C05犬種・猫種別ケア

フラットコーテッドレトリバーのケア|脇や内股の蒸れを減らす3つの習慣

公開日 2022年1月11日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、なめらかな毛の犬が静かに休んでいる
平らに寝た毛は、体の表面をぴったり覆います。覆われた面には空気が入らず、湿りだけが残ります。写真:https://kaboompics.com//Pexels

背中の毛を手のひらで逆から起こしても、離した瞬間に元へ戻ります。フラットコーテッドレトリバーの毛は、名前のとおり、体の表面に平らに寝ています。根元から立ち上がったまま止まる毛とは逆で、寝た毛は皮膚をぴったり覆います。だから、毛と地肌のあいだに空気の層ができません。脇と内股の蒸れは、この一点から始まります。同じ子の中でも、毛が寝ている場所と立っている場所では条件が違います。この記事では、その2つを比べながら、蒸れを減らす3つの習慣を書きます。

逆から起こしても、離せば戻る|フラットコーテッドレトリバーの毛が体に貼りつく作り

手のひらを背中に置いて、しっぽの側から頭のほうへ滑らせてみてください。毛はいったん逆立ちますが、手を離した瞬間に、なでる前と同じ向きに戻ります。戻るというより、倒れます。フラットコーテッドレトリバーの被毛は、根元から先まで一方向に流れて、体の表面に沿って寝るように作られています。

犬の毛には、大きく分けて2つの寝方があります。ひとつは根元から立ち上がって、体との間に厚みを作る毛。もうひとつが、体に沿って倒れる毛です。立った毛は厚みを作り、寝た毛は面を作ります。フラットコーテッドレトリバーは後者で、水辺の仕事を担ってきた犬種らしく、水を表面で流すための毛の流れを持っています。

この作りには、はっきりした利点があります。水が毛の中に入りこまず、表面を滑って落ちていく。泥がついても、乾けば払えます。皮膚が外気や枝から直接守られる。手のかかる被毛ではありません。ただし、体の表面をぴったり覆うということは、覆われた面に何が起きるかという話でもあります。

覆われた面のうち、平らな場所は問題になりません。背中や腰は、片側が空気に触れているからです。問題になるのは、寝た毛が体の別の面と向かい合っている場所です。脇、内股、胸の下。ここでは、寝た毛の上にもうひとつ体の面が重なります。

Note毛の量が少ないから乾きやすい、とは限りません

被毛の厚い犬種にくらべると、フラットコーテッドレトリバーは風通しがよさそうに見えます。実際、背中や外側は早く乾きます。それでも脇と内股だけは、最後まで湿りが残ります。乾きにくさを決めているのは毛の量ではなく、その面が開いているかどうかです。量ではなく、向きで見てください。

毛と皮膚のあいだに空気の層がない|脇と内股に蒸れが集まる理由

立った毛の下には、毛と毛のあいだに隙間があります。隙間には空気が入り、その空気が湿りを受け取って外へ出ていきます。寝た毛には、その隙間がありません。毛が皮膚に沿って倒れているので、地肌のすぐ上に毛の面ができ、その下は密閉に近い状態になります。

ここに、体の面が重なります。脇なら前脚の内側と胸、内股なら左右の後ろ脚。寝た毛の上に、もうひとつ寝た毛が重なるという形です。皮膚から出た湿りは、まず毛の面に止められ、次に向かい合った体の面に止められます。2枚のふたがかかっている、と考えてください。

この状態が長く続くと、地肌はふやけて柔らかくなります。毛は根元で寄って束になり、においが出てくることもあります。蒸れているのは、濡れているからではなく、乾く道がないからです。だから、水を減らす方向で考えても動きません。動かせるのは、空気の側です。

湿度の高い時期には、この条件がそのまま重くなります。外の空気が湿っていれば、受け取ってくれる余地が小さくなるからです。逆に冬でも安心はできません。寒いと体を丸めるので、脇と内股が閉じている時間はむしろ長くなります。季節で変わるのは湿りの量ではなく、面が閉じている時間のほうです。

洗いすぎにも触れておきます。蒸れが気になると、洗う回数を増やしたくなります。ところが洗うたびに地肌のうるおいは一度減り、そのあと脇と内股だけが最後まで半乾きで残ります。洗う回数を増やすことは、半乾きの時間を増やすことと同じです。回数ではなく、乾かす順番のほうを変えてください。

寝ている毛と立っている毛|同じ子の中で分かれる条件の違いと、道具の選び方

フラットコーテッドレトリバーの体には、全身が同じ毛で覆われているわけではありません。体に沿って寝ている毛と、根元から立ち上がっている毛が、同じ一頭の中に両方あります。首まわりと、しっぽや脚の後ろに下がる飾り毛は、体から離れて立っています。ここが比べる相手になります。

寝ている毛の場所と、立っている毛の場所
毛が寝ている場所毛が立っている場所
どこか脇、内股、胸の下首まわり、しっぽ、脚の後ろの飾り毛
毛と皮膚のあいだ隙間がなく、面で覆われる隙間があり、空気が入る
湿りの抜け方抜け道がなく、その場に残る根元から上へ抜けていく
起きること蒸れ、地肌のふやけもつれ、飾り毛のからみ
手の入れ方指を差し込んで、面を開く毛先から通して、根元まで抜く
道具の選び方道具より、まず手のひらと指目の粗いコームで毛先から
寝ている毛の下と、立っている毛の下 同じ子の体でも、毛が寝ている場所と立っている場所では、地肌の上の条件が違います。 同じ子の中で、条件が2つに分かれます 寝ている毛(脇・内股) 毛が皮膚に貼りつく 空気の層ができない 向かい合う面が重なる 湿りがその場に残る 立っている毛(首・しっぽ) 毛が根元から立つ 毛のあいだに隙間がある 片側が外気に触れる 湿りが上へ抜ける 手を入れる先も、道具の選び方も、この2つで分かれます
蒸れが出るのは、空気の層がない側です。

道具の選び方は、この2列で変わります。立っている毛には、コームやスリッカーが向いています。毛先から通して、根元まで抜けるようにすればいい。ところが寝ている毛の下には、ブラシは届きません。面のいちばん上をなでるだけで、その下の地肌には触れないからです。脇と内股で先に使うのは、道具ではなく指です。

ブラッシングの位置づけも変わります。立っている毛では、ブラッシングはもつれを外すためのものです。寝ている毛では、ブラッシングは面をいったん持ち上げて、空気を入れるためのものになります。同じ動作でも、目的が違うということです。脇に指を入れて毛を起こすのは、とかすためではありません。

脇と内股の蒸れを減らす3つの習慣|毎日・週1回・時期ごとの使い分け

3つの習慣は、同じ大きさのものを3つ並べたものではありません。秒で終わるもの、週に1度のもの、時期ごとに決め直すもの。かかる時間も、見直す間隔も違います。3つとも毎日やろうとすると続かないので、それぞれの間隔のまま持っておいてください。

  1. 習慣1|毎日30秒。脇と内股に指を入れて、寝た毛を起こす

    前脚を軽く持ち上げて、脇に指を5本差し込みます。地肌まで届いたら、そのまま指を広げて毛を起こし、5秒そのままにします。内股も同じです。拭くのでも、とかすのでもありません。閉じている面を開いて、空気を通すだけです。左右で合わせて30秒。抱き上げたついで、寝ころんでいるときのついでで足ります。

  2. 習慣2|週に1回。立っている毛と寝ている毛を、同じ手つきで比べる

    首まわりの毛に指を入れ、そのあと脇に同じように指を入れます。手ざわり、温度、湿り気。比べると、脇のほうだけが温かく湿っていることが分かります。差が先週より大きくなっていないか、においが変わっていないか。週1回、この比較だけを記録に残してください。数字は要りません。差があったかどうかだけで十分です。

  3. 習慣3|時期ごと。洗う回数ではなく、乾かす順番を決め直す

    湿度が上がる時期に入ったら、乾かす順番を組み替えます。脇と内股を先に、背中と外側をあとに。背中から始めると、脇にたどり着くころには布も風も余力がなくなります。洗いすぎで回数を増やすのではなく、順番を入れ替えるだけです。季節の変わり目に一度決めて、次の変わり目まで変えません。

3つを並べると、間隔が30秒・1週間・1シーズンとばらばらになります。これは意図的です。毎日やるべきことを増やすと、いちばん短いものから抜けていきます。毎日は1つだけ、あとは間隔を長くとる。この配り方のほうが、結果として脇と内股に手が入る日数は増えます。

脇と内股は、その子が自分で開ける面ではありません。前脚を持ち上げるのも、後ろ脚のあいだに指を入れるのも、人がやることです。開いている数十秒のあいだだけ、そこは手の届く場所になります。蒸れの話で動かせるのが時間のほうだけなのは、そのためです。

mofuwa スキンケアミストは、高機能性電解酸化水そのものを中身にしたミストです。成分を足して働きを作っているのではなく、水そのものが持っている働きを使う設計になっています。閉じている面に置くものを増やしたくない場所では、足しているものがない、という一点がそのまま条件になります。

使うのは、習慣1の30秒の終わりです。指で毛を起こして5秒置いたあと、布のほうを湿らせて、開いた面の地肌に沿わせて1回だけ。びしょ濡れにはしません。そのまま脚を下ろさず、もう5秒、開けたまま風を通してから閉じてください。閉じる前の5秒があるかどうかで、脇と内股に湿りが残る時間が変わります。

Point湿度計は、人の目の高さではなく床に置く

人が立っているところと、犬が横になっている床の近くでは、湿度の数字が違います。その子がいちばん長くいる場所の床に、湿度計をひとつ置いてください。数字が高い日は、開く時間を1回増やす。それだけで、時期ごとの判断が感覚ではなくなります。エアコンの風が直接当たる場所は避けてください。

寝た毛では説明がつかない蒸れ

ここまでは、毛が寝ているという作りで説明のつく蒸れの話でした。作りで説明がつくということは、面を開けば条件が動くということです。指を入れる習慣を続けて、湿りの残り方が変わるなら、その範囲の話で合っています。

逆に、次のような変化は、毛の向きでは説明がつきません。開く時間を増やしても戻ってくるとき、あるいは立っている毛の側にも出ているときです。

Caution早めの受診をおすすめするサイン

地肌が赤い、じくじくしている、ただれている、においが変わった、同じ場所をなめ続ける・かき続ける、毛が抜けて地肌が広く見える、触ると痛がる、脚を上げる姿勢を嫌がる、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、家でのケアを足す前に動物病院にご相談ください。脇と内股は、開けたときにしか見えない場所です。気づいた時点で進んでいることがあります。迷ったら早いほうを選んでください。

動物病院に相談するときは、いつからか、左右どちらか、最後に洗ったのはいつか、乾かすのにどれくらいかけているか、家で使っているものは何か、部屋の湿度はどれくらいかを伝えてください。この6つがあると、皮膚の状態を見るときの前提がそろいます。受診の前日に念入りに洗ってしまうと、もとの状態が分からなくなります。気づいたままで連れて行ってください。

最後に書いておきます。フラットコーテッドレトリバーの毛が平らに寝ているのは、直すべきことではありません。水を表面で流し、皮膚を守るための作りです。変えられるのは毛の向きではなく、閉じている面が開いている時間のほうです。毎日30秒、週に1回、季節ごとに一度。その3つの間隔を持っておけば、脇と内股の条件はずいぶん変わります。

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よくある質問

フラットコーテッドレトリバーは毛が短めなのに、なぜ脇だけ蒸れるのですか?
毛の量ではなく、毛の向きの問題です。体に沿って寝た毛は皮膚をぴったり覆うので、毛と地肌のあいだに空気の層ができません。そこへ前脚の内側と胸のように体の面が重なると、湿りの抜け道がなくなります。背中が早く乾くのは、片側が外気に触れているからです。
蒸れが気になるとき、シャンプーの回数を増やしたほうがいいですか?
回数を増やすと、脇と内股が半乾きでいる時間も一緒に増えます。地肌のうるおいも洗うたびに一度減ります。回数ではなく、乾かす順番を変えてください。脇と内股を先に、背中と外側をあとに回すだけで、最後まで湿りが残る場所に手が届きます。
脇に指を入れて毛を起こすのは、ブラッシングとは違うのですか?
目的が違います。首まわりやしっぽのように毛が立っている場所では、ブラッシングはもつれを外すためのものです。脇や内股のように毛が寝ている場所では、面をいったん持ち上げて空気を入れるための動作になります。ブラシは面の上をなでるだけで、その下の地肌までは届きません。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。