C12Q&A・豆知識
選択的乳化とは?落とすものを選ぶ考え方
選択的乳化という言葉は、皮膚の上に乗っている脂を「落としたいもの」と「残しておきたいもの」に分けるところから始まります。選択的乳化とは、乳化する相手を選ぶ、という考え方です。ふつうの乳化は、相手を決めていません。油という括りでつかまえて、まとめて水の側へ運びます。犬や猫の皮膚の上には、においとべたつきの元になる脂と、そこに残っていてほしい脂が同居しているので、まとめて運ぶと両方が一緒に出ていきます。この記事では、選択的乳化とはどこに線を引こうとしている設計なのか、その線がどこまで確かめられていて、どこから先は言えないのかを、順番に開いていきます。
選択的乳化とは何ですか|乳化する相手を選ぶ、という考え方のこと
定義から書きます。選択的乳化とは、乳化する相手を選ぶ、という考え方です。乳化そのものは、混ざらない油を細かく散らして水の中に留めておくはたらきのことを指します。選択的乳化は、そのはたらきの前に条件を1つ足したものです。どの油を運び、どの油を置いていくか、という条件です。
「とは」と聞かれたときに困るのは、これが物質の名前ではないところです。選択的乳化は、成分表に載る名前ではなく、設計の方向を指す言葉です。だから、ある製品が選択的乳化を採っているかどうかは、成分名を1つ探しても分かりません。どの脂を落とし、どの脂を残すことを狙って組み立てられているか、という説明のほうを読むことになります。
なぜそんな考え方が出てくるのか。皮膚の上の脂が、1種類ではないからです。においとべたつきの元になっている脂も、皮膚の表面をまとめている脂も、どちらも同じ「油」です。化学的には近い仲間なので、油という括りでつかまえると、両方が同じ扱いになります。選択的乳化とは、その括りの中に線を引こうとする試みだ、という言い方ができます。
乳化=混ざらない油を細かくして水に運ぶこと。選択的乳化=その運ぶ相手を選ぼうとする考え方。前者はしくみの名前で、後者は設計の名前です。ここを混ぜると、「選択的乳化という成分が入っている」という読み方になってしまいます。入っているかどうかではなく、どう組んであるか、という話になります。
皮膚の上には、どんな脂が乗っているのですか|落としたい脂と、残したい脂
線を引く相手を先に見ておきます。犬や猫の皮膚と被毛の上には、皮脂腺から出た脂と、皮膚そのものの構造をつくっている脂が、隣り合って存在しています。手ざわりの上ではどちらも「脂っぽさ」としか感じられませんが、役割はまったく違います。
| 名前 | どこから来るか | この考え方での扱い |
|---|---|---|
| オレイン酸 | 皮脂に多く含まれる脂肪酸のひとつとされる | 時間が経つと変化しやすい側。落としたい相手 |
| セラミド | 角質細胞のすきまを埋めている脂質とされる | 皮膚の側がつくっているもの。残したい相手 |
| スクワラン | 皮脂に含まれるスクワレンを安定させた油 | なじみやすい側。残したい相手 |
| 外から付いた汚れ | 散歩、床、寝床、食べ物 | 落としたい相手。ただし脂とは限らない |
誤解を避けるために書いておくと、オレイン酸そのものが悪いものだということではありません。体が自分でつくっている脂であり、被毛の表面をなめらかに保つ役割も担っているとされます。ただ、時間が経つと変化しやすい側にあるため、量が増えたり、そのまま日が経ったりすると、においやべたつきとして表に出やすくなります。
一方のセラミドとスクワランは、そこにあること自体が仕事になっている脂です。セラミドは角質細胞のあいだを埋めていて、スクワランは皮脂に近い性質をもつため被毛や皮膚になじみやすいとされます。落ちても、すぐには戻りません。洗ったあとに手ざわりが変わり、数日かけてもとに戻っていくのは、この側の脂が動いているためだと説明されます。
つまり、皮膚の上では「落としたい脂」と「残したい脂」が、同じ場所に、同じ姿で並んでいます。この並び方こそが、選択的乳化という考え方が必要になる理由です。並んでいなければ、選ぶ必要はありません。
なぜ選ぶ必要があるのですか|ふつうの乳化は、相手を決めていない
乳化のはたらきは、油を細かくして水の中に散らすことです。このとき、どの油を細かくするかは決められていません。油という条件に当てはまるものが、順につかまえられていきます。皿の上の料理の脂も、皮膚の上のオレイン酸も、セラミドやスクワランも、油であることに変わりはありません。
だから、洗ったあとに手ざわりが変わります。変わったのは、落ちてほしかったものが落ちたからだけではありません。残したかったものも、一緒に水の側へ運ばれた可能性があります。洗ったあと数日かけて手ざわりが戻っていくのは、その戻る過程を見ている、という読み方ができます。
ここが「なぜ」の答えです。選ぶ必要があるのは、選ばなければ両方が同じように運ばれるからです。洗浄力を強くすれば、落としたいほうはよく落ちます。ただし、同じ強さで残したいほうにも届きます。落とす力を弱くすれば、残したいほうは残りますが、落としたいほうも残ります。この綱引きの中で、どちらか一方だけを動かそうとする発想が、選択的乳化です。
| 洗浄力の設定 | 落としたい脂 | 残したい脂 |
|---|---|---|
| 強くする | よく落ちる | 同じ強さで届く |
| 弱くする | 残りやすい | 残りやすい |
| 相手を選ぼうとする | 落とす側に寄せる | 置いていく側に寄せる |
| 洗わない | そのまま残る | そのまま残る |
3行目が、この記事で扱っている考え方です。強さの目盛りを上下させるのではなく、目盛りとは別の軸を1本足す、という発想になります。強い・弱いという1本の線で考えているかぎり、この綱引きからは出られません。
念のために書き添えると、相手を選ばない設計が悪いという話ではありません。汚れをまとめて落とすことが目的の場面では、選ばないほうが合理的です。床や食器のように、残しておきたい脂がない場所がそれにあたります。選ぶ必要が出てくるのは、落としたいものと残したいものが同じ面に乗っているとき、つまり生きものの皮膚の上に限られます。
選択的乳化は、どうやって線を引くのですか|設計の側から見た考え方
線の引き方は、脂の側の性質を手がかりにします。同じ油でも、分子の大きさ、水との相性、まわりの酸性・アルカリ性の条件によって、動きやすさが違います。その差を使って、動きやすいほうだけが先に水の側へ移るように組み立てる。これが、選択的乳化という言葉が指している方向です。
mofuwaの製品では、原料水に特許電解水(三室ダブルイン型 電解分解技術/特許5253483)を使うという組み方をしています。特許は技術の登録であって、効果が証明されたという意味ではありません。ここで書けるのは、どういう考え方で組んであるか、というところまでです。オレイン酸の側を乳化し、セラミドやスクワランは置いていくことを狙った設計だ、という説明になります。
設計の話には、必ず折り合いがついてきます。相手を選ぼうとすると、そのぶん「まとめて落とす」力は引き受けにくくなります。泥や強い油汚れをいっぺんに落とす場面では、選ばない設計のほうが向いています。どちらが優れているという話ではなく、どちらの制約を引き受けるかという選択になります。
選択的乳化は設計の言い方なので、成分表の中に「選択的乳化」という行が現れることはありません。読み取れるのは、どんな洗浄成分をどれだけ使っているか、界面活性剤を使っているかどうか、といったところまでです。そこから設計の意図を推し量ることはできますが、確かめるには、作り手の側が何を狙って組んだかという説明を読むことになります。
確かめられているのはどこまでですか|ごま油を使った洗浄力の比較で分かること
設計の話だけで終わらせないために、検証の話を書きます。洗浄力の検証では、皮脂に近い性質をもつごま油を汚れに見立てて比較しています(東洋ビューティー/ウェーブコーポレーション調べ)。ごま油が選ばれるのは、動物の皮脂に性質が近く、条件をそろえて置ける汚れだからです。生きた皮膚は測るたびに状態が変わるので、比較には向きません。
ここで確かめられているのは、次のことです。決められた量のごま油を、決められた条件で置いたときに、どれくらい落ちるかを比べた結果。これは試験条件下での比較であり、家庭のどんな場面でも同じ結果になることを示すものではありません。
| 問い | この検証から | 理由 |
|---|---|---|
| ごま油はどれくらい落ちたか | 比較の結果として言える | 条件をそろえて測っている |
| 皮脂も同じように落ちるか | 推し量れるが、言い切れない | ごま油は皮脂そのものではない |
| セラミドが残ったか | この検証では見ていない | 測っているのは油の落ち方 |
| 生きた皮膚で同じことが起きるか | 言えない | 試験条件と体の上は別 |
3行目と4行目が大事なところです。「落としたい脂がよく落ちた」ことと、「残したい脂が残った」ことは、別々に確かめる必要があります。片方の結果から、もう片方を言うことはできません。選択的乳化という言葉は2つの主張を同時に含んでいるので、根拠も2つ要る、ということになります。
だから、この記事では設計の話と検証の話を分けて書いています。設計としてそこを狙っている、というのが1つ。決められた条件でごま油の落ち方を比べた、というのがもう1つ。この2つを足しても、生きた皮膚の上で何が起きるかを断定することにはなりません。書けるところまでで止めておくのが、この言葉の扱い方だと考えています。
そこから何は言えないのですか|選択的乳化という言葉を、範囲で区切る
疑問として残りやすいところを、先に区切っておきます。選択的乳化という言葉から、次のことは言えません。ここを曖昧にしたまま使うと、言葉だけが大きくなります。
- 選択的乳化だから皮膚がよくなります:洗浄設計の話であって、皮膚の状態を約束するものではありません
- セラミドは絶対に落ちません:確かめられているのは油の落ち方の比較で、残った量を測ったものではありません
- 選択的乳化でないものは危険です:設計の方向が違うだけで、危ないかどうかとは別の話です
- これを使えば洗わなくて大丈夫です:洗う必要があるかどうかは、その子の暮らしと状態で決まります
取り消し線で示したのは、書いてはいけない言い方の例です。選択的乳化という言葉が答えるのは、「どの脂を相手にするつもりで組まれているか」までです。その先にある「だから皮膚がどうなるか」は、別の話になります。犬でも猫でも、そこは家で確かめられる範囲を超えています。
他の洗浄成分についても、同じ線を引いておきます。相手を選ばない設計を「よくないもの」として書くことはできません。まとめて落とす場面ではそちらが向いていますし、選ぶ設計にも引き受けている制約があります。違うのは、どこに線を引いたかであって、良し悪しではありません。
選択的乳化という考え方そのものは、大丈夫かどうかを判断する材料にはなりません。家で見られるのは、その製品に犬や猫への使用が表示されているか、使い方と使う場所が書かれているか、というところです。設計の言葉は、選ぶときの手がかりにはなりますが、安全性の判断をそこに背負わせないほうが確実です。
毎日のケアで、選択的乳化はどこに関わりますか|洗う日と、水を使わない日
この言葉が実際に関わってくるのは、洗う日です。洗うという行為は、脂を動かす行為です。どの脂を、どれだけ動かすか。選択的乳化は、その動かし方の設計にあたります。ここまでが、洗う日の側の話になります。
一方で、毎日のケアの大部分は水を使わない日です。水を使わない日には、そもそも脂を動かさない、という選択肢があります。汚れを取りたい場所が限られているなら、皮膚全体の脂に手をつけずに、その場所だけを扱うほうが、線を引く必要そのものが減ります。
足の裏と尾のつけ根は、その子が自分では最後まで届かない場所です。口のまわりだけは自分で届きますが、届くということは、そこに置いたものがそのまま口に入るということでもあります。この3か所は、扱うものを決めるときの条件が、皮膚のほかの場所とは違います。mofuwa スキンケアミストは電解水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。口のまわりに使ってよいかどうかを、成分表とにらみ合って決めなくて済むのは、この基準があるからです。布に含ませて、この3か所だけを一往復させます。皮膚全体には手をつけません。選択的乳化が脂の側で線を引く考え方だとすれば、こちらは扱う場所のほうを減らして、線を引く場面そのものを作らない、という手の抜き方になります。湯を使わないので、乾かす作業も増えません。
家で確かめられることも1つ書いておきます。洗ったあと、もとの手ざわりに戻るまでに何日かかったか。これは、その子の中でだけ比べられる数字です。前回より短くなっているのか、長くなっているのか。選択的乳化という言葉を覚えるより、この日数を数えているほうが、毎日のケアでは役に立ちます。
選択的乳化を知っていても決められないこと|動物病院に相談する線
最後に、この言葉の外側を書きます。脂の量そのものが変わっているとき、洗い方の設計では追いつきません。べたつきが急に増えた、においが変わった、乾いて粉が出るようになった。こうした変化は、皮膚の側で何かが動いているサインのことがあります。
- べたつきが急に増えた:洗う間隔を変えていないのに、手ざわりが変わった
- においが変わった:強くなった、質そのものが変わった
- 粉やフケが出る:乾いた時期でないのに、地肌に白いものが見える
- 赤みや脱毛がある:一部だけ毛が薄い、皮膚が赤い
- 同じ場所をなめ続けている:気にしている場所が決まっている
べたつきやにおいが急に変わった、粉が増えた、赤みや脱毛がある、同じ場所をなめ続けている、元気や食欲が落ちている。こうした変化があるときは、洗うものを選び直す前に動物病院にご相談ください。皮膚の状態は、洗浄設計の言葉からは判断できません。相談に行くときは、いつから、体のどこで、洗った日付と使ったものを書き出して持っていくと、その場で切り分けてもらえます。
選択的乳化とは何か、という問いから始めて、線の引き方、確かめられた範囲、言えないことまで書いてきました。覚えて帰っていただきたいのは、皮膚の上には落としたい脂と残したい脂が同居している、という一行です。この一行を持っていると、洗うものを選ぶときに読む場所が変わります。強さの数字ではなく、何を相手にするつもりで組まれているか、のほうを読むようになります。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
