C05犬種・猫種別ケア
シャーペイはなぜ顔のシワの汚れが起きやすいのか。顔のシワから考える
シャーペイの顔を拭き終えたあと、その手のまま首の後ろへ指を滑らせてみてください。あごの下から肩にかけて、同じようなシワがもう何本か並んでいます。顔で見つけた汚れは、たいていそこにも同じだけたまっています。シャーペイのシワは、顔で終わりません。そのうえ、この犬種の毛は短くて硬い。柔らかい毛の犬種とは、シワの内側で起きていることが違います。なぜそうなるのかを先に説明してから、数えて順番をつける手順へ進みます。
シャーペイのシワは顔で終わらない|同じ汚れが体にも出ます
シャーペイという名前は、中国南部の言葉で「砂のような皮」を指すと言われます。手のひらでなでたときのざらついた感触が、そのまま名前になった犬種です。畑や家のまわりで人と暮らしてきました。もうひとつよく知られているのが、皮膚がゆるく余っていることです。この余りが、体のあちこちでシワになります。
子犬のうちは、全身がシワにおおわれています。成長して体格ができてくると、余りは少しずつ減っていきます。それでも、顔、あごの下、首、肩、しっぽのつけねにはシワが残る子が多い。減るというより、決まった場所に集まっていく、という言い方のほうが近いと思います。
シワが並んでいるということは、閉じた場所が並んでいるということです。シワの内側には、外の空気が入りにくい。そこに皮脂と、抜けた毛と、外から付いたものが集まります。顔で汚れが出る仕組みは、首でも肩でも同じように働きます。場所が違うだけで、起きていることは同じです。
- 顔(鼻の上・目の下・口の横):いちばん気づかれやすい場所です
- あごの下から首の前:水を飲んだあとに湿りが残ります
- 首の後ろから肩:首輪の下と重なります
- しっぽのつけね:座ったときに閉じます
- 脇と内股:面が合わさるので、シワの深さに関係なく閉じます
顔のシワは目に入るので、つい時間をかけたくなります。ところがシャーペイの場合、同じ汚れが体のシワにも同じだけたまっています。顔に10分かけて体をやらないより、顔に2分、体に2分のほうが結果は変わります。この記事が拭き方ではなく数えるところから始まるのは、そのためです。
短くて硬い毛が、シワの内側で皮膚に当たっている
もう一つ、シャーペイのシワを考えるときに外せないのが被毛です。この犬種の毛は短く、そして硬い。1本1本がまっすぐで、指でなでると逆立つような手ざわりがあります。柔らかく長い毛なら、シワの内側で毛は寝て、向かい合った皮膚のあいだの緩衝になります。硬い毛は寝ません。
シワが閉じると、内側の毛は向かい合った皮膚に当たります。犬が動くたびに、その毛先が皮膚をこすります。シャーペイのシワの中では、汚れがたまるのと同時に、毛が当たっています。柔らかい毛の犬種とは、ここが違います。同じ「シワのケア」という言葉でも、やることが変わってくる理由がここにあります。
だから拭き方も変わります。柔らかい布で表面をなでるだけでは、シワの内側の毛は動きません。かといって強くこすれば、硬い毛が皮膚に押しつけられます。やることは、こすることではなく、シワを開いて中の毛の向きを戻すことです。開けば、当たっていた毛先は外を向きます。
| 柔らかい毛の犬種 | シャーペイ | |
|---|---|---|
| シワの内側の毛 | 寝て、緩衝になる | 立ったまま、皮膚に当たる |
| 汚れのたまり方 | 毛にからんで留まる | 毛と皮膚のあいだに落ちる |
| 拭いたときの手ごたえ | 布に汚れが移る | 布が毛の上を滑る |
| 効いてくる手 | 毛ごと汚れを拭き取る | シワを開いて毛の向きを戻す |
| 換毛期の変わり方 | 抜け毛が毛の中に残る | 短い抜け毛がシワの底に落ちる |
換毛期の話を一つ足しておきます。シャーペイの抜け毛は短く硬いので、床に落ちると刺さるように感じます。同じ毛が、シワの底にも落ちています。春と秋は、シワを開いてブラッシングの手を入れる回数を増やしてください。とかすというより、底にたまった短い毛を外へ出す作業になります。
まずシワを数える|シャーペイのシワの汚れに順番をつける手順
ここから手順です。シャーペイのシワの汚れは、全部を毎日やろうとすると必ず途中で止まります。数が多いからです。だから最初にやるのは、拭くことではなく数えることになります。
数えるのは1回で足ります。紙に体の場所を書き出して、シワの本数を横に書く。それだけで、毎日どこから手をつけるかが決まります。犬を立たせたまま、明るい場所で、片手で体を支えながら進めてください。
-
顔から順に、指を入れて数える
鼻の上、目の下、口の横。指の腹を入れて、底まで届くものを1本と数えます。底に指が届かないものは、深いシワとして別に印をつけてください。この段階では数えるだけで、拭くのはあとです。
-
あごの下から首、肩へ下りながら数える
顔が終わったら、そのまま下へ進みます。あごの下は、水を飲んだあとの湿りが残る場所です。首の後ろは首輪の下と重なります。ここまでで、顔より本数が多いことに気づく方が多いと思います。
-
しっぽのつけねと、脇・内股を確かめる
どれも、座ったり伏せたりしたときに閉じる場所です。立たせた状態では開いているので、いつもの姿勢に戻してから指を入れてください。姿勢によって、閉じる場所は変わります。寝ている時間が長い子は、伏せた形で確かめます。
-
本数ではなく、閉じている時間で並べ替える
ここが順番づけの中心です。本数の多い場所ではなく、1日のうちで閉じている時間が長い場所を上に置きます。顔のシワは動くたびに開きますが、しっぽのつけねは座っているあいだずっと閉じたままです。
-
上から3か所に印をつける
毎日やるのは3か所までにしてください。4か所目からは、2日に1回、週に1回と落としていきます。3か所なら、朝か夜のどちらかで終わります。終わる分量にしておくことが、続けるための条件になります。
毎回数え直す必要はありません。季節が変わったときと、体格が変わったときだけ見直せば足ります。子犬から成犬になる時期は、シワのある場所そのものが動きます。紙を見返して、上位3か所が変わっていないかを確かめてください。順番が変われば、毎日のケアの中身も変わります。
上位3か所だけ|家でできる毎日のケアの手順と頻度
順番が決まったら、あとは同じことを繰り返すだけです。シャーペイのシワの汚れは、1回の丁寧さより、同じ場所に手が戻ってくる頻度で変わります。1か所30秒、3か所で90秒。この分量から始めてください。
-
シワを指で開いて、底が見える状態にする
片手で皮膚を寄せて、シワを開きます。閉じたまま布を当てても、底には届きません。開いてから、底が見えることを確かめてください。ここを飛ばすと、あとの手順が全部、表面をなでるだけの作業になります。
-
開いた底を、押さえるように拭く
こするのではありません。布を当てて、軽く押さえて、離す。これを底に沿ってずらしていきます。硬い毛は、こするほど皮膚に押しつけられます。押さえて離すだけで、底に落ちた汚れは布のほうへ移ります。
-
拭いたあとは、開いたまま少し置く
すぐ閉じると、湿りが中に残ります。10秒でかまいません。開いて置くところまでが、1か所分の手順です。あごの下と首は、水を飲んだあとにも同じことをしておくと、夜まで持ちます。
-
換毛期は、開いたあとにブラシを入れる
春と秋は、シワの底に短い抜け毛が落ちます。開いた状態で、底に沿って軽くブラシを滑らせてください。とかすためではなく、落ちた毛を外へ出すためのブラッシングです。力はほとんど要りません。
-
毎日、同じ順番で、同じ場所から始める
顔から始めると、顔だけ丁寧になって体で力尽きます。上位3か所のうち、いちばん後回しになりがちな場所から始めてください。順番を固定すると、できなかった日にどこを飛ばしたかが分かります。
| 上位3か所 | 4か所目以降 | |
|---|---|---|
| 頻度 | 毎日1回 | 2日に1回〜週に1回 |
| 1か所の時間 | 30秒ほど | 気づいたときに |
| やること | 開く・押さえて拭く・開いたまま置く | 開いて底を見る |
| 換毛期に足すこと | 開いた状態でブラシを入れる | 回数を1段だけ上げる |
| やらないこと | 閉じたまま強くこする | まとめて1日でやろうとする |
シャーペイのシワで避けたいのは、こすることと、湿ったまま閉じることの2つです。硬い毛は、こすれば皮膚に当たります。湿ったまま閉じれば、外の空気が入りません。汚れが落ちるまで強くこするという進め方はしないでください。落ちなかったぶんは、翌日にもう一度で足ります。
布に含ませているものについても書いておきます。シワの底は、シャーペイが自分ではどうにもできない場所です。前足も舌も、開かないかぎり底までは入りません。人が開いている数十秒だけが、その面が外に出ている時間です。うちで使っているのは mofuwa スキンケアミスト です。電解水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアした成分でつくられているので、口の横やあごの下のシワのように、閉じたあとで舐められる場所も、同じ布のまま続けて進められます。乾いた布は硬い毛の上を滑るので、上位3か所を同じ手ごたえで拭ききれません。含ませてから、開いた底へ押さえるように当てて、離す。シワの中へ直接吹きかけて、そのまま閉じないでください。
同じシワが順番の上に戻ってくるとき、頻度を上げる前に見ること
手順どおりに続けていても、同じシワばかりが順番の上に戻ってくることがあります。そのときに頻度だけを上げるのは、たいてい遠回りになります。回数ではなく、そのシワが閉じている理由のほうを見てください。
- 首の後ろだけが戻る:首輪の位置や太さが、シワの1本と重なっていないか確かめてください
- 片側だけが戻る:いつも同じ向きで寝ていないか、寝床の縁が当たっていないか
- あごの下だけが戻る:水を飲んだあとの湿りが残っていないか。器の深さも関係します
- 拭いても布に何もつかない:底まで開けていない可能性があります。開き方から見直してください
- 触ると嫌がる、声を出す:痛みがあるときは、拭く手をその場で止めてください
シワの底が赤い、じくじくしている、においが強くなった、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、家でのケアを続ける前に動物病院にご相談ください。シワの底は外から見えないぶん、変化が進んでから気づくことがあります。迷ったら早いほうを選んでください。
相談に行くときは、数えた紙、いま上位3か所にしている場所、いつから戻るようになったかを持って行ってください。この3つがあると、毎日のケアで届く範囲なのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。気になるシワは開かずに、そのまま連れて行くほうが、もとの状態が伝わります。
シャーペイと暮らすうえで、シワが減ることはありません。皮膚が余っている作りだからです。全部に毎日手を入れることはできませんが、閉じている時間の長い3か所を決めることはできます。数えて、順番をつけて、開いて、押さえて、開いたまま置く。顔で覚えたこの手順が、そのまま体のシワにも使えます。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- シャーペイのシワは、顔だけ拭いていれば足りますか?
- 顔だけでは足りません。あごの下、首の後ろ、肩、しっぽのつけねにもシワが並んでいて、閉じた場所という条件は顔とまったく同じです。同じ日に、同じだけ汚れがたまっています。顔に10分かけるより、顔と体に2分ずつ回すほうが、毎日のケアとしては続きます。
- シワの中は、ぬらした布で強く拭いたほうがきれいになりますか?
- こするのは避けてください。シャーペイの毛は短くて硬いので、こするほど毛が皮膚に押しつけられます。布を当てて、軽く押さえて離す。これを底に沿ってずらすだけで、落ちる汚れは布のほうへ移ります。落ちなかったぶんは翌日にもう一度で足ります。拭いたあとは、開いたまま10秒ほど置いてから手を離してください。
- 毎日のケアは、1日に何回やればいいですか?
- 上位3か所を1日1回で足ります。4か所目からは、2日に1回から週に1回まで落としてください。頻度を上げても、そのシワが閉じている理由が変わらなければ、同じ場所が戻ってきます。回数を増やす前に、首輪の位置や寝る向きなど、閉じている時間を長くしているもののほうを探すと早く進みます。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
