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乳化とは?油を水の中に散らすこと

公開日 2021年12月31日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、淡い色の木の床に落ち着いて伏せている白っぽい毛の犬
乳化した油は、その場から消えたのではなく、運ばれる形に変わっただけです。写真:Leohoho/Pexels

シャンプーを流したあとの水が白く濁って見えるのは、そこで乳化が起きているからです。乳化とは、混ざらない油を、水の中へ細かく散らして留めておくことです。油はそこからなくなっていません。細かい粒になって、水のほうに運ばれているだけです。だから、流せば一緒に出ていきます。流さなければ、水が減ったところで粒どうしが集まり、同じ場所へ戻ります。この一往復を知っているかどうかで、すすぎにかける時間の意味が変わります。この記事は、乳化という言葉の中身を、犬と猫の毎日のケアで実際に起きていることに置き直した読みものです。

すすぎの水が白く濁った日|乳化とは何かを、風呂場で見た経験

洗い終わってシャワーを当てたとき、足元へ流れていく水が白く濁っていました。泡はもう見えていません。それでも数十秒のあいだ、水は白いまま流れ続けました。この白い濁りが、乳化が起きている状態です。透明に戻るまでにかかった時間は、その日、思っていたよりずっと長いものでした。

同じことは、台所でも見られます。コップに水を張って油を一滴落とすと、油は玉のまま浮きます。かき混ぜても、しばらくすると玉に戻ります。ここへ台所用の洗剤を一滴入れて振ると、油の玉が消えて、水全体が白く濁ります。玉が見えなくなったので、溶けたように見えます。実際に起きているのは別のことです。

白く見えるのには理由があります。油が細かい粒になって水の中に散ると、その粒が光を散らすので、全体が白く見えます。牛乳が白いのも同じ理屈だとされていて、乳という字が使われているのはここからです。乳化とは、見た目のうえでは「透明だったものが白く濁ること」であり、中身のうえでは「油が粒として水に散った状態」を指しています。

家の中で、乳化が起きているのを目で見られる場面
場面見えていることそこで何が起きているか
洗ったあとのすすぎの水泡が消えたあとも白く濁る皮脂と洗浄成分が、粒になって水に散っています
牛乳白くて、置いても分かれにくい乳の脂肪が細かい粒で水に散った状態とされています
ドレッシング振ると濁り、置くと2層に戻る粒が大きく、留まっていられる時間が短い状態です
マヨネーズ白くて、置いても分かれない粒が細かく、長く留まるように作られています
油を使ったあとのフライパン洗剤を入れると白く濁るこびりついた油が、粒になって水へ移っています

ドレッシングとマヨネーズを並べたのには意味があります。どちらも乳化していますが、留まっていられる時間がまるで違います。ドレッシングは数分で分かれ、マヨネーズは何か月も分かれません。乳化とは、混ざった状態そのものではなく、混ざらないものを、しばらくのあいだ混ざったままにしておくことだと考えると、この差が説明できます。留めておく力の強さが違うのです。

Note白く濁っているうちは、まだそこにある

すすぎの水が白いあいだは、油が水に乗って、まだ流れている最中です。白さが消えて透明になったとき、初めて流れ終わったことになります。逆に言えば、白いうちに水を止めると、乗ったものは行き場を失ってその場に残ります。乳化という言葉を知る前は、泡が消えた時点で終わったと考えていました。実際には、泡が消えてからのほうが長いのです。

乳化とは、油を消すことではない|水と油が同じ器に留まっていられる理由

はじめに、いちばん取り違えやすいところを分けておきます。乳化と、溶けることは、別の出来事です。砂糖を水に入れると溶けます。このとき砂糖は粒でなくなり、目に見えない大きさまでばらけて水と一体になります。透明なままです。油はこうなりません。どれだけ強くかき混ぜても、油は油のまま、粒として存在し続けます。

なぜ混ざらないのかというと、水どうしは互いに引き合って集まる性質が強く、その輪の中に油が入る場所がないからだ、と説明されています。水は水で固まろうとし、押し出された油は油どうしで集まって玉になる。玉になるのは、水と接する面をいちばん小さくしようとした結果です。油が自分から集まっているというより、水に締め出されていると言うほうが近いかもしれません。

溶けることと、乳化すること 砂糖が水に溶けるときと、油が水の中で乳化するときに、それぞれ何が起きているかを並べています。見た目も、元に戻るかどうかも違います。 乳化した油は、粒であることをやめていません 溶ける 粒でなくなる 見た目は透明のまま 水と一体になっている 放っておいても戻らない 砂糖・塩がこの形 乳化する 粒のまま散っている 光を散らして白く濁る 水に運ばれているだけ 条件が変われば元へ戻る 油と水がこの形 戻るかどうかが、いちばん大きな違いです
同じ「混ざった」という言葉で呼ばれていますが、中で起きていることは別々です。

では、なぜ乳化した状態がしばらく続くのか。油の粒のまわりを取り囲んで、隣の粒とくっつくのを邪魔する役のものがあると、粒は集まれなくなります。集まれない粒は大きくなれず、大きくなれない粒は浮き上がることも沈むこともできません。結果として、水の中に散らばったまま留まります。乳化とは、この「留めておく」状態のことです。放っておいても永遠には続かず、留めておく力が弱ければ、時間とともに戻ります。

溶けることと乳化することの違いを、5つの点で並べる
見る点溶ける乳化する
対象水になじむもの(砂糖・塩)水になじまないもの(油・皮脂)
粒の大きさ粒という形をやめます小さくなりますが、粒のままです
見た目透明のままです光を散らして白く濁ります
元に戻るかそのままでは戻りません条件が変われば戻ります
家での言い換え水に混ざった水に運ばれている

この違いが分かると、日常でよく使われる「汚れが溶ける」という言い方が、比喩だったと気づきます。皮脂は水に溶けません。洗ったときに落ちているように見えるのは、皮脂が粒になって水に運ばれているからです。運ばれているだけなので、運び出さなければ、そこにあります。乳化とは、消す仕組みではなく、運べる形に変える仕組みだと言い換えられます。

粒の大きさについても、ひとつ書いておきます。細かい粒ほど長く留まり、大きい粒ほど早く集まって分かれます。ドレッシングが数分で分かれてマヨネーズが分かれないのは、粒の細かさが違うからです。洗ったあとの水が白く濁っている時間の長さも、この細かさで変わります。濁りが長く続くのは、それだけ細かい粒で運ばれているということです。

流さなければ、乳化した油は同じ場所へ戻る|犬と猫の被毛で起きる変化

ここからが、家のケアの話です。犬と猫の皮膚の表面には、皮脂という油があります。多すぎればべたつき、少なすぎれば乾きます。洗うという行為は、この油の一部を粒に変えて水に乗せることです。乗せたところまでが洗浄で、運び出すところまでがすすぎです。この2つは別の工程で、片方だけでは終わりません。

乗せたまま流さないと、何が起きるか。水が減っていくにつれて、粒どうしの距離が近くなります。近づいた粒は集まり、集まった粒は大きくなり、大きくなった油は元の油に戻ります。戻る場所は、そのとき粒が浮いていた場所です。つまり、すすぎ残しがあった場所に、そのまま戻ります。乾いたあとに、そこだけべたついたり、粉っぽくなったりするのは、この変化が起きたあとの状態です。

乳化した油が、そのあとどうなるかの分かれ道
そのあとの条件起きる変化家で気づく形
水で流しきる粒が水と一緒に出ていきますすすぎの水が透明に戻ります
途中で水を止める粒が集まって、その場に戻ります乾いたあと、その場所だけ手ざわりが違います
拭き取って終える布が受け取ったぶんだけ減ります布の側ににおいが移ります
乾かすのに時間がかかる戻る時間が長くなります根元だけ、あとから重くなります
何度も洗い直す戻ったものを、また粒に変えます回数のわりに手ざわりが変わりません

犬と猫の体では、この変化が出やすい場所が決まっています。共通しているのは、水が届きにくく、しかも最後まで乾かない場所です。粒が留まっていられる時間が長いほど、戻る量も増えます。ここを覚えておくと、すすぎのときに手を置く場所が変わります。

  1. 泡が見えなくなってからを、すすぎの本番と考える

    泡が消えた時点では、粒はまだ被毛の中にいます。白い濁りが出なくなるまでが、運び出している時間です。時間で決めるなら、泡が消えてからさらに同じくらい、と覚えておくと足ります。

  2. 上から流すのではなく、根元に水を入れる

    毛の表面を流れる水は、根元まで届きません。指を毛に差し入れて、水の通り道を作りながら流します。粒が留まっているのは表面ではなく、根元のほうです。

  3. 面が合わさっている場所を、いったん開く

    脇と内股は、立った姿勢のままでは水が入りません。前脚を軽く持ち上げる、体をわずかに横へ向ける。開いた状態にしてから流すと、そこだけ濁りが出てきます。出てきたら、そこに残っていたということです。

  4. 乾かす前に、指で一度なぞる

    湿ったまま指をすべらせて、引っかかる場所とぬるつく場所を探します。ぬるつきが残っている場所は、まだ粒が留まっています。ここだけもう一度流すほうが、全身をやり直すより早く終わります。

  5. 乾かす時間を、短くする方向で考える

    濡れている時間が長いほど、戻る余地が残ります。乾かす順番を、水が抜けにくい根元から始めるだけでも変わります。毎日のケアの中では、この一手がいちばん効きます。

犬でも猫でも、乳化の変化の出方そのものは同じです。違うのは、猫は自分でなめて毛づくろいをするぶん、戻った油が体の外へ出ていく道すじが増えるところです。ただし、口へ入る量も増えます。だから猫では、洗うかどうかより先に「流しきれるかどうか」を考えるほうが順番として自然になります。流しきれないと分かっているなら、水を使わない形のケアを選ぶという判断もあります。

「溶ける」を「運ばれている」に置き換える|乳化という言葉が使われてきた背景

乳化という言葉は、もともと台所や工場の言葉として使われてきました。牛乳、マヨネーズ、バター、塗料、化粧品。混ざらないものを混ざったままにしておく技術は、どの分野でも同じ名前で呼ばれています。ケアの話にこの言葉が出てくる背景も同じで、皮膚の上の油を水に乗せるという、まったく同じことをしているからです。特別な言葉ではありません。

それでも、この言葉を知る前と後では、家での判断が変わります。「溶ける」と思っているうちは、洗った時点で終わりです。「運ばれている」と分かると、流し終わるまでが工程になります。同じ手順を同じ時間やっていても、どこで終わりにするかが変わる。乳化とは、手順を増やす言葉ではなく、終わりの位置をずらす言葉です。

言葉を置き換えると、毎日のケアで見る場所が変わる
前の言い方置き換えたあと変わること
汚れが溶けた汚れが運べる形になった流すまでが工程に入ります
泡が消えたら終わり濁りが消えたら終わりすすぎの時間が長くなります
よく洗えばきれいになるよく流せば出ていく洗う回数を増やさなくなります
乾けば落ち着く乾くまでに戻ることがある乾かす速さを見るようになります
落ちなかったから洗い直す戻ったものを、また粒にしている同じことを繰り返さなくなります

洗い直しについて、もう少しだけ。落ちていないと感じて2回洗うのは、戻ってきた油を、もう一度粒に変えているだけになることがあります。1回目に流しきれなかったのなら、2回目も同じ場所で同じことが起きます。増やすべきなのは洗う回数ではなく、流す時間のほうです。ここは、乳化とは何かが分かると自然に順番が入れ替わります。

水を使わない日のケアには、そもそも乳化を起こさない選び方があります。ここまでに挙げた6か所——背中の根元、脇と内股、首のまわり、尾のつけ根、足の指のあいだ、耳の外側のつけ根は、その子の舌が届かないか、届いても最後まで乾かない場所です。運び出しきれなかった粒が戻ってくるのも、なめて減らすことができないのも、同じこの6か所になります。mofuwa スキンケアミストは電解水100%で、界面活性剤を含みません。油を粒に変えて運ぶという道すじを取らないので、流す工程そのものが出てきません。清涼飲料水の規格基準をクリアした成分でつくられているので、口のまわりや足の指のあいだのように、そのあとその子がなめる場所にも同じものを使えます。流しきれないと分かっている日は、油を動かさないほうを選ぶ。すすげない日、乾かしきれない日、そもそも水が苦手な子。この選び方を1つ持っておくと、洗ったのに流しきれないまま乾かすという、いちばん戻りやすい形を避けられます。

Pointどちらが優れている、という話ではありません

水と洗浄成分で油を運び出す形と、油を動かさずに整える形は、引き受けている制約が違うだけです。前者は流しきる時間と乾かす手間が要り、そのぶん一度にたくさん運べます。後者は流す工程が要らないかわりに、たまった油を一度にまとめて動かすことはできません。毎日のケアの中では、この2つを日によって使い分けるほうが、どちらか一方に寄せるより続きます。

最後に、乳化という言葉では説明のつかない変化について書いておきます。流しても乾かしても、同じ場所だけが半日で元に戻る。地肌が赤い。フケが増えた。においが日ごとに強くなる。同じ場所をなめ続けている。こうした変化が重なっているときは、すすぎの時間を延ばす話ではありません。洗い方を変える前に、動物病院にご相談ください。いつから、どの場所が、どんな手ざわりだったかを控えておくと、その場で切り分けてもらえます。

乳化とは、油を消す技術ではありません。運べる形に変えて、水に預けているだけの、一時的な状態です。預けたものは、流せば出ていき、置いておけば返ってきます。この一往復さえ覚えておけば、洗う日も、水を使わない日も、自分がいまどちらの側にいるのかが分かります。毎日のケアで迷いが減るのは、たいていこういう言葉を1つ持ったときです。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。