C12Q&A・豆知識

シャンプー1回にかかる平均時間

公開日 2022年1月28日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、やわらかい敷きものの上に落ち着いて伏せている淡い色の犬
1回の合計だけを見ていると、いちばん長い工程が数字の中に隠れたままになります。写真:https://kaboompics.com//Pexels

シャンプーを始めてから、その子が自分で歩いていくまでを、一度だけストップウォッチで計ってみてください。合計60分だった家で、ドライヤーを握っていた時間は35分でした。1回にかかる平均時間を調べると、30分台から1時間半ほどまで、ずいぶん幅のある数字が並びます。その幅は、どこからどこまでを1回と数えるかで動くので、1つの数字には固まりません。この記事で開くのは、よその家との差ではなく、同じ1回の中の内訳のほうです。洗い始めてからすすぎ終わるまでと、そこから地肌が乾くまで。平均◯分という数字の大半を占めているのは、後ろ側です。だから短くしたいときに手を入れる場所も、泡と手つきの側ではなく、乾かす側の配分になります。7つの問いに答えながら、自分の家の1回を4つに区切って測れる形にしていきます。

シャンプー1回にかかる平均時間は、結局どれくらいですか

答えから書きます。家庭でシャンプーをして、地肌が乾くまでを含めて計ると、合計はおよそ30分台から1時間半ほどの幅で語られます。ただ、この幅をそのまま持ち帰っても、たぶん役には立ちません。理由は単純で、どこからどこまでを1回と数えるかが、家ごとに違うからです。浴室に連れていくところから数える人もいれば、お湯をかけた瞬間から数える人もいます。ドライヤーを置いた時点で終わりにする人もいれば、耳のうしろに指を入れて確かめるまでを1回と呼ぶ人もいます。数え方が違えば、平均時間は同じ家でも20分ずれます。

そこで、この記事では数字の使い方を変えます。合計をよその家と比べるのではなく、同じ1回の中の前半と後半を比べます。前半は、濡らしてから、すすぎ終わるまで。後半は、水を取ってから、地肌が乾くまで。この2つを並べると、多くの家で後半のほうが長くなります。半分を超えることが多く、被毛の量によっては全体の3分の2ほどを占めることもあります。

つまり「シャンプーに1時間かかる」と言うとき、その1時間の中身は、洗っている時間ではありません。大半は、乾かしている時間です。ここが分かると、短くしたいときに手を入れる場所が変わります。手を速く動かす練習をしても、いちばん長い工程には触れていないので、合計はほとんど動きません。

Noteこの記事の数字は、統計ではなく数え方の話です

シャンプー1回にかかる平均時間として出回っている数字には、測り方の条件がほとんど付いていません。体格も、被毛の量も、浴室の広さも、乾かす道具も違う家を、ひとつの平均にまとめた数字です。そこから自分の家の予定を決めることはできません。この記事で扱うのは、統計としての平均ではなく、自分の家で一度だけ計れば手に入る内訳のほうです。分母が1でも、内訳なら意味があります。

なぜ、シャンプーの時間の話は洗う工程ばかりになるのですか

理由は、終わりを決めているのが誰か、という違いにあります。洗う工程には手順があります。濡らす、泡立てる、洗う、すすぐ。順番が決まっていて、最後の工程が終われば終わりです。終わりの合図が外側にあるので、時間が見えます。だから語りやすく、比べやすい。

乾かす工程には、その合図がありません。「乾いた」と決めているのは、触った人の感覚です。指を入れて冷たくなければ終わり、と決めている人もいれば、毛の表面がふわりと立ったら終わり、と決めている人もいます。どこで手を止めるかが人によって違うので、そもそも同じものを測っていません。測れないものは語られず、語られないものは短くする対象にもなりません。

工程ごとに、終わりを決めているのが誰か
工程終わりの合図時間が伸びる理由
連れていく・準備道具がそろった時点道具を探す時間が毎回ちがう
濡らす全身が濡れた時点地肌まで届いたかを確かめないと、あとで泡が立たない
洗う・泡立てる手順が一巡した時点部位の数だけ手が止まる
すすぐぬめりが消えた時点触って確かめるので、人によって長さが変わる
水を取る布に水が移らなくなった時点布の枚数が足りないと、途中で止まる
乾かす触った人が決める終わりの基準が家ごとに違う。ここがいちばん伸びる

表の下の2行だけ、終わりの合図が体の側にあります。ここが、シャンプーの時間のうちで数字になりにくい部分です。そして数字になりにくい部分が、実際にはいちばん長い。合計を短くしたいという疑問に答えるには、まずここを測れる形に直す必要があります。

1回のシャンプーの時間を、家で4つに区切って測る手順を知りたい

計るのは1回だけで足ります。毎回ストップウォッチを持つ必要はありません。1回の内訳が分かれば、そのあとは記憶で運用できます。区切りは4つにします。細かく分けると、記録することが目的になってしまうので、4つで止めておくのがちょうどいい粒度です。

  1. 準備と後片づけ|道具を出してから、しまうまで

    布を出す、ドライヤーを出す、床に敷きものを置く、終わったあと片づける。この時間は毎回ほぼ同じ長さになります。短くしたいなら道具の置き場所の話で、シャンプーの手順とは別の問題です。

  2. 洗う|お湯をかけてから、すすぎ終わるまで

    濡らす、泡立てる、洗う、すすぐをひとまとめにします。分けても構いませんが、家で測るなら一括のほうが続きます。ここが、多くの人が「シャンプーの時間」と呼んでいる部分です。

  3. 水を取る|布を当てはじめてから、水が移らなくなるまで

    タオルなどの布で水を受け取る工程です。単独で計ると、思ったより短く終わることに気づきます。短いのに、この先の長さを左右します。

  4. 乾かす|ドライヤーを持ってから、置くまで

    途中で止めた時間も含めて計ります。中断を除くと、あとで合計が合わなくなります。実際にかかった時間を知りたいので、止まっていた時間も1回のうちに数えてください。

計り終えたら、4つの数字を並べます。合計60分だった家の例を挙げると、準備と後片づけが5分、洗うのが15分、水を取るのが5分、乾かすのが35分でした。洗う側が15分、乾かす側が合わせて40分です。この2つの差が、この記事でいちばん見てほしいところです。

合計60分だった家の、1回の内訳 シャンプー1回を4つに区切って計った例。準備と後片づけ5分、洗う15分、水を取る5分、乾かす35分で合計60分。 準備と後片づけ 5分 洗う(濡らす〜すすぎ) 15分 水を取る 5分 乾かす 35分
合計60分だった家の一例です。配分は家ごとに動きます。

図の数字はあくまで一例です。大切なのは35分という数字ではなく、いちばん長い帯がどこにあるかのほうです。自分の家で計ったとき、いちばん長い帯が別の場所に来たなら、そちらが手を入れる場所になります。

洗う手順を速くすれば、シャンプーの時間は短くなりますか

答えは、ほとんど変わりません、です。先ほどの例で、洗う15分を2割速くしても、縮むのは3分です。同じ2割を乾かす35分から削れば7分になります。手をどれだけ速く動かしても、触っている工程が全体の4分の1しかないなら、合計はそこまでしか動きません。算数の問題として、先に長い側を見るほうが早い、というだけの話です。

しかも、洗う側を速くしようとすると、たいてい削るのはすすぎです。ここには落とし穴があります。すすぎを切り上げても、体に含まれている水の量は減りません。被毛はもう濡れているので、乾かす時間は同じだけかかります。減るのは、流しきれなかったものだけです。手早く洗えばシャンプーの時間は半分になりますという言い方が成り立たないのは、時間の大半が別の工程にあるからです。

同じ2割を、どの工程から削るか
削る場所元の長さ2割削ると起きること
洗う工程15分3分短くなるすすぎが浅くなり、流しきれない部分が残ることがある
水を取る工程5分1分短くなる布に残した水のぶん、乾かす工程が伸びる
乾かす工程35分7分短くなる地肌の途中で止めると、根元が湿ったまま残る
準備と後片づけ5分1分短くなる道具の置き場所を変えれば、毎回同じだけ短くなる

表を見ると、乾かす工程を削るのがいちばん効きます。ただ、途中で止めれば根元が湿ったまま残るので、単純に短くしていいものでもありません。そこで見る先が「削る」から「配分を変える」に移ります。次の問いは、乾かす側の40分のどこに時間が寄っているか、です。

乾かす側の時間は、どの段階に寄っているのですか

乾かす工程は、進み方が一定ではありません。3つの段階に分かれます。水が滴っている段階、湿っている段階、地肌が乾くまでの段階です。この3つは、同じ5分でも減っていく水の量がまるで違います。最初の段階では、手で軽く押しただけでも水が動きます。最後の段階では、風を当て続けても、目に見える変化がほとんど起きません。

ここから配分の話になります。最初の段階は、風でなくてもできます。布を当てて押せば、同じ水が移ります。タオルなどの布で受け取れる水をドライヤーで飛ばそうとすると、いちばん効率のいい段階を機械に任せていることになります。布の枚数を1枚増やすだけで、ドライヤーを握っている時間が変わります。1枚目で表面の水を受け取り、2枚目で残りを受け取る。この2枚目が、実は多くの家で省かれています。

布を当てるときは、こすらずに押し当てます。こすると毛が絡み、そのほどく時間が乾かす工程に足されます。押して、離して、位置を変える。この動きだけで、水を取る工程は5分のまま、渡せる水の量が増えます。乾かす側の合計が短くなるのは、そのぶんです。

Point配分を変えるだけなら、手順は増えません

シャンプーの手順に新しい工程を足すと、たいてい続きません。ここで提案しているのは、工程を足すことではなく、すでにある工程のあいだで仕事を移すことです。布に渡す水を増やし、ドライヤーに渡す水を減らす。合計の時間は、その移し替えのぶんだけ短くなります。道具も買い足しません。

音を嫌がって途中で止まるのは大丈夫なのか、という疑問

止まること自体は、よくあることです。そして、シャンプーの時間の中でいちばん大きく振れる変数が、この中断です。1回の中断で、体勢を立て直して再開するまでに1〜2分かかります。5回入れば10分近くになります。先ほどの例では、乾かす35分のうち何分が中断だったのかを分けていません。分けてみると、思っていたより多いことがあります。

中断のきっかけは、風そのものより音であることが多いとされます。だから、風量を下げても止まる回数が減らないことがあります。ここで確かめたいのは、音が鳴った瞬間に離れるのか、風が当たった瞬間に離れるのか、どちらなのかです。前者なら、ドライヤーを持つ前にスイッチを入れて、少し離れた場所で回してから近づく、という順番に変えられます。

中断の数え方と、次に変えるところ
中断のきっかけ見分け方次の1回で変えること
音スイッチを入れた瞬間に離れる離れた場所で先に回してから近づく
風当たった部位から逃げる当てる向きを、顔から遠い側へ変える
立たされ続けること時間が経ってから座り込む途中で1回、伏せさせて休む
足元が滑ること同じ場所で足を踏みかえる滑らない敷きものを1枚足す
終わりが見えないこと後半になるほど動きが増える部位の順番を毎回そろえる

順番をそろえる、というのは地味ですが効きます。毎回同じ順番で進めると、その子の側に見通しができます。後ろ足から始めて背中、胸、最後に顔まわり、というように決めておくと、後半の動きが減ります。動きが減れば中断が減り、中断が減ればシャンプーの時間が短くなります。手を速くするより、この経路のほうが確実です。

洗う日と洗う日のあいだに手を入れると、1回あたりの配分はどう変わりますか

ここまでは1回の中身の話でした。もう1つ、別の軸があります。1回を短くすることと、1回の重さを軽くすることは別です。前回から日が空くほど、被毛に乗っているものは増えます。増えれば泡立てる回数が増え、すすぐ時間も伸び、結果として洗う工程が長くなります。間隔の側から見ると、シャンプーの時間は前回の日から決まっている部分があります。

そこで、洗う日と洗う日のあいだに手を入れます。mofuwa グルーミングスプレーは、毎日きれいにしておきたいという側からつくられたケアスプレーです。犬も猫も体から脂を出すので、昨日整えた背中は今日また汚れます。散歩から帰ったら、布に含ませて足の裏と腹側を一往復させる。すすぎも乾かす工程もないので、玄関で終わって1分です。舐めても差し支えない基準(清涼飲料水の規格基準)をクリアした水なので、その場で足を舐めはじめても、乾くまで押さえておく必要がありません。

地肌の側が気になる日には、mofuwa スキンケアミストを直接なじませます。グルーミングスプレーが被毛の側、スキンケアミストが地肌の側です。洗う日にやっていることを、あいだの日は場所を選んで小さくやる、という分け方になります。この2つで毎日の手が済んでいると、次のシャンプーで泡立て直す回数が減り、すすぎに要る時間も一緒に縮みます。間隔の側から合計を動かすのは、この経路です。

あいだの日に手を入れておくと、次のシャンプーで洗う工程が短くなります。乾かす側の配分を変えるのが1回の中の話なら、あいだの日に手を入れるのは1回の外側の話です。この2つは同時に効きます。片方だけでも合計は動きますが、両方そろうと、同じ手順のまま10分単位で変わることがあります。

7つの答えを、1回の内訳に並べ直す|最後に残る疑問はどこか

最後に、ここまでの答えを内訳の側から並べ直します。シャンプー1回にかかる平均時間という問いは、合計を知りたい問いに見えて、実際には「どこが長いのか」を知りたい問いです。合計の数字はよその家と比べるためのものですが、内訳の数字は自分の家を動かすためのものです。

1回の内訳と、そこで動かせること
工程例の長さ動かせること動かせないこと
準備と後片づけ5分道具の置き場所を決める道具の数そのもの
洗う15分前日にもつれをほどいておくすすぎに必要な時間
水を取る5分布を2枚に分けて押し当てる被毛が含める水の量
乾かす35分最初の段階を布に渡す地肌が乾くまでの最後の段階
中断上の中に含む音か風かを見分けて順番を変えるその日の機嫌
次の1回までの間隔記録して比べるあいだの日に布で拭く手を入れる季節と生活の都合

この表を1回だけ埋めれば、シャンプーの時間について自分の家の数字が手に入ります。平均時間を調べ続けるより、1回計るほうが早い、というのがこの記事の結論です。そして計ったあとに動かす場所は、たいてい乾かす側にあります。洗う手順を練習するのは、そのあとで構いません。

最後に残りやすい疑問は、「短くしていいのか」というところだと思います。短くしていいのは工程の配分で、地肌が乾くまでの段階ではありません。根元が湿ったまま終わると、その日の夜から翌日にかけて、においやかゆがる動きが出やすくなります。時間を削る話をしているときほど、最後の段階だけは削らないでください。

Caution洗う回数やシャンプーの時間を変える前に、動物病院にご相談いただきたいとき

配分を工夫しても、地肌が赤い、フケが続けて出る、同じ場所をなめ続ける、洗った翌日ににおいが戻る、耳を振る回数が増えた、触ると嫌がる場所がある。こうした変化があるときは、洗い方や手順を変える前に動物病院にご相談ください。洗う回数を増やしても、シャンプーの時間を延ばしても、体の側で起きていることは変わりません。前回いつ洗ったか、1回にどれくらいかけているか、乾かし終わりをどう判断しているかをメモして持っていくと、その場で切り分けてもらえます。

最後に一行だけ。平均時間を探すのをやめて、次の1回だけ4つに区切って計ってください。そこで出てくる35分と15分の差が、この記事で言いたかったことです。計り終えたら、あいだの日はグルーミングスプレーを一往復させて、次の1回を待つだけで足ります。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。