C05犬種・猫種別ケア

スムースダックスフンドのケア|背中のベタつきを減らす3つの習慣

公開日 2021年10月19日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、胴の長い短毛の小型犬が明るい色の敷物の上に寝ている
同じ1頭の背中でも、その子の口や後ろ足が届く場所と、届かない場所があります。写真:David Levinson/Pexels

スムースダックスフンドを抱き上げたときに、手のひらが背中の真ん中で一度だけ止まる。首のあたりも、しっぽのつけねも、さらっと滑ったのに、そこだけ指に残るものがある。ベタつきが出ているのは、体の中のその一か所だけです。同じ日の、同じ被毛です。違うのは、そこがその子の口も後ろ足も届かない場所だ、ということだけです。犬は自分で舐めたり掻いたりして体の手入れをしていますが、胴の長いスムースダックスフンドの体格では、背中の中央だけが、どの動作からも外れます。この記事では、届く範囲と届かない範囲を比べて、人が手を入れる場所を絞り込みます。

口も後ろ足も届かない帯|スムースダックスフンドの背中の真ん中という場所

犬は、自分で体の手入れをしています。前足をなめ、脇腹をなめ、後ろ足で耳の後ろを掻き、床やソファの角に体をこすりつける。この3つの動作で、体の大半が回っています。手入れをしていないように見えて、実際には一日じゅう、少しずつやっています。だから多くの犬では、人が手を入れなくても被毛の表面はそこそこ整っています。

スムースダックスフンドの体格を、この3つの動作にあてはめてみます。脚が短く、胴が長い。体高に対して胴の長さがあるので、背中の面積が、体の大きさの割に広くなります。そのうえで、口はどこまで回るか。後ろ足はどこまで上がるか。床にこすりつけたとき、どこが当たるか。順に見ていくと、ひとつだけ空白が残ります。

この帯が、スムースダックスフンドの体の中で、どこからも届かない場所です。胴が短い犬なら、床にこすりつけたときに背中の全体が当たります。胴が長いと、背中の弓が高くなるぶん、真ん中だけが浮いたままになります。長い体格は、地面に近いところで狩りをするための形ですが、その結果として、自分の手入れが届かない帯ができています。

皮脂は、体のどこからも出ています。帯だけ多く出ているわけではありません。違うのは、出たあとの行き先です。届く範囲では、なめる・掻く・こする動作が、出た皮脂を毛の全体へ広げ、余ったぶんを外へ落としています。帯では、その動作がありません。出た皮脂は、出た場所に薄く残ります。

ここに短毛という条件が重なります。スムースダックスフンドの被毛は短くて、毛の1本ずつが受け止められる量が多くありません。長い毛なら根元から毛先まで距離があるので、同じ量でも薄く伸びます。短い毛では、伸びる先がないぶん、毛の表面に残ります。指が止まるのは、皮脂が多いからではなく、行き場がないからです。

Noteベタつきは「量」ではなく「動かないこと」から出ています

スムースダックスフンドのベタつきを、皮脂が出すぎているせいだと考えると、落とす方向へ手が動きます。落としすぎた場所は乾いて、そのぶん出る量が増えることがあります。見方を変えてください。その場に留まっているものを、毛の先のほうへ運び出す。人がやるのは、その子の動作が届かない帯で、代わりに運び出す係です。

自分で届く範囲と、届かない帯|スムースダックスフンドのベタつきを分ける2つの条件

手を入れる場所を決めるために、体をふたつに分けます。条件は、皮脂の量でも、季節でもありません。その子の動作が届くかどうか、それだけです。この2つに分けると、毎日のケアでやることが、はっきり片方に寄ります。

届く範囲と届かない帯|同じ体の中で条件が2つに分かれる
自分で届く範囲届かない帯
場所首・肩・耳の後ろ・脇腹・後ろ脚・しっぽのつけね肩甲骨の後ろから腰の手前まで
届き方なめる・掻く・こすりつけるどの動作も届かない
皮脂の行き先動作で毛の全体へ広がり、余りは落ちる出た場所に、薄く残る
手ざわりさらっとして、手が滑る手が少しだけ止まる
抜けた毛動作のたびに外れていく皮脂で肌に貼りついたまま残る
ベタつきの出方出ても、その日のうちに散る日を追って重なる
人が手を入れる量ほとんど要りませんここだけで足ります
その子の動作が届く範囲と、届かない帯 なめる・掻く・こすりつけるの3つで届く範囲では、出た皮脂は動作のたびに毛の全体へ広がり、余ったぶんは外へ落ちます。どの動作も届かない帯では、出た皮脂がその場に残り、抜けた毛も貼りついたままになります。同じ1頭の中で、条件が2つに分かれます。 同じ体の中で分かれる2つの条件 届く範囲 なめる・掻く・こする 皮脂は毛の全体へ広がる 抜けた毛は動作で外れる 手が滑って止まらない 人の手はほとんど不要 届かない帯 どの動作も届かない 皮脂はその場に残る 抜けた毛が貼りつく 手が少しだけ止まる 人の手はここだけでよい 手を入れるのは右側だけです。左側は、その子がやっています
分けているのは皮脂の量ではなく、動作が届くかどうかです。

換毛期になると、この差がはっきりします。スムースダックスフンドは短毛ですが、季節の変わり目には毛が抜けます。届く範囲では、なめたり掻いたりする動作のたびに、抜けた毛が外れていきます。帯では外れません。抜けた毛が、その場の皮脂で肌に貼りついたまま残ります。ベタつきに加えて、ざらついた手ざわりが出るのは、この時期です。

季節による違いも、片側だけに出ます。空気が乾く時期は、皮脂そのものが減るので、帯の手ざわりは軽くなります。かわりに、細かいフケが出やすくなります。ベタつきが減った時期に拭く回数を増やすと、うるおいのほうを削ります。夏と冬で同じやり方を続けないでください。手を入れる場所は帯のままで、中身だけを季節で入れ替えます。

Point帯の広さは、その子の体格と年齢で変わります

同じスムースダックスフンドでも、体の柔らかい子は口が回る範囲が広く、帯が短くなります。年齢が上がって後ろ足が高く上がらなくなると、帯は前のほうへ広がります。子犬の時期は胴が伸びていく途中なので、数か月で位置が変わります。1年に1回でよいので、境目を測り直してください。測り方は次の項に書きます。

どっちの範囲か|なめた跡と手の甲の滑りで境目を探す見分け方

帯の位置は、本に書いてある寸法では決まりません。その子の体格と、体の柔らかさで変わります。だから、その子の境目を一度だけ自分で探しておきます。探すのは、明るい部屋である必要も、道具をそろえる必要もありません。次の4つの順で、数日かけて見てください。

  1. 後ろ足がどこまで上がるかを、数日ぶん見ておく

    掻いている場面に出会ったら、足先がどこに届いたかだけ覚えておきます。耳の後ろ、首、肩。そのいちばん後ろの位置が、後ろから見たときの境目のひとつです。1回では分からないので、数日ぶん重ねてください。年齢が上がると、この位置は前へ動きます。

  2. なめた跡を、毛の向きから探す

    なめた場所は、唾液で毛が寝て、乾いたあとも筋のように向きが残ります。脇腹や後ろ脚を見ると、跡が分かります。跡があるところは、届いている場所です。背中の中央へ向かって跡をたどっていくと、途中で消えます。消えた線が、前から見たときの境目です。

  3. 手の甲を、首からしっぽへ一度だけ滑らせる

    手のひらではなく、手の甲を使ってください。手のひらより汗が少ないので、滑りの変化が伝わります。首から始めて、しっぽのつけねへ向かってゆっくり動かします。途中で2回、滑りが変わるはずです。変わってから戻るまでが、その子の帯です。ベタつきを探すのではなく、滑りが変わる位置を探します。

  4. 境目を、体の目印で覚える

    見つけた2つの位置を、肩甲骨の後ろ、腰骨の手前、というように骨で覚えてください。数字より、手で触れる目印のほうが毎日使えます。覚えたら、翌日から手を入れるのはそのあいだだけです。首も脇腹も、触らなくてかまいません。

Point見つけ方は、見るのではなく滑りで比べる

ベタつきを目で探そうとすると、部屋の明るさや光の向きで結果が変わります。手の甲を滑らせる方法なら、夜でも、どの部屋でも、同じ結果になります。しかも比べる相手が同じ日の同じ子の首とお尻なので、昨日より増えたか減ったかを考えなくてすみます。スムースダックスフンドの見分け方としては、これがいちばん再現できます。

境目が分かると、毎日のケアの範囲が一気に狭くなります。全身をブラッシングしていた方は、帯だけになるので時間が短くなります。触らないと決めた場所を触らないことも、手入れのうちです。届く範囲は、その子が自分でやっています。人が重ねてやると、その動作の意味が薄れます。

帯だけに手を入れる|スムースダックスフンドのベタつきを減らす3つの習慣

手を入れる場所が帯に決まったので、あとはやり方です。習慣は3つですが、3つはそれぞれ動く速さが違います。1日単位の動作、1週間単位の道具、季節単位の方針。この順で、間隔が長くなっていきます。3つを同じ日にまとめてやろうとすると続きません。

  1. 習慣1|1日の動作:抱き上げたときに、手の甲で帯を1往復

    スムースダックスフンドを抱き上げる場面は、1日に何度かあります。そのうちの1回でかまいません。抱えたまま、手の甲を帯の上で1往復させます。時間は30秒もかかりません。これは汚れを落とす動作ではなく、留まっている皮脂を毛の先の方向へ動かすための動作です。乾いた布を持っていれば、そのまま1回なでてください。専用の時間をつくらないことが、続けるための条件です。

  2. 習慣2|1週間の道具:ラバーブラシで、帯を端から端まで通す

    週に1回、道具を使います。短毛には、ゴム製のラバーブラシか、毛先のやわらかい獣毛ブラシが向いています。毛の流れに沿って、肩甲骨の後ろから腰の手前まで、端から端まで通します。力は要りません。往復させず、同じ向きに5〜6回。抜けた毛と、留まっていたものが毛先まで運ばれてきます。最後に乾いた布で1回なでて、運ばれてきたものを取ります。ここまでで5分です。ブラッシングは全身でなくてよく、帯だけで足ります。

  3. 習慣3|季節の方針:年に2回、拭くととかすの比重を決め直す

    春と秋、換毛期の入口で、その季節の方針を決めます。毛がよく抜ける時期は、習慣2の回数を週2回へ。空気が乾く時期は、逆に週1回へ戻して、拭く回数も減らします。決めるのは年に2回だけで、あとはその方針のまま流します。毎日その日の状態で判断しようとすると、判断のほうが負担になります。カレンダーに一行書いておけば足ります。

3つのうち、いちばん効くのは習慣2です。ただし習慣1がないと、週1回のあいだの6日間で、帯の手ざわりが戻ります。毎日の30秒は、週1回の5分を長持ちさせるためのものだと考えてください。逆に、習慣1だけを続けても、貼りついた抜け毛は外れません。役割が違うので、片方だけでは足りません。

ベタつくからといって、洗う回数を増やさないでください。洗うと、帯だけでなく、その子が自分で手入れしている範囲の皮脂も一緒に落ちます。届く範囲は動作で戻せますが、帯は動作がないぶん、戻るのに時間がかかります。洗う回数は、ベタつきの多い週でも変えないほうが結果が安定します。減らすのは回数ではなく、帯に留まっている時間のほうです。

帯に手を入れるときの道具として、mofuwaグルーミングスプレーがあります。中身は還元水100%で、香りもアルコールも足していません。帯へ吹きかけてから手の甲をすべらせると、留まっていた余分な脂が水のほうへ乳化して、毛の先まで運び出せます。落ちるのは汚れの原因になる脂で、地肌に要るセラミドやスクワランのほうは残ります。毎日きれいにしてあげたいという気持ちと、シャンプーは毎日できないという事情のあいだに、この帯があります。スプレーが受け持つのは、その毎日の側です。帯へ直接かけても、布に含ませてからなでても、どちらでもかまいません。

量は気にしなくて大丈夫です。飲みものに使う水と同じ規格基準で検査されているので、舐めても差し支えのない中身になっています。帯がうっすら湿るくらいまでかけて、最後に乾いた面でもう一度なでれば、水気も残りません。グルーミングスプレーはブラッシングスプレーでもあるので、習慣2の前にひと吹きしておくと、短毛でも静電気の起きにくい状態でラバーブラシを通せます。乾いた毛のまま同じ向きに通すと、空気の乾く時期は毛先が立って、運び出したい毛が肩のほうへ散っていきます。吹きかける、ブラシを通す、乾いた布で一度なでる。この3つで、週に1回の5分は終わります。

Cautionこすらない、人のものを使わない

帯のベタつきを取ろうとして、強くこする、アルコールを含んだシートで拭く、人間用のドライシャンプーを使う。いずれも避けてください。短毛は毛の下にすぐ皮膚があるので、こする力がそのまま皮膚に届きます。拭き取れば皮脂が減りますという考え方ではなく、毛の先へ運び出すという考え方に置き換えてください。

帯の外までベタついているとき、見るのは背中ではありません

ここまでは、届かない帯の話でした。手の甲を滑らせたときに、首も脇腹もお尻も止まる、という場合は、別の見方をしてください。届く範囲は、その子が自分で手入れをしているはずの場所です。そこがベタついているなら、皮脂ではなく、動作のほうが減っている可能性があります。

この6つは、どれも背中を見ていても分かりません。見るのは、その子がどう動いているかです。スムースダックスフンドのベタつきは、動作の届かない場所に出るものなので、届く範囲まで広がったということは、届く範囲が狭くなったということです。

Caution帯の外まで広がったら、家の回数を増やす前に見てもらう

帯の皮膚が赤い、ぶつぶつしている、においが強くなった、フケが急に増えた、毛が薄くなってきた、同じ場所をなめ続けている、触ると痛がる、背中を触ると体をこわばらせる、後ろ足の使い方が変わった、元気や食欲が落ちている。このうちひとつでも出ているなら、家での回数を増やすほうへ進まず、動物病院で背中を見てもらってください。胴の長い体格では、背中の変化が動きの変化として先に出ることがあります。ブラシと布は、そのあいだも帯だけに続けてかまいません。

相談に行くときは、気づいた日、手が止まる場所とその広さ、週に何回ブラシを入れているか、洗う間隔の4つをメモしておくと話が早くなります。帯の境目を測ってあるなら、その位置も伝えてください。以前より帯が広がっているという情報は、それ自体が変化の記録になります。

スムースダックスフンドの背中の真ん中は、その子が一生かかっても自分では届かない場所です。だからそこだけは、人が代わるほかありません。逆に言えば、代わるのはそこだけで足ります。全身を毎日ブラッシングする必要はなく、手のひら2〜3枚ぶんの帯に、1日30秒と週に5分。ベタつきを減らすというのは、力を入れることではなく、届かない場所を決めて、そこだけを続けることです。

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よくある質問

短毛なのに、長毛の子よりベタついて見えるのはなぜですか?
毛の長さが、皮脂の広がる距離になっているからです。長い毛は根元から毛先まで距離があるので、同じ量でも薄く伸びます。短い毛は伸びる先がないぶん、毛の表面に残ります。そこへ、背中の真ん中がどの動作からも届かないという条件が重なると、その帯だけに残り続けます。
ベタつきが気になるので、シャンプーの回数を増やしてもいいですか?
おすすめしません。洗うと、帯だけでなく、その子が自分で手入れしている範囲の皮脂も一緒に落ちます。届く範囲はなめる・掻くといった動作で戻せますが、届かない帯は戻るのに時間がかかります。洗う回数は変えずに、帯だけにブラシと布を入れるほうが安定します。
帯の位置は、どの子でも同じですか?
同じではありません。体の柔らかい子は口が回る範囲が広いぶん、帯が短くなります。年齢が上がって後ろ足が高く上がらなくなると、帯は前のほうへ広がります。子犬の時期は胴が伸びていく途中なので、数か月で変わります。手の甲を首からしっぽへ滑らせて、滑りが変わる位置を1年に1回は測り直してください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。