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シニア犬と暮らす人のためのサロン通いのあいだ|5分で終わらせるケア

公開日 2021年9月4日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、淡い毛色の年をとった犬が柔らかい敷物の上で休んでいる
サロンの間隔を延ばすことは、ケアをやめることではありません。持ち場が家の側へ移るということです。写真:https://kaboompics.com//Pexels

トリミングから帰ってきた日の夜、その子は水を飲んだあと、そのまま寝床で朝まで動きませんでした。仕上がりはきれいです。毛は短く整っていて、指もすっと通ります。それなのに、次の予約を取ろうとして手が止まりました。老犬と暮らしていると、サロンの日はいつからか、きれいになる日であると同時に、その日の体力を使い切る日にもなっています。トリミングの間隔をどうするかという話は、たいていここから始まります。回数を減らすかどうかという話に見えて、実際に決めることは二つあります。この記事では、間隔を延ばしたときに家の側で何が増えるのかを、立たせない五分という形にして書きます。

仕上がりはきれいなのに、次の予約を取る手が止まる|老犬とトリミングの間隔をめぐる背景

翌日も、寝ている時間がいつもより長くなります。二日目の夕方あたりから、ようやくふだんの動き方に戻る。作業の中身はこれまでと同じで、変わったのはその子の側です。若い頃は、サロンから帰った日の夜には走り回っていました。同じ内容のトリミングなのに、帰ってからの過ごし方だけが変わっています。

老犬にとって、トリミングの一回は「きれいになる」だけの時間ではありません。家を出て、車かキャリーで移動して、慣れない場所で待って、洗われて、乾かされて、切られて、また待って、帰る。工程のほとんどが、立っているか、姿勢を保っている時間です。年をとった体にとって負担になっているのは、切られている時間そのものではなく、そこに至るまでの合計の長さのほうです。

ここで多くの飼い主が最初に思いつくのが、トリミングの間隔を延ばすことです。四週間で通っていたのを六週間に、六週間を八週間に。回数が減れば、負担も減る。そのとおりなのですが、この判断だけを単独でやると、次の予約までのあいだに別の問題が出てきます。毛は間隔に関係なく伸びますし、皮脂も同じように出るからです。

つまり、老犬のトリミングで見るべき数字は「何週間おきか」だけではありません。一回にどれだけの時間、姿勢を保っていたか。同じ六週間の間隔でも、預ける時間が二時間の子と四時間の子では、体にかかっているものがまるで違います。間隔の話に入る前に、この一回の長さを知っておく必要があります。

Noteサロンのやり方に問題がある、という話ではありません

トリミングの工程は、どの店でもおおむね同じ順番で組まれています。変わったのは工程ではなく、その子が同じ姿勢でいられる時間のほうです。だから相談する相手は、まずサロンです。「立っていられる時間が短くなってきた」と伝えれば、順番を入れ替える、休憩を挟む、当日やる範囲を分けるなど、店側で調整できることがあります。間隔を変える前に、一回の組み方を変えられないかを先に聞いてみてください。

間隔を延ばすと、家でやる範囲が同じだけ広がる|老犬のトリミングが引き算だけで終わらない理由

六週間だった間隔を八週間にする。数字だけ見ると、これは引き算です。年に八回だったトリミングが六回になり、その子が立っている合計時間も減ります。ところが、減った二週間ぶんに何も起きないわけではありません。毛はその二週間も伸びますし、皮脂も同じように出ます。被毛がからみはじめる場所も、季節ごとに決まっています。

つまり、間隔を延ばすという判断は、それ単独では成立しません。サロンがやっていた作業のうち、家でも扱える部分を、家の側が引き受ける。この二つがセットになって、はじめて間隔を延ばせます。老犬のケアの相談で「間隔を延ばしたら毛玉が増えた」という話が出るのは、片方だけを実行したときです。

では、何が家に移せて、何が移せないのか。ここをはっきり分けておかないと、家の側が無理をします。移せないものを家でやろうとすると、その子の負担は減るどころか増えます。下の表は、その分かれ目を作業ごとに並べたものです。

トリミングの工程のうち、間隔を延ばしたときに家へ移せるもの
作業家に移せるか移すときの形
毛の流れを整える移せる毎日、一か所ずつ。グルーミングスプレーを含ませた布で、立たせない姿勢で
からみはじめの毛をほぐす一部移せる小さいうちに。大きくなったらサロンへ
部分的な拭き取り移せる口のまわり、目の下、おしりまわり
全身を洗う移さない乾かす時間が老犬にはいちばん負担になります
カット・バリカン移さない刃物と姿勢の保持が同時に必要です
爪切り・耳・肛門腺移さないサロンか、動物病院の手に残します

表の右側を見ると、家に移せるものはどれも「短い時間で、一か所だけ」という形をしています。逆に移せないものは、道具か、長い時間の姿勢保持か、そのどちらかを必要とします。老犬のトリミングの間隔を延ばすときに家が引き受けるのは、前者だけです。この線は動かさないでください。

皮膚のことも書いておきます。年をとると、皮膚は薄くなり、被毛の質も変わります。若い頃と同じ力でブラシを当てると、それだけで負担になります。家に移した作業は、時間だけでなく力も落として引き継ぐ必要があります。間隔を延ばしたぶんを、家での強さで埋めようとしないでください。

Caution毛玉は、大きくなってから家で扱わないでください

からみが小さいうちは、指でほぐせます。ただし、根元まで締まった毛玉を家で引っぱると、皮膚のほうを引くことになります。老犬は皮膚が薄くなっているので、若い頃なら耐えられた力でも痛みにつながります。指で押して動かない毛玉は、そのままサロンに持って行ってください。前の晩に頑張ってほぐそうとすると、当日の作業がかえって長くなります。

立たせずに届く五分に組み替える|トリミングの間隔を延ばした家のケアで起きる変化

家に移した作業をどう組むか。老犬のケアで最初に決めるのは、手順でも道具でもなく姿勢です。立たせて全身をやるという形にした時点で、続きません。三分もすると足が震えはじめ、そこから先はその子が耐えているだけの時間になります。

そこで、その子がすでに選んでいる姿勢のまま、上になっている面だけをやるという形に変えます。伏せているなら背中と首まわり。横になっているなら、上を向いている側面と、そちら側の脇。姿勢を変えさせないので、そのぶん一日で届く範囲は狭くなります。だから曜日で場所を割ります。

  1. 手順1:その子が寝ている場所へ、こちらが行く

    呼んで立たせない、という一点だけ守ってください。寝床に近づいて、横か少し後ろに座ります。正面から手を伸ばすと、老犬は起き上がろうとします。起き上がらせないための位置取りが、五分を成立させる前提になります。

  2. 手順2:上になっている面だけを、毛の流れに沿って

    そのときに上を向いている面だけが、その日の範囲です。背中、首まわり、体の側面。反対側は、次にその子が向きを変えたときにやります。ひっくり返して両側やろうとしないでください。トリミングの間隔を延ばすためのケアは、一度に完結させる必要がありません。

  3. 手順3:からみやすい場所を、一日ひとつだけ見る

    脇の下、内もも、耳のうしろ、しっぽの付け根、首輪の下。この五か所を曜日で割って、その日の一か所だけ指で確かめます。指が途中で止まったら、そこだけ小さくほぐします。止まらなければ、その日はそれで終わりです。五か所を毎日回そうとすると、一週間で続かなくなります。

  4. 手順4:顔まわりは最後に、短く

    目の下と口のまわりは、汚れが残りやすい一方で、触られるのを嫌がる子が多い場所です。ほかの場所が終わったあと、最後に一回だけ拭き取ります。ここから始めると、その日のケア全体を拒否されることがあります。順番を変えるだけで、受け入れられ方が変わります。

  5. 手順5:五分で終える。途中でも終える

    タイマーを五分にしておいて、鳴ったら途中でも手を離してください。残った場所は明日に回します。老犬のケアで大事なのは、一回の完成度ではなく、翌日も受け入れてもらえることのほうです。嫌がる、体をずらす、声を出すというときは、五分を待たずにそこで終わりにしてください。

からみやすい五か所を、曜日で割った例
曜日その日に指で確かめる場所
月曜脇の下(左右のうち、上になっているほう)
火曜内もも
水曜耳のうしろ
木曜しっぽの付け根
金曜首輪やハーネスが当たっている下
土日その週に指が止まった場所だけ、もう一度

この五分で布に含ませているのが、mofuwa グルーミングスプレーです。その子に直接吹きかけず、布に移してから、上になっている面を毛の流れに沿ってなでます。老犬にとっては乾かす時間そのものが負担になるので、水を使わずに毛の流れを整えられる道具が、家に移した作業の中心になります。清涼飲料水の規格基準をクリアしているので、口のまわりを拭く布にも同じ量を含ませられます。トリミングの間隔を延ばした二週間ぶんを埋めるのは、この一本と、曜日で割った五か所です。

この五分を続けていると、二週間ほどで手のほうが場所を覚えます。指が止まる場所は、その子ごとにだいたい決まっています。決まってくると、確かめる時間が短くなり、五分が三分で終わる日も出てきます。トリミングの間隔を延ばしても被毛の状態が保てるかどうかは、この短さで毎日続けられるかにかかっています。

間隔を決めるのは日数ではなく、立っていられる時間のほう|三か月ぶんの経験から

家での五分を三か月続けると、トリミングの間隔を日数で決めなくてよくなります。判断の材料が、カレンダーから、その子の様子のほうへ移るからです。老犬の体力は季節でも変わりますし、同じ八週間でも夏と冬では意味が違います。日数を固定するより、次の三つを記録しておくほうが役に立ちます。

サロンの日に記録しておく三行
記録すること何が分かるか
預けた時間と、当日やってもらった範囲一回の長さが増えているか減っているか
帰った日と翌日の、寝ている時間の長さその回の負担が、どこまで残ったか
ふだんの動き方に戻るまでの日数次の間隔を延ばすかどうかの、いちばん確かな材料

三つめが要になります。戻るまでの日数が一日から二日へ、二日から三日へと伸びていくなら、それは間隔ではなく一回の長さを見直す合図です。間隔を延ばしても、一回が長いままなら、その日の負担は変わりません。サロンには「今回は体を洗うところまでで、カットは次回に分けたい」といった伝え方もできます。二回に分けると通う回数は増えますが、一回の長さは半分になります。

家の五分の側にも、記録が効きます。指が止まった場所と日付を残しておくと、次にサロンへ行くときに「ここが毎週止まります」と具体的に伝えられます。言葉で伝わりにくい老犬のケアの相談は、場所と頻度の二つがそろうと一気に通じます。トリミングの間隔をどうするかも、この情報があると店側から提案してもらえます。

Cautionケアの話にせず、動物病院に相談してほしい変化

皮膚が赤い、じくじくしている、においが出てきた、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が見えている、触ると痛がる、立ち上がり方が変わった、食欲や元気が落ちている。いずれかに当てはまるときは、トリミングの間隔や家でのケアの話にせず、動物病院にご相談ください。老犬は変化がゆっくり進むので、毎日見ている側ほど気づくのが遅れます。戻るまでの日数と、指が止まった場所。この二つを持っていくと、その場で切り分けてもらえます。

老犬と暮らしていると、これまでできていたことを手放す場面が少しずつ増えます。トリミングの間隔を延ばすというのも、その一つに見えるかもしれません。ただ、これは手放す話ではなく、持ち場を移す話です。サロンでまとめてやっていたことを、家の五分に分けて置き直す。回数は減っても、被毛と皮膚に触れている日数はむしろ増えます。

そして、家で毎日触れているという事実そのものが、次の変化に早く気づく仕組みになります。週に一度もさわらない場所に、変化は見つけられません。間隔を延ばしたぶんを、五分の毎日で埋める。老犬とのサロン通いのあいだにできることは、たぶんこれがいちばん確かです。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。