C12Q&A・豆知識

犬用シャンプーを猫に使ってもいい?

公開日 2021年9月24日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の淡い色の床に、静かに座っているクリーム色の猫
洗い上がった被毛は、そのまま猫の口を通ります。線を引いているのは、その量の前提です。写真:Arina Krasnikova/Pexels

犬用シャンプーのボトルの裏面には、たいてい「犬用」とだけ書かれていて、それ以外の動物についての記載はありません。犬用シャンプーは、猫には使いません。理由は成分が強いからではなく、体についたものを口に入れる量を、犬用シャンプーが想定していないからです。猫は起きている時間の3割ほどを毛づくろいに使うとされていて、洗い上がった被毛は、そのまま口を通ります。犬用シャンプーが決めているのは、犬がなめる量を前提にした残り方のほうです。この記事では、犬用シャンプーと猫のあいだにある前提の違いを、8つの問答に分けて書きます。

犬用シャンプーを猫に使ってもいいですか|その線を引いているもの

答えから書きます。犬用シャンプーは、猫には使いません。ただ、その線を引いているのは製品の側ではなく、猫の側の習性です。猫は自分の体をなめて手入れをします。洗って乾かした被毛は、そのあと何度も口を通ります。犬用シャンプーが想定しているのは、犬がなめる量です。猫がなめる量は、その想定の中に入っていません。

製品に「犬用」と書かれているのは、対象動物を決めたという意味です。対象動物を決めるというのは、その動物の皮膚と被毛、体格、洗ったあとの行動を前提に、洗浄成分の種類と濃度、1回あたりの使用量、すすぎやすさを組み立てたということです。前提が決まっているから、使い方も決まります。前提の外で使うと、使い方の側だけが手元に残って、根拠になっていた条件が外れます。

この5つのうち、いちばん下だけが動物によって大きく入れ替わります。だから「犬用シャンプーは猫にとって害がある」という言い方より、「猫での使い方は、その製品が確かめている範囲の外にある」という言い方のほうが正確です。危ないかどうかを断定する話ではなく、確かめられている範囲がどこまでか、という話です。

犬用シャンプーとは、何を前提にして作られた製品ですか

犬用シャンプーとは、犬の皮膚と被毛に合わせて、洗浄成分の種類と濃度、pH、すすぎやすさ、1回の使用量を決めた製品のことです。ここで決めているのは中身だけではありません。「どう使われるか」まで含めて1セットになっています。使い方が変われば、決めたときの条件も一緒に変わります。

犬用シャンプーが決めていることと、猫では何が入れ替わるか
決めていること犬用シャンプーの前提猫では変わるところ
対象動物犬の皮膚と被毛毛づくろいの量が大きく違う
1回の使用量犬の体格に対する量体重あたりの量が変わる
すすぎ犬の被毛の密度で流れ落ちる量被毛の密度と長さが違う
乾かす手順ドライヤーとタオルで乾かす前提音を嫌がって、乾く前に離れることがある
洗ったあとの行動体を振る、床にこすりつける全身を順番になめて回る

表の右の列は、犬用シャンプーの設計に入っていない条件です。いちばん下の行が、この記事でいちばん重い1行になります。体を振ってこすりつける動物と、全身をなめて回る動物では、洗ったあとに製品が「どこへ行くか」が変わります。前者では床と空気へ、後者では口の中へ向かいます。同じ残り方でも、行き先が違えば、想定すべき量が変わります。

対象動物の記載は、製品を選ぶときに先に見るところです。ただ、この記事で書きたいのは表示の読み方そのものではありません。「猫用」と書かれた製品が、何を前提に量を決めているのか。その前提の中身が、犬用シャンプーとどこで分かれているのか。そこが分かると、表示の1行が何を引き受けているのかも読めるようになります。

猫の毛づくろいは、洗ったあとの被毛をどう扱っているのですか

猫が体をなめている時間は、起きている時間のうち3割ほどにのぼるとされています。これは幅のある目安で、個体差も、年齢による差も、季節による差もあります。それでも桁として言えるのは、猫にとって毛づくろいが「ときどきする行動」ではなく、一日の中の主要な行動のひとつだということです。

猫の舌の表面には、後ろ向きの細かい突起が並んでいるとされています。この突起が櫛のように働いて、抜けかけた毛や表面についたものをすくい取ります。すくい取ったものは、そのまま口の中へ入ります。ブラシと違って、集めたものを捨てる工程がありません。ここが、犬と猫でいちばん違うところです。

犬も自分の体をなめます。ただ、口が届く範囲と回数が違います。犬用シャンプーは、この「犬がなめる量」を前提にした残り方で設計されています。猫に使うと、同じ残り方に対して、なめる量のほうが何倍かに増えます。製品の中身は1ミリも変わっていないのに、口に入る量だけが変わる。前提が違うというのは、こういう形の違いです。

成分が強いから使わない、という説明ではないのですか

違います。ここがこの記事の中心です。犬用シャンプーを猫に使わない理由は、成分の強さではなく、想定している摂取量の前提が違うことにあります。成分の強さだけで説明しようとすると、「低刺激と書いてあるものなら猫に使える」という結論になりますが、そうはなりません。低刺激かどうかは濃度と成分の話であって、なめる量の話ではないからです。

口に入る量は、掛け算で決まります。濃度 × 洗い上がりに残る量 × なめる回数 × 続ける期間。このうち製品が決めているのは、いちばん左の1つだけです。真ん中の2つは動物によって変わり、いちばん右は飼い主の使い方で変わります。犬用シャンプーが「犬用」であるというのは、この4つを犬の側で組み合わせた結果として、量が収まっているという意味です。

だから この成分は強いので猫には危険です という言い方は、4つあった条件を1つに減らしてしまっています。実際には、弱い成分でも量が増えれば前提から外れますし、条件がそろっていれば同じ成分でも収まります。強い・弱いという1本の物差しでは、この掛け算を表せません。

Noteほかの製品を「よくないもの」として読まないでください

犬用シャンプーは、犬のために条件を組んで作られた製品です。その条件の中で使うぶんには、想定どおりに設計されています。ここで書いているのは、猫に使うと前提の組み合わせが崩れる、という物の条件だけです。製品の良し悪しの話ではありません。同じことは逆向きにも言えて、猫用として量を組んだ製品を犬に使う場合も、前提はそのままでは移りません。

よくすすげば、犬用シャンプーを猫に使えることになりますか

なりません。すすぎで減らせるのは残る量だけで、なめる回数のほうは変わらないからです。そして、どれだけ残っているかを家で確かめる方法がありません。被毛の内側は見えず、指ざわりで分かるのは表面だけです。「よくすすいだ」というのは、量の話ではなく、手ごたえの話になります。

もうひとつ、猫を洗う工程そのものに時間の制約があります。水の音とドライヤーの音を嫌がる子では、すすぎと乾かす時間を長くとること自体が難しくなります。タオルで水気を取ってから乾かすまでの手順を短くしたい、という力が働くので、いちばん時間のかかるすすぎが削られやすくなります。前提を埋めるためにすすぎを増やしたいのに、現場では逆向きの力がかかります。

まとめると、答えはこうなります。すすぎの量では、犬用シャンプーと猫のあいだにある前提の違いを埋められません。埋まったかどうかを確かめる手段が家にない以上、埋まったことにはできない、というのが正確な言い方です。

犬と猫が同じ家にいるとき、洗った日はどこを分けますか

同居の家では、もうひとつ経路があります。犬を犬用シャンプーで洗った日に、猫がその犬をなめる、という経路です。多頭の家では、同居の相手の体をなめる行動がよく見られます。この場合、猫に犬用シャンプーを使っていなくても、猫の口には入りえます。分けるべきなのは製品だけでなく、洗った日の時間と場所のほうです。

  1. 洗う日を決めて、洗う側と洗わない側を分ける

    犬を洗う日に、猫も一緒に手入れをしようとすると、乾かす時間がどちらも足りなくなります。洗うのは1日1頭までにして、もう1頭はブラッシングだけにすると、乾かす手順のほうに時間を回せます。

  2. タオルで水気を取るところまでを、その場で終わらせる

    濡れたまま部屋に戻すと、乾く前の毛づくろいと、同居の相手がなめる行動が同時に始まります。タオルで水気を取る工程は、洗う場所から出る前に終わらせてください。ここが短いほど、あとの時間が短くなります。

  3. 乾くまでのあいだだけ、部屋を分ける

    完全に乾くまで、同居の相手と同じ部屋に置かないようにします。分けるのは「洗った子」ではなく「乾いていない時間」です。乾いたら戻して構いません。何時間も隔離しておく必要はありません。

  4. ボトルの置き場所を、その子が届かない場所にする

    犬用シャンプーのボトルは、猫が乗る棚やカウンターの上に置かない。キャップの口についた残りをなめる、という経路をひとつ減らせます。置き場所は、使い方より先に決められる条件です。

この4つに共通しているのは、製品を選び直すのではなく、時間と場所を分けているだけという点です。同居の家でいちばん動かしやすいのはここで、いちばん見落とされやすいのもここです。犬用シャンプーの話は、猫に直接使うかどうかだけでは終わりません。

すでに猫に使ってしまいました|そのあと48時間で見ておくこと

まず、1回使ったことを取り返そうとして、洗い直しを重ねないでください。洗う回数が増えるほど、濡れている時間と乾かす時間が延びます。すでに使ってしまったときは、そのあとの様子を見るほうへ切り替えます。そして、次に挙げる変化があるときは、様子を見る前に動物病院にご相談ください。

Caution使ったボトルを持って、動物病院にご相談ください

上のどれかが出ているとき、あるいは何も出ていなくても心配なときは、使った製品のボトルを持って動物病院にご相談ください。成分表示をその場で見てもらえると、話が早く進みます。いつ・どのくらい・何回使ったかも、分かる範囲でメモしておいてください。ここから先は家庭で判断する領域ではありません。この記事に書けるのは、製品がどういう前提で作られているかまでです。

何も変化がないときは、それ以上さかのぼって心配しなくて構いません。やることは、次に同じ経路をつくらないように、置き場所と使う日の組み立てを変えることだけです。犬用シャンプーを猫に使ってしまったという1回は、これから先の条件を決め直す材料として使えます。

犬用シャンプーと猫の問いを、通しで整理する|口に入る量を減らす側の手入れ

ここまでの答えを、短くつなぎ直します。

そして、この問いの手前にあるのは「猫をどのくらい洗うか」という別の問いです。猫は自分で毛づくろいをする動物なので、洗う回数を増やすことが手入れの充実にはなりません。水を使わずにできる手入れのほうが、猫の一日の過ごし方には合っています。ブラッシングで抜け毛を先に減らしておくと、毛づくろいで口に入る量そのものが減ります。

毎日の手入れに置く1本としては、mofuwa グルーミングスプレーがあります。この記事で分けた掛け算のうち、左の2つを最初から小さくしてある道具です。中身は還元水100%で、すすいで落とさなければならない洗浄成分が入っていません。だから「どれだけ残ったか」を家で測れないという問題が、そのまま口に入る量の問題にはなりません。清涼飲料水の規格基準をクリアしているので、起きている時間の3割を毛づくろいに使う猫でも、なめる回数の側を気にしながら使う道具になりません。布に含ませてから毛の流れに沿って拭く形で、散歩から戻った犬の足まわりにも、ブラッシングの前にも使えます。グルーミングスプレーは犬と猫の両方を対象にしていて、なめる量の前提が最初から両方に置かれています。対象動物の記載を読むというのは、こういう形で確かめることです。

最後に一度だけ繰り返します。犬用シャンプーと猫のあいだにあるのは、良し悪しの差ではなく、前提の差です。その前提は、なめる量という、製品の外側にある条件で決まっています。選ぶときに見るのは中身の強さではなく、その中身が誰の暮らし方に合わせて量を決めたか、です。地肌の赤みや、なめ続ける行動が続くときは、使うものを選び直す前に動物病院にご相談ください。

Product

mofuwa グルーミングスプレー

mofuwa グルーミングスプレー

300ml / 2,970円(税込)

特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。

商品ページを見る

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。