C05犬種・猫種別ケア

チェサピークベイレトリバーと暮らすなら知っておきたい、体のにおいの話

公開日 2022年1月18日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、縮れた短い毛の大型犬が静かに座っている
短い毛でも、縮れていれば根元の空気は動きません。においが出るのは、表面ではなく毛の下です。写真:Pexels/Pixabay

散歩から帰って30分、毛が乾いたはずのチェサピークベイレトリバーの背中に、手のひらを押し当ててから離してみてください。手のひらの側に、湿った空気のにおいが残ります。毛の表面は、たしかに乾いています。乾いていないのは根元のほうです。この犬種の体臭として感じているにおいの多くは、根元の空気が入れ替わらないまま留まっていることから来ています。毛が短いのだから乾きも早いはず——そう考えているあいだは、この差は見つかりません。チェサピークベイレトリバーの毛は、短いだけでなく縮れています。この記事では、縮れた毛とまっすぐな毛を並べて比べながら、今日どちらへ手を入れるかを決められるようにします。

縮れた毛は、隣の毛と重なっている|チェサピークベイレトリバーの体臭が生まれる根元

チェサピークベイレトリバーの背中の毛は、手のひらで押すと、そのまま沈んで戻ってきます。1本1本は短いのに、毛の面としては厚みがあります。指を入れると、途中で毛が指にまとわりついてきて、まっすぐ地肌へは届きません。短い毛なのに、指が素通りしないのです。この手ざわりが、この犬種の被毛のいちばん大きな特徴です。

チェサピークベイレトリバーは、アメリカのチェサピーク湾で、冷たい水に入って鳥を回収する仕事をしてきた犬種です。水の中で体温を保つために、被毛は短く詰まった形になりました。そして、その毛は1本ずつが波打っています。ウェーブがかかっている、縮れている、と表現される毛質です。短さと縮れは、別々の性質です。短いことは乾きやすさにつながりますが、縮れていることは、そのまったく逆に働きます。

まっすぐな毛は、1本ずつが独立して立っています。隣の毛と触れる面がほとんどないので、毛と毛のあいだに空気が入り込みます。縮れた毛は違います。波の山と山、谷と谷が、隣の毛と噛み合うように重なります。重なった分だけ、空気に触れている面が減ります。毛が空気に触れていないということは、その毛が抱えている湿りが、外へ出ていく道を持っていないということです。

においの出方も、ここから決まります。根元の空気が入れ替わらない場所では、湿りがそのまま残ります。湿ったまま時間が経つと、雑菌の増えやすい条件がそろいます。チェサピークベイレトリバーの体臭は、毛の表面ではなく、この動かない根元の空気の中で育ちます。だから、表面を拭いてもにおいが戻ってくるように感じられます。拭いたのは、においが出ている場所ではなかった、という順番です。

Note「短毛だから手がかからない」で止まらないこと

短毛の犬は手入れが軽い、と言われます。毛が絡まないという意味では、そのとおりです。ただしチェサピークベイレトリバーの場合、手がかからないのは毛先の側だけで、根元の側は別に考える必要があります。やることが多いという話ではありません。見る場所を、毛先から根元へ移すだけです。10秒あれば足ります。

縮れた毛とまっすぐな毛|同じ短さでも空気の触れ方が違う

短毛という言葉は、毛の長さだけを指しています。長さが同じでも、毛の形が違えば、根元で起きることは変わります。ここでは、チェサピークベイレトリバーのような縮れた短毛と、毛がまっすぐ寝ている短毛を並べて比べます。同じ「短毛の犬」としてくくれない、というのがこの記事の中心です。

縮れた短毛とまっすぐな短毛|根元で起きることの違い
縮れた短毛まっすぐな短毛
毛どうしの関係波が噛み合って重なる1本ずつ独立して立つ
空気に触れる面重なった分だけ減る毛の全長が空気に触れる
根元の空気動きにくく、入れ替わらない体が動くたびに入れ替わる
乾き方表面が先に乾き、根元が残る表面と根元が近い速さで乾く
においの出どころ根元の、動かない空気の中毛の表面に付いたもの
手の入れ方毛を逆から起こして開く上から拭けば届く
縮れた毛と、まっすぐな毛 同じ長さの短い毛でも、縮れているかどうかで空気の触れ方が変わります。縮れた毛は隣の毛と重なり合うため、根元の空気が入れ替わりません。乾いたのは表面だけ、という状態が残ります。 同じ「短毛」でも、条件が2つに分かれます 縮れた毛 隣の毛と重なり合う 空気に触れる面が少ない 根元の空気が動かない 乾いたのは表面だけ まっすぐな毛 1本ずつ独立している 空気に触れる面が広い 根元まで風が抜ける 表面と根元が同時に乾く 毛の長さが同じでも、手を入れる場所が変わります
短さではなく、毛の形が根元の条件を決めます。

この違いは、洗ったあとにいちばんはっきり出ます。まっすぐな短毛の犬は、体を振って、あとは自然に乾いていきます。チェサピークベイレトリバーは、体を振ったあとも根元に水が残ります。表面がさらりとしていても、根元は湿ったままという時間が、まっすぐな毛の犬より長く続きます。この時間の長さが、そのまま体臭の出やすさにつながっています。

もうひとつ、水に入る仕事をしてきた犬種なので、被毛には水をはじくための皮脂がのっています。これは落としすぎないほうがいいものですが、ここでの話の中心ではありません。皮脂の量が多いか少ないかではなく、その皮脂がのった毛が、空気に触れているかどうかです。同じだけ皮脂があっても、空気が動く場所では乾き、動かない場所では湿ったまま残ります。チェサピークベイレトリバーの体臭を考えるときは、量ではなく空気のほうを見てください。

毛を逆から起こしてみる|チェサピークベイレトリバーの体臭の見分け方

根元の状態は、外から見ても分かりません。毛が短いぶん、分け目もつくりにくい。それでも、手を使えば数秒で分かります。チェサピークベイレトリバーの体臭の見分け方は、においを嗅ぐより先に、毛を起こすところから始まります。犬を立たせたまま、片手で体を支えて、もう片方の手だけを使ってください。

  1. 背中の毛を、毛の流れと逆向きになでる

    手のひらを首から腰へではなく、腰から首へ滑らせます。縮れた毛は、逆からなでると起き上がって、しばらく立ったままになります。起こした毛がすぐ寝てしまう場所は、根元が湿っている側です。乾いていれば、毛はしばらく立っています。左右と背中で比べてください。

  2. 起こした毛の根元に、手のひらを当てて離す

    指先ではなく手のひらです。3秒ほど当てて、離した手のひらのにおいを嗅ぎます。犬に鼻を近づけるより、自分の手に移してから嗅ぐほうが、場所ごとの差が分かります。背中、脇の下、首輪の下、しっぽのつけね。4か所を同じやり方で回します。

  3. 首輪とハーネスの下を、外して確かめる

    ここは毛が押しつぶされたまま一日が過ぎる場所です。押されている毛は起き上がれないので、根元の空気は動きません。においが強く出ているのは、たいていこの押さえられている場所です。外したあと、毛を逆から起こして、そのまま少し置いてください。

  4. 寝床に鼻を近づけて、体のにおいと比べる

    犬の体からではなく、寝床のほうから同じにおいがしているなら、湿りが移っています。寝床のにおいは、体のにおいの記録です。敷いているものを乾かすか、日を決めて洗ってください。食器のまわりも、床が湿ったままになりやすい場所です。においの出どころを、体だけに求めないほうが早く片づきます。

Point嗅ぐ順番は、朝より夕方

朝いちばんは、夜のあいだに寝床でこもった空気がそのまま残っています。差が分かりにくい時間帯です。散歩から帰って30分後、体の表面が乾いたころが、いちばん比べやすくなります。表面が乾いているのに根元だけ残っている、という差が、その時間にはっきり出ます。毎日同じ時間に同じ4か所、と決めてしまうと、いつもと違う日が分かるようになります。

拭き取りが先か、換気が先か|今日の湿り気で決める使い分け

やることは2つしかありません。毛の表面に付いたものを拭き取ることと、根元の空気を入れ替えることです。チェサピークベイレトリバーでは、この2つの順番を、その日の湿り気で入れ替えます。いつも同じ順番でやると、湿っている日に拭き取りだけを重ねることになります。

今日はどちらを先にするか|条件で分かれる使い分け
根元が乾いている日根元が湿っている日
見分けのしるし起こした毛が立ったまま起こした毛がすぐ寝る
先にすること拭き取り毛を起こして開く
拭き取りの向き毛の流れに沿って毛の流れと逆向きに
かける時間全身で1〜2分4か所に絞って各10秒
部屋ですることふだんどおりの換気犬のいる高さで空気を動かす
やらないこと回数を増やして洗う湿ったまま毛を寝かせる
  1. 根元が湿っている日は、拭くより先に毛を開く

    手のひらで毛を逆から起こし、そのまま10秒ほど置きます。とかすのではなく、起こして置いておくだけです。重なっていた毛のあいだに、空気の通り道が一度できます。脇の下は、前脚を軽く持ち上げると開きやすくなります。

  2. 換気は、犬のいる高さで考える

    窓を開けても、動いているのは人の顔の高さの空気です。床に伏せている犬のまわりは、意外なほど動いていません。換気は、風の入り口と出口を2か所つくると、床の近くまで空気が動きます。サーキュレーターを使うなら、犬に直接当てるのではなく、壁に向けて部屋の空気を回してください。

  3. 拭き取りは、毛の流れと逆から入れる

    上からなでるように拭くと、縮れた毛の表面だけをなぞって終わります。逆向きに起こしながら拭くと、布が根元の側に触れます。力はいりません。強くこすると、水をはじくための皮脂まで持っていくことになります。1か所につき2〜3回で十分です。

  4. 洗う回数は、においを理由に増やさない

    においが気になると洗う回数を増やしたくなりますが、この犬種では逆に働くことが多くなります。洗えば、乾ききるまでの時間がまた増えます。根元が湿ったままの時間が延びれば、においの条件はそろったままです。洗った日は、乾かしきるところまでを1セットにしてください。

Caution湿ったまま寝かせない

いちばん避けたいのは、根元が湿ったまま毛を寝かせて、そのまま夜になることです。縮れた毛は、いちど寝てしまうと自分では起き上がりません。雨の散歩のあと、洗ったあと、水遊びのあと。この3つの日は、表面が乾いてから10秒だけ毛を起こしてください。乾いた気になったところで止めないことが、いちばん効きます。

洗う日と洗う日のあいだも、毎日きれいにしておくことはできます。大型犬は体から出る脂の量も、手を入れる面の広さも小型犬とは違うので、毎日続く形かどうかが、そのまま根元の状態に出ます。mofuwa グルーミングスプレーは、吹きかけて布で拭くところまでで終わるので、背中、脇の下、首輪の下、しっぽのつけねの4か所に絞れば2分で回せます。使うときは、毛を逆から起こしながら、布を根元の側に触れさせてください。グルーミングスプレーに使われているのは電解した水で、舐めても差し支えのない基準で成分を調べたものなので、体の広い犬でも量を数えずに使えます。吹きかけたあとは、毛をすぐ寝かせずに少し置いてから手を離してください。濡れたまま毛を寝かせないという線は、ここでも同じです。

空気の入れ替わりでは説明がつかないにおいが残るとき

ここまでは、毛の形と空気で説明のつくにおいの話でした。毛を起こして根元が乾いているのに、においだけが残る。ここから先は、毛の形では説明がつきません。チェサピークベイレトリバーの体臭を毎日見ていると、その差は分かるようになります。

Caution縮れた短毛では、地肌の変化が外から見えません

地肌が赤い、じくじくしている、においが急に強くなった、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。このどれかが出ているときは、家での拭き取りを重ねるより先に動物病院で診てもらってください。縮れた短毛は地肌が外から見えにくいので、毛を起こさないかぎり、変化が進んでから気づくことになります。

相談するときのために、いつから気づいたか、どの場所が強いか、その週に洗った日と濡れた日をメモしておいてください。この3つがあると、根元の空気で説明がつくにおいなのかどうかを、その場で切り分けられます。毛を刈って見せる必要はありません。どこを起こせば見えるかを伝えられれば足ります。

チェサピークベイレトリバーの毛は、冷たい水の中で体を守るために、短く、密に、そして縮れた形になりました。作りそのものは変えられません。変えられるのは、重なった毛のあいだに空気が入る時間を、1日のどこかにつくることだけです。短いから乾いているはず、で終わらせずに、手のひらで毛を起こしてみる。チェサピークベイレトリバーの体臭とつきあううえで、これがいちばん確かな手がかりになります。

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よくある質問

チェサピークベイレトリバーは短毛なのに、どうして体臭が出やすいのですか?
短さと縮れは別の性質だからです。縮れた毛は隣の毛と重なり合うので、空気に触れる面が減ります。根元の空気が入れ替わらないぶん、湿りが残る時間が長くなります。まっすぐな短毛の犬と同じつもりで見ていると、この差は見つかりません。毛を逆から起こして、根元が乾いているかどうかで判断してください。
においが気になるとき、洗う回数を増やしてもいいですか?
おすすめしません。洗えば、乾ききるまでの時間がまた増えます。この犬種は根元が乾くのに時間がかかるので、回数を増やすほど湿ったままの時間が延びます。洗う回数より、洗う日と洗う日のあいだに毛を起こして根元の空気を入れ替える回数を増やすほうが、条件は動きます。洗った日は、乾かしきるところまでを1回のケアにしてください。
拭き取りは、どのくらいの力でやればいいですか?
力はほとんどいりません。毛を逆から起こしながら、布を根元に触れさせる程度で足ります。強くこすると、水をはじくためにのっている皮脂まで持っていくことになります。1か所につき2〜3回で十分です。地肌が赤い、痛がるといったときは、拭くのをやめて動物病院にご相談ください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。