C09シーン別・暮らし

賃貸でにおいが気になる人が多頭で暮らすで困ること、その手当て

公開日 2022年1月8日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の淡い色のソファで、白っぽい2匹の猫が並んで休んでいる
同じ布の上で過ごす時間が長いほど、においは1頭ずつではなく、まとまって1つの形になります。写真:dongda212/Pixabay

2頭目を迎えて2週間ほどたった日、玄関を開けた瞬間のにおいが「違うにおいになった」と気づきました。濃さの話として片づけられませんでした。1頭のときのにおいを2倍にしたものではありません。知らないにおいが1つ、部屋にできています。多頭飼いの家でこれが起きるのは、同じ種類の子が同じ床と同じ布を使っているからです。頭数が増えると、においは足し算ではなく、混ざって別のにおいになります。賃貸の部屋は空気が続いていて、扉で仕切れる場所も限られているので、その混ざったにおいが行き場を持ちません。この記事では、賃貸で多頭飼いをしている人がよく口にする問いを7つ並べて、それぞれ短く答えます。7つのうち1つは、増やした手を減らす話です。

多頭飼いのにおいとは、1頭ぶんの足し算ではないのですか

足し算ではありません。1頭が2頭になると、においは2倍にならずに、別のにおいに置き換わります。ここが多頭飼いの分かりにくいところです。強さの話だと思って手を打つと、掃除の回数を増やすことになります。けれど動いているのは強さではなく、種類のほうです。

犬でも猫でも、1頭の体からは何種類かのにおいが同時に出ています。皮脂の出やすい場所のにおい、口のまわりのにおい、足の指のあいだのにおい、排泄まわりのにおい。1頭でも、すでに数種類が重なっています。この段階では、飼い主はそれぞれを別のものとして嗅ぎ分けられています。首のうしろはこのにおい、足先はこのにおい、というふうにです。

同じ種類の子がもう1頭入ると、出てくるにおいの顔ぶれはほぼ同じです。近いものが重なると、人の鼻はそれを別々のものとして受け取らず、1つのまとまったにおいとして受け取ります。だから多頭飼いの部屋では「どちらの子のにおいでもないにおい」ができます。片方の子を抱き上げて嗅いでも、部屋のにおいと同じものは出てきません。犬と猫のように種類の違う組み合わせより、同じ種類で頭数が増えたときのほうが、この混ざり方は強く出ます。

頭数が増えたときに、鼻が受け取るものがどう変わるか
1頭2頭3頭以上
においの種類数種類。場所ごとに分かれている顔ぶれは同じだが重なる重なったものが1つに見える
飼い主の感じ方どこのにおいか分かる部屋のにおいが変わったと感じるもとが何なのか思い出せない
強さ場所に近づくと強い近づいても、あまり変わらない部屋全体が同じ濃さになる
賃貸で気づく場所その子のそば玄関を開けた瞬間外から帰った直後の数秒だけ
Note気のせいではありませんが、増えたわけでもありません

多頭飼いを始めて「においが変わった」と感じるのは、鼻が慣れていないからではありません。実際に、以前の部屋にはなかった形のにおいが1つできています。ただし、それは1頭ぶんのにおいが2倍になったという意味ではありません。賃貸で対策を考えるときに、この2つを取り違えると、手の入れどころがずれます。

賃貸の部屋の中で、どの子のにおいかを、なぜ嗅ぎ分けられないのですか

距離の問題です。1メートル離れると混ざったにおい、30センチ以内なら1頭ぶんのにおいになります。部屋の中を歩きながら嗅いでいるあいだは、どれだけ集中しても分かれません。分けたいなら、その子に鼻を近づけるしかありません。

多頭飼いの家で「どの子か分からない」と言われるとき、たいてい嗅いでいるのは空気のほうです。空気の中では、頭数ぶんのにおいがすでに混ざり終わっています。体の表面から10センチのところでは、まだ混ざっていません。賃貸の限られた広さでは、空気が入れ替わるまでの距離が短いので、この「まだ混ざっていない範囲」がとくに狭くなります。

  1. 1頭ずつ、4か所を同じ順番で嗅ぐ

    首のうしろ、耳のつけ根、前足の指のあいだ、尾のつけ根。この4か所を、頭数ぶん同じ順番で回ります。順番を変えると、直前に嗅いだにおいが残ったまま次を判断することになります。

  2. 強い順に、1・2・3・4と紙に書く

    強さを言葉にしようとしないでください。順位だけを書きます。多頭飼いでは、頭数ぶんの表ができます。今日の順位が先週と違っていれば、そこが動いた場所です。

  3. 頭数ぶんの表を、横に並べて見る

    同じ場所が全頭で1位なら、それは個体の話ではなく、部屋の側の条件です。1頭だけ順位が違うなら、そこが混ざったにおいの出どころに近い場所です。賃貸で手を入れる場所は、この比較から決まります。

  4. 嗅ぐのは、帰宅後の最初の3分にする

    同じ部屋に居続けると、自分の鼻がそのにおいを基準にしてしまいます。外から帰ってきた直後の数分だけ、比べられる状態が戻ります。この3分を逃すと、その日はもう判断できません。

この作業は毎日やる必要はありません。週に1回、曜日を決めて回してください。多頭飼いだと頭数ぶんの手間になりますが、1頭あたりは1分もかかりません。大事なのは、混ざったにおいの中から1頭を取り出すには、部屋ではなく体に近づくしかない、と知っていることのほうです。賃貸の空気の中で答えを探しても出てきません。

掃除の回数は、頭数の分だけ増やすことになりますか

全部が比例するわけではありません。頭数に比例して増えるものと、頭数が増えても1つのままのものがあります。ここを分けずに「2頭だから2倍」と決めると、続かない量になります。多頭飼いの賃貸で回している家は、増やす場所と増やさない場所を分けています。

頭数に比例するもの、しないもの
頭数と一緒に増える頭数が増えても1つ
食器と水皿頭数ぶん。洗う回数もそのまま増える—
抜け毛の量ほぼ頭数ぶん—
寝床—重ねて使うので、面としては1か所
ソファやカーペット—面積は変わらない。接触の回数だけ増える
床の拭き掃除—同じ床。歩く回数が増えるだけ
玄関から1メートル—帰宅後に通る場所は1か所
換気—窓の数は増えません

増えるのは面積ではなく、同じ面に触れる回数のほうです。2頭が同じ寝床を使えば、その布が体に触れる回数は2倍になります。けれど布そのものは1枚です。だから増やすべきなのは掃除の面積ではなく、その1枚を替える周期のほうになります。3日に1度替えていたなら2日に1度へ。これは「掃除を2倍にする」より、はるかに短い時間で終わります。

食器と水皿だけは、頭数ぶん素直に増えます。多頭飼いでは、この2つが後回しになりやすい。水皿のふちに残るぬめりは、皮脂と唾液が水の中で混ざったものです。頭数が増えるほど、口が触れる回数も増えます。賃貸のにおいで最初に動かす場所を1つだけ選ぶなら、私はここを選びます。理由は、面が小さく、流し台の高さで完結し、毎日やっても3分で終わるからです。

Point増やすのは回数ではなく、周期の短さです

掃除の「回数を増やす」と考えると、1日の中に予定が増えます。「同じことを、少し早い間隔でやる」と考えると、予定は増えません。寝床のカバーを3日から2日へ、玄関マットを週1回から5日に1回へ。多頭飼いの賃貸で崩れにくいのは、この形です。

冬の賃貸では、換気だけで多頭飼いのにおいは動きませんか

換気だけでは戻ります。換気が動かすのは空気の中にあるもので、繊維に残っているものは動かないからです。窓を開けているあいだは薄くなり、閉めるとまた同じ濃さに戻る。多頭飼いでこの戻りが早く感じられるのは、繊維の側に残っている元が頭数ぶんあるためです。

冬はここに季節の条件が乗ります。寒い時期は、窓を開けている時間そのものが短くなります。5分開けて閉める、を1日2回。夏と比べて、1日の換気の総量は目に見えて減っています。そのうえ、部屋を暖めると空気が動きやすくなり、繊維からにおいが立ちやすい状態にもなります。1月の賃貸で「急ににおうようになった」と感じるとき、その子の側で何かが変わったとは限りません。

換気と拭き取りは、別の仕事をしています
換気拭き取り
何をしているか空気の中のものを外へ出すにおいのもとそのものを減らす
効いている時間開けているあいだ次に同じ場所が汚れるまで
多頭飼いでの限界元が頭数ぶんあるので戻りが早い頭数ぶん拭くのは続かない
賃貸での制約対角に窓が取れないことがある面積は増えないので回しやすい
冬の条件開ける時間が短くなる変わらない

だからといって、換気をやめる話ではありません。換気は薄める仕事、拭き取りは元を減らす仕事。順番は、拭き取りが先で換気が後です。元が残ったまま窓を開けても、閉めたところから戻ります。逆に、元を減らしてから5分開けると、その5分で下がったところが基準になります。多頭飼いの賃貸では、この順番を入れ替えるだけで、同じ手間の結果が変わります。

窓が1か所しかない部屋では、玄関の扉を数センチだけ開けて、対角の流れをつくってください。空気は入口と出口の2つがないと動きません。1か所だけ開けて風を待っているあいだは、部屋の中で回っているだけのことがあります。冬に長く開けられないぶん、通り道を作るほうへ手をかけたほうが、短い時間で済みます。

手をつける場所は、部屋のどこから順に決めればいいですか

接点の多い順です。においのもとは、体が長く触れている場所に集まります。面積の広い順でも、目につく順でもありません。多頭飼いでは、頭数ぶんの体が同じ場所に触れているので、この順番は1頭のときよりはっきりします。

  1. 1番目:水皿と食器

    口が直接触れて、しかも濡れたままの時間が長い場所です。多頭飼いでは頭数ぶんの唾液が同じ水に入ります。ふちの内側を指でなぞって、ぬめりが指に残るなら、そこがその日いちばん条件の動いている場所です。流し台で完結するので、毎日でも回せます。

  2. 2番目:寝床のカバー

    1日のうち、体がいちばん長く触れている布です。ここには皮脂が移り、その上に雑菌が働ける条件がそろいます。頭数が重なって寝ているなら、その布は頭数ぶんの接触を受けています。替えの周期を1日短くするだけで、部屋のにおいの基準が動きます。

  3. 3番目:玄関から1メートル

    帰宅後に足が最初に触れる場所です。外から持ち帰ったものは、ここで止まるか、部屋の奥へ運ばれるかのどちらかになります。賃貸は玄関から居間までが短いので、止められる距離も短い。マットを1枚置いて、そこを週に1度洗うだけで足ります。

  4. 4番目:ソファとカーペット

    面積は広いのに、接触の時間は寝床より短い。だから4番目です。全面を毎回やろうとしないでください。その子たちが決まって座る位置は、たいてい2〜3か所です。そこにだけ布を1枚敷いて、その布を洗います。

  5. 5番目:その子の体

    いちばん最後です。多頭飼いで最初に体へ手を伸ばすと、頭数ぶんの作業になって続きません。1番から4番までを回してから、それでも残るにおいが体の話です。そこまで来れば、手を入れる子は1頭に絞れています。

5番目に回ってきた体には、mofuwa グルーミングスプレーを布に含ませて手を入れます。その子に直接吹きかけるのではなく、布に含ませてから、首のうしろと足の指のあいだをなでるように拭き取る形にしてください。拭き取りは元を減らす仕事、という4番目までの話が、体でもそのまま同じ形になります。犬も猫も体から脂を出すので、余分な皮脂と外から持ち帰った油は、この拭き取りで乳化して落ちます。舐めても問題のない基準でつくられているので、賃貸で毎日続けても量を気にせずに済みます。多頭飼いでは、グルーミングスプレーを含ませた布を1頭ごとに替えてください。

多頭飼いで、やらなくていいことはありますか

3つあります。どれも「よかれと思って増やした結果、判断できなくなること」です。手を増やすより、まずこの3つをやめるほうが早く変わります。

とくに2つ目は、賃貸で気にしている人ほどやってしまいます。玄関に1つ、居間に1つ、寝室に1つ。香りを足すと、混ざる材料が増えます。多頭飼いのにおいが「別のにおいになる」のは、近いものが重なるからでした。そこへ性質のまったく違うものを足すと、重なり方がさらに複雑になります。来客の直前だけ使う、といった限定的な使い方にとどめておくほうが、部屋の基準を保てます。

Noteやめると、比べられる状態が戻ります

この3つをやめる目的は、手間を減らすことだけではありません。基準を1つに戻すことです。多頭飼いの賃貸でにおいの手当てが行き詰まるのは、動かしているものが多すぎて、どれが効いたのか分からなくなるからです。1週間に1つずつ動かして、帰宅後の3分で比べる。それだけで、次に何をすればいいかが自分で決められるようになります。

1頭だけにおいが変わりました。多頭飼いだから大丈夫、と考えていいですか

そこは分けて考えてください。混ざっているはずの部屋で「この子だけ」と分かる状態は、それ自体が手がかりです。多頭飼いのにおいは重なって1つになる、というのがここまでの話でした。その中から1頭だけが浮かび上がってくるなら、その子の側で何かが変わっているということになります。

1頭だけ変わったときの、待っていい条件と待たない条件
様子考え方
換毛の時期で、全身がわずかに強い2週間、同じ4か所の順位を見て構いません
雨や雪の日が続いたあと、足先だけ乾いている時間が短かっただけのことがあります
寝床を替えた直後だけ変わった布のにおいを受け取っているだけのことがあります
1か所だけ、においの質が変わった待たずに相談してください
その場所をなめ続けている、かいている待たずに相談してください
地肌が赤い、じくじくしている待たずに相談してください
Cautionにおい以外のことが一緒に動いていたら、先に受診を

においの質が変わった、同じ場所をなめ続けている、地肌が赤い、じくじくしている、触ると痛がる、毛が根元から抜けて地肌が見えている、水を飲む量や食欲が変わった。いずれかに当てはまるときは、掃除や拭き取りを増やす前に動物病院にご相談ください。多頭飼いは、比べる相手が家の中にいるぶん、変化に気づきやすい環境でもあります。他の子と違うと感じた時点が、いちばん早いタイミングです。

相談に行くときは、4か所の順位を書いた紙を持って行ってください。いつから、どの場所の順位が入れ替わったのかが、口で説明するより正確に伝わります。多頭飼いだと、どの子のいつの話だったかが記憶の中で混ざります。においは言葉にしにくいぶん、順位という形にしておくと残ります。

ここまでの疑問を、賃貸で多頭飼いをする側から1本に並べ直す

7つの答えは、ばらばらのものではありません。「混ざる」という1つの事実から、全部が出ています。最後に、順番に並べ直します。

7つの問いと、そのもとにある1つの事実
問い答えの要点
足し算ではないのか近いにおいが重なると、別の1つになる
なぜ嗅ぎ分けられないのか空気の中では混ざり終わっている。30センチまで近づく
掃除は頭数ぶん増えるのか面積は増えない。増えるのは同じ面に触れる回数
換気だけで足りるか換気は薄める仕事。元を減らすのは拭き取りの側
どこから手をつけるか接点の多い順。水皿、寝床、玄関、布、最後に体
やらなくていいことは全頭を同じ日に洗う/香りを足す/全身を毎日拭く
1頭だけ変わったときは混ざった中で分かるなら、その子の話として見る

この並びには、賃貸ならではの条件が2つ入っています。1つは、部屋が続いていて、においの逃げ場が少ないこと。もう1つは、冬に窓を開けられる時間が短いことです。どちらも、換気の側の力を弱くします。だから多頭飼いの賃貸では、拭き取りと交換周期の側に重心を置くほうが結果が出ます。窓の数は変えられませんが、寝床のカバーを替える間隔は今日から変えられます。

頭数を減らすという答えは、この記事にはありません。減らせるのは頭数ではなく、においが混ざるまでの時間のほうです。皮脂が布に移り、そこに雑菌が働ける条件がそろい、頭数ぶんが重なって1つの形になるまでには、いくらか時間があります。その時間の途中で、いちばん接点の多い1か所だけを動かす。多頭飼いで賃貸のにおいと折り合いがついている家は、全部をやっている家ではなく、この1か所を毎回同じように回している家です。帰宅後の最初の3分に、玄関でひとつ息を吸ってみてください。順位が変わっていなければ、その週はそのままで構いません。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。