C05犬種・猫種別ケア

オーストラリアンシェパードのダブルコート|アンダーコートの詰まりを毎日のケアで防ぐ

公開日 2022年1月25日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、豊かな被毛の中型犬が床に伏せて休んでいる
たっぷり走った日の夜は、下毛が動いています。届く場所と届かない場所の差が、いちばん出る時間です。写真:I Bautista/Pexels

ドッグランで1時間走って帰った日の夜、ソファの横でオーストラリアンシェパードの首まわりの毛を左右に分けてみたら、指が途中で止まりました。前の日は同じ場所に、すっと地肌まで届いていました。同じ子の、同じ被毛です。変わったのは、その日どれだけ走ったかだけでした。アンダーコートは、体が熱を持つたびに外へ出ようとします。ところが出ようとしたその毛は、上毛と飾り毛に捕まって、根元に留まります。つまり、よく走る子ほどアンダーコートは詰まります。運動が足りていないから起きるのではなく、足りているからこそ起きる。この記事は、そのつながりの話です。

たっぷり走った日の夜、首まわりの毛を分けてみる

その日は風が涼しくて、オーストラリアンシェパードは1時間近く走りっぱなしでした。帰り道で少し足取りが重くなって、家に着いたらそのまま床に伸びました。夜、テレビを見ながら首のまわりの毛を左右に開いて、地肌の線をつくろうとしました。指は、途中で止まりました。細かい毛がびっしり詰まっていて、その先へ入っていきません。

前日は、同じ場所に指が届いていました。散歩はしましたが、走ってはいません。一日おいただけで、同じ首まわりの手ざわりが変わっていました。被毛は一日で生え変わりません。動いたのは、抜けようとしている下毛のほうです。この日から、走った日の夜と、走らなかった日の夜を分けて触るようになりました。差は、思っていたよりはっきり出ます。

同じことは、脚の後ろの飾り毛でも起きます。前脚の裏側、後ろ脚の腿の裏、しっぽのつけね。手ぐしを入れると、走った日の夜だけ、指に細かい毛がまとまってついてきます。走った日は、下毛が動いている日です。この気づき方を先に持っておくと、オーストラリアンシェパードのアンダーコートの話は、ぐっと分かりやすくなります。

Note運動量が足りていないのでは、と考えなくて大丈夫です

被毛が詰まっていると、運動や食事のせいではないかと心配になることがあります。オーストラリアンシェパードのアンダーコートについては、むしろ逆で、しっかり走れている子ほど下毛が動きます。詰まりは運動不足のしるしではありません。走らせた分だけ、外へ運び出す係が必要になる、というだけの話です。

上毛・下毛・飾り毛の三層|オーストラリアンシェパードの被毛の背景

オーストラリアンシェパードの被毛は、ダブルコートです。外側に、やや硬くて水をはじく上毛。その内側に、綿のように細かい下毛(アンダーコート)。この2つが重なった構造を持っています。ダブルコートの犬種はほかにもたくさんいますが、この犬種にはもう一枚、条件が乗ります。飾り毛です。

飾り毛は、体の一部だけに長く伸びる毛のことです。オーストラリアンシェパードでは、首まわりのたてがみ、前脚の裏側、後ろ脚の腿の裏、しっぽのまわりに出ます。体の面としては短めの毛でおおわれているのに、この4か所だけ毛が長い。ここが、あとで話の中心になります。

この作りには背景があります。名前にオーストラリアと入っていますが、牧畜犬としての形が整ったのはアメリカ西部です。羊や牛の群れを、一日じゅう追って動かす仕事をしてきました。走って、止まって、また走る。体格は中型で、胸が深く、脚が長すぎない。長い距離を走り続けるための体つきです。被毛も、日中の陽射しと夜の冷え込みの両方を受ける環境に合わせて、二重になりました。

オーストラリアンシェパードの被毛|三つの層のはたらき
はたらきアンダーコートとの関係
上毛水と陽射しを受け止める外へ出ようとする下毛の、最初の関門になる
下毛(アンダーコート)空気をためて体温を保つ熱がこもると外へ出ようとする
飾り毛首・脚・しっぽを覆う長いぶん、抜けた下毛が絡んで留まる
生えている場所体の面は短め、4か所だけ長い詰まる場所が4か所に集まる
換毛期春と秋に下毛がまとまって抜けるこの時期は量が一気に増える
換毛期以外体温が上がるたびに少しずつ動く走った日ごとに、少しずつ溜まる

ここまでで、オーストラリアンシェパードのアンダーコートを見るときの材料はそろいました。下毛は外へ出ようとする。上毛と飾り毛が、その道をふさいでいる。あとは、下毛が「外へ出ようとする」のがいつなのか、という一点です。多くの人は、それを春と秋の換毛期だけだと考えています。

体温が上がるたびに、下毛は外へ出ようとする|よく走る子ほど詰まる理由

換毛期は、たしかに年に2回来ます。ただ、下毛が動くきっかけは季節だけではありません。体が熱を持つと、下毛は緩んで、根元から離れようとします。走って体温が上がった日の夜に、手ぐしに細かい毛が多くついてくるのは、そのためです。走らなかった日の夜には、同じことをしても、あまりついてきません。

オーストラリアンシェパードは、よく走る犬種です。持久力があって、走らせれば走ります。ということは、体温が上がる回数が、他の犬種より多いということです。下毛が外へ出ようとするタイミングも、そのぶん多く来ます。ここまでは、体にとって自然なことです。困るのは、その次です。

根元から離れた下毛は、そのまま床に落ちるわけではありません。上へ抜けていく途中で、上毛の内側に引っかかります。さらに首まわり・脚の裏・しっぽという飾り毛のある場所では、長い毛が何重にも重なっているので、そこで完全に止まります。抜けたのに、外へ出られない。出口をふさいでいるのは、その犬自身の毛です。

走った日の夜と、走らなかった日の夜 下毛は、体温が上がると根元から離れようとします。走った日の夜は、外へ出ようとする毛が増えている状態です。ところが上毛と飾り毛がその道をふさぐため、抜けた毛は根元に留まります。走った量が多いほど、留まる量も増えます。 同じ子の、同じ被毛でも、日によって条件が変わります 走った日の夜 体温が大きく上がった 外へ出ようとする毛が多い 飾り毛の中に留まる 指が浅いところで止まる 走らなかった日の夜 体温の上がり方が小さい 外へ出ようとする毛が少ない 留まる量も少ない 指が地肌まで届く 走らせた日ほど、外へ運び出す手が必要になります
詰まりの量は、その日どれだけ走ったかで動きます。

そこへ、もうひとつ乗ります。体温が上がると、皮脂もふだんより出ます。根元に留まった下毛は、その皮脂を抱えたまま、次の日も、その次の日もそこにいます。抜けた毛と皮脂が同じ場所で重なると、指が入らない層になります。首まわりで指が止まったのは、この層です。毛が伸びたのでも、毛量が急に増えたのでもありません。

詰まりが出る4か所と、そこで起きていること
場所なぜここに集まるか手を入れる向き
首まわり飾り毛がいちばん厚く、何重にも重なる毛を分けて、線を上へずらす
前脚の裏側走るたびに体側とこすれ、毛が寝る脚を持ち上げて、下から上へ
後ろ脚の腿の裏飾り毛が長く、地面からの土もつく毛先ではなく根元から外へ
しっぽのつけね動きが多く、毛が四方から集まるつけねを支え、放射状に
体の面(背中・脇腹)毛が短めで、抜けた毛が落ちやすい上からのブラッシングで届く
脇の下面と面が合わさり、空気が動かない前脚を上げて、10秒開く

この表を見ると、オーストラリアンシェパードのアンダーコートの詰まりが、体全体で均一に起きているのではないことが分かります。飾り毛のある4か所に集まっています。背中を毎日ブラッシングしていても、この4か所に手が入っていなければ、詰まりは残ります。「毎日やっているのに」という食い違いは、たいていここから起きています。

走った日の夜に、4か所だけ|毎日のケアで詰まりを防ぐ考え方

では、何を変えられるのか。走らせる量は減らさなくていいですし、減らすべきでもありません。変えられるのは、走った日の夜に、外へ運び出す手を入れるかどうかだけです。これが、オーストラリアンシェパードのアンダーコートに対する考え方の中心になります。予防のためにできることは、走った量にケアの量を合わせる、それだけです。

毎日のケアというと、全身を同じようにブラッシングすることだと思われがちです。この犬種では、そのやり方は続きません。体が大きく、毛の量もあります。飾り毛のある4か所だけ、と決めてしまうほうが回ります。1か所2分、合わせて8分。走った日はこれをやる、走らなかった日は首まわりだけ、という分け方にしてください。

  1. 毛を分けて、地肌が見える線を1本つくる

    ブラシをいきなり入れず、まず手で毛を左右へ開きます。地肌が見える線ができたら、その線に沿ってブラシを入れてください。詰まっている場所ほど、線はきれいにできません。線ができない場所が、いま手を入れるべき場所です。首まわりは、あごの下から肩へ向かって、何本か線をつくります。

  2. 根元から外へ、短く動かす

    毛先を長くとかしても、留まっている下毛は出てきません。線から下の毛を指で押さえて、根元の側から外へ向かって短く動かします。運ぶのは毛先の毛ではなく、根元に留まっている毛です。一度に大きく動かさないほうが、皮膚を引っぱらずに済みます。

  3. 走った日の夜だけ、脚の裏としっぽを足す

    前脚の裏側は、脚を軽く持ち上げると開きます。後ろ脚の腿の裏は、犬を立たせたまま、下から上へ。しっぽのつけねは、片手でつけねを支えて、放射状に外へ出します。嫌がる子が多い場所なので、1日1か所でもかまいません。4か所を一晩で回そうとすると、たいてい途中でやめることになります。

  4. 換毛期は、回数を増やして時間を短くする

    春と秋の換毛期は、一度に出てくる量が違います。ここで1回あたりの時間を延ばすと、犬のほうが先に嫌になります。1回5分を1日2回、というふうに、回数のほうを増やしてください。この時期だけは、走らなかった日も4か所を回します。時期が過ぎたら、また走った日だけに戻します。

  5. 洗う回数は、詰まりを理由に増やさない

    詰まったから洗う、という順番にすると、ほどけていない下毛が水を含んで締まります。運び出してから洗うが順番です。オーストラリアンシェパードは毛の量があるぶん、乾かしきるまでにも時間がかかります。洗った日は、飾り毛の根元まで乾いたかを指で確かめるところまでを1セットにしてください。

走った日は、下毛だけでなく皮脂もふだんより多く出ています。分けた線に沿って毛を運び出したあと、根元に残っているのは毛ではなく、その皮脂のほうです。前脚の裏側と腿の裏は、この犬種が自分で舐める場所でもあります。mofuwa スキンケアミストは高機能性電解酸化水100%で、舐める場所にそのまま使えるようにつくられています。分けた線に布を当てて根元を湿らせ、乾いた布で水分を取ってから次の線へ移ってください。飾り毛の下に湿りを残さないことだけ守れば、走った日の夜の8分にそのまま組み込めます。

Point走った日の夜、という決め方が続きます

「週に何回」で決めると、走った週と走らなかった週の差が反映されません。この犬種では、回数ではなく、走った日かどうかで決めるほうが実際に合います。帰ってきて体を拭くタイミングにくっつけてしまうと、思い出さなくてもできるようになります。走らせた日は、そのぶん運び出す。この対応関係だけ覚えておけば足ります。ブラシと mofuwa スキンケアミストを玄関の棚にまとめて置いておくと、帰ってきた流れのまま首まわりから始められます。

走った日と走らなかった日で、手ざわりが変わらないとき

ここまでは、走った量で説明のつく詰まりの話でした。走った日も走らなかった日も同じように詰まっている、あるいは走っていないのに指が止まる。これは別のものとして見てください。毎日触っていると、その差は分かるようになります。オーストラリアンシェパードは毛の下が外から見えないので、手ざわりの変化のほうが手がかりになります。

Caution走った量では説明がつかない形が出たとき

地肌が赤い、じくじくしている、においが強くなった、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。この形が出ているときは、ブラシを入れる手を止めて動物病院で確かめてください。飾り毛の下は外から見えないぶん、変化が進んでから気づくことがあります。走った日と洗った日のメモがあれば、その場で切り分けられます。

相談するときのために、いつから気づいたか、どの場所が戻るか、その週に走った日と洗った日をメモしておいてください。この3つがあると、走った量で説明のつく詰まりなのかどうかを、その場で切り分けられます。飾り毛を切って見せる必要はありません。どこを分ければ見えるかを伝えられれば足ります。

オーストラリアンシェパードの被毛は、一日じゅう群れを追って走る仕事のために、この形になりました。よく走れる体と、走るたびに動く下毛は、同じひとつの作りの表と裏です。走らせる量を減らすのではなく、走らせた夜に、外へ出られなかった毛を運び出す。アンダーコートとつきあううえで、この対応関係を持っているかどうかが、いちばん大きく効いてきます。今日たっぷり走ったなら、今夜は首まわりから始めてください。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。