C12Q&A・豆知識

ブラッシング1分で取れる抜け毛の量

公開日 2022年1月7日|文=mofuwa編集部

明るく清潔な部屋で、淡い色のラグの上に落ち着いて座り、ブラシをかけてもらっている淡い色の犬
1分という単位に固定すると、残る変数は「前回からの日数」だけになります。写真:Goochie Poochie Grooming/Pexels

同じ子を同じブラシで1分だけとかしても、前の日にやった翌日と、7日空けた日とでは、手元に集まる抜け毛の量が目に見えて違います。ブラッシング1分という短い単位で測ると、量を決めているのが道具でも力加減でもないことが見えてきます。1分で取れる量は、前回から何日空いたかでほぼ決まります。この記事では、ブラッシングの量を決めている2つの軸を先に出し、毎日1分(週の合計7分)と、週1回7分(同じ合計7分)を条件ごとに比較します。どちらが正しいかを決める記事にはしません。同じ7分をどう配ると、取れる量と体に残る量がどう変わるかを、条件ごとに並べます。読み終わったときに手元に残るのは、合計何分やったかではなく、前回からの日数のほうです。

ブラッシング1分で取れる量を決めている2つの軸|1回の長さと、前回からの日数

はじめに、軸を2つに絞ります。ブラッシングで手元に集まる毛の量を動かしているのは、1回の長さと、前回からの日数の2つです。ブラシの種類も、力の入れ方も、その子の毛の長さも量には効きますが、それらは家ごとにほとんど固定されています。週によって動くのは、この2つのほうです。

そこで、片方を止めます。1回の長さを1分に固定すると、残る変数は前回からの日数だけになります。1分にするのは、家で数えられるいちばん短い単位だからです。3分や5分は、途中で手を止めたり、片側だけ長くなったりして、同じ1回になりません。1分なら、条件をそろえたまま何度でも繰り返せます。

量のほうは、あえて数字で固定しません。抜け毛の量は、何を数えるかで桁が変わります。ブラシに残った毛だけを数えるのか、床に落ちた毛まで含めるのか、それとも体にまだ残っている毛を推し量るのか。同じ1分でも、この3つは別の数字になります。ここに「1分で約◯グラム」と書いてしまうと、その時点で測り方を1つに決めたことになり、家で再現できません。

この記事で比べるのは、3つ目の「体に残っている毛」の側です。手元に集まった量が多い日は、そのぶん体から出せた日でもあり、同時に、それだけ体にたまっていた日でもあります。1回の量だけを見ていると、この2つの意味が混ざります。

Note量を1つの数字に固めません

抜け毛の量は、測り方・季節・毛の長さ・体格で幅が出ます。この記事では、特定の研究や機関を出典として挙げることはしませんし、「1分で何グラム」という数字も置きません。書けるのは、同じ子・同じブラシ・同じ1分という条件をそろえたときに、前回からの日数で量が動く、という関係のところまでです。

毎日1分と週1回7分|同じ合計時間のブラッシングを条件で比較する

ここから比較に入ります。同じ週7分を、2通りに配ります。毎日1分ずつ7回に分けるか、週に1回まとめて7分やるか。合計時間はどちらも7分です。犬でも猫でも、ブラッシングの比較でいちばん見落とされるのが、この「合計は同じなのに中身が違う」という点です。

毎日1分と週1回7分を、条件ごとに比較する
見るところ毎日1分(週7回)週1回7分(週1回)
1回の前にあいた日数1日7日
1分で取れる毛の出どころ表面に浮いた毛が中心表面の毛と、根元に沈んだ毛が混ざる
1回で手元に集まる量少なくまとまる1回ぶんとしては多くなる
終わったあと体に残る毛翌日また出せる次の1回まで7日ぶんたまる
毛先のもつれ育つ前にほどけるもつれてから触ることがある
静電気の起きやすさ1回が短く、摩擦の時間も短い1回が長いぶん、摩擦が続く
週の合計時間7分7分
同じ7分を、2通りに配ったとき 週の合計時間を7分でそろえたまま、毎日1分ずつに分けた場合と、週1回7分にまとめた場合を並べています。数値ではなく、本文の比較表と同じ観点を並べたものです。 合計時間はどちらも週7分です 毎日1分(週の合計7分) 前回からあいた日数は1日 取れるのは表面に浮いた毛 根元に沈む前に出せる 体に残る量が増えにくい 毛先のもつれが育ちにくい 週1回7分(週の合計7分) 前回からあいた日数は7日 表面の毛と沈んだ毛が混ざる 根元まで沈んだ毛がある 1回に集まる量はまとまる もつれてから触ることがある 同じ合計でも、体に残る量と毛先の状態が別々に動きます。
動いているのは1回の長さではなく、前回からの日数のほうです。

表のいちばん下の行だけが同じで、上の6行はすべて違います。合計時間をそろえたのに違いが出るということは、量を動かしているのが合計ではない、ということです。ブラッシングの比較でこの表を作ってみると、動いている列が1つしかないことが分かります。前回からあいた日数の行です。

ここで、質問の立て方をはっきりさせておきます。「どっちのほうが多く取れますか」と聞かれたら、答えは2つに割れます。1回あたりで比べるなら、週1回7分のほうが多く取れます。週の合計で比べるなら、毎日1分のほうが体に残る量は少ない側になります。同じ問いなのに、比べる単位を変えると答えが逆になる。ブラッシングの量をめぐる話がかみ合わないのは、たいていここです。

もうひとつ、比較の限界も書いておきます。この表は、同じ子・同じブラシ・同じ力で比べたときのものです。片方を毎日1分でやり、もう片方を週1回7分でやって、別の子どうしを比べても何も分かりません。比較の相手を決めずに量だけを並べると、数字が独り歩きします。

なぜ間隔で量が変わるのか|抜けた毛が被毛のどこにとどまるかの話

根っこにあるのは、抜けた毛がすぐには落ちない、という事実です。毛は抜けたあと、まわりの被毛にひっかかったまま体の上にとどまります。床に落ちている毛は、そこからさらにこぼれた分です。ブラッシングの1分でやっているのは、この「まだ体の上にある毛」を外へ出す作業になります。

とどまった毛は、時間とともに位置を変えます。最初は毛先のあたりに浮いていますが、その子が動いたり、寝返りを打ったり、体をなめたりするうちに、少しずつ根元のほうへ入っていきます。1分で取れるのは、上のほうに浮いている毛です。根元まで沈んだ毛を出すには、同じ1分では届きません。

だから、日数が空くほど「1分で取れる量」と「体に残っている量」の差が開きます。7日空けた日の1分は、たしかに手元に多くの毛が集まります。けれど、そのとき同時に、根元へ沈んだ毛は残ったままです。手元の量が増えたことと、体から出せたことは、同じではありません。

前回からの日数で、毛がどこにあるか
前回からの日数抜けた毛がある場所1分で届く範囲
1日ほとんどが毛先から中ほどほぼ全部に届く
2〜3日中ほどまで下りている大部分に届く
7日根元に入り込んだ分がある上のほうまで
それ以上根元で絡み、毛先どうしがつながる表面だけ

毛先どうしがつながると、次の段階に入ります。もつれです。もつれは、抜けた毛が抜けていない毛に絡んで、束になった状態です。ここまで来ると、1分では取れません。ほどく作業はブラッシングとは別の仕事で、時間も、その子の我慢も、桁が変わります。1分で取れる量の話をしているうちは、まだもつれの手前にいる、ということでもあります。

季節も効きます。換毛期には、抜ける量そのものが増えます。同じ1分でも手元に集まる量は増え、同時に、体に残る量も増えます。換毛期に「たくさん取れた」と感じるのは、腕が上がったからではなく、供給が増えているからです。ここでも、手元の量だけを見ていると読み違えます。

空気が乾く時期は、静電気の側から効いてきます。毛が反発して広がると、抜けた毛が被毛の中に引っかかりやすくなります。うるおいが保たれている時期に比べて、同じ日数でも根元へ沈むまでが早い、という感じ方になることがあります。冬にブラッシングの手ごたえが変わるのは、この時期の条件です。

自分の家ではどっちを選ぶか|ブラッシングの時期と、家の条件から決める

ここまでの比較を、選び方に落とします。選ぶのは「1回の長さ」ではありません。前回からの日数のほうです。1分は固定したまま、あいだの日数だけを動かします。こうすると、比べる基準が毎回そろうので、先週より多いのか少ないのかが自分で判断できるようになります。

家の条件ごとに、どっちの配り方が向くか
家の条件・時期向いている配り方そう言える理由
換毛期に入っている時期1分を毎日抜ける量そのものが増えるので、間隔を詰めないと体に残ります
空気が乾いている時期1分を毎日静電気で毛が広がり、抜けた毛が根元へ入りやすくなります
換毛期の外の時期1分を2〜3日おき1回の長さは変えず、あいだの日数だけを動かします
被毛が長く、もつれやすい1分を毎日7日空けると、もつれてから触ることになります
触られるのを嫌がる子1分を毎日1回が短いので、その子の側から終わりが見えます
平日に時間が取れない1分を平日、週末も1分合計を増やすより、7日空けないことを優先します

表のどの行でも、1回は1分のままです。増やしているのは回数でも合計時間でもなく、あいだを詰めることだけです。「毎日やらないといけないのか」という問いには、この記事の測り方では答えません。答えるのは「前回から何日空いているか」のほうです。日数が分かれば、次にやる日が決まります。

毛先と根元の扱いも、1分の中で分けておくと迷いません。最初の30秒で毛先を軽くとかし、残りの30秒で根元から毛の流れに沿ってかける。先に毛先をほどいておかないと、根元からかけたときに毛が引っぱられます。1分という短さは、この順番を守るのにちょうど足ります。

空気が乾いている時期は、ブラッシングの前に被毛を少し湿らせておくと、1分の中身が変わります。mofuwa グルーミングスプレーを布に含ませ、毛の流れに沿って一往復させてから、ブラシを入れます。湯を使わないので、乾かす作業が増えません。1分という単位を崩さずに、静電気で毛が広がっている状態だけを整えられます。湿らせる場所で2本を分けます。毛の表面はmofuwa グルーミングスプレー、毛を分けた下の地肌はmofuwa スキンケアミストです。地肌が乾いて見える区画があるときは、スキンケアミストを指先にとってその地肌へなじませ、そこから1分を始めます。2本とも湯を使わないので、ブラッシングの前の手順として、そのまま毎日に置けます。

Point動かすのは日数、固定するのは1分

ブラッシングの条件を毎週決め直そうとすると、続きません。1回1分を固定して、前回からの日数だけを季節に合わせて動かす。換毛期と乾いた時期は詰め、それ以外は少し空ける。決めるものが1つになると、家族のあいだでも引き継げます。

1分という測り方が使えなくなるとき|ブラッシングの量の話から外れる変化

最後に、この測り方の外側を書きます。1分で取れる量を前の週と比べられるのは、抜け方が全体で均一なあいだだけです。体の一部だけで様子が違うときは、量の話ではなくなります。ブラッシングの条件をどう変えても、そこは動きません。

家でできるのは、記録することまでです。1分という単位を固定していると、記録がそのまま比較になります。「今週は先週より明らかに多い」「先週から片側だけ手ごたえが違う」という言い方は、量を数えていなくても伝わります。日付と、前回からの日数と、気づいたことを3行書いておけば足ります。

Caution片側だけ違う日は、1分の記録を持って動物病院へ

地肌が見える場所が広がる、赤みが引かない、同じ場所をなめ続けている、痛がって触らせない、においが急に変わった、元気や食欲が落ちている。こうした変化があるときは、ブラッシングの回数や道具を変える前に動物病院にご相談ください。抜け毛の量からは、その理由までは分かりません。相談に行くときは、いつから、体のどこで、前回のブラッシングから何日空いていたかを書き出して持っていくと、その場で切り分けてもらえます。

ブラッシング1分で取れる量という話を、最初から最後まで「前回からの日数」で書いてきました。覚えて帰っていただきたいのは、1分という数字そのものではなく、比べる条件をそろえてから量を見る、という順番のほうです。同じ1分を、同じブラシで、同じ順番でかける。そのうえで日数だけを動かすと、量は自分の家の数字になります。

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よくある質問

ブラッシング1分で取れる抜け毛は、何グラムくらいですか
1つの数字にはできません。ブラシに残った毛だけを数えるのか、床に落ちた分まで含めるのかで桁が変わりますし、季節・被毛の長さ・体格・前回からの日数でも大きく動きます。この記事で「1分で約◯グラム」と書かないのは、その数字を家で再現できないからです。使えるのは、同じ子・同じブラシ・同じ1分で、先週と今週を比べたときの差のほうです。
毎日1分と週1回7分では、どっちが正しいのですか
比べる単位で答えが変わります。1回あたりに手元へ集まる量なら、週1回7分のほうが多くなります。週の合計で見て、体に残る量が少ない側を選ぶなら、毎日1分のほうです。どちらが正しいという話ではなく、合計時間ではなく前回からの日数が量を決めている、というのがこの比較の結論になります。
換毛期は、1分を長くしたほうがいいですか
この記事の測り方では、1回の長さは1分のままにします。長さを変えると、先週と今週を比べる基準そのものが動いてしまうからです。換毛期に動かすのは、前回からの日数のほうです。1分を保ったまま間隔を詰めると、量が増えている時期でも、同じものさしで変化を追えます。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。