C12Q&A・豆知識

肉球にクリームを塗ったあと舐めても平気?

公開日 2022年2月4日|文=mofuwa編集部

明るく清潔な部屋で、前足を前に伸ばして落ち着いて伏せている淡い色の犬
塗ったものが舐め取られるまでの数十秒に、この問いの答えのほとんどが入っています。写真:3194556/Pixabay

肉球クリームを塗り終えて手を離したら、その子は3秒後に足を口へ持っていきました。塗ったそばから舐められると、いま塗ったものに意味があったのかどうか分からなくなります。舐める行為そのものを止めるのは、現実的ではありません。ペット用として肉球に使うと表示されている製品なら、ごく少量が口に入ることは想定されていることが多いとされます。ただ、それは量も頻度も問わないという意味ではありません。だから確かめる先を1つ増やします。「舐めても問題ない処方か」だけでなく、「舐めるまでに、どれだけ入るか」です。この記事では、表示のどこを見るか、塗ってから舐めるまでの時間をどう稼ぐかを、7つの問いに分けて書きます。

肉球クリームを塗ったあとに舐めるのは、平気なのでしょうか

条件で割って答えます。ペット用として売られていて、肉球に使うと表示されている製品であれば、表示どおりの使い方の範囲でごく少量が口に入ることは、あらかじめ想定されていることが多いとされます。一方で、人が自分の手に塗るために作られたものは、舐めることを前提にした用途表示になっていません。前提が違うので、同じ「クリーム」という言葉でも、同じようには扱えません。

ここで気をつけたいのは、想定されているというのはいくら舐めても安全ですという意味ではない、ということです。想定にはたいてい量の前提が付いています。指先に取った少量が、皮膚に伸びて、その一部が口に入る。想定されているのはその範囲です。厚く塗って表面に残り、それを全部舐め取る使い方は、その範囲の外に出ます。だから、処方の話だけで終わらせずに、量と時間の話をする必要があります。

そして、もう一つ。舐めるのをやめさせる方向で解こうとすると、この問いはたいてい解けません。肉球は、その子が日常的に自分で舐めている場所です。塗ったあとだけ止めるというのは、押さえるか、離れた場所へ連れていくか、口を覆うかのどれかになります。どれも、毎日は続きません。止められないものを前提に置いたほうが、答えが実行できる形になります。

Noteこの記事が扱う範囲と、扱わない範囲

ここで書けるのは、表示の読み方と、塗り方の組み立てまでです。特定の製品について舐めてよいかどうかを判断することはできませんし、その子の体調によって話が変わる部分は、この記事では決められません。肉球が割れている、出血している、なめ続けて止まらない、といった状態のときは、塗るかどうかを含めて動物病院にご相談ください。塗るものを選ぶ前に、そこが先です。

なぜ、塗るとすぐ舐めるのですか|肉球という場所の事情

肉球は、もともと自分で手入れをしている場所です。散歩のあと、寝る前、じっとしているとき。塗っていない日でも、その子は足を口へ持っていきます。そこへ、においと感触が変わるものが乗れば、確認しにいくのは自然な流れです。異常な行動ではありません。塗った直後に舐めるのは、変化に気づいた合図だと考えたほうが正確です。

塗ったあとに舐めるきっかけと、そこから読めること
きっかけその子の側で起きていること変えられるところ
においが変わった鼻で気づいて、口で確かめにいく香りの少ないタイプを選ぶ
表面がべたついている塗った量が、皮膚に入る量を超えている一度に塗る量を減らす
ひんやりする塗った直後の温度差に反応している手のひらで温めてから塗る
人の手が足に触れた足を触られたこと自体が合図になっている触る場所を毎回そろえる
散歩のあとの習慣地面を歩いたあとは、もともと舐める帰宅後の順番を決めておく
ほかにやることがない手持ちぶさたが、舐める回数を増やす塗った直後に短い用事を作る

表の右の列は、どれも「舐めるのを止める」ではありません。舐めるきっかけを1つずつ外していく、という向きです。止めるのではなく減らす、という言い方のほうが近い。そして減らした結果として、塗ったものが皮膚の側にとどまる時間が延びます。この記事で稼ぎたいのは、その時間です。

舐めても問題ないかどうかは、表示のどこを見れば分かりますか

見るのは3か所です。ペット用として売られているか、使う場所が書かれているか、舐める可能性について何か書かれているか。この3つがそろっていれば、少なくとも作り手が舐める前提を考えたうえで出している、ということは分かります。そろっていないときは、分からない、というのが正しい答えになります。

逆に、判断の材料にならないものもあります。「天然由来だから」「食べものにも使われている成分だから」というのは、それだけでは決まりません。同じ成分でも、濃度と使う量と使う場所が変われば、体に入る量が変わるからです。食べるために口に入れる量と、皮膚に塗ったものが舐め取られる量は、そもそも別の話をしています。成分名の由来ではなく、その製品が、どの使い方を前提にして作られたかを見てください。

人用のハンドクリームについても、同じ枠で考えられます。危ないから使わない、という言い方ではありません。人が自分の手に塗って、そのまま舐め取ることを前提にした用途表示になっていない、という条件の話です。前提が書かれていないものは、舐めるかどうかの判断材料も書かれていない、ということになります。肉球クリームを選ぶときに見るのは、そこです。

塗ってから舐めるまで、何秒あるのかを知りたい

一度だけ、時計を見ながら塗ってみてください。多くの場合、数秒から1分ほどです。手を離した瞬間に口へ持っていく子もいますし、しばらく座ってから思い出したように舐める子もいます。この時間を測ると、肉球クリームの話が急に具体的になります。「なじむまで待ってから離す」という説明が、実際には成り立たないことが分かるからです。

測り方は単純です。4本の足に塗り終えて手を離した瞬間から、最初に舐めるまでの秒数を数えるだけ。1回で足ります。毎回計る必要はありません。秒数が分かると、そのあとに打てる手が決まります。3秒なら、塗ったあとに何かを挟まないと、ほぼ全部が舐め取られます。40秒あるなら、その40秒をどう使うかという話になります。

舐めるまでの秒数と、そこから決まること
舐めるまで起きていること次に打つ手
3秒以内手を離した動きが合図になっている離す前に立たせて、そのまま歩かせる
10秒前後においで気づいて確かめにきている量を減らして、においの残る面を小さくする
30秒前後表面のべたつきが残っている塗ったあと、乾いた布で軽く押さえる
1分以上皮膚の側に入る時間が取れているいまの塗り方を変えなくてよい
舐めない量が少ないか、気づいていないそのまま。増やす理由はありません
何度も舐める塗ったこと以外の理由があることも回数と場所を記録して、動物病院で相談

ここまでで、問いの形が変わったはずです。「舐めても平気か」から、「舐めるまでに、どれだけ入るか」へ。処方の側だけを調べていると、この時間はいつまでも0秒のままです。時間を稼ぐ手は、製品ではなく塗り方の側にあります。

舐めるまでに入る量を増やす3つ|少量・なじませる時間・すぐ歩かせる

打てる手は3つです。一度に塗る量を減らす、塗ったあとの数十秒を作る、塗ったらすぐ歩かせる。どれも道具を増やしません。順番に書きます。

  1. 少量ずつ、2回に分けて塗る

    一度に厚く塗ると、皮膚に入りきらないぶんが表面に残ります。表面に残ったものは、そのまま舐め取られます。指の腹に米粒ほどを取って、肉球の中央に置き、指で伸ばす。足りないと感じたら、もう一度だけ足す。1回で決めようとしないほうが、結果として残る量が増えます。

  2. 塗ったあとの数十秒を、何もしない時間にしない

    手を離した直後がいちばん舐めやすい時間帯です。ここに短い用事を挟みます。声をかける、体をなでる、抱えたまま窓の外を見る。口が足に届かない姿勢を、30秒だけ作るのが目的です。しつけの話ではなく、姿勢の話として組み立ててください。

  3. 塗ったらすぐ歩かせる

    4本の足で立って歩いているあいだ、口は足に届きません。廊下を1往復させるだけで、30秒から1分が稼げます。塗ってから座らせる、という順番をやめるだけで、入る量が変わります。散歩から帰った直後なら、玄関で塗って、そのまま部屋まで歩かせる形にできます。

  4. べたつきが残ったら、乾いた布で押さえる

    拭き取りは失敗の後始末ではなく、手順の一部です。表面に浮いているぶんを軽く押さえて取ると、舐める理由が1つ減ります。こすらずに、押し当てて離す。これで皮膚に入ったぶんは残り、表面のぶんだけが布に移ります。

3つを合わせると、舐めるまでの時間が数秒から1分前後まで延びることがあります。肉球クリームで大事なのは、塗った総量ではなく、皮膚の側に残った量です。たくさん塗ってたくさん舐め取られるより、少なく塗って全部が残るほうが、うるおいを目的にした成分の届き方としては素直です。

爪の際と指のあいだは、塗る範囲に入れますか

入れないほうが、結果として楽になります。爪の際は、塗ったものが溜まりやすく、しかも舐めやすい場所です。指のあいだも、毛があるぶん皮膚まで届きにくく、表面に残りやすい。どちらも、塗った量に対して残る量が少なく、舐め取られる割合が高くなります。範囲を広げるほど、使う量が増えて、口に入る量も増えるという関係になります。

範囲を絞ると、1回に使う量が半分ほどになることがあります。量が減れば、舐め取られる量も減ります。肉球クリームを「全部の面に行き渡らせるもの」と考えると量が増えますが、「地面に当たる面に置くもの」と考えると量は減ります。散歩で地面と当たっているのは、中央と縁です。

Point爪を触るのは、別の日にする

塗るついでに爪の長さを見ようとすると、足を触られている時間が長くなって、そのぶん舐める回数も増えます。塗る日と、爪を見る日は分けてください。爪の長さは、床を歩く音でも分かります。塗る作業は30秒で終わらせて、足を早く解放するほうが、次の日もやらせてもらえます。

散歩のあと、塗る前の拭き取りで入り方は変わりますか

変わります。散歩から帰った肉球には、地面のものが乗っています。砂、ほこり、細かい土。その上から塗ると、うるおいを目的にした成分より先に、地面のものが皮膚との間に挟まります。塗った手ごたえはあるのに、翌日には手ざわりが戻っている、というときは、ここが原因のことがあります。

順番は、拭き取りが先です。ここまで見てきたとおり、肉球はその子の口がいちばん早く届く場所なので、塗る前に当てるものも、口に入ることを先に考えて選ぶことになります。mofuwa スキンケアミストは電解水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。布に含ませて肉球の中央に押し当て、指のあいだを軽くはさむ。手を離して3秒で足を口へ持っていく子でも、当てているものが舐めても問題のない基準でつくられていれば、途中で舐められたところで手を止めずに済みます。表面が乾くまで20秒待って、そこで初めて肉球クリームを置いてください。拭き取りと塗ることのあいだにあるこの20秒が、この記事でいちばん時間を稼げる場所です。

帰宅後の1分を、どの順番で使うか
順番やることこの順にする理由
1布に含ませて、肉球の中央を押し当てる地面のものを先に外す
2指のあいだを、布ではさんで押さえる水分が残ると、そのあと塗っても伸びない
3表面が乾くまで、20秒ほど待つ濡れたまま塗ると、表面で滑って入らない
4肉球クリームを、中央に少量置いて伸ばす面の広いところから始めると量が読める
5そのまま立たせて、廊下を1往復舐めるまでの時間をここで稼ぐ
6べたつきが残っていたら、乾いた布で押さえる表面のぶんだけを取る

この6つで、かかるのは1分ほどです。塗ることより、塗る前と塗ったあとのほうが手数が多い、という形になります。肉球クリームの話が「どれを選ぶか」に寄りやすいのは、選ぶことなら買う前に決められるからです。実際に効いてくるのは、選んだあとの1分のほうです。

7つの答えを、舐める前提のまま組み直す|最後に残る判断はどこか

最後に、ここまでを並べ直します。この記事は、舐めるのをやめさせる方法を1つも書いていません。止められない前提に立つと、打てる手は「塗るものを選ぶ」「量を減らす」「時間を稼ぐ」「範囲を絞る」の4つに整理されます。どれも今日からできて、どれも道具を増やしません。

舐めるまでの時間を延ばすものと、縮めるもの
やること舐めるまでの時間
延ばす一度に塗る量を米粒ほどにする表面に残らないぶん、気づかれにくい
延ばす塗ったあと、そのまま歩かせる口が足に届かない姿勢を作れる
延ばす塗る範囲を中央と縁に絞る爪の際に溜まらない
延ばす塗る前に拭き取りをして、乾かす皮膚の側に入りやすくなる
縮める厚く塗って、そのまま座らせる表面のぶんが、すぐ舐め取られる
縮める爪の際まで広く塗る溜まった場所から先に舐める
縮める濡れたままの足に塗る表面で滑って、入らずに残る

残る判断は1つだけです。その製品が、舐める可能性を前提にして作られたかどうか。これは家では確かめられません。表示を読むか、作り手に聞くしかありません。だから、迷ったときに問い合わせ先が書かれているかどうかも、選ぶときの材料になります。分からないものを、分からないまま毎日塗り続けるのが、いちばん判断のしようがない状態です。

Caution塗る前に、動物病院にご相談いただきたいとき

肉球に割れ目がある、出血している、赤くなっている、同じ足を舐め続けて止まらない、においが出てきた、歩き方が変わった、爪の周りが腫れている。こうした状態のときは、肉球クリームを塗るかどうかを含めて、先に動物病院にご相談ください。塗ることで表面が覆われると、状態の変化が見えにくくなることがあります。いつから、どちらの足で、1日に何回舐めるかをメモして持っていくと、その場で切り分けてもらえます。散歩の路面が変わった時期も、あわせて伝えてください。

そして、肉球クリームを塗る話と、肉球の状態を見る話は別に持っておいてください。塗って落ち着くものと、塗っても変わらないものがあります。塗り方を工夫しても手ざわりが戻らないときは、塗るものを替えるより先に、見てもらうほうが早く終わります。

最後に、続けることを1つだけ決めておきます。塗ったあとの秒数を、季節が変わるたびに1回だけ測り直してください。夏に3秒だった子が、冬には30秒待てるようになっていることがあります。逆に、これまで舐めなかった子が急に舐めるようになったら、それは塗り方ではなく足の側が変わった合図です。この1回は、うまく塗るための練習ではなく、その子の足が去年と同じかどうかを、年に4回だけ数字で確かめるための時間です。肉球クリームを塗る手は、そのついでに毎日続いていきます。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。