同じ形でやります。ほかのケアは全部あきらめて構いません。足を拭けない日があってもいい、ブラッシングを飛ばす日があってもいい。保護犬・保護猫を迎えた家で守る価値があるのは、手数ではなく、いつもと同じことが1つあるという事実のほうです。

  1. 平常時に、いつもの1つを決めて、時刻を固定する

    決めた内容より、時刻がそろっていることが先に効きます。夜9時、と決めたら、そこから動かしません。停電も断水も、時刻だけは奪いません。ペットの備えの中で、これがいちばん安く、いちばん早く用意できるものです。

  2. 停電したら、明かりを1か所だけつける

    家じゅうを照らそうとせず、いつもその子が過ごしている場所の近くに1つだけ置きます。光の来る向きが毎回同じなら、明るさが変わっても手がかりが残ります。懐中電灯をその子に向けないでください。向けるのは壁か天井です。

  3. 断水の日は、ケアする場所を1か所に絞る

    水が限られている日に全身をやろうとすると、どこにも届きません。おしりのまわりだけ、口のまわりだけ、と1日1か所に決めます。絞るのは水を節約するためだけではなく、その子の側で起きることを1つに保つためです。

  4. その日にやめたことを、1行だけ書いておく

    足を拭かなかった、ブラシを飛ばした、器を洗えなかった。断水が明けたあとに、何が抜けていたかが分かります。やったことより、やめたことを書くほうが後で役に立ちます。

音も光も変わった夜に、その子の側から確かめられるものは、あまり残っていません。触られた場所と、触られた時刻。この2つだけが、前の日と同じかどうかを比べられる材料になります。だから、夜の「いつもの1つ」は、人の手が入る形にしておきます。うちで使っているのは mofuwa スキンケアミストです。中身は高機能性電解酸化水だけで、清涼飲料水の規格基準に照らして確かめられているため、使う場所を体の部位で選び分けなくて済みます。背中も、耳のまわりも、口のまわりも、同じ1本で足ります。断水の日に増やさずに済むのは、この一本化のほうです。布に含ませて、背中から首まわりを毛の流れに沿って一往復。夜9時、同じ場所で、同じ順番で。これは水の代わりではありません。平常時から毎日この形でやっているから、水が止まった日にも同じ形が残る、というだけのことです。

皮膚と被毛の側にも、断水の日ならではの条件があります。拭く回数が増えると、地肌の側は乾きます。逆に、拭いたあとに湿ったままだと、そこだけ乾ききりません。拭くときは、最後に乾いた面でもう一度押さえてください。脇、内股、指のあいだのように毛が薄く空気の通りにくい場所は、湿りが残りやすい場所です。ペットの断水対策として、拭く回数より、拭いたあとを見ておくほうが効きます。

Point同じ日に、条件を2つ以上変えないでください

停電と断水の日は、それだけでもう条件が2つ変わっています。ここへ新しい寝床、新しい容器、新しい部屋を足すと、その子の側で何が起きたのかが分からなくなります。変えるものは、変わってしまったぶんだけで十分です。迎えたばかりの保護犬・保護猫にとって、変わらないものが1つ残っていることが、その日のいちばん確かな手がかりになります。

電気と水が戻ってからの変化は、断水の話では説明がつかないことがあります

電気が戻り、断水が明けると、家の音と光は元に戻ります。その子の側は、たいてい2日から3日かけて戻ります。いきなり元の場所で寝るようになるのではなく、寝床の外に前足だけ出す、部屋の入口まで来る、というふうに段階が戻っていきます。ペットの側の戻り方には段階があります。この時期にこちらがやることは、また1つだけです。いつもの1つを、同じ時刻に続けることです。

早く戻そうとして、触れる回数を増やさないでください。戻る速さを決めているのは、こちらではなくその子のほうです。手を増やした日は、変わったことがまた1つ増えた日になります。停電と断水の前まで背中を触れていた子なら、その背中1か所に戻すところから始めます。前に進めるのは、そこが2日続いてからで足ります。

ただし、日数がたっても戻らない変化があります。ここからは、環境が変わったこととは別に見てください。保護犬・保護猫を迎えた家では、その子のふだんがまだ分からないぶん、変化に気づくのが遅れがちです。断水や停電のせいだと思って待っているうちに、日が過ぎることがあります。

Caution迷ったときは、戻るのを待たずに動物病院へ

上のどれかに当てはまるときは、環境が落ち着くのを待たずに動物病院にご相談ください。保護犬・保護猫を迎えて間もない時期は、その子の平常時がまだ分かりません。「もともとこうなのかもしれない」と考える材料がないので、待つほど判断が難しくなります。停電や断水のあとで気になることがあるなら、早いほうを選んでください。

受診のときは、断水と停電のあいだにやめたことを書いた1行を持って行ってください。何日洗えなかったか、何日足を拭けなかったか、水を飲む量がどうだったか。この3つがあると、環境の条件で説明がつく範囲かどうかを、その場で切り分けてもらえます。断水の日にペットの飲み水をどれだけ確保できていたかも、あわせて伝えてください。迎えたばかりで通院の記録が少ない時期ほど、家の側の記録が役に立ちます。

ペットと暮らしていれば、停電も断水も、いつかは通ります。そのときに用意しておけるのは、水と食べ物と、変えなくていいものが1つあるという状態です。保護犬・保護猫を迎えた家では、後ろの1つが特に効きます。家の音と光が変わっても、夜9時に同じ場所に座る人がいる。それだけで、翌日に戻る距離が変わります。ケアの中身を増やすのは、そのあとで足ります。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。