C05犬種・猫種別ケア
イングリッシュコッカースパニエルの長毛|耳の汚れを毎日のケアで防ぐ
水を飲み終えた顔を上げた瞬間、耳の先から水が落ちました。床に点がふたつ、器のふちにもひとつ。イングリッシュコッカースパニエルと暮らしていると、この場面は毎日くり返され、そのたびに耳の先へ汚れが移っていきます。飲んでいるあいだ、耳の先は器の中に入っていた、ということです。耳の汚れは、耳の中から出てくるものだけではありません。耳の先が触れた場所から、外側の毛を伝って上がってきます。そして、その触れる場所を決めているのは、耳が頭のどこについているかです。この記事は、耳の位置という背景からたどっていきます。
顔を上げると、耳の先から水が落ちる|イングリッシュコッカースパニエルの耳の汚れが始まる場所
水の器のふちに、いつも濡れた跡が残っています。飲むたびに耳の先がそこへ触れているからです。イングリッシュコッカースパニエルの耳は、頭の高い位置ではなく、ちょうど目の高さと同じくらいのところからついています。低いところから始まる耳は、顔の横ではなく、あごの下へ向かって垂れます。
この違いは、見た目の印象よりも、汚れの付き方のほうに効いてきます。顔の横に垂れる耳なら、耳の先が届くのは体の横です。あごの下に垂れる耳は、うつむいたときに、鼻先とほとんど同じ高さまで下りてきます。鼻が届く場所には、耳の先も届いています。においを嗅ぐ、落ちているものを確かめる、器に顔を入れる。イングリッシュコッカースパニエルの一日は、そのまま耳の先が地面と食器を行き来する一日でもあります。
耳の汚れというと、耳の中を思い浮かべる方が多いと思います。けれどこの犬種で先に汚れるのは、耳の外側です。外側の毛に付いたものが、歩くたび、頭を振るたびに、少しずつ根元のほうへ運ばれていきます。耳の中をのぞいて何もなかったのに、しばらくすると汚れが出てくる。順番としては、外から入ってきているのです。
- 地面:においを嗅いでいるあいだ、耳の先は草や土に触れたままになります
- 食器:顔を入れて食べる・飲むたびに、耳の先が器の中へ入ります
- 自分の口のまわり:あごの下に垂れるので、口を動かすたびに毛が当たります
- 床:伏せると、あごと床のあいだに耳がはさまり、そのまま体重がかかります
この4つは、どれも耳の中で起きている話ではありません。それでも、外側にたまった汚れは、人が耳を持ち上げた瞬間に内側へ落ちます。だから耳の汚れを減らしたいときは、耳の中をさわる前に、外側で止めるほうが先になります。順番を入れ替えるだけで、同じ手間の行き先が変わります。
汚れが気になると、耳の中を確かめる回数が増えていきます。ところが入口が耳の先にあるあいだは、中を何度のぞいても入ってくる量は変わりません。むしろ持ち上げるたびに、外側の汚れが内側へ落ちる機会が増えます。まず先を止める、それから中を見る。この順番を決めておいてください。
耳のつく位置が低いという背景|アメリカンコッカーとの違い
同じ「コッカースパニエル」という名前でも、アメリカンとイングリッシュでは、耳が当たる場所が違います。背景にあるのは2つ、耳がついている高さと、耳を覆っている毛の長さです。どちらも見た目の違いとして語られることが多いのですが、毎日のケアの中身を分けているのはこの2つです。
| アメリカンコッカー | イングリッシュコッカースパニエル | |
|---|---|---|
| 耳のつく位置 | 高め。目より下から始まる | 低め。目の高さと同じくらいから |
| 垂れる先 | 顔の横。ほおに沿って下りる | あごの下。鼻先に近い高さまで |
| 耳の毛 | 長く、量が多い | 短めで、体に沿って流れる |
| 触れる相手 | そのときどちらか一方 | 地面と食器の両方 |
| 汚れの入り方 | 飾り毛の中に抱え込む | 耳の先から外側を伝って上がる |
| 先に見る場所 | 毛の量が多いところ | 耳の先から3センチ |
表の右下、「耳の先から3センチ」がこの記事の中心です。顔の横に垂れる耳なら、こすれる相手はそのときどちらか一方で済みます。ほおに当たっているあいだは地面に触れず、地面に触れているあいだはほおから離れています。あごの下に垂れる耳は、どちらか一方ではありません。下を向けば地面に、器に顔を入れれば器の中に、そして起き上がれば自分の口のまわりに。行き先が3つとも耳の先で重なります。
毛の長さも効いています。イングリッシュコッカースパニエルの被毛は、耳の飾り毛もふくめて、体に沿って流れる長さで止まる子が多い。長く伸び続けて量が増えていくタイプとは違います。飾り毛の量が少ないぶん、汚れが毛の中に抱え込まれず、地肌に近いところで受け止められます。毛が短いのに耳の汚れが目立つのは、抱え込む場所がないからです。
体格の面から見ても、この犬種の耳は長めです。胸が深く、頭は細長い作りで、そこへ体格に対して長い耳がついています。歩けば揺れ、走れば大きく振られます。揺れるということは、外側の毛に付いたものが根元へ移動しやすいということでもあります。耳の外側の毛は皮脂を含んでいるので、土やほこりはそのまま落ちずに、しばらくとどまります。
飾り毛の量が多い犬種にくらべると、イングリッシュコッカースパニエルの耳はすっきりして見えます。そのため「この子は毛が短いから大丈夫」と受け取られやすいのですが、問題になっているのは毛の量ではなく、耳の先がどこに届くかです。量が少なくても、届く場所が多ければ、拾うものは増えます。
地面にも食器にも届く理由|あごの下に垂れた耳が拾うもの
耳が両方に触れるということは、汚れの入口が2つあるということです。そして2つの入口は、どちらも耳の先という同じ場所につながっています。入口は2つ、通り道は1本。だから耳の先だけが、いつも先に汚れます。
2つの入口のうち、どちらが多いかは、その子の一日の過ごし方で決まります。同じイングリッシュコッカースパニエルでも、次のように分かれます。今日の耳の汚れがどちらから来たのかは、朝から夜までを思い出すと見当がつきます。
- 散歩の時間が長い子:地面からの割合が高くなります。草むらに入った日は、耳の先だけ色が変わります
- 早く食べる子:器からの割合が高くなります。ふちの浅い器ほど、耳が中まで入ります
- 伏せて過ごす時間が長い子:床からの持ち越しが増えます。あごの下は自分では確かめられない場所です
- 顔をなめる・こする癖のある子:口のまわりの水分が、そのまま耳の先へ移ります
季節の影響もあります。春と秋の換毛期には、抜けた下毛が耳の外側の毛にからんで残ります。落ちきらなかった毛は耳の先で小さな束になり、そこへ土やほこりがまとまって付きます。この時期は、ブラッシングの手が、そのまま耳の汚れの量に効いてきます。毛を外へ運び出しておけば、汚れの受け皿も一緒に減ります。
もうひとつ、湿りの話があります。器から上がった耳の先は濡れています。濡れたまま伏せれば、床の面と耳がくっついたままになります。濡れている時間そのものが、汚れをとどまらせる条件です。拭くのは汚れを取るためというより、濡れている時間を短くするため、と考えてください。
耳の先から順に、持ち上げない|毎日のケアの考え方
毎日のケアは、耳の中から始めないでください。順番が逆になると、外側にたまっていた汚れを、自分の手で内側へ運ぶことになります。外側を先に、中は最後に。これが、耳の位置から導かれる考え方です。汚れが根元まで上がるのを防ぐ、という言い方をしてもいいと思います。防ぐ側にいるのは商品ではなく、順番のほうです。
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耳を持ち上げる前に、先から3センチを指ではさむ
親指と人差し指で、耳の先を軽くはさんで滑らせます。ざらつく、湿っている、毛が束になっている。どれかがあれば、今日はそこから手をつけます。見るのではなく、はさんで確かめてください。色の変化は、明るいところでないと分かりません。
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外側の毛は、根元から毛先へ向かって通す
ブラッシングの向きを、汚れの出口に合わせます。根元から先へ通せば、付いたものは耳の先から外へ出ていきます。逆向きに入れると、根元へ押し込むことになります。とかす向きが、そのまま汚れの行き先です。力は要りません。耳を手のひらに乗せて支え、コームは毛の上を滑らせるだけにします。
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食事のあとと散歩のあと、耳の先だけを拭く
全体を拭く必要はありません。先から3センチだけ、30秒で終わります。乾いた布で押さえるように水分を取り、そのあと汚れを外側へ滑らせます。1日2回、この2回だけを決めておくと続きます。回数を増やすより、タイミングを固定するほうが結果が変わります。
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耳を持ち上げるのは、外側を通したあと
外側が片づいてから、はじめて耳を持ち上げます。目的は中を掃除することではなく、ふさがっていた面に空気を入れることです。持ち上げて数十秒そのままにして、下ろします。耳の中に綿棒や布を差し込まないでください。見えるのは入口までで、その先は家では確かめられません。
耳の先が今日どこに触れてきたかは、その子には確かめようがありません。器のふちも、伏せたときに下敷きになった床も、耳の先はその子の視界の外にあります。先から3センチを持ち上げて見られるのは、人の側だけです。
mofuwa スキンケアミストは、耳の外側や口のまわりのように、ほかのものを使いにくい場所へ届かせるためのミストです。イングリッシュコッカースパニエルの耳の先は、あごの下で、地面と口のまわりを毎日つないでいます。その両側に同じ1本を使えるかどうかは、中身のほうで決まります。中身は電解水で、水以外を足していません。
使うのは、耳を持ち上げる前です。容器から直接ではなく、コットンを湿らせてから、先から3センチだけを、根元から先へ向かってなでます。耳の中には入れないでください。食事のあとと散歩のあと、1日2回。ここで先を止めておくと、そのあと耳を持ち上げたときに内側へ落ちる汚れが減ります。
耳の先が器の中に入るのは、器のふちが低くて口径が広いからです。ふちが立ち上がっていて、口径のせまい器に替えると、耳が入る余地が小さくなります。器の位置を少し高くする、というやり方もあります。顔の下げ角度が浅くなり、耳が下りきる前に口が届きます。毎日の拭き取りを増やすより、器を替えるほうが早く効くことがあります。
外側の毛は拭けますが、耳の中は家で扱う場所ではありません。洗浄用の液体を入れる、綿棒を差し込む、指でこする。いずれも、入口から先に汚れを押し込むことになります。においが強い、汚れの色が変わった、といったときは、その日のうちに動物病院にご相談ください。中の状態は、外から見ても分かりません。
耳の汚れの中身が変わったとき|位置では説明がつかない変化
ここまでは、耳の位置で説明のつく汚れの話でした。位置で説明がつくということは、触れる場所を変えれば量が動くということでもあります。器を替えた、散歩の道を変えた、拭く回数を決めた。そのどれかで減るなら、それは構造の側の汚れです。
逆に、次のような変化は、耳の位置では説明がつきません。手を入れているのに戻ってくるとき、あるいは片側だけが違うときです。
- 片方の耳だけ、汚れの量が違う:左右で触れる条件は同じはずです。片側だけの変化は、外からの汚れとは別の見方が要ります
- 汚れの色やにおいが変わった:土やほこりの汚れと、においの立つ汚れは、出どころが違います
- 頭を片側に傾けている、よく振る:耳の外側の話ではなくなっています
- 耳のつけねをこすりつける、後ろ足でかき続ける:かゆみが続いているサインです
- 触ると痛がる、耳に手を近づけると避ける:その場で手を止めてください
耳のにおいが強くなった、汚れの色が変わった、片耳だけ汚れる、頭を傾ける・振り続ける、耳のまわりをかき続ける、触ると痛がる、耳のふちの毛が抜けて地肌が見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、家でのケアを増やす前に動物病院にご相談ください。耳の中は外から見えないぶん、変化が進んでから気づくことがあります。迷ったら早いほうを選んでください。
相談に行く前に、いつからか、片耳か両耳か、最後に耳を拭いたのはいつか、使っている器の形、最近変えたものをメモしてください。この5つがあれば、耳の位置で説明のつく汚れなのかどうかを、その場で切り分けられます。受診の前日に耳を念入りに掃除してしまうと、もとの状態が分からなくなります。気づいたままの状態で連れて行ってください。
最後にもう一度書いておきます。イングリッシュコッカースパニエルの耳が低い位置についているのは、直すべきことではありません。この犬種が担っていた仕事の中で形づくられてきた作りです。変えられるのは耳のほうではなく、耳の先が触れる場所と、触れたあとの時間です。器のふち、散歩の道、拭くタイミング。毎日のケアで動かせるのはその3つで、それだけで耳の汚れの量はずいぶん変わります。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
