C12Q&A・豆知識

弱酸性とは?犬の皮膚は人よりアルカリ寄り

公開日 2021年7月30日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、淡いクリーム色の布の上に落ち着いて横たわっている白っぽい猫
同じ言葉でも、誰の皮膚を基準にしているかで指している場所が変わります。写真:Yori H/Pexels

弱酸性とは、pHでいうとおおむね5〜6あたりの領域を指す言葉で、犬の皮膚はそこより上、中性に近いアルカリ寄りにあるとされています。pHは酸性かアルカリ性かを0から14で示した目盛りで、7が中性。そこから少しだけ酸性側に寄った位置が、弱酸性と呼ばれています。ここまでが定義で、そのあとに続く「だから肌にいい」は定義に入っていません。弱酸性に保たれているとされるのは人の皮膚のほうで、一般に人はpH4.5〜6.0前後、犬はpH6〜7.5程度とされることが多い数字です。猫については、犬ほどまとまった目安が語られていません。この記事では、弱酸性という言葉が何を指しているのか、そして犬や猫のケア用品の棚の前で、その言葉から何が読めて何が読めないのかを、8つの問答に分けて書きます。

弱酸性とは、どこからどこまでを指す言葉ですか

弱酸性とは、pHでいうとおおむね5〜6あたりの領域を指す言葉です。pHは0から14までの目盛りで、7が中性、7より小さければ酸性、大きければアルカリ性です。その酸性側のうち、中性にわりと近いところが弱酸性と呼ばれています。犬の皮膚も猫の皮膚も、この5〜6の枠の中にあるとは言われていません。

境目はきっちり決まっているわけではありません。分野によって、pH4台の後半から6台の前半までを弱酸性と呼んだり、5〜6に限って呼んだりします。だから「pH5.8は弱酸性ですか」という問いには、どの分野の話かによって答えが変わります。言葉の輪郭が少しぼやけている、というところまでが定義です。

pHの目盛りと、呼び名のおおよその対応
pHのおおよその位置呼び名身近な例として挙げられるもの
2〜3あたり強い酸性レモン果汁、食酢
5〜6あたり弱酸性人の皮膚の表面とされる領域
6〜7.5あたり中性をまたぐあたり犬の皮膚の表面とされる領域
7中性純水
8〜9あたり弱いアルカリ性重曹の水溶液
11以上強いアルカリ性換気扇用の洗剤など

この表で押さえておきたいのは、弱酸性が「中性のすぐ隣」にある、ということです。強い酸性からは離れています。弱酸性という言葉から、酸っぱいものや刺激の強いものを想像すると、位置を大きく読み違えます。

弱酸性の「弱」とは、何が弱いという意味ですか

「弱」は、作用が穏やかという意味ではありません。中性からの距離が近い、という位置の話です。弱酸性という言葉は、強さの評価ではなく、目盛りのどこにいるかの申告です。犬用と書かれたボトルに「弱酸性」とあっても、刺激が弱いという申告にはなっていません。

誤解が生まれる理由もはっきりしています。日本語の「弱い」は、ふつう力の大きさを指します。弱い風、弱い光、弱い痛み。どれも量の話です。ところがpHの目盛りに乗せた「弱」だけは、量ではなく座標を指しています。同じ漢字なのに、意味している軸が違います。

NotepHは1違うと10倍違う目盛りです

pHは対数の目盛りなので、数字が1動くと、実際の量は10倍動きます。pH5とpH6は「1しか違わない」ように見えますが、10倍の差です。弱酸性の中でも、pH5寄りとpH6寄りではかなり違う、ということになります。弱酸性という1つの言葉に収まっている範囲は、見た目より広いと思っておいてください。

この読み方ができるようになると、表示の見え方が変わります。「弱酸性」とだけ書かれていて、pHの数字が書かれていない表示は、位置を5〜6のあいだのどこかまでしか教えていません。数字が書いてあれば、そこから先が読めます。弱酸性という言葉と、pHの数字は、セットで初めて情報になります。

「弱酸性だから肌にいい」と言い切れないのはなぜですか

弱酸性という言葉そのものには、良い・悪いの意味が入っていません。入っているのは位置の情報だけです。それでも「弱酸性=肌にいい」という読み方が広まっているのは、途中の一段が省略されているからです。犬や猫のケア用品の棚では、その省略がそのまま持ち込まれています。

省略されている一段はこれです。人の皮膚の表面が、弱酸性の領域に保たれているとされている。だから、人の肌に使うものを人の皮膚と同じ位置に合わせておくと、位置のずれが小さくて済む。ここまでが本来の話です。つまり「弱酸性だからいい」ではなく、「合わせている相手が人の皮膚だから、人にとってずれが小さい」という話でした。

この一段が省略されると、弱酸性という言葉だけが独り歩きします。すると弱酸性なのでどんな肌にも優しく、トラブルを防ぎますのような読み方が生まれます。位置の情報しか持っていない言葉から、そこまでは出てきません。

もうひとつ、弱酸性という表示はその製品に何が入っているかを教えてくれません。pHの位置が同じでも、中身の成分はまったく違いえます。位置だけを合わせた製品と、中身まで想定した相手に合わせた製品が、表示の上では同じ言葉で並びます。ここも、言葉を過信しないほうがよいところです。

Point「弱酸性かどうか」より「誰に合わせているか」

弱酸性という言葉が疑問として出てきたときは、「この製品は、誰の皮膚に合わせているのか」に問いを置き換えてください。人の皮膚に合わせているのか、犬の皮膚に合わせているのか、それとも布や床に合わせているのか。置き換えるだけで、表示から読めることが増えます。弱酸性という言葉は、そこへ行くための入り口です。

犬の皮膚も弱酸性ですか|人よりアルカリ寄りとされています

犬の皮膚は弱酸性ではなく、人よりアルカリ寄りとされています。一般に、人の皮膚の表面はpH4.5〜6.0前後の弱酸性に保たれているとされ、犬の皮膚はそれよりアルカリ寄りのpH6〜7.5程度とされることが多いです。犬の皮膚は弱酸性の領域より上、中性に近いあたりにいる、という言い方になります。

数字に幅があるのは、測る条件で結果が動くからです。同じ1頭でも、背中と腹と脇の下では違うとされていますし、年齢・季節・その日の湿度・直前に何かで洗ったかどうかでも動きます。だからこの記事では「犬の皮膚はpH7.2です」のような1つの数字は書きません。幅を潰すと、そこで数字の精度を偽ることになります。

弱酸性という言葉が指す位置と、犬の皮膚の位置 人の皮膚の表面は弱酸性の領域にあるとされ、犬の皮膚はそれよりアルカリ寄りとされています。同じ「弱酸性」という言葉でも、合わせている相手が違えば、意味する場所が変わります。 数値はいずれも一般に言われている目安の幅です 人の皮膚の表面 pH4.5〜6.0前後とされる 弱酸性の領域にいる ほぼ毎日洗う前提の生活 自分で洗い、自分で止める 被毛に覆われていない 犬の皮膚の表面 pH6〜7.5程度とされる 中性に近い位置にいる 洗う間隔が長い前提 人が洗い、本人は止められない 被毛の下に隠れている 弱酸性という言葉は、左側の話として広まりました
位置が違うだけで、どちらが優れているという話ではありません。

猫についても書いておきます。猫の皮膚のpHについては、犬ほどまとまった目安が語られていません。ただ、自分で毛づくろいをする時間が長く、水で洗う機会が少ない、という条件は犬とも人とも違います。弱酸性という言葉を猫のケアに当てはめるときは、そもそも当てはめる先の数字がはっきりしていない、というところから始まります。

ここから言えるのは1つです。弱酸性という表示を見て「うちの子の皮膚に近い」と読むのは、人の皮膚の話を犬猫に移し替えていることになります。移し替えが必ず間違いというわけではありませんが、そこに一段の飛躍があることは知っておいてください。

「肌に近い」という言い方は、誰の肌に近いという意味ですか

「肌に近い」の「肌」が書かれていなければ、それは人の肌のことだと読まれます。近いというのは、必ず「何に対して近いか」を必要とする言葉だからです。相手が省略されていると、読む人が自分で相手を補います。

はじめの2つが、犬や猫と暮らしていると必ず行き当たるところです。犬猫向けの製品に「肌に近い弱酸性」と書かれていたとき、近いと言っている相手が人の皮膚なのか、犬の皮膚なのかは、その表示だけでは決まりません。s4のとおり、この2つは違う位置にいるとされています。位置が違う2つのどちらに近いのかで、意味は正反対になります。

だから、家で確かめられることは決まってきます。「誰の肌に近いと書いてあるか」を、ラベルの中から探す。書いてあれば、そこから先が読めます。書いていなければ、その表示からはそれ以上のことは分かりません。弱酸性という言葉に対して、家でできる確認はここまでです。

この確認は、犬用と書かれた製品でも同じです。犬用という表示は、対象が犬であることを示していますが、pHをどこに合わせたかまでは示していません。2つは別の情報です。弱酸性という言葉の疑問を追いかけると、たいていこの分岐に行き当たります。

弱酸性という表示から、家で確かめられることはありますか

家で確かめられるのは、その製品のpHが中性より少し酸性側にある、という位置だけです。弱酸性という言葉は、位置の情報しか持っていないからです。読めることと読めないことを表に分けます。限られていますが、限られているぶん確実です。

弱酸性という表示から読めること/読めないこと
内容
読めるpHが中性より少し酸性側にある、という位置
読めるその製品が、pHを設計の項目に入れていること
読めないpHの具体的な数字(5.0なのか6.0なのか)
読めない誰の皮膚を基準にして合わせたのか
読めない何が入っていて、何が入っていないのか
読めないその子の皮膚の上でどうなるか

読めない側の最後の行が、いちばん大事です。表示は、その子の体の条件を知りません。年齢、季節、その日の湿度、直前に何をしたか。s4に書いた「数字が動く条件」は、すべてラベルの外側にあります。弱酸性かどうかを調べても、この部分は分かりません。

毎日のケアで実際に使える形にすると、こうなります。弱酸性という表示は、選ぶときの入り口として使い、決め手にはしない。入り口として使うというのは、その表示を見つけたら「誰に合わせたのか」「pHはいくつか」を続けて探す、という意味です。探して見つからなければ、その製品については分からないままにしておきます。

Caution皮膚に変化が出ているときは、pHの話の前に受診を

赤みが出ている、フケが増えた、同じ場所をなめ続けている、においが変わった。こうした変化があるときに、弱酸性かどうかで製品を選び直しても、変化の理由は分かりません。弱酸性という言葉は、皮膚の状態を説明する言葉ではないからです。気になる変化が続くときは、動物病院にご相談ください。いつから、どこに、どれくらいの範囲で出ているかをメモしておくと、その場で切り分けてもらえます。

弱酸性ではない水が、体まわりのケアに使われているのはなぜですか

弱酸性ではない水も、犬や猫の体まわりのケアに使われています。位置が違うことと、使えるかどうかは別の話だからです。s3に書いたとおり、弱酸性という言葉が持っているのは位置の情報だけで、良し悪しの評価ではありません。

mofuwaのケア用品に使われている水は、1種類ではありません。三室ダブルイン型と呼ばれる電解分解技術(特許5253483)では、1回の電気分解で、アルカリ側の高機能性電解還元水と、酸性側の高機能性電解酸化水が同時に生まれます。アルカリ側は毛と皮脂の汚れを相手にするものに、酸性側は地肌にそのまま触れさせるものに使われています。目盛りの反対側にある2つの水を、目的で使い分けている、ということです。アルカリ側は弱酸性ではありません。酸性側については、pHの数値が手元の資料にないので、この記事では弱酸性かどうかを名乗りません。ここは隠さずに書きます。位置が違うものを、位置が違うと知ったうえで使っている、というのが正確な言い方です。

アルカリ側の水を汚れに当てているのは、汚れの側の性質に理由があります。皮脂の汚れは油です。油はアルカリ性の側の水で乳化しやすい、というのが洗剤の基本的な考え方です。ワンテンスの電解水は、この三室ダブルイン型の電解分解技術でつくられていて、電解効率は一般的な飲料用アルカリイオン水で約20%とされるのに対し、原水はほぼ100%です。ここでいう電解効率は、投入した水がどれだけ電気分解されたかを指します。洗浄力の比較は、皮脂に近いごま油を相手に行っています(東洋ビューティー/ウェーブコーポレーション調べ)。一方、酸性側の水を使っているのは、落とすためではありません。落としたあとの地肌や、口のまわりのように、拭いたものがそのまま残る場所に触れさせるためです。

成分の基準についても、条件つきで書いておきます。電解槽が3室に分かれている構造のため、電解質に由来する不純物が水に入らず、清涼飲料水の規格基準をクリアした成分でつくられています。飲み物として売っているという意味ではなく、成分の基準の話です。当社の電解水を対象にした試験では、16の菌種・ウイルスについて、検査時間30〜60秒後に生菌が検出されませんでした(江東微生物研究所ほかの検査機関による、それぞれの試験条件下での結果です)。水分の浸透力は精製水の35倍(自社検証)で、比べた相手は精製水です。これらはすべて水の側の条件であって、その子の皮膚がどうなるかを言っているものではありません。

毎日のケアの場面に落とすと、こうなります。ラベルを読んで決められるのは、棚の前までです。そこから先、どこに、どれだけ触れさせるかを決めるのは、毎日その子の地肌に指を入れている人のほうです。mofuwa スキンケアミストの表示には、使っていないものが8つ並びます。アルコール、添加物、香料、界面活性剤、鉱物油、オイル、着色料、防腐剤です。弱酸性という1語からは何も読めなかったところが、この形なら、入っていないものの名前まで読めます。スキンケアミストが名乗っているのはpHの位置ではなく、電解水100%であることと、清涼飲料水の規格基準をクリアした成分であることのほうです。犬も猫も、なじませたところを自分でなめます。なめても口に入るものとしての基準を外れない、というのは、pHの位置とは別の軸の情報です。使い方も、s6でつくった順番の続きです。ラベルで「誰の肌に合わせたか」を探し、見つからなければ「何が入っていないか」を探す。そこまで見て決めた1本を、背中から尾のつけ根まで手を滑らせたときに指が止まった場所にだけ、直接なじませます。弱酸性かどうかで選ばなかったぶん、選んだ理由のほうは自分の言葉で言えます。

8つの答えを、ラベルの前の3行に畳む|弱酸性が指しているのは位置です

弱酸性とは、pHでおおむね5〜6あたりの領域を指す言葉で、良し悪しの評価は含んでいません。犬の皮膚はその領域より上にあるとされるので、弱酸性という表示は、犬の皮膚に合わせたという申告にもなっていません。この2行を持っておくだけで、棚の前での読み方が変わります。

弱酸性をめぐる疑問と、この記事の答え
疑問この記事の答え
弱酸性とは何ですかpHでおおむね5〜6あたりの領域を指す言葉です
「弱」は作用が穏やかという意味ですか違います。中性からの距離が近い、という位置の話です
弱酸性なら肌にいいのですか言葉自体に良し悪しは入っていません
犬の皮膚は弱酸性ですか人よりアルカリ寄りのpH6〜7.5程度とされています
「肌に近い」は誰の肌ですか書かれていなければ分かりません。探すのはそこです
弱酸性なら大丈夫ですか表示はその子の体の条件を知りません
弱酸性でない水は使えないのですか位置が違うことと、使えるかどうかは別です

毎日のケアに戻します。弱酸性かどうかを調べる時間より、その子の被毛と皮膚を実際に触る時間のほうが、分かることは多いです。背中から尾のつけ根まで手を滑らせて、地肌の湿り具合と、毛の抜け方と、においを見る。言葉の意味を知ることは、こうした観察の解像度を上げるために役に立ちます。逆にいえば、観察の代わりにはなりません。

そして、この記事が答えられないことをもう一度書いておきます。その子の皮膚にとって、どのpHが合っているか。これは記事では決められません。皮膚に赤み、フケ、かさぶた、においの変化、なめ続ける動きが続くときは、弱酸性という言葉を調べる前に動物病院にご相談ください。言葉の意味を知るのは、相談の前ではなく、相談のあとにも役に立ちます。説明を受けたときに、どこの話をされているかが分かるようになるからです。

Product

mofuwa スキンケアミスト

mofuwa スキンケアミスト

200ml / 3,300円(税込)

アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。

商品ページを見る

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。