C05犬種・猫種別ケア

ゴードンセッターはなぜ毛玉が起きやすいのか。長毛から考える

公開日 2022年1月4日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、長い毛の犬が静かに横になっている
横になっているあいだ、下になった側の毛には体の重さがかかり続けます。毛玉は、とかしたかどうかより先に、寝ている向きと結びついています。写真:Ketut Subiyanto/Pexels

右の脇腹にだけ、毛玉ができる。左は同じようにとかしているのに、平らなままです。ゴードンセッターと暮らしていると、この左右差に気づくことがあります。片側だけとかし方が雑になっているわけではありません。変わっているのは、寝るときにどちらの側を下にしているかです。セッターの仲間の中で、ゴードンセッターはいちばん骨が太く、体が重い犬種です。その重さが、横になった側の毛にまとめてかかります。長い時間そのままでいると、毛はとかされて絡んだのではなく、押しつぶされて固まります。この記事は、なぜそうなるのかを先に、そのうえで寝ている面から探す手順を書きます。

横になった側の毛に、体の重さがまとまってかかる|ゴードンセッターの毛玉のでき方

セッターと呼ばれる犬たちの中で、ゴードンセッターはいちばんがっしりした体つきをしています。同じくらいの体高でも骨が太く、胸に厚みがあり、そのぶん体が重い。この重さが、毛玉の話にそのまま関わってきます。被毛は絹のような手ざわりで、胸、脇腹、脚の後ろ、しっぽに飾り毛が下がります。長い毛と重い体、この2つが同時にある犬種です。

犬が横になると、体の下側は床と体にはさまれます。ここで起きているのは、毛が一点で押されることではありません。体の面全体が、その下の毛をまとめて押さえつけています。体が重いほど、押さえる力は大きくなります。押さえられた毛は、根元で寝たまま起き上がれず、毛の表面どうしが向かい合ったまま噛み合っていきます。

この状態が数時間続くと、毛は形を覚えます。人が朝いちばんに触ると、その面だけ手ざわりが平らで、指がすっと入っていきません。とかしたから絡んだのではなく、とかす前に固まっていた。ゴードンセッターの毛玉は、この順番で起きていることが多いのです。

押しつぶされる条件は、4つ重なっています。1つだけならほどけますが、重なると根元で固まります。

下になっている側と、上になっている側 同じ子の同じ日でも、床に接している側と上を向いている側では、毛にかかる条件が違います。 同じ子の中で、左右の条件が分かれます 下になっている側 体の重さが面でかかる 毛が根元から寝たまま 湿りが抜けにくい 手ざわりが平らになる 上になっている側 重さがかからない 毛が根元から立つ 空気が通る 指が根元まで入る 左右差に気づいたら、まず寝る向きを思い出してください
毛玉は、上側ではなく下側に先にできます。
Note毛質が悪いからではありません

毛玉ができると、毛質のせいだと受け取られがちです。ゴードンセッターの絹のような被毛は、本来はとかしやすい毛です。ただ、その毛が重い体の下に入ると、条件が変わります。同じ毛が、上側では指が通り、下側では止まる。毛のせいではなく、置かれている条件のせいだと考えると、手の入れ先がはっきりします。

寝ている面から探す|ゴードンセッターの毛玉を見つける4つの手順

毛玉を見つける手順は、全身をまんべんなく触ることではありません。先に、その子がどちらを下にして寝ているかを決めます。そこが分かれば、探す場所は半分になります。ゴードンセッターは体が大きいので、全身を一度に触ろうとすると途中で終わります。順番を持っておいてください。

  1. 3日ぶん、眠っているときの向きを見る

    起こす必要はありません。通りかかったときに、どちらの側が床についているかを見るだけです。3日で同じ側が2回以上なら、その子には向きの癖があります。寝床の壁がどちら側にあるか、日の当たる向き、家族が座っている場所。理由はたいてい部屋の側にあります。

  2. 起きた直後に、下になっていた側を手のひらでなでる

    毛先ではなく、手のひら全体を毛の上に置いて、ゆっくり滑らせます。上側と下側で手ざわりが違えば、下側に押しつぶされた面ができています。平らで、ひっかかりのない面ほど、下で固まっています。ひっかかるところより、手が滑ってしまうところを覚えてください。

  3. 指を根元まで差し込んで、止まるところを探す

    5本の指を立てて、毛の中へ地肌まで入れます。すっと入れば大丈夫です。途中で止まる、あるいは板のように感じるなら、そこが毛玉です。脇腹、脇の下、後ろ脚の内側、胸の下、耳のつけね。この5か所を、下になっていた側だけ確かめます。

  4. 左右を、同じ手つきで比べる

    片側だけ触っていると、それがふつうなのか分からなくなります。同じ場所を、同じ強さで、左右続けて触ってください。差があるかどうかは、比べたときにしか分かりません。差がなければ、その日は探すのを終えて大丈夫です。

見つかった毛玉が、寝る向きから来たものなのかどうかは、形で見分けがつきます。押しつぶされた毛玉と、動いてこすれた毛玉では、手ざわりも場所も違います。

押しつぶされた毛玉と、こすれてできた毛玉
体の重さでできたもの動きでできたもの
出る場所脇腹、胸の下、後ろ脚の内側首輪の下、耳のつけね、脚の関節
形平たく、面のまま広がる小さく、丸くまとまる
手ざわり板のように、指が入らない粒のように、指に当たる
左右差下にしている側だけに出る左右どちらにも出る
気づき方手のひらが滑って気づく指先がひっかかって気づく
手の入れ方面の端から、少しずつ開く毛先から、一つずつほどく

表の左の列がこの記事の主題です。面のまま広がった毛玉は、真ん中からほどけません。端から開いていくしかありません。ここを間違えると、根元に力がかかって皮膚ごと引っぱることになります。順番は次のセクションで書きます。

下にしている側から先に通す|毎日のブラッシングのやり方

毎日のブラッシングは、全身を均等に回さなくて構いません。下になっていた側から先に、その日のうちに通す。これがゴードンセッターの毎日のやり方です。上側は毛が立っているので、時間が経っても指が入ります。下側は、時間が経つほど固まります。だから順番を決めておきます。

  1. 起きてすぐ、下になっていた側から通す

    眠っていたあいだに押さえられていた毛は、まだ形が緩んでいます。ここで一度立ててやると、その日の毛玉はほとんど残りません。時間は片側3分で足ります。全身を10分かけるより、下側を3分のほうが結果は変わります。

  2. 根元を支えて、毛先から少しずつ

    毛玉のある場所は、根元を指ではさんで固定します。そのうえで毛先の側からコームを入れ、ほどけたぶんだけ上へ移していきます。根元からブラシを入れると、毛玉ごと皮膚が持ち上がります。面で広がった毛玉は、真ん中ではなく端から開きます。その日のうちに全部ほどく必要はありません。

  3. 静電気の出る時期は、通す前に毛の表面をととのえる

    空気が乾く季節は、とかすほど毛先が広がって寄ってきます。コームを入れる前に、mofuwa グルーミングスプレーを毛の表面へ吹きかけてください。毛先どうしが寄りにくくなって、飾り毛の面でコームが止まる回数が減ります。毛の中まで染み通るほどかける必要はありません。湿らせたなら、その日のうちに乾かしきるところまでを一続きにします。

  4. 換毛期は、下毛を外へ出しておく

    抜けた下毛が飾り毛の中に残ると、それが毛玉の芯になります。春と秋は、通す回数ではなく通す深さを意識してください。表面をなでるだけでは、下毛は出てきません。地肌の手前まで届かせて、抜けた毛を外へ運び出します。

洗う回数は、毛玉に合わせて増やさないでください。ほどけていない毛玉が水を含むと、乾くときにさらに締まります。ほどいてから洗うが順番です。ゴードンセッターは被毛の量が多く、乾かしきるまでに時間がかかるので、洗う回数を増やすほど半乾きの時間も増えます。地肌のうるおいも、洗うたびに一度リセットされます。

毎日きれいにしてあげたい、という気持ちのほうは、洗う回数とは別に残ります。ゴードンセッターは草や土の中を歩く狩猟犬で、脇腹と脚の後ろの飾り毛は、体のいちばん低いところを通ります。散歩から帰った日は、そこに外のものが残っています。mofuwa グルーミングスプレーを布に含ませて、下になっていた側の脇腹と脚の後ろを、毛の流れに沿ってなでてください。アルカリ電解水が余分な皮脂や油と乳化するので、水だけで拭いたときより毛先の通りがそろいます。舐めても差し支えない原料でできているため、体の大きいこの犬種の脇腹いちめんに使っても、量を数えずに済みます。すでに板のように固まっている面へ直接吹きかけて、そのまま置くのは避けてください。

Caution面の下には、持ち上がった皮膚があります

面で広がった毛玉の下には、引っぱられて持ち上がった皮膚があります。毛だけを切っているつもりでも、ハサミの先は皮膚に届きます。引き抜くのも同じです。ほどけないものは、次のトリミングまで待つか、場所を伝えて任せてください。触ると痛がる、声を出すというときは、その場で手を止めてください。

向きを変えても毛玉が戻るとき|体の重さでは説明がつかない出方

ここまでは、寝ている向きで説明のつく毛玉の話でした。向きで説明がつくということは、向きが変われば場所も動くということです。寝床の位置を反対にした、クッションの厚みを変えた、それで毛玉の出る側が入れ替わったなら、体の重さの話で合っています。

逆に、次のような毛玉は、寝る向きでは説明がつきません。条件を変えたのに同じ場所へ戻るとき、あるいは上側にも出ているときです。

Caution毛玉の下で進んでいるかもしれない変化

毛玉の下の地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が見えている、横になる向きを急に変えた、元気や食欲が落ちている。この並びに1つでも心当たりがあるなら、自分でほどく前に、かかりつけの獣医師に地肌のほうを見てもらってください。毛玉の下は外から見えないぶん、変化が進んでから気づくことがあります。

相談やトリミングの前には、いつから気づいたか、左右どちらか、いつも下にしている側はどちらか、最後にほどいたのはいつかをメモしてください。この4つがあれば、体の重さで説明のつく毛玉かどうかを、その場で切り分けられます。ほどけなかった面は、触らずそのままの状態で見せてください。直前に開こうとした跡があると、もとの広がり方が読めなくなります。

ゴードンセッターと暮らすうえで、毛玉はゼロにはなりません。長い飾り毛と重い体が、同じ一頭の中にあるからです。できないようにするのではなく、できる側を先に知っておく。今朝どちらを下にしていたかを見て、その側から通す。それだけで、手を入れる場所が半分になり、続けやすくなります。

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よくある質問

ゴードンセッターの毛玉は、とかす回数を増やせば減りますか?
回数より、通す側と時間帯のほうが効きます。横になっているあいだに押さえられた毛は、時間が経つほど固まっていくので、起きてすぐ、下になっていた側から通すのがいちばん結果が変わります。全身を10分かけるより、下側だけを3分のほうが、その日の毛玉は残りません。
左右で毛玉のできる量が違うのですが、片側だけとかせばいいですか?
毎日通すのは下になっていた側からで構いませんが、確かめるのは左右そろえてください。同じ場所を同じ強さで続けて触らないと、差があるかどうか自体が分かりません。寝床の位置を反対にして、出る側が入れ替わるかどうかを見ておくと、体の重さから来た毛玉かどうかも切り分けられます。
固まった毛玉を、家でハサミで切ってもいいですか?
おすすめしません。面で広がった毛玉は下の皮膚を持ち上げているので、毛だけを切っているつもりでも先が皮膚に届きます。ほどけないものは次のトリミングまで待つか、場所を伝えて任せてください。地肌が赤い、においがある、触ると痛がるといったときは、先に動物病院にご相談ください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。