C09シーン別・暮らし

動物病院に行く日、敏感肌の子と暮らす人はどうしている?

公開日 2021年9月11日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の淡い色の床に、明るい毛色の犬が落ち着いて伏せている
落とす場所は、触れていた時間の長さで決まります。全身をやらないための、二か所の絞り方です。写真:3194556/Pixabay

動物病院の待合で、その子はキャリーから出されて、床に四本足で立ちました。数分後には診察台に乗り、そのあいだ、体の下側はずっと台の面に触れています。同じ台には、その日すでに何頭も乗っています。帰ってから体を拭きたくなるのは自然なことです。ところが敏感肌の子と暮らす人には、その手がありません。全身を拭くというのは、触る回数を一気に増やすことでもあるからです。ペットの皮膚に手を足すのではなく、手を置く場所を決め直す。この記事では、なぜ二か所に絞るのかを先に書いて、そのあとで足の裏と腹だけを扱う手順を並べます。

通う頻度そのものが条件になる|動物病院に行く日、ペットの体が触れているもの

動物病院に行く日を、ペットの体が何に触れているかで書き出してみます。待合の床、体重計の板、診察台の面、キャリーの底、そして抱き上げた人の服。どれも、その日ほかの子が順番に使っている面です。床にほかの子の毛が落ちていることもありますし、診察台は拭かれていても、伏せれば体の下側がそこに触れます。

ここで大事なのは、面の数ではなく触れていた時間の長さです。触れた回数が多くても一瞬なら、体につくものは多くありません。逆に、同じ姿勢で長くのっていた面ほど、体側に移るものが増えます。順番をつけると、下のようになります。

動物病院に行く日、体が触れている面と、その長さ
触れている面触れている時間体のどこ
待合の床五分から二十分ほど足の裏。伏せれば腹と胸
診察台の面三分から十分ほど腹、胸、脇
キャリーの底移動しているあいだずっと腹、脇、体の側面
体重計の板一分に満たない足の裏
抱き上げた人の服数分体の側面

時間で並べると、上位に来るのは足の裏と腹です。キャリーの底は移動中ずっと触れていますが、これは家から持って出た布なので、洗う頻度を決めておけば別の管理ができます。その日だけ他人の面に長く触れているのは、足の裏と、伏せたときの腹の二か所です。ここが、絞り込みの根拠になります。

そのうえで、敏感肌のペットと暮らす人の制約を重ねます。この子たちは、手数を増やせません。触る回数そのものが条件になっていて、拭く、こする、道具を当てるという動作が増えるほど、皮膚の側に負担が積まれていきます。全身を拭こうとすると、その一回で十数回は手が当たります。帰ってきた日の夕方に、それをやる余裕はありません。

さらに、通う頻度が重なります。皮膚のことで動物病院に通っていると、通院は月に二回、三回と続くことがあります。一回ごとに全身をやっていたら、頻度のぶんだけ手が増えていきます。敏感肌の子にとっては、通院そのものより、通院のたびに増える家のケアのほうが、皮膚にかかる回数として大きくなりかねません。だから、はじめから絞ります。

Note診察の中身については、ここでは扱いません

何を診るか、どう処置するかは獣医師の領域です。この記事で書いているのは、家に帰ってからの手だけです。薬や処置が出ているときは、家でのケアをどこまでやってよいかを必ず動物病院で確認してください。とくに敏感肌の子は、その日の状態によって「今日は何もしないでください」と言われることがあります。そのときは、この記事の手順よりそちらが優先です。

足の裏と腹の二か所に絞る|動物病院から帰ったあと、ペットに触る順番

ここからが、ペットを連れて帰ったあとの手順です。全身はやりません。やるのは足の裏と腹の二か所だけで、所要は二分ほどです。順番を先に決めておくのは、迷っている時間そのものが、その子を待たせる時間になるからです。

  1. 手順1:前の晩に、布を二枚だけ玄関へ出しておく

    帰ってから探しはじめると、その分だけキャリーの中で待たせることになります。足の裏用と腹用で、布は分けてください。同じ布で続けると、足の裏についていたものを腹側へ運ぶことになります。枚数を二枚に決めておくと、それ以上やらないという線も同時に引けます。

  2. 手順2:足の裏は、持ち上げずに横から

    四本足で立っている状態のまま、片側から手を入れて、肉球のあいだを一方向に一回だけ通します。足を持ち上げると、体重が残りの三本に寄ります。敏感肌の子は皮膚だけでなく姿勢にも敏感なことが多く、持ち上げられた時点で体が固くなります。前足二本、後ろ足二本で、合わせて四回。それ以上は往復しません。

  3. 手順3:腹は、床に触れていた面だけを一方向に

    伏せていたときに下になっていた面だけです。円を描くように拭かないでください。頭側から後ろへ、一方向に一回。戻すときは布を離して、当て直します。往復させると、その一回でこすっている回数が二倍になります。仰向けにする必要はありません。立ったままか、横になったままで届く範囲で構いません。

  4. 手順4:そこで手を止める

    背中、顔、耳、しっぽはやりません。二か所で終わり、というのがこの手順の中身です。ついでにブラシを当てる、口のまわりも拭く、という追加が入った時点で、敏感肌の子にとっては全身ケアと同じ回数になります。物足りなく感じても、その日はここで終えてください。

  5. 手順5:乾くまで触らず、その日はほかのケアを足さない

    拭いたあとの場所を、確かめるためにもう一度さわらないでください。確認のためのひとさわりが、いちばん増えやすい手数です。シャンプーも、爪切りも、その日はやりません。動物病院に行った日は、移動と待合ですでにその子の一日ぶんの負担が使われています。

動物病院に行った日の、やることとやらないこと
やることやらないこと
足の裏を、立ったまま一方向に一回ずつ足を持ち上げて、指のあいだを何度も往復させる
腹の、床に触れていた面だけ仰向けにして腹全体を拭く
布は二枚。足用と腹用で分ける一枚の布で全身を続けて拭く
二分で終えるついでにブラシや口のまわりを足す
乾くまで触らない拭けたか確かめるために、もう一度さわる

足の裏も腹も、その子が横になったまま口を持っていける場所です。拭いたあとに残ったものは、その日のうちに舐められます。mofuwa スキンケアミストは、成分を足していません。電解水100%で、口に入っても問題のない清涼飲料水の規格基準をクリアしています。皮膚に直接吹きかけて広げるのではなく、布に含ませてから当ててください。敏感肌の子では、液の広がった範囲が、そのまま触れる範囲になります。布に含ませれば、当たる場所を足の裏と腹の二か所に決められます。布は足用と腹用で分けたままにしてください。同じ布で続けると、含ませたものごと、足の裏にあったものを腹側へ運ぶことになります。

力の入れ方についても書いておきます。汚れを落とそうとすると、どうしてもこする方向に力が入ります。敏感肌の子で見ているのは、落ちたかどうかより、皮膚が赤くならずに終わったかどうかです。布を当てて、少し置いて、離す。この当て方なら、力はほとんど要りません。

二か所でも多い日がある|敏感肌の子で手が増えてしまうときのコツ

手順どおりにいかない日のほうが、実際には多いと思います。動物病院から帰ったあとは、ペットも人も疲れています。つまずいたときに手数を増やす方向へ動くと、敏感肌の子ではその日のうちに皮膚の側に出ます。下の五つは、どれも「減らす方向」で解いています。

通院が続く時期のやり方も決めておきます。週に二回、三回と動物病院に行く時期があります。この頻度になると、毎回二か所をやるだけでも、皮膚に手が当たる回数は月に十回を超えます。「帰ってからのケアは週二回まで」と先に決めてしまってください。三回目に行った日は、キャリーの布を替えるだけで終わりにします。

通う頻度が上がった時期の、減らし方
その週の通院回数帰ってからやること
週に一回足の裏と腹の二か所。ふだんどおり
週に二回一回目は二か所、二回目は足の裏だけ
週に三回以上二回まで。残りはキャリーの布を替えるだけ
処置を受けた日動物病院の指示が最優先。指示がなければ何もしない
Caution手を増やして解決しようとしないでください

うまく落ちていない気がすると、布の枚数を増やす、洗浄力の強いものに替える、回数を足す、という方向へ動きたくなります。敏感肌の子では、その三つがどれも同じ結果につながります。皮膚に当たる回数が増えるからです。落ちきらなかった分は、翌日の同じ二か所でもう一度扱えば足ります。その日のうちに完結させる必要はありません。

翌日と三日後に、同じ場所だけを見る

この手順が合っていたかどうかは、その日には分かりません。ペットの皮膚は、当日より翌日のほうが正直です。見るのは翌日と三日後、それも拭いた二か所だけです。全身を見ようとすると、いつもと違うところを探しはじめて、判断がぶれます。場所を固定しておくと、前回との比較ができます。

翌日と三日後に、二か所だけを見る
見る場所見ること
足の裏(肉球のあいだ)赤み、湿り、なめている回数が増えていないか
腹(床に触れていた面)赤み、ぶつぶつ、こすったような線が出ていないか
共通同じ場所を気にして、体をこすりつけていないか

記録は三行で足ります。「行った日」「拭いた場所」「翌日の様子」。敏感肌の子のケアで役に立つのは、細かい記録ではなく、同じ形式で並んだ短い記録のほうです。三か月ぶんたまると、通う頻度と皮膚の様子の関係が、自分の目で見えるようになります。動物病院で相談するときにも、この三行が、ペットの状態を伝えるときの材料としてそのまま使えます。

被毛の状態も、ついでに一行だけ足しておくと便利です。拭いた二か所の毛が、ふだんより長く湿っていないか。乾くまでの時間が伸びているときは、拭く量が多すぎるか、布に含ませる量が多すぎます。これは翌日ではなく、その日の一時間後に分かります。

Cautionこの変化があるときは、動物病院にご相談ください

拭いた場所が翌日も赤い、じくじくしている、ぶつぶつが出ている、においが残っている、同じ場所をなめ続けている、毛が抜けて地肌が見えている、触ると痛がる、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、家でのケアの回数や道具を見直す前に、動物病院にご相談ください。敏感肌の子は、家で様子を見ている数日のあいだに範囲が広がることがあります。迷ったら早いほうを選んでください。

最後に、この記事でやったことをもう一度並べておきます。動物病院に行く日にペットの体が触れている面を、時間の長さで並べ替えました。長かった二か所だけを残して、あとは切りました。手数を増やせない子と暮らすときにできるのは、やることを足すことではなく、やる場所を決めることです。二か所と決まっていれば、疲れて帰った日でも二分で終わります。

そして、二か所で足りているかどうかは、翌日の同じ場所が教えてくれます。増やすかどうかを決めるのは、その日の気分ではなく、翌日の皮膚のほうです。動物病院に行く日が続く時期ほど、この形にしておくと、ペットの側にも人の側にも余白が残ります。

この二か所は、通院が終わったあとも同じ形で残せます。週に一度でも、同じ場所を同じ手順で見ていれば、その子のふだんの足の裏と腹が、人の手のほうに残ります。ふだんを手で知っている人だけが、増えた日に気づけます。三行の記録が三か月ぶんたまるころには、二か所を増やすか減らすかを、その日の見た目ではなく前の月と比べて決められるようになります。

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よくある質問

動物病院に行く前に、体を拭いておいたほうがいいですか?
その日に二回ぶんの手数を使うことになるので、敏感肌のペットではおすすめしません。診察の前にきれいにしておくと、かえって皮膚の状態が分かりにくくなることもあります。においや汚れが気になるときは、前日までに済ませておいて、当日は何もしないほうが、その子にとっての回数は減ります。
キャリーに敷いている布は、毎回替えたほうがいいですか?
キャリーの底は、移動しているあいだずっと体に触れている面です。ここは体を拭く手数を増やさずに管理できる数少ない場所なので、行った日のうちに外して洗ってしまうのが手として軽く済みます。予備をもう一枚用意しておくと、洗えていない日に迷わずに済みます。
拭くのは、帰ってすぐでないとだめですか?
すぐでなくて構いません。その子が水を飲んで、寝床で落ち着いてからで足ります。むしろ、帰った直後は移動の緊張が残っていて、触られること自体を嫌がる子が多い時間帯です。三十分ほど置いてから、伏せている姿勢のまま届く範囲でやるほうが、結果として手数が少なく終わります。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。