C05犬種・猫種別ケア

アメリカンコッカースパニエルと暮らすなら知っておきたい、耳の汚れの話

公開日 2021年12月21日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、長い垂れ耳の犬が静かに座っている
耳そのものの端より、さらに下まで毛先が垂れています。外のものに先に触れているのは、この毛のほうです。写真:Goochie Poochie Grooming/Pexels

アメリカンコッカースパニエルの耳を手のひらに乗せて、いちばん下がどこかを指でたどると、耳そのものの端よりさらに数センチ先に毛先が来ます。耳の輪郭を超えて垂れているのが、飾り毛です。ここで、耳の汚れの出どころを一度考え直してみてください。床、草、水、食器のふち。外にあるものに先に触れているのは、耳の中ではなく、その先の毛のほうです。飾り毛は、汚れを拾ってきます。そして拾ったまま、耳の内側に触れる位置へ戻ります。だから耳の中をどれだけ掃除しても、飾り毛が汚れたままなら、そこからまた戻ってくる。この記事では、耳の中と飾り毛という2つの条件を比較して、どっちから手を入れるか、そして時期によって拾うものがどう変わるかをまとめます。

耳の汚れを拾っているのは、耳より先の毛です

アメリカンコッカースパニエルの耳は、頭の横から下へ長く垂れています。ここまでは、垂れ耳を持つ犬種に広く当てはまる話です。この犬種に固有なのは、その先です。耳の縁から、絹のようになめらかな飾り毛が、耳そのものの輪郭を超えて下まで伸びます。耳の板がどこで終わっているかを指でたどってみると、毛先はそのずっと下にあります。

ここに体格の話が重なります。この犬種は中型で、体高は40センチに届きません。立っているとき、垂れた耳の毛先は前脚のつけ根のあたりまで来ます。座れば、毛先と床の距離はさらに縮みます。においを嗅ごうと頭を下げれば、毛先は地面に触れます。水を飲めば器に浸かり、食事のときは食器のふちをなでます。

つまりアメリカンコッカースパニエルでは、外のものに最初に触れる面が、体の外側に飛び出しています。その面は耳の中ではありません。耳の中は、外から見て何センチも奥にあります。汚れは奥から湧いてくるのではなく、いちばん外に出ている毛先から乗ってくる。順序としては、こちらが先です。

そして、乗ったものはそこに留まります。飾り毛の根元は耳のつけ根、つまり皮膚のすぐそばから生えているので、束には皮脂が乗っています。皮脂を含んだ毛は、乗った汚れを離しにくくなります。払っても落ちず、乾きも遅い。束が重くなると、耳の内側に触れたまま動かなくなります。

汚れが飾り毛を通って戻る経路 外にあるものが飾り毛の毛先に乗り、皮脂を含んだ束に留まり、耳の内側に触れる位置へ戻っていく流れです。 床・草・水 毛先が触れる 飾り毛 皮脂で留まる 耳の内側 触れて戻る 頭を下げる・飲む 垂れて当たる 耳の中だけを拭いた場合 束に残った分が手つかず その日のうちに戻る 飾り毛を先に拭いた場合 拭き終わったあと 戻る先がなくなる
経路の入口は飾り毛です。中だけを拭くと、束に残った分がそのまま戻ってきます。
Note順番が逆だと、同じ日のうちに戻ります

耳の中をきれいにしたのに、夕方には元に戻っている。アメリカンコッカースパニエルと暮らしている方から、よく聞く話です。これは掃除が足りないのではなく、順番が逆になっているだけです。汚れを抱えた飾り毛が、掃除の終わった面へそのまま垂れかかります。中を先にやるかぎり、回数を増やしても同じことが起こります。

中から出る汚れと、外から拾う汚れ|アメリカンコッカースパニエルの耳を比較する

同じ耳のまわりにある汚れでも、出どころが違えば手の入れ方が変わります。耳の中にたまるものは、その子の体から出たものです。飾り毛に乗るものは、外から来たものです。この2つを並べてみると、なぜ順番が決まるのかが見えてきます。

出どころで分かれる、2つの汚れの条件
見るところ耳の中耳の飾り毛
汚れの出どころ体から出るもの。皮脂と湿り外から拾うもの。ほこり、草、水、食べもの
どこまで手が届くか入り口の面まで。奥は見ません根元から毛先まで、全部に触れます
乾く速さふさがれていると遅い束が細ければ早く、皮脂が乗ると遅い
掃除がもつ時間飾り毛が汚れていれば、その日のうちに戻る拭けば、次に外へ触れるまで戻らない
1日のうちで汚れる場面汚れが移ったあと水を飲む、食べる、頭を下げるたび
家で変えられるか変えられる幅は狭い長さも扱いも、家で変えられる
手を入れる順番2番目1番目
耳の中と飾り毛は、汚れの出どころが違います 耳の中にたまるものは体から出たもの、飾り毛に乗るものは外から拾ったものです。出どころが違うので、同じやり方をしても片方しか変わりません。 同じ耳のまわりで、条件が2つに分かれます 耳の中 体から出たものがたまる 触れるのは入り口の面まで 先にやると当日に戻る 順番は2番目 飾り毛 外から拾ったものが乗る 根元から毛先まで触れる 拭けば戻る先がなくなる 順番は1番目 選ぶ比較ではなく、順番を決めるための比較です
どちらか一方を選ぶ表ではなく、どちらを先にするかの表です。

どっちが大事か、という表ではありません。どっちを先にするかの表です。飾り毛を拭かずに耳の中だけを拭くのは、玄関の泥を残したまま廊下を拭くのと同じことになります。逆に、飾り毛を先に拭いておけば、中を拭いた結果はその日のうちに崩れません。

もうひとつ、表の「家で変えられるか」の行を見てください。耳の中の条件は、家でできることの幅がそれほど広くありません。奥は見ませんし、見る必要もありません。それに対して飾り毛は、長さも、絡み方も、乾き方も、家で手を入れられます。アメリカンコッカースパニエルの耳の汚れで、飼い主が実際に動かせるのは、ほとんどこちら側です。

Point毛先を指でこすると、汚れの出どころが分かります

飾り毛の先を、親指と人差し指で軽くこすってみてください。粉っぽいざらつきなら、外から乗ったものです。ぬるりとして指に残るなら、皮脂を含んだ束が乾ききっていません。前者は拭けば落ちますが、後者は拭くだけでは軽くなりません。乾かす時間を先に足してください。

どっちを先に触るか|飾り毛から始める毎日のケアの順番

順番が決まれば、毎日のケアは短く済みます。全部で2〜3分です。長い時間をかける必要はありませんが、順番だけは入れ替えないでください。

  1. 明るいところで、飾り毛の束を手のひらに乗せる

    耳を持ち上げるのではなく、垂れたままの束を下から手のひらで受けます。アメリカンコッカースパニエルの飾り毛は量があるので、片手では収まらないことがあります。左右を続けてやると、どちらが重いか、どちらが湿っているかの差に気づけます。いつも右から、と決めておいてください。

  2. 毛先から根元へ、ブラッシングでほどく

    絡んだままの束は、表面しか拭けません。目の粗いコームを毛先の側から入れて、少しずつ上へ移します。根元から入れると、皮膚ごと引っぱることになります。飾り毛は細くなめらかなので、換毛期に抜けた体の被毛がここに入り込んでいることがあります。ほどくというより、外へ出す作業だと考えてください。

  3. 湿らせた布ではさんで、毛先の側から拭く

    布を軽く湿らせて、束を上下からはさみ、毛先へ向かって引き抜くように動かします。拭く向きを根元へ向けないでください。拾ってきたものを、耳のつけ根の側へ運ぶことになります。汚れが濃い日は、布の面を替えながら2〜3回に分けます。

  4. 耳の中は、入り口の面だけを見る

    ここでようやく耳の中です。耳を持ち上げて、見えている入り口の面を確かめます。色を見て、においを嗅いで、同じ角度で写真を撮る。奥を覗き込む必要はありませんし、綿棒などを入れないでください。見えるのは入り口までですし、家で扱う範囲としてはそれで足ります。

  5. 飾り毛が乾いてから、耳を下ろす

    湿ったまま下ろすと、束が耳の内側に貼りついたまま乾きます。乾いた布でもう一度はさんで水分を取り、指で軽くほぐしてから離してください。この最後の数十秒が、いちばん効きます。毎日のケアで飛ばされやすいのも、ここです。

食事のときや水を飲むときに、飾り毛が器に入る子では、その前後にもう一度だけ毛先を拭く価値があります。1日3回になっても、拭くのは毛先だけなので数秒です。耳の中を1日3回さわるのは多すぎますが、飾り毛の毛先ならその頻度でかまいません。触れている面が体の外にあるというのは、そういうことです。

Caution耳の中に、ものを入れないでください

見えない奥まで届かせようとして、綿棒や布を巻いた指を差し込むと、汚れを奥へ押し込むことになります。家で触ってよいのは、耳を持ち上げたときに目で見える面までです。アメリカンコッカースパニエルの耳は長く、外から見て奥行きが分かりにくいぶん、この線を先に決めておいてください。奥が気になるときは、家で確かめようとせず動物病院にご相談ください。

時期で変わるのは、飾り毛が拾うもののほうです

耳の中の条件は、季節が変わってもそれほど動きません。動くのは飾り毛の側です。拾うものが、時期によって入れ替わります。同じ手順で毎日やっているのに急に汚れが増えたときは、外側で何が変わったかを思い出してください。

この中で見落とされやすいのが、4つ目です。「去年までは何もしなくてよかったのに」と感じるとしたら、それは手入れが足りなくなったのではなく、飾り毛が耳の下端を超えたということです。輪郭の中に収まっているあいだは、外に触れる面がありません。超えた日から、条件が変わります。

飾り毛の長さで変わる、毎日のケアの中身
飾り毛の状態外に触れる面毎日のケアで足すこと
耳の輪郭の中にあるほとんどない耳を触られることに慣らしておく
耳の下端を超えはじめた食器のふち、水食事と水のあとに、毛先だけ拭く
十分に伸びている床、草、水、食べものほどく・拭く・乾かすを1日1回
換毛期と重なっている上に加えて、抜けた被毛ほどく回数を、この時期だけ増やす

サロンで飾り毛を短くする選択もあります。短くすれば拾う面は小さくなりますし、乾きも早くなります。ただ、切るかどうかは家の考え方によります。切らない場合でも、条件が変わるわけではありません。拾う面が長いままなら、拭く回数と乾かす時間を足す、というだけの話になります。

飾り毛の根元から耳の内側にかけては、その子が自分では届かない場所です。前足で顔をこすることはできても、耳をめくった内側まで毛づくろいが回ることはありません。アメリカンコッカースパニエルの耳の汚れで、最初から人が代わる場所はここです。mofuwa スキンケアミストは電解水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアした成分でつくられています。この犬種の飾り毛は、水を飲むたびに器へ入り、食事のたびに食器のふちをなでます。口に運ばれる位置にある束だからこそ、口に入っても問題のない基準でつくられていることが、そのまま使いどころになります。布に含ませてから、飾り毛の表面と耳の外側、あごの下を拭いてください。耳の中には入れません。束が濡れたまま残らないよう、拭いたあとは乾いた布でもう一度はさんでください。

飾り毛が乾いているのに、耳の中だけが変わらないとき

ここまでは、拾ってきた汚れで説明のつく範囲の話でした。順番を入れ替えて2週間ほど続けても、耳の中の様子が変わらないときは、別の見方をしてください。飾り毛が乾いていて、束にも何も乗っていないのに、中だけが変わらない。そのときは、外から乗ったものの話ではありません。

Caution早めの受診をおすすめするサイン

耳の入り口が赤い、じくじくしている、拭いた直後からにおいが立つ、頭を振る回数が増えた、触ると痛がる、片側だけが続けて汚れる、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、家で手順を足し続けるのをやめて、動物病院にご相談ください。垂れ耳は外から奥が見えないぶん、変化が進んでから気づくことがあります。迷ったら早いほうを選んでください。

相談に行く前には、4つだけメモをしてください。いつから気づいたか、片側か両側か、家でやっている手順は何か、飾り毛を短くしているかどうか。毎日のケアで撮っていた入り口の写真があれば、そのまま経過の記録になります。診察の前日や当日に耳を掃除していくのはやめてください。もとの状態が分からなくなります。

アメリカンコッカースパニエルの長い飾り毛は、この犬種の姿そのものです。拾ってくること自体をなくすことはできませんし、なくす必要もありません。変えられるのは、拾ったものを持ち帰らせない順番のほうです。飾り毛が先、耳の中が後。この順番を入れ替えないだけで、毎日のケアにかかる時間はむしろ短くなります。

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よくある質問

耳の中を毎日掃除しているのに、汚れが戻ってきます。何が足りないのですか?
足りないのではなく、順番が逆になっている可能性があります。アメリカンコッカースパニエルでは、外のものに最初に触れているのが耳の中ではなく、耳より下まで垂れた飾り毛のほうです。汚れを抱えたままの束が、掃除の終わった面へそのまま垂れかかります。飾り毛を先にほどいて拭き、乾かしてから中を見る順番に替えてみてください。
飾り毛は、短く切ってしまってもいいですか?
短くすれば外に触れる面が小さくなり、乾くのも早くなります。切るかどうかは家の考え方によりますので、どちらでもかまいません。切らない場合は、拾う面が長いままなので、毛先を拭く回数と乾かす時間を足すことになります。切る場合はサロンで相談してください。家で長さを変えると、左右がそろわなくなります。
雨の日が続くと、耳のまわりが気になります。回数を増やしたほうがいいですか?
増やすなら、拭く回数ではなく乾かす工程のほうです。湿度が高い時期は、飾り毛の束が乾き終わる前に次の日が来ます。拭いたあとに乾いた布でもう一度はさみ、指でほぐしてから耳を下ろしてください。それでも束が湿ったままの日が続き、耳の入り口の様子が変わってきたときは、動物病院にご相談ください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。