C09シーン別・暮らし

賃貸で暮らすを楽にする、シニア猫と暮らす人の毎日の習慣

公開日 2021年11月20日|文=mofuwa編集部

明るい窓ぎわの淡い色のクッションの上で、白っぽい猫が体を伸ばして休んでいる
老猫が一日の大半を過ごす場所は、たいてい数か所です。においも、その座標に集まります。写真:大 董/Pexels

賃貸の1LDKで、老猫が一日のうちに動いた場所を数えてみたら、3か所しかありませんでした。窓ぎわのクッション、廊下側に置いた水皿と食器、それから寝室のベッドの足もと。若い頃は本棚の上にも冷蔵庫の上にも乗っていたのに、いまはそこへ行きません。ペットと暮らす賃貸で、においが部屋の側に残ることを気にしている方は多いと思います。ただ、老猫と暮らしているなら、部屋を丸ごと疑う必要はありません。行動範囲が狭くなるほど、においの出どころは狭い範囲に集まっていきます。この記事では、老猫の暮らす場所がどう減っていくのかを先に書き、そのうえで、賃貸の部屋全体を薄く手入れするのをやめて、集まっている場所だけを厚く手当てするという考え方を書きます。

一日に動いた場所が3か所しかなかった|賃貸で老猫と暮らす人のにおいの経験

休みの日に、老猫が家の中でどこにいたかを、思い出せる範囲で書き出したことがあります。朝は窓ぎわのクッション、昼過ぎに一度だけ水皿のところへ行き、夕方からは寝室のベッドの足もと。それで一日が終わっていました。賃貸の1LDKという広くない部屋の中で、さらにその3か所しか使っていません。若い頃は、こちらが呼んでもいない場所に先回りしていました。本棚の上、冷蔵庫の上、洗濯機の裏。いまはそこへ行く理由が、その子の中からなくなっています。

ペットと暮らす賃貸では、においが部屋の側に残ることが気になります。窓を開けて換気して、床を拭いて、カーテンを洗って、消臭剤を置いて、それでも夕方に外から帰ってくると元に戻っている。この繰り返しに疲れている方は少なくないと思います。手が足りないと感じるのは、手を入れようとしている面積が広すぎるからです。そして老猫と暮らす家では、その面積を、こちらの都合ではなく、その子の暮らし方の側から減らせます。

老猫は、若い頃と同じようには動きません。高いところへ登る回数が減り、部屋を横切る回数も減り、寝ている時間そのものが長くなります。結果として、一日のうち十数時間を、同じ布の、同じ面の上で過ごすことになります。同じ体が、同じ場所に、毎日十数時間置かれ続けている。においの出どころが部屋じゅうに散らばっているように感じても、実際に濃くなっているのは、その座標のまわりだけです。

まず、数えてみてください。難しい観察は要りません。一日のうちに老猫が体を置いた場所を、思い出せるぶんだけ紙に書くだけです。多くの家で、4か所を超えません。賃貸のように部屋数が限られていれば、なおさら少なくなります。この数が、そのまま、においで手を入れる場所の数になります。ペットのにおいの話を、部屋の話から、場所の話に切り替えるのが最初の一歩です。

Note場所が減ること自体を、ここでは問題にしません

老猫の行動範囲が狭くなっていくことを、悪いこととして書くつもりはありません。歳を重ねた猫が、居心地のよい場所を選び直しているだけのことも多くあります。この記事で使いたいのは、狭くなったという事実のほうです。賃貸でペットのにおいを気にしている人にとって、においの出どころが絞られているというのは、手の入れどころがはっきりしているということでもあります。

歩く距離が減ると、体から出るものは同じ座標に置かれ続ける|老猫のにおいが濃くなる背景

なぜ、狭い範囲ににおいが集まるのか。理由は2つに分かれます。1つは、いま書いたとおり、老猫が同じ場所に長くいるからです。もう1つは、その子が自分でできる手入れの量が減っているからです。この2つは別々の話に見えて、賃貸の部屋の中では同じ座標で重なります。

猫は、起きている時間のかなりの部分を毛づくろいに使います。ところが歳を重ねると、体をひねる角度が浅くなり、後ろのほうや背中の真ん中に舌が届きにくくなります。回数も減ります。届かない場所と、届かない時間が、両方じわじわ増えていきます。その結果、若い頃なら自分で運び出していた抜け毛や皮脂が、体の上に残ったままになります。老猫のにおいが濃くなったと感じるとき、変わったのは体の中身ではなく、手入れの量のほうであることが多いのです。

残った皮脂は、そのまま布に移ります。体が長く触れている面ほど、移る量は多くなります。布の中で、皮脂と、はがれた皮膚と、湿り気が同じ場所にそろうと、雑菌が増えやすい条件がそろいます。においが強く感じられるようになるのは、そこから少しあとです。においは、その日に生まれたものではなく、何日か前に置かれたものが積み上がった結果として立ちます。だから、その日の朝に換気をしても、夕方には戻ってきます。

若い頃と、老猫になってからで変わること
若い頃いま
使っている場所の数部屋のほぼ全域。高い場所も含む3〜4か所。ほとんどが床から50センチ以内
1か所あたりの滞在時間短く、次々に移る長い。同じ布に十数時間
自分でする毛づくろい回数も範囲も十分回数が減り、届かない場所が増える
においの出どころ部屋じゅうに薄く散る狭い範囲に濃く集まる
人が手を入れる場所全体を薄く集まっている場所を厚く

賃貸で、においが部屋の側に残ると感じるのには、部屋そのものの条件も関係します。窓の数が少ない間取りでは、空気が入れ替わる経路が1本しかありません。1か所しか開けられない窓を開けても、空気は出ていくだけで、入ってくる先がなければ流れません。換気は、入口と出口の2つがそろって初めて起こります。玄関のドアと窓を短時間だけ同時に開けるほうが、窓を一日中細く開けておくより早く動きます。老猫は温度の変化に弱いので、その子がいる場所に風が直接当たらない向きを選んでください。

もうひとつ、老猫と暮らす賃貸で見落とされやすいのが、寝床の下の面です。クッションやベッドの上側は目に入るので手が入ります。ところが、その下の床や、クッションの裏側は、動かさないかぎり見えません。体温で温められた布の下は、湿り気が長く残ります。週に1回、寝床を持ち上げて、下の床を乾いた布で拭いて、そのまま数十分だけ裏返して置いておく。それだけで、その座標の条件がひとつ変わります。

部屋じゅうを薄く拭いてもにおいが戻る理由|賃貸で手が足りなくなる配り方

ここが、この記事でいちばん書きたいところです。ペットのにおいが気になる賃貸で、多くの方がやっているのは、部屋全体を均等に手入れすることです。床を全部拭き、家具の上を全部拭き、換気をして、消臭剤を置く。やっていることは正しいのに、においが戻ってくる理由は、面積のほうにあります。使える時間が30分だとして、それを部屋の全面に配ると、1か所あたりに落ちる手数は、ごくわずかになります。

たとえば1LDKの床面が、ざっと40平方メートルあるとします。老猫が実際に体を置いている面は、寝床と食器まわりを足しても、1平方メートルに届きません。においの原料の大半は、床面積の40分の1未満のところで作られています。それなのに手入れの時間は、40等分されて配られている。これが、拭いても拭いても夕方に戻る、といういちばん多い理由です。

同じ30分を、面積で配るか密度で配るか
部屋全体に均等に配る集まっている場所に厚く配る
手を入れる面床・家具・カーテンまで全部寝床、食器まわりの床、その子の体
1か所あたりの手数1回ずつ、表面をなでる程度布の中まで、繰り返し
においの原料に届くか上を通り過ぎる置かれた場所に直接届く
翌日の戻り方夕方にはほぼ元へ戻りが遅く、間隔をあけられる
続けやすさ毎日は続かない場所が決まっているので続く

もうひとつの理由が、拭き取りが布の表面で止まっていることです。老猫が十数時間乗っているクッションでは、皮脂は表面の繊維だけでなく、その1枚下まで入っています。乾いた布で表面をなでると、目に見える毛は取れます。においの元になっているものは、その下に残ります。取れているのは毛で、残っているのは皮脂です。ここを混同すると、きれいになったように見えるのに、においだけが戻る、という状態が続きます。

だから、寝床は「拭く」ではなく「洗って乾かす」ほうに寄せてください。賃貸で洗濯物を干す場所が限られていても、寝床のカバーを2枚用意して交互に使えば、乾くまで待たずに回せます。老猫は寝床が変わることを嫌がることがあるので、2枚とも同じものにしておくと戻りが早くなります。洗ったばかりのカバーだけを置くと、その子のにおいが消えて落ち着かないことがあります。前に使っていたカバーを、たたんで隣に置いておくくらいがちょうどいい距離です。

Point全部やめるのではなく、順番を変えるだけです

部屋全体の掃除をやめてください、という話ではありません。順番を、集まっている場所から始める、というだけです。寝床と食器まわりを先にやると、そのあとに床の全面を拭いたときの持ちが変わります。逆に、床の全面から始めると、時間が足りなくなって寝床まで届かない日が出ます。賃貸でペットのにおいを気にしている人が最初に変えられるのは、道具でも頻度でもなく、この順番です。

1か所を厚く、残りは薄く|賃貸で老猫と暮らすペットのにおいの考え方

毎日の形にします。難しいことは入れません。老猫と暮らす賃貸で決めておくのは、場所を3つと、時間の配り方だけです。場所は、その子が寝ている布、食器と水皿のまわりの床、そして体そのもの。この3つに厚く配り、それ以外の床や家具は、週末にまとめて薄く回します。

  1. 寝床は、上ではなく中に手を入れる

    毛を取るだけで終わらせず、カバーを外して洗える形にしておきます。洗う間隔は、においを嗅いでから決めてください。顔を近づけずに、30センチ離れた位置で息を吸って分かるなら、その日が洗う日です。老猫が長く乗っているぶん、若い猫の寝床より間隔は短くなります。

  2. 食器と水皿は、器より先に、まわりの床を拭く

    器を洗うのは毎日やっている方が多いのですが、こぼれた水と食べこぼしが落ちるのは、器の外側の床です。半径30センチだけを、水で湿らせた布で拭いて、乾いた布で水気を取ります。湿ったまま置くと、そこが次のにおいの出どころになります。

  3. 帰宅後に、まず玄関で1回だけ空気を通す

    外から帰ってきた瞬間が、その日のにおいがいちばん分かるタイミングです。ペットと暮らしていると鼻が慣れるので、この1回を逃すと分からなくなります。玄関のドアを開けたときの印象を、強い・ふつう・気にならないの3段階で決めてください。強い日は寝床、ふつうの日は食器まわり、気にならない日は何もしない。判断はそれだけで足ります。

  4. その子の体には、届かなくなった場所から手を入れる

    背中の真ん中、腰、しっぽの付け根。老猫が自分で舌を届かせにくくなった場所です。乾いた手で毛の流れに沿ってなでて、指に脂っぽさが残るかどうかを見ます。週に何回と決めず、指に残った日だけやるほうが、こちらもその子も無理がありません。

背中の真ん中、腰、しっぽの付け根。この3か所は、老猫が自分では舌を届かせられなくなった場所です。若い頃はその子が自分で運び出していたものが、いまは人が代わらないかぎり体の上に残ります。賃貸の部屋のどこを拭くかという話とは別に、ここは最初から人の手が空いている場所です。

mofuwa スキンケアミストは、電解水100%でつくられていて、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。猫は、人が触れた場所をそのあと必ず自分で舐め直します。口に入っても問題のない基準でつくられていることが、猫に使うときの条件をそのまま満たします。布に含ませてから、背中から腰へ、毛の流れに沿ってなでてください。賃貸で乾かす場所が限られていても、体をぬらさずに済みます。嫌がる日は、その日はやめて構いません。

最後に、集中している場所が動いたときの話をします。ここまで書いてきたのは、老猫の居場所が3か所に絞られている前提の話でした。その3か所が急に変わったときは、においの話ではなくなります。いつもの窓ぎわに行かなくなった、水皿の前で長く止まるようになった、寝床ではなく硬い床の上で寝るようになった。場所が動いたことには、たいてい理由があります。

Cautionにおいより先に、体のほうを見てほしいとき

においの質が急に変わった、口のまわりだけが強くにおう、体の一部が脂っぽくかたまっている、同じ場所をなめ続けている、抜け毛が急に増えた、水を飲む量やトイレの回数が変わった、体重が落ちてきた。いずれかに当てはまるときは、拭き取りの回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。老猫では、においの変化が体の変化より先に見えることがあります。賃貸で消臭の手を増やすより、まず受診を選んでください。判断に迷ったときは、早いほうを選んで構いません。

ペットのにおいを気にして部屋を丸ごと手入れしていると、その子の体を見る時間が減ります。老猫と暮らす賃貸では、においで手を入れる場所と、その子の変化が現れる場所が、たまたま同じです。寝床と食器まわりに毎日手を入れていれば、においの変化にも、体の変化にも、同じ手で気づけます。部屋の広さと戦うのをやめて、その子が実際に使っている数か所に手を寄せる。賃貸でできることは、そこから増えていきます。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。