C05犬種・猫種別ケア
ノーフォークテリアと暮らすなら知っておきたい、フケの話
硬い毛を指で左右に分けると、根元に白い粒が点々と並んでいました。ノーフォークテリアの被毛は分けたところで止まってくれるので、地肌までまっすぐ道が残ります。ところが同じ日、その子を膝に乗せていたあとのズボンには、粉のように細かいものが落ちていました。根元に張りついたままのフケと、落ちてきたフケ。同じものに見えますが、この2つは中身が違います。剛毛は皮脂を吸い上げないので、皮脂は毛へ広がらず、皮膚の上に残ります。だからこの犬種では、乾いた皮膚から出るものと、皮脂と混ざったものの2つに分かれます。そして手の入れ方が、この2つでは逆になります。
剛毛は皮脂を吸い上げません|ノーフォークテリアのフケが根元に残る背景
ノーフォークテリアは、イギリスの農地で小さな獲物を追っていた犬種です。藪の中や地面の下へ入っていく仕事なので、外側の毛が硬く、太く、まっすぐに生えています。手のひらでなでると、毛が指を押し返してきます。この硬さは、体を外から守るための作りです。そして硬さは、体の内側から出てくるものの行き先も変えています。
皮膚からは、いつも少しずつ皮脂が出ています。柔らかく細い毛の犬種では、その皮脂が毛の表面を伝って上がり、毛の全体へ広がっていきます。艶があるように見えるのは、そのためです。硬い毛は、これをしません。毛の表面が詰まっていて、皮脂が伝っていく道になりません。行き場をなくした皮脂は、そのまま皮膚の上に残ります。
皮膚の表面では、古くなった角質が毎日はがれています。どの犬でも起きていることで、はがれた角質そのものがフケです。柔らかい毛の犬種では、はがれた角質は毛の間を落ちていくか、皮脂と一緒に毛へ運ばれていきます。ノーフォークテリアでは、はがれた角質が、皮膚の上に残っている皮脂の中に落ちます。
- 硬い毛:皮脂が伝わないので、毛の側へ広がりません
- 皮膚の上:行き場のない皮脂が、地肌の側に残ります
- はがれた角質:その皮脂に落ちて、混ざります
- 下毛がある:硬い毛の下は密なので、落ちたものが外へ出にくくなります
ここで、フケが2つに分かれます。皮脂に触れずに毛の間をすり抜けて落ちたものは、粉のまま外へ出ます。これが、膝の上のズボンに落ちていたほうです。皮脂に落ちて混ざったものは、毛の根元にくっついて動きません。これが、毛を分けたときに根元で見えた粒のほうです。剛毛の犬種では、後者のほうが多く出ます。
出ている皮脂の量が特別に多いわけではありません。変わっているのは行き先です。毛へ広がっていかないぶん、同じ量でも皮膚の上に溜まって見えます。だから「脂っぽい犬種だから洗う」という発想で回数を増やすと、たいてい逆に振れます。ここは、あとの節でもう一度書きます。
粉のフケと、根元にくっつくフケ|ノーフォークテリアで分かれる2つの違い
2つを並べて比べます。比べているのは犬種どうしではなく、同じ1頭の体の上に同時にある2種類のフケです。どちらが出ているかで、その日にやることが変わります。
| 乾いたフケ | 皮脂と混ざったフケ | |
|---|---|---|
| 見え方 | 粉のように細かい | 粒、または薄い膜のかたまり |
| どこで見つかるか | 床、寝床、服、ブラシの上 | 毛の根元、地肌のすぐ上 |
| 指で触ると | 払うと飛んで散る | 指で押しても動かない |
| 色 | 白く、乾いている | 白から黄色みがかっている |
| 出やすい時期 | 湿度が下がる季節 | 季節を選ばず、通年で出る |
| 残っている場所 | 毛の間を落ちてきた跡 | 毛の根元に張りついたまま |
| 手の入れ方 | 乾いたまま、外へ出す | 湿らせて、ゆるめてから外へ |
厄介なのは、目に入りやすいのが左側だという点です。落ちた粉は服にも床にも残るので、飼い主はそちらを見て「フケが出ている」と判断します。ところが、実際に体の上に溜まっているのは右側のほうです。右側は毛の根元にあって、しかも硬い毛に隠れているので、分けて覗かないと見えません。
もうひとつ、同じ日に両方が出ていることも普通にあります。背中は乾いた粉、耳の後ろや脇は根元の粒、という分かれ方をします。体のどこを見ているかで答えが変わるので、1か所で決めないでください。次の節で、その確かめ方を書きます。
どちらのフケか|指で払って確かめる見分け方
見分けるのに道具は要りません。指と、明るい場所だけです。ノーフォークテリアの被毛は硬いので、指で分ければ地肌までまっすぐ道ができます。柔らかい毛の犬種より、地肌を見るのはずっと簡単です。
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背中の毛を、指で左右に分けて地肌を出す
肩と腰の中間あたり。硬い毛は分けたところで止まってくれるので、道が残ります。白いものが見えたら、それが根元にあるのか、毛の途中にあるのかを見てください。根元の側にあるほうが、皮脂と混ざったフケです。
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指の腹で、その白いものを一度だけ払う
強くこすらず、なでる程度です。粉のように飛んで散れば、乾いたフケです。押しても動かず、毛の根元に張りついたままなら、皮脂と混ざったほうです。動くか動かないか。判定はこれだけです。
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指先のにおいを、そのまま確かめる
皮脂と混ざったフケを触った指には、わずかに脂のにおいが残ります。乾いたフケでは、ほとんど何もつきません。強いにおいがある場合は、乾燥の話ではない可能性があります。その場合はケアを変える前に、動物病院にご相談ください。
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耳の後ろ、首の下、脇、しっぽのつけねを同じ手順で見る
この4か所は、皮脂が溜まりやすいうえ、硬い毛が密なので外へ出にくいところです。背中が乾いた粉でも、ここだけ根元の粒になっていることがあります。1日で全部回らなくてかまいません。1日1か所と決めたほうが続きます。
フケの量は、その日の湿度や、直前に何をしていたかで動きます。だから昨日は居間、今日は玄関、という見方では比べられません。明るい窓辺で、背中の同じ場所を、同じ時間に。10秒で終わります。先週と比べられるようになると、季節で動いているのか、ケアで動いているのかが分かれてきます。
ノーフォークテリアのフケを「増えた」と感じるとき、実際には量ではなく、種類が入れ替わっていることがあります。乾く季節に入って左側が増えたのか、洗う間隔が空いて右側が育ったのか。どちらかで、この先やることが逆になります。
乾いたほうと混ざったほう|手の入れ方が逆になる使い分け
同じフケという言葉でまとめてしまうと、ここでつまずきます。乾いたフケは乾いたまま外へ出し、皮脂と混ざったフケは湿らせてからゆるめます。順番を取り違えると、どちらも増える側に動きます。
| 乾いたフケ | 皮脂と混ざったフケ | |
|---|---|---|
| 最初にすること | 毛の流れに沿ってとかす | ぬるま湯で湿らせた布を当てる |
| 湿らせるか | 湿らせない。毛に貼りつきます | 湿らせる。乾いたままでは動きません |
| ブラッシングの向き | 根元から毛先へ、一方向に | 湿らせたあと、根元を短くほぐす |
| 力の入れ方 | 毛の上を滑らせるだけ | こすらず、当てて待つ |
| やってはいけないこと | スプレーで湿らせてからとかす | 乾いたまま強くこすり落とす |
| 洗う間隔 | いつもの間隔のまま | いつもの間隔のまま |
| 部屋の条件 | 湿度が下がる季節に増えます | 湿度とはあまり連動しません |
乾いたフケを湿らせてはいけないのは、粉が毛に貼りついてしまうからです。乾いていれば、とかすだけで毛の間を落ちて外へ出ます。ところが先に湿らせると、粉が毛の表面に残り、そのまま乾いて固まります。翌日には、根元にくっついたほうへ性質が変わってしまいます。乾いたフケに対しては、何も足さないのが正解です。
逆に、皮脂と混ざったフケを乾いたままこすり落とそうとすると、動くのはフケではなく皮膚のほうです。根元に張りついているものを、硬いブラシで削り取ろうとすることになります。取れたように見えて、地肌のうるおいごと持っていきます。ぬるま湯で湿らせた布を、その場所に数十秒当てて待ってください。ゆるんでから、根元を短くほぐすほうが結果的に早く済みます。
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乾いたフケ:とかす前に、何も足さない
やわらかめのブラシで、首から腰へ、毛の流れに沿って一方向に通します。往復させません。硬い毛は向きが決まっているので、流れに逆らうと地肌に当たります。1分あれば足ります。
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皮脂と混ざったフケ:湿らせて、待ってから動かす
ぬるま湯で湿らせた布を軽く絞り、根元に当てます。30秒ほどそのまま置いてください。こするのは、待ったあとです。指の腹で根元を小さく動かすと、ゆるんだものが浮いてきます。浮いたら、乾いたフケと同じようにとかして外へ出します。
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湿らせた場所は、その日のうちに乾かしきる
硬い毛の下は密なので、半乾きのまま置くと湿りが残ります。湿ったまま置くほうが、フケそのものより厄介です。布で押さえて水分を取り、風を通しておいてください。びしょ濡れにする必要はありません。
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洗う回数は、フケの量に合わせて増やさない
皮脂が皮膚の上に残る作りなので、洗えばその日はすっきりします。ところが数日で戻り、また洗う。この往復が、洗いすぎのいちばん多い入り方です。洗う間隔は、フケではなく汚れで決めてください。
洗いすぎると地肌のうるおいが下がり、乾いたフケが出やすくなります。同時に、皮膚の上の状態が変われば、根元にくっつくほうも落ち着きません。フケが出たから洗う、という順番にしないでください。間隔を変えるのは、においや汚れがあるときだけで足ります。
根元に張りついたほうのフケは、その子がどれだけ体を振っても外へ出ません。落とすのではなく、いったん湿らせてゆるめるという工程が先に要るからです。硬い毛を左右に分けて、地肌までの道を作れるのは人の指だけです。ノーフォークテリアの被毛は分けたところで止まってくれるので、その道は作りやすいほうです。
この「湿らせて待つ」には、ぬるま湯のほかにもう一つ選べるものがあります。mofuwa スキンケアミストは、水分の浸透しやすさを特長にした特許電解水を、薄めずにそのまま使っているミストです。ほかに足しているものがないので、根元に当てたあとに残るのは水だけになります。
布に含ませて、指で分けた道の根元に当て、30秒そのまま置きます。使うのは、粒が見えた1か所だけです。乾いた粉が出ている背中には何も足さない、という決まりはそのままにしてください。当てた場所は、その日のうちに乾かしきります。硬い毛の下は密なので、湿らせた時間より、乾かしきったかどうかのほうがあとに残ります。
湿度を戻しても変わらないフケ
ここまでは、皮脂の行き先と、部屋の湿度で説明のつく範囲の話でした。2つの使い分けを回しても変わらないとき、あるいはフケ以外のものが同時に動いているときは、手入れの話として扱わないでください。次のような出方をしていたら、様子を見る前に相談してください。
- 一か所だけにフケが集まる:乾燥は広い面で起きるので、点で出ているのは別の変化として見ます
- 地肌が赤い、黒ずんでいる、ぶつぶつがある:硬い毛は分ければすぐ地肌が見えます。見えたら待たないでください
- においが強い:指に残るにおいが、脂のにおいより強いときです
- 同じ場所をなめる、かく、床にこすりつける:かゆみが出ているなら、うるおいだけの話ではありません
- 毛が薄くなって、地肌が広く見える:フケではなく、毛量そのものの変化です
- 部屋の湿度を戻して2週間たっても、粉が減らない:季節の条件を外したのに動いていません
地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、フケが急に増えた、毛が抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、ケアのやり方を変えて様子を見るより先に、動物病院にご相談ください。皮膚の変化は外から見て分かるものばかりではありません。迷ったときは、早いほうを選んでください。
相談に行くときは、どちらのフケが出ているか、どの場所か、いつから気づいたか、洗う間隔をどうしているか、部屋の湿度をどう変えたかをメモしてください。「フケが出ています」だけより話が早く進みます。毛を分けて撮った写真が1枚あると、なお伝わります。
診察室の照明は、家の窓辺とは向きも強さも違います。その場で背中を見せても、家で見えていた根元の粒は再現できないことがあります。だから写真です。撮っておくだけで、伝えられる情報が変わります。
ノーフォークテリアと暮らすうえで、フケがゼロになることはありません。皮膚からは毎日角質がはがれていますし、剛毛はそれを毛の側へ運んでくれない作りだからです。変えられるのは、どちらのフケを見ているかを取り違えない、という一点です。乾いたほうは何も足さずに外へ出す。混ざったほうは湿らせてから動かす。この2つを取り違えないだけで、同じ手間でも結果が変わります。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- ノーフォークテリアはフケが出やすい犬種なのですか?
- 皮膚から角質がはがれる量そのものは、どの犬でも大きくは変わりません。違うのは皮脂の行き先です。硬い毛は皮脂を吸い上げないので、皮脂が皮膚の上に残り、はがれた角質がそこに落ちて根元にくっつきます。出る量が多いというより、外へ出ていかず、体の上に残って見えている、と考えてください。
- フケが増えたので、シャンプーの回数を増やしてもいいですか?
- おすすめしません。洗った日はすっきりしますが、地肌のうるおいが下がると乾いたフケが出やすくなり、数日でまた戻ります。この往復が洗いすぎのいちばん多い入り方です。洗う間隔は、フケの量ではなく、においや汚れで決めてください。においが強いときは、洗う前に動物病院にご相談ください。
- 根元にくっついたフケを、ブラシで取ってはいけませんか?
- 乾いたまま強くこするのは避けてください。張りついているものは動かず、削れるのは地肌のほうになります。ぬるま湯で湿らせた布を30秒ほど当ててゆるめ、指の腹で根元を小さく動かしてから、とかして外へ出してください。湿らせた場所は、その日のうちに乾かしきるところまでを1セットにします。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
