C09シーン別・暮らし
賃貸で暮らすを楽にする、シニア猫と暮らす人の毎日の習慣
賃貸の1LDKで、老猫が一日のうちに動いた場所を数えてみたら、3か所しかありませんでした。窓ぎわのクッション、廊下側に置いた水皿と食器、それから寝室のベッドの足もと。若い頃は本棚の上にも冷蔵庫の上にも乗っていたのに、いまはそこへ行きません。ペットと暮らす賃貸で、においが部屋の側に残ることを気にしている方は多いと思います。ただ、老猫と暮らしているなら、部屋を丸ごと疑う必要はありません。行動範囲が狭くなるほど、においの出どころは狭い範囲に集まっていきます。この記事では、老猫の暮らす場所がどう減っていくのかを先に書き、そのうえで、賃貸の部屋全体を薄く手入れするのをやめて、集まっている場所だけを厚く手当てするという考え方を書きます。
一日に動いた場所が3か所しかなかった|賃貸で老猫と暮らす人のにおいの経験
休みの日に、老猫が家の中でどこにいたかを、思い出せる範囲で書き出したことがあります。朝は窓ぎわのクッション、昼過ぎに一度だけ水皿のところへ行き、夕方からは寝室のベッドの足もと。それで一日が終わっていました。賃貸の1LDKという広くない部屋の中で、さらにその3か所しか使っていません。若い頃は、こちらが呼んでもいない場所に先回りしていました。本棚の上、冷蔵庫の上、洗濯機の裏。いまはそこへ行く理由が、その子の中からなくなっています。
ペットと暮らす賃貸では、においが部屋の側に残ることが気になります。窓を開けて換気して、床を拭いて、カーテンを洗って、消臭剤を置いて、それでも夕方に外から帰ってくると元に戻っている。この繰り返しに疲れている方は少なくないと思います。手が足りないと感じるのは、手を入れようとしている面積が広すぎるからです。そして老猫と暮らす家では、その面積を、こちらの都合ではなく、その子の暮らし方の側から減らせます。
老猫は、若い頃と同じようには動きません。高いところへ登る回数が減り、部屋を横切る回数も減り、寝ている時間そのものが長くなります。結果として、一日のうち十数時間を、同じ布の、同じ面の上で過ごすことになります。同じ体が、同じ場所に、毎日十数時間置かれ続けている。においの出どころが部屋じゅうに散らばっているように感じても、実際に濃くなっているのは、その座標のまわりだけです。
まず、数えてみてください。難しい観察は要りません。一日のうちに老猫が体を置いた場所を、思い出せるぶんだけ紙に書くだけです。多くの家で、4か所を超えません。賃貸のように部屋数が限られていれば、なおさら少なくなります。この数が、そのまま、においで手を入れる場所の数になります。ペットのにおいの話を、部屋の話から、場所の話に切り替えるのが最初の一歩です。
- 寝ている場所:一日でいちばん長く体が触れている布。皮脂と体温が最も長く預けられます
- 水皿と食器のまわりの床:口のまわりが濡れたまま離れるので、半径30センチほどに落ちます
- トイレを出たあとの2〜3歩:足の裏についたものが、その距離だけ床へ移ります
- 人のそばの定位置:ソファの端でも椅子の足もとでも、その子が自分で選んだ1か所です
- 窓ぎわの日なた:体が温まる場所。においの立ち方が、同じ布でも時間帯で変わります
老猫の行動範囲が狭くなっていくことを、悪いこととして書くつもりはありません。歳を重ねた猫が、居心地のよい場所を選び直しているだけのことも多くあります。この記事で使いたいのは、狭くなったという事実のほうです。賃貸でペットのにおいを気にしている人にとって、においの出どころが絞られているというのは、手の入れどころがはっきりしているということでもあります。
歩く距離が減ると、体から出るものは同じ座標に置かれ続ける|老猫のにおいが濃くなる背景
なぜ、狭い範囲ににおいが集まるのか。理由は2つに分かれます。1つは、いま書いたとおり、老猫が同じ場所に長くいるからです。もう1つは、その子が自分でできる手入れの量が減っているからです。この2つは別々の話に見えて、賃貸の部屋の中では同じ座標で重なります。
猫は、起きている時間のかなりの部分を毛づくろいに使います。ところが歳を重ねると、体をひねる角度が浅くなり、後ろのほうや背中の真ん中に舌が届きにくくなります。回数も減ります。届かない場所と、届かない時間が、両方じわじわ増えていきます。その結果、若い頃なら自分で運び出していた抜け毛や皮脂が、体の上に残ったままになります。老猫のにおいが濃くなったと感じるとき、変わったのは体の中身ではなく、手入れの量のほうであることが多いのです。
残った皮脂は、そのまま布に移ります。体が長く触れている面ほど、移る量は多くなります。布の中で、皮脂と、はがれた皮膚と、湿り気が同じ場所にそろうと、雑菌が増えやすい条件がそろいます。においが強く感じられるようになるのは、そこから少しあとです。においは、その日に生まれたものではなく、何日か前に置かれたものが積み上がった結果として立ちます。だから、その日の朝に換気をしても、夕方には戻ってきます。
| 若い頃 | いま | |
|---|---|---|
| 使っている場所の数 | 部屋のほぼ全域。高い場所も含む | 3〜4か所。ほとんどが床から50センチ以内 |
| 1か所あたりの滞在時間 | 短く、次々に移る | 長い。同じ布に十数時間 |
| 自分でする毛づくろい | 回数も範囲も十分 | 回数が減り、届かない場所が増える |
| においの出どころ | 部屋じゅうに薄く散る | 狭い範囲に濃く集まる |
| 人が手を入れる場所 | 全体を薄く | 集まっている場所を厚く |
賃貸で、においが部屋の側に残ると感じるのには、部屋そのものの条件も関係します。窓の数が少ない間取りでは、空気が入れ替わる経路が1本しかありません。1か所しか開けられない窓を開けても、空気は出ていくだけで、入ってくる先がなければ流れません。換気は、入口と出口の2つがそろって初めて起こります。玄関のドアと窓を短時間だけ同時に開けるほうが、窓を一日中細く開けておくより早く動きます。老猫は温度の変化に弱いので、その子がいる場所に風が直接当たらない向きを選んでください。
もうひとつ、老猫と暮らす賃貸で見落とされやすいのが、寝床の下の面です。クッションやベッドの上側は目に入るので手が入ります。ところが、その下の床や、クッションの裏側は、動かさないかぎり見えません。体温で温められた布の下は、湿り気が長く残ります。週に1回、寝床を持ち上げて、下の床を乾いた布で拭いて、そのまま数十分だけ裏返して置いておく。それだけで、その座標の条件がひとつ変わります。
部屋じゅうを薄く拭いてもにおいが戻る理由|賃貸で手が足りなくなる配り方
ここが、この記事でいちばん書きたいところです。ペットのにおいが気になる賃貸で、多くの方がやっているのは、部屋全体を均等に手入れすることです。床を全部拭き、家具の上を全部拭き、換気をして、消臭剤を置く。やっていることは正しいのに、においが戻ってくる理由は、面積のほうにあります。使える時間が30分だとして、それを部屋の全面に配ると、1か所あたりに落ちる手数は、ごくわずかになります。
たとえば1LDKの床面が、ざっと40平方メートルあるとします。老猫が実際に体を置いている面は、寝床と食器まわりを足しても、1平方メートルに届きません。においの原料の大半は、床面積の40分の1未満のところで作られています。それなのに手入れの時間は、40等分されて配られている。これが、拭いても拭いても夕方に戻る、といういちばん多い理由です。
| 部屋全体に均等に配る | 集まっている場所に厚く配る | |
|---|---|---|
| 手を入れる面 | 床・家具・カーテンまで全部 | 寝床、食器まわりの床、その子の体 |
| 1か所あたりの手数 | 1回ずつ、表面をなでる程度 | 布の中まで、繰り返し |
| においの原料に届くか | 上を通り過ぎる | 置かれた場所に直接届く |
| 翌日の戻り方 | 夕方にはほぼ元へ | 戻りが遅く、間隔をあけられる |
| 続けやすさ | 毎日は続かない | 場所が決まっているので続く |
もうひとつの理由が、拭き取りが布の表面で止まっていることです。老猫が十数時間乗っているクッションでは、皮脂は表面の繊維だけでなく、その1枚下まで入っています。乾いた布で表面をなでると、目に見える毛は取れます。においの元になっているものは、その下に残ります。取れているのは毛で、残っているのは皮脂です。ここを混同すると、きれいになったように見えるのに、においだけが戻る、という状態が続きます。
だから、寝床は「拭く」ではなく「洗って乾かす」ほうに寄せてください。賃貸で洗濯物を干す場所が限られていても、寝床のカバーを2枚用意して交互に使えば、乾くまで待たずに回せます。老猫は寝床が変わることを嫌がることがあるので、2枚とも同じものにしておくと戻りが早くなります。洗ったばかりのカバーだけを置くと、その子のにおいが消えて落ち着かないことがあります。前に使っていたカバーを、たたんで隣に置いておくくらいがちょうどいい距離です。
部屋全体の掃除をやめてください、という話ではありません。順番を、集まっている場所から始める、というだけです。寝床と食器まわりを先にやると、そのあとに床の全面を拭いたときの持ちが変わります。逆に、床の全面から始めると、時間が足りなくなって寝床まで届かない日が出ます。賃貸でペットのにおいを気にしている人が最初に変えられるのは、道具でも頻度でもなく、この順番です。
1か所を厚く、残りは薄く|賃貸で老猫と暮らすペットのにおいの考え方
毎日の形にします。難しいことは入れません。老猫と暮らす賃貸で決めておくのは、場所を3つと、時間の配り方だけです。場所は、その子が寝ている布、食器と水皿のまわりの床、そして体そのもの。この3つに厚く配り、それ以外の床や家具は、週末にまとめて薄く回します。
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寝床は、上ではなく中に手を入れる
毛を取るだけで終わらせず、カバーを外して洗える形にしておきます。洗う間隔は、においを嗅いでから決めてください。顔を近づけずに、30センチ離れた位置で息を吸って分かるなら、その日が洗う日です。老猫が長く乗っているぶん、若い猫の寝床より間隔は短くなります。
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食器と水皿は、器より先に、まわりの床を拭く
器を洗うのは毎日やっている方が多いのですが、こぼれた水と食べこぼしが落ちるのは、器の外側の床です。半径30センチだけを、水で湿らせた布で拭いて、乾いた布で水気を取ります。湿ったまま置くと、そこが次のにおいの出どころになります。
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帰宅後に、まず玄関で1回だけ空気を通す
外から帰ってきた瞬間が、その日のにおいがいちばん分かるタイミングです。ペットと暮らしていると鼻が慣れるので、この1回を逃すと分からなくなります。玄関のドアを開けたときの印象を、強い・ふつう・気にならないの3段階で決めてください。強い日は寝床、ふつうの日は食器まわり、気にならない日は何もしない。判断はそれだけで足ります。
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その子の体には、届かなくなった場所から手を入れる
背中の真ん中、腰、しっぽの付け根。老猫が自分で舌を届かせにくくなった場所です。乾いた手で毛の流れに沿ってなでて、指に脂っぽさが残るかどうかを見ます。週に何回と決めず、指に残った日だけやるほうが、こちらもその子も無理がありません。
背中の真ん中、腰、しっぽの付け根。この3か所は、老猫が自分では舌を届かせられなくなった場所です。若い頃はその子が自分で運び出していたものが、いまは人が代わらないかぎり体の上に残ります。賃貸の部屋のどこを拭くかという話とは別に、ここは最初から人の手が空いている場所です。
mofuwa スキンケアミストは、電解水100%でつくられていて、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。猫は、人が触れた場所をそのあと必ず自分で舐め直します。口に入っても問題のない基準でつくられていることが、猫に使うときの条件をそのまま満たします。布に含ませてから、背中から腰へ、毛の流れに沿ってなでてください。賃貸で乾かす場所が限られていても、体をぬらさずに済みます。嫌がる日は、その日はやめて構いません。
最後に、集中している場所が動いたときの話をします。ここまで書いてきたのは、老猫の居場所が3か所に絞られている前提の話でした。その3か所が急に変わったときは、においの話ではなくなります。いつもの窓ぎわに行かなくなった、水皿の前で長く止まるようになった、寝床ではなく硬い床の上で寝るようになった。場所が動いたことには、たいてい理由があります。
においの質が急に変わった、口のまわりだけが強くにおう、体の一部が脂っぽくかたまっている、同じ場所をなめ続けている、抜け毛が急に増えた、水を飲む量やトイレの回数が変わった、体重が落ちてきた。いずれかに当てはまるときは、拭き取りの回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。老猫では、においの変化が体の変化より先に見えることがあります。賃貸で消臭の手を増やすより、まず受診を選んでください。判断に迷ったときは、早いほうを選んで構いません。
ペットのにおいを気にして部屋を丸ごと手入れしていると、その子の体を見る時間が減ります。老猫と暮らす賃貸では、においで手を入れる場所と、その子の変化が現れる場所が、たまたま同じです。寝床と食器まわりに毎日手を入れていれば、においの変化にも、体の変化にも、同じ手で気づけます。部屋の広さと戦うのをやめて、その子が実際に使っている数か所に手を寄せる。賃貸でできることは、そこから増えていきます。
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商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
