C12Q&A・豆知識

肉球の角質は体の皮膚の何倍の厚さか

公開日 2021年11月5日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、淡い色の毛布の上に置かれた淡い色の犬の前足
厚みのある面は、変化が表に出るまでに時間がかかります。写真:https://kaboompics.com//Pexels

肉球の角質は、同じ子の背中や腹の皮膚と比べて、数倍の厚さがあるとされています。比べている相手は、その子自身のほかの部分の皮膚です。人と犬を比べた数字でも、犬と猫を比べた数字でもありません。体のほかの皮膚の角質層が数十マイクロメートル——1ミリの何十分の一——という薄さなのに対して、地面に触れる面だけがそこから何倍かに厚くなっている、という関係です。ここで多くの人がひとつ取り違えます。厚さがあることは、丈夫だということではありません。厚いということは、水分が減っても見た目が変わりにくいということでもあります。だから乾きに気づけないまま、割れてから気づく。この記事では、その厚さが何と比べた数字なのか、条件はどこにあるのか、そして家では表面ではなくどこを見ればいいのかを、8つの問答で開きます。

肉球の角質は、体の皮膚の何倍の厚さだとされていますか

答えから書きます。一般に、数倍とされています。正確な倍率をひとつの数字で言い切れる性質のものではありません。測る場所によっても、その子によっても動きます。それでも、体のほかの部分の皮膚と比べて明らかに厚い、という点は共通しています。

なぜ言い切れないのかというと、厚さを測る場所が一定ではないからです。肉球ひとつをとっても、地面にいちばん強く当たる中央と、まわりの縁では厚さが違います。前足と後ろ足でも違いますし、大きな球と指の球でも違います。「肉球の厚さ」と一言で言ったときに、どこを指しているかで数字が動きます。

Note「数倍」という言い方を、そのまま使ってください

肉球の厚さについては、倍率をひとつの数字に固めた形で覚えないほうが安全です。条件が6つも動くものを1つの数字で言い切ると、家で見たときに合わないという話になります。「体のほかの皮膚より数倍厚いとされている」——この形のまま持っておくほうが、実際の観察には使えます。数字の細かさより、比べている相手が何かのほうが大事です。

その「数倍」は、どことどこを比べた厚さなのですか

比べている相手を、はっきりさせておきます。同じ子の、背中や腹の皮膚です。肉球と人の手のひらを比べた数字ではありませんし、犬と猫を比べた数字でもありません。1匹の中で、地面に触れる面と、触れない面を比べています。

体の皮膚のほうの厚さも、ついでに置いておきます。いちばん外側にある角質層は、数十マイクロメートル——1ミリの何十分の一ほどの薄さとされています。皮膚全体で見ても、犬の皮膚は人の3分の1ほどの厚さとされることが多く、もともと薄い側にいます。その薄い面を持っている同じ体に、地面に当たる場所だけ何倍かの厚さの角質が乗っている。この落差が、肉球という部位の特徴です。

同じ体の中で、厚さが何倍も違う2つの面 背中や腹の皮膚と、肉球の面を、厚さと役割で左右に並べた図です。比べているのは同じ1匹の中の2か所です。 1匹の体の中での比較です 背中や腹の皮膚 角質層は数十マイクロメートル 被毛におおわれている 変化が手ざわりに出やすい 地面には触れない 赤みや乾きが目で見える 肉球の面 角質はその数倍とされる 被毛がなく、むき出し 変化が見た目に出にくい 毎日の散歩で地面に当たる 割れてから気づきやすい 厚さの差は、そのまま気づきにくさの差になります
比べる相手を「同じ子のほかの皮膚」に固定すると、数字の意味がぶれません。

図の右下を見てください。厚さの差は、そのまま「気づきにくさ」の差になります。背中の皮膚なら、乾いてくればフケが出たり、手ざわりが変わったりして、比較的早く分かります。肉球はそれが出ません。ここが、この記事のいちばん伝えたいところです。

厚さがあることは、丈夫だということではないのですか

違います。厚さは、衝撃と摩擦のためにあるものです。体重を4か所で受け止め、砂やアスファルトの上を歩き、止まるときには前へすべる力がかかります。その繰り返しに耐えるために厚くなった、と考えると分かりやすい。つまり、外から当たる力に対しての厚さであって、内側の水分が減ることに対しての厚さではありません。

人の体で言えば、かかとに近い性質です。かかとの皮膚も体のほかの場所より厚くなりますが、厚いから乾かないわけではありません。むしろ、乾いて硬くなったところに体重がかかると、割れます。厚さと、うるおいの量は、別の話です。ここを一続きに考えてしまうと、肉球は丈夫だから何もしなくていい、という結論になります。

肉球の厚さが担っていることと、担っていないこと
内容厚さで説明できるか
担っている体重を受け止めるクッション説明できます
担っている地面との摩擦に耐えること説明できます
担っている熱い路面・冷たい路面との距離ある程度は説明できます
担っていない内側の水分を保つこと厚さとは別のはたらきです
担っていない乾いたときに割れないことむしろ厚いほうが割れ目が深くなります
担っていない変化を早く知らせること厚いぶん、表に出るのが遅れます

下の3行が、この記事の骨です。厚さがあるからこそ、うるおいが減ったときに困る場所でもあります。薄い皮膚なら、乾いてくれば表面のようすがすぐ変わります。厚い角質は、内側の水分が抜けていっても、しばらくは見た目を保ちます。保っているあいだ、飼い主の側には何も見えません。

厚さがあると、なぜ乾きに気づくのが遅れるのですか

順番で見ると分かります。肉球のうるおいは、いちばん外側から減っていきます。ところが、その外側の下にはまだ厚みが残っています。表面が少し乾いた程度では、色も、形も、見た目の張りもほとんど変わりません。手で触っても、もともと硬い場所なので、硬くなったことに気づけません。

  1. 外側の水分が減りはじめる

    この段階では、見た目にも手ざわりにも出ません。厚さがあるぶん、下にまだ余裕があるからです。散歩のあとに冷たい風に当たる日が続くと、ここが進みます。

  2. 表面のきめが少し粗くなる

    触るとざらつきが出ます。ただし、もともとざらついている場所なので、その子の平常時を知っていないと比べられません。ここが最初に気づけるかもしれない段階です。

  3. 縁のほうが硬くなる

    地面に当たりにくい縁のあたりから、しなやかさが落ちます。中央ばかり見ていると見落とします。厚さの分布が変わってきているサインです。

  4. 細い線が入る

    浅いひびが、細い線として見えるようになります。この段階でようやく目で分かります。ここまで来て初めて気づいた、という順番になりがちです。

  5. 割れる

    厚い角質ほど、割れ目は深くなります。歩くたびに開いたり閉じたりするので、そのままにしておくと戻りにくい。ここまで来たら、家で様子を見るのではなく動物病院にご相談ください。

1から3までのあいだ、飼い主の側からは何も起きていないように見えます。厚さは、この「見えない時間」を長くします。丈夫だから大丈夫、と言われる肉球が、気づいたときには割れているという形になりやすいのは、この時間の長さのせいです。

だから、見る場所を変えます。厚い面で気づこうとするのをやめて、薄い場所で気づく。次のセクションが、その話です。

表面ではなく指のあいだを見ると、どうして先に分かるのですか

指のあいだには、肉球のような厚さがありません。ここは球と球のあいだのくぼみで、地面に強く当たらない場所です。角質が厚くならないぶん、乾きや赤みが早く表に出ます。しかも被毛が生えているので、散歩で乗ったものがここに残ります。変化がいちばん早く、いちばん見やすい場所です。

見る場所を、厚い面から薄い場所へ移す
見る場所厚さ何が先に出るか
肉球の中央いちばん厚い割れてから分かる
肉球の縁中央より薄い硬さの変化が先に出る
指と指のあいだ厚さがほとんどない赤み・湿り・においが出る
爪のつけ根薄い地面のものが溜まりやすい
前足の甲薄いなめた跡が毛の色に出る

見かたは決まっています。その子を立たせたまま、片足ずつ持ち上げて、指を広げる。抱き上げなくてかまいません。広げたときに、指のあいだの毛が濡れているか、地肌が赤いか、いつもと違うにおいがするか。この3つを見ます。散歩から帰ってきた1分で終わります。

最後の1つは、切り分けに使えます。4本のうち1本だけ様子が違うなら、乾燥や季節ではなく、その足に起きたことを疑うほうが早い。散歩の途中で何かを踏んだのかもしれませんし、爪の伸び方で体重のかかり方がずれているのかもしれません。こういうときは、家で観察を続けるより動物病院にご相談ください。

散歩の路面や季節で、肉球の厚さは動くのですか

動きます。歩く量が増えれば、角質は重なって厚さを増していくとされています。舗装された道を毎日長く歩く子と、室内が中心で外に出る時間が短い子では、同じ年齢でも厚さが違ってきます。ここまでは、体が路面に合わせているだけの話です。

問題は、厚さが増すこと自体が、割れやすさにつながる場合があることです。厚くて硬い層は、しなりにくい。曲がるときに、しなやかな面なら曲がって済むところが、硬い面では割れ目になります。厚さが増えたことを「鍛えられた」と読むと、この一面を落とします。厚さは、条件に合わせた結果であって、良し悪しの評価ではありません。

条件によって、肉球の厚さとうるおいがどちらへ動くか
条件厚さうるおい
舗装路を毎日長く歩く増える方向減りやすい
室内が中心の暮らし増えにくい室内の空気の乾きに左右される
冬の乾いた空気変わりにくい減りやすい
夏の熱い路面急には変わらないその場で奪われやすい
雨の日が続く変わりにくい指のあいだが湿ったままになりやすい
年齢を重ねる厚さが残りやすい戻る速さが落ちやすい

表を縦に見ると、厚さとうるおいが同じ向きに動いていないことが分かります。舗装路を歩けば厚さは増えますが、うるおいは減りやすい。この2つを1つの言葉でまとめようとすると、どちらかを見落とします。肉球の厚さの話をするときは、必ずうるおいの話を横に置いてください。

厚さのある面に、家でできることは何が残っていますか

できることは2つです。散歩のあとに乗ったものを持ち越さないことと、その日のうちにうるおいを置いておくこと。厚さそのものを家で変えようとする必要はありません。厚さは路面に合わせて体が決めているものなので、こちらが手を出す場所ではないからです。

  1. 玄関で、四つ足の裏を拭く

    地面から乗った砂と、路面の油分をここで止めます。抱き上げず、立たせたまま片足ずつ。1分で終わります。厚さのある面は汚れが残っても見えにくいので、見えるかどうかで判断しないでください。

  2. 指のあいだを、開いて拭く

    球と球のあいだに布の角を入れて、根元から先へ抜きます。ここは厚さがない場所なので、こすらないこと。拭き取りの目的は、乗ったものを落とすところまでです。

  3. 爪のつけ根を見る

    土が溜まりやすい場所です。爪が伸びていると、体重のかかり方が変わって、肉球の当たる場所も変わります。爪の長さは、厚さの分布に効いてきます。

  4. うるおいを置いて、乾かしきる

    拭いたあとに湿ったままにしておくと、指のあいだが蒸れます。拭く・置く・乾かすの順で、乾かすところまでを1セットにしてください。

足の裏は、その子が自分で口を届かせられる数少ない場所です。散歩から帰って、こちらが布を出すより先になめ始める子は珍しくありません。厚さのある球の表面は舌が当たっても平気ですが、指のあいだは厚さのない場所なので、なめ続ければそこから荒れます。ここに置くものは、なめられることを前提に選びます。

mofuwa スキンケアミストは、電解水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。口に入る想定でつくられた水なので、足の裏という「必ずなめられる面」にそのまま置けます。使うのは、拭いたあと、乾かしきる前の一手です。布に含ませて、厚さのある球の中央ではなく、指のあいだと球の縁に置きます。この記事で「変化が先に出る」と書いてきた場所と、うるおいを置く場所は同じです。置いたら、指を閉じさせずにそのまま乾かしきってください。拭く・置く・乾かすの3手で終わります。

使ったあとも、厚さのある面が変わったかどうかで判断しないでください。厚い面は、変化が出るのが遅れます。見るのは指のあいだと爪のつけ根です。ここが平常どおりなら、その日のケアは足りていた、と読めます。

肉球の厚さという数字を、家の見かたに置き換える

最後に、この記事の数字を1行に縮めます。肉球の角質は、同じ子の体のほかの皮膚と比べて数倍の厚さがあるとされている。そして、そこから引き出す結論は「丈夫だから安心」ではなく、「厚いから、気づくのが遅れる」です。数字そのものより、この読み替えのほうが家では役に立ちます。

厚さの数字から、家の行動に落とすまで
数字と条件そこから言えること家でやること
体のほかの皮膚の数倍の厚さ外から当たる力に向いた構造路面と歩く量を把握しておく
測る場所で厚さが違う1つの数字では言い切れない中央だけでなく縁も見る
厚いと見た目が変わりにくい乾きの発見が遅れる表面での判断をやめる
指のあいだは厚さがない変化が先に出る散歩のあとに開いて見る
歩く量で厚さが動く厚さは結果であって評価ではない厚くなったことを鍛錬と読まない
4本のうち1本だけ違う季節や乾燥では説明がつかない動物病院に相談する

表のいちばん下だけ、家の外へ渡す行です。4本のうち1本だけ様子が違うとき、割れ目が深いとき、歩き方が変わったとき、なめ続けているとき。これらは厚さやうるおいの話では説明がつきません。拭き取りやうるおいの手を増やす前に、動物病院にご相談ください。散歩の距離と路面、いつから気づいたかをメモして持っていくと、その場での切り分けが早くなります。

もう一度だけ置いておきます。肉球の厚さは、体のほかの皮膚の数倍。ただしそれは、丈夫さの証明ではなく、気づきにくさの理由です。だから、見るのは厚い表面ではなく、厚さのない指のあいだ。毎日の散歩のあと、1分でできることです。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。