C05犬種・猫種別ケア
スコティッシュテリアのケア|毛のもつれを減らす3つの習慣
背中にブラシを通すと、10秒もかからずに腰まで届いてしまいます。スコティッシュテリアの上側の被毛は硬くて短く、引っかかるところがほとんどありません。ところが同じ子を抱き上げてお腹の側を見ると、脚のつけねに平たいもつれができています。上と下で、別の犬のような手ざわりです。この犬種は体の上側と下側で毛の質がはっきり分かれていて、絡むのは下側の長く柔らかい毛のほうだけ。しかも脚が短いので、その毛は地面のすぐ上を通っています。この記事では上側と下側の違いを並べたうえで、手を入れる場所を下へ移すための3つの習慣を書きます。
背中は硬く、腹から下は柔らかい|スコティッシュテリアの毛が1頭で分かれる
スコティッシュテリアは、スコットランドで地面の下の獲物を追う仕事をしていた犬種です。狭いところへ入っていく体つきなので、脚が短く、胴は地面に近いところを通ります。そして体を守るために、外側に硬い毛をまとっています。手のひらでなでると、なでたというより、たわしの上を滑らせたような手ざわりが返ってきます。
この硬い毛が生えているのは、頭から背中、体の横、しっぽまでの範囲です。1本ずつがまっすぐで、太く、向きを保ちます。隣の毛と組み合いません。だから上側の被毛は、放っておいても絡まない子が多い。硬い毛は、絡む前に自分の向きへ戻ってしまいます。ブラシが10秒で腰まで届くのは、そのためです。
ところが同じ体の下側、腹から脚にかけては、まったく別の毛が生えています。長くて、柔らかくて、垂れています。ひげの下、胸元、前脚の裏、腹、内股、後ろ脚。この、体の下の縁に沿って垂れている毛のことを、スカートと呼ぶことがあります。硬さも、長さも、上側とは別ものです。
- 上側:硬く短い毛。指ではさめず、1本ずつが向きを保ちます
- 下側:長く柔らかい毛。垂れて、面のようにまとまります
- 脚が短い:下側の毛は、地面のすぐ上を通っています
- 境目がある:体の横の途中で、手ざわりが切り替わります
毛の質が違えば、起きることも変わります。柔らかい毛は隣の毛と組み合い、動くたびに寄っていきます。垂れているので面ができ、面と面が合わさればこすれます。地面に近いので、外のものも入ります。スコティッシュテリアのもつれは、この下側の条件が重なった場所にだけ出ます。上側には、もつれる条件がそろっていません。
上側にもブラシは要ります。ただし目的が違います。硬い毛の下には柔らかい下毛があり、換毛期にはそれが抜けて、硬い毛の間に留まります。上側をとかすのは、その下毛を外へ運び出すためです。もつれをほどくためではありません。目的が違うので、あとで書くように道具も変わります。
体の上側と体の下側|スコティッシュテリアのもつれが出る側の違い
同じ1頭の中で条件が2つに分かれているので、上下を並べて比べると、手を入れる先がはっきりします。比べるのは犬種どうしではなく、この子の上半分と下半分です。
| 体の上側 | 体の下側 | |
|---|---|---|
| 毛の質 | 硬く、太く、まっすぐ | 柔らかく、細く、垂れる |
| 毛の長さ | 短い。指でつまみにくい | 長い。指ではさめる |
| 絡み方 | 向きが戻るので組み合わない | 隣の毛と組み合って寄る |
| もつれの出方 | ほとんど出ない | 脇・内股・脚のつけねに面で出る |
| 外のものが入るか | 地面から遠く、入りにくい | 地面に近く、入りやすい |
| ブラッシングの目的 | 抜けた下毛を外へ出す | もつれの芯をほどく |
| 見つけ方 | 上から見て分かる | 抱き上げないと見えない |
表の最後の行が、いちばん見落とされるところだと思います。下側のもつれは、立っている犬を上から見ても見えません。体の横を毛が覆っているので、外からはきれいにそろって見えます。抱き上げるか、しゃがんで下から覗くか、どちらかをしないと分かりません。「今日はもつれがなかった」と思っていた日が、実は見ていなかっただけ、ということが起こります。
もうひとつ、地面までの距離の話があります。脚が短いぶん、下側の毛先は路面から数センチのところを通っています。雨上がりの水、乾いた土、草の実、落ち葉のかけら。散歩のたびに、下側だけが外のものを受け取っています。受け取ったものは毛の間に入り、そこがもつれの芯になります。上側は同じ散歩をしていても、ほとんど何も受け取っていません。
習慣1:ブラシを入れる順番を、背中からスカートへ移す
1つ目は、毎日の順番を変えるだけの習慣です。道具も時間も増やしません。背中から始めていたブラッシングを、体の下の縁から始めるように入れ替えます。順番を変える理由は単純で、最初にやったところがいちばん丁寧になるからです。
多くの人は、背中から始めて、余力があればお腹、という順で手を動かします。ところがスコティッシュテリアでは、その余力の側にもつれが出ます。背中で3分使うと、下側は嫌がられたところで終わります。順番が、そのまま手の入り方の差になります。
-
立たせたまま、体の横の境目を手のひらで探す
背中から体の横へ、手のひらを下ろしていきます。硬い手ざわりが途中で柔らかく変わる線があります。そこが上側と下側の境目です。スコティッシュテリアはこの線が比較的はっきりしている子が多いので、数回なでれば覚えられます。
-
境目のすぐ下に、目の粗いコームを入れる
境目より上ではなく、下です。毛先の側から入れて、少しずつ上へ移していきます。ここが引っかからなければ、その日の下側はまだ大丈夫です。入り口を1か所に決めておくと、毎日同じ場所で比べられます。
-
前脚のつけねと、内股に指を入れる
コームの前に、まず指です。指が根元まですっと入れば通っています。途中で止まる、毛が板のようになっているなら、そこに面ができています。左右を同じやり方で比べて、片側だけ違えば、寝る向きやいつも当たっているものを思い出してください。
-
1日1分、下側だけで終わらせる
全身を回そうとしないほうが続きます。下側だけを1分、と決めてしまう。背中は硬い毛なので、1日空いても状態はほとんど動きません。もつれが動くのは下側だけなので、毎日の1分は下側に割り当てるほうが結果につながります。
下側は、抱き上げたときにいちばん見えます。ソファに乗せるとき、玄関で足を拭くとき、膝に乗せたとき。そのついでに腹の縁へ指を1本入れる、と決めてしまうと、思い出さなくても回るようになります。道具を出してくる手間がないぶん、続く確率が上がります。
習慣2:上側と下側で、ブラシとコームの使い分けを決める
2つ目は、毎日やることではありません。一度決めてしまえば、あとは同じものを使い続けるだけの習慣です。上側と下側で毛の質が違うのに、1本のブラシで全身を回そうとすると、どちらかが必ず合わなくなります。
上側は硬い毛です。ここには先のしっかりしたブラシで、根元まで届かせます。目的は抜けた下毛を運び出すことなので、毛の流れに沿って、根元から毛先へ通します。下側に同じブラシを同じ力で入れると、柔らかい毛が途中で切れます。逆に上側を目の粗いコームだけで済ませると、下毛は中に残ったままになります。
| 体の上側 | 体の下側 | |
|---|---|---|
| 先に使うもの | 先のしっかりしたブラシ | 指の腹、次に目の粗いコーム |
| 入れる向き | 根元から毛先へ、流れに沿って | 毛先から根元へ、少しずつ上へ |
| 力の入れ方 | 地肌に当たる手前で止める | 根元を支えて、引かずにほどく |
| 1回の時間 | 30秒。毎日でなくてよい | 1分。毎日 |
| やらないこと | 同じ場所を往復させる | もつれの根元からコームを入れる |
下側でいちばん多い失敗は、もつれを見つけて、その根元からコームを入れてしまうことです。もつれの下には、毛に引っぱられて持ち上がった皮膚があります。根元から入れると、毛ではなく皮膚を引くことになります。ほどくときは、必ずもつれの根元側を指ではさんで固定してから、毛先の側を少しずつ崩していきます。その日に全部ほどけなくても構いません。
空気が乾く時期は、下側の柔らかい毛に静電気が起きます。とかすほど毛先が広がって、隣の毛と寄っていきます。乾いた日は、とかす前に毛先の滑りをそろえておくほうが早い。mofuwa グルーミングスプレーはブラッシングスプレーとしても使えるので、腹の縁から脚の内側までをひと吹きしてから、コームを毛先の側に入れてください。うっすら湿るだけで、広がっていた毛先は寄らなくなります。腹や内股は口がすぐ届く場所ですが、舐めても問題のない基準でつくられているので、かける量にためらいが要りません。湿らせたぶんは、その日のうちに乾いた布で押さえて引き取ってください。
下側のもつれを早く取ろうとして、引き抜く・ハサミを入れる、はどちらも避けてください。もつれの下では皮膚が持ち上がっているので、毛だけを切っているつもりでもハサミの先が皮膚に届きます。ほどけないものは無理に触らず、次のトリミングまで待つか、場所を伝えてサロンに任せてください。
習慣3:帰宅後の数分と、時期によって変わる持ち帰るもの
3つ目は、外から帰った日にだけ動く習慣です。毎日ではありませんし、道具を決める話でもありません。下側の毛が地面のすぐ上を通っている、というこの犬種の作りに合わせた手当てです。散歩から帰ったら、上着を脱ぐくらいの気持ちで下側だけを見る、と考えてください。
- 雨の日・雨上がり:下側だけが濡れています。濡れた毛は乾く途中で締まり、もつれの芯になります
- 草むらを歩いた日:草の実や種が毛の間に入ります。芯が入ったもつれは、ほどいても同じ場所に戻ります
- 乾いた季節:静電気で毛先どうしが寄ります。地肌のうるおいも下がるので、ブラシを強く当てないでください
- 換毛期:上側の硬い毛の下から抜けた下毛が、下側の長い毛に落ちて溜まります
- 雪や霜の日:溶けた水が下側に残ります。玄関で拭いておくと、部屋に入ってからの締まり方が変わります
この中でいちばん見落とされやすいのが、換毛期です。抜けた下毛は上側から出てきますが、硬い毛の隙間を抜けたあと、そのまま下側の長い毛の中に落ちます。そして柔らかい毛に引っかかって留まります。上側の抜け毛と、下側のもつれが同じ時期に連動して増えるのは、このためです。換毛期のあいだだけ上側をとかす回数を少し増やすと、下側の仕事が減ります。
帰宅後にやることは多くありません。玄関で下側だけを一度拭き、湿っていればそのまま乾かす。それだけです。洗う回数を増やす必要はありません。洗う回数を増やすと、地肌のうるおいも一緒に減っていきます。ただ、散歩は毎日で、体から脂が出るのも毎日です。拭く布をグルーミングスプレーで湿らせておくと、水だけでは残る脂の混じった汚れが布のほうへ移ります。アルカリ電解水が油と乳化するので、毛先をこすらずになでるだけで足ります。地面に近い下の縁だけを、帰ったその場で1回。この1回が、次にコームを入れるときの通りを決めます。
下側の毛は柔らかく、長く、垂れています。濡れた状態で乾いていくとき、毛どうしが寄ったまま固まります。散歩から帰って1時間置いた下側と、玄関で拭いた下側では、翌朝のほどきやすさがはっきり違います。拭くのは全身でなくてかまいません。地面に近い、下の縁だけで足ります。
背中がきれいなのに、下側のもつれだけが戻ってくるとき
ここまでは、毛の質と地面までの距離で説明のつく話でした。3つの習慣を回しても同じ場所が戻る、あるいはもつれ以外のものが同時に動いているときは、被毛の話として扱わないでください。次のような出方をしていたら、様子を見る前に相談してください。
- いつも同じ一か所だけが戻る:ハーネス、首輪、寝床の縁など、毎日当たっているものが同じ場所を押さえている可能性があります
- ほどいたあとの地肌が赤い、においがある:湿った状態が続いた結果として起こることがあります
- その場所を気にしている:なめる、かく、床にこすりつける。もつれより先に、皮膚のほうを見てください
- 上側の毛が薄くなって、地肌が透けている:もつれの話ではなく、毛量そのものの変化です
- 触ると嫌がる、声を出す:痛みがあるときは、ほどく手をその場で止めてください
地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。この並びに心当たりがあるときは、自分でほどく手を止めて、動物病院で診てもらってください。下側は外から見えないので、気づいた時点ですでに何日か経っていると考えたほうが実際に近いです。
相談やトリミングに行くときは、もつれの場所、いつから気づいたか、最後にカットした日をメモしてください。ほどけなかったものは、そのままの形で見せたほうが早く伝わります。触ってほぐしてしまうと、どの向きに毛が寄っていたのかが読めなくなります。
スコティッシュテリアと暮らすうえで、下側のもつれがゼロになることはありません。地面に近いところを長い毛が通っている、という作りだからです。変えられるのは、手を入れる場所が上に偏っている、という一点だけです。背中はもともと絡みにくい被毛です。1分を下へ移すだけで、次のトリミングまでの数週間はずいぶん違ってきます。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- スコティッシュテリアの背中は毎日とかさなくてもいいのですか?
- とかす価値はありますが、目的がもつれ対策ではありません。上側は硬く短い毛で、放っておいても絡みにくい作りです。上側をとかすのは、換毛期に抜けた下毛を外へ運び出すためです。もつれが動くのは下側だけなので、毎日の時間は下側に割り当てるほうが結果につながります。
- ブラシは1本で全身をやってはいけませんか?
- 1本で通そうとすると、どちらかが必ず合わなくなります。上側の硬い毛に合うブラシを下側に同じ力で入れると、柔らかい毛が途中で切れます。逆に目の粗いコームだけで上側を済ませると、抜けた下毛が中に残ります。上側と下側で道具と手の向きを分けておくのが、いちばん手数の少ない方法です。
- 散歩のあと、毎回洗ったほうがもつれは減りますか?
- 洗う回数を増やすことはおすすめしません。地肌のうるおいも一緒に減っていきます。下側が濡れた日にやることは、玄関で下の縁だけを拭いて、乾かしきることです。ほどけていないもつれを濡らすと、乾く途中で締まります。ほどいてから洗う、という順番にしてください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
