C09シーン別・暮らし
サロン通いをしている人のための保護犬・保護猫を迎えた|5分で終わらせるケア
保護犬を家に迎えた週に、これまでどおり6週間後の予約を入れようとして、指が止まりました。前の子のときは、その日付で何年も回っていました。けれどトリミングの台に乗るというのは、知らない人に、知らない場所で、体のすみずみまで触られる時間のことです。サロンに通ってきた人ほど、ここは見えにくいところだと思います。台の上でおとなしくしている姿を、何年も見てきているからです。保護犬・保護猫を迎えるというのは、その前提のいちばん手前に戻る、ということでした。この記事は、迎えると決めてから最初のトリミングを予約するまでのあいだに、家の側で何が変えられるかという読みものです。
6週間ごとの予約が、その週から使えなくなる|保護犬を迎える側になった、サロン通いの人の経験
サロンに通っている家では、次の予約がカレンダーに先に入っています。前の子のときは6週間ごとで、その日付を何年も動かしませんでした。そこへ保護犬を迎えると、その6週間の目盛りが、迎えた週から使えなくなります。体は毛に覆われていて、皮膚がどうなっているかも外からは見えません。それでも、抱き上げようとすると体が固くなる。ブラシを手に持っただけで、部屋の隅へ移動する。触れる範囲が、日によって違う。
サロンに通ってきた人は、手入れの基準を持っています。何週目に足まわりから絡み始めるか、被毛のどこに手を入れておけば次の予約まで持つか、毎日のケアで何を省いていいか。その基準は、台の上でおとなしくしていられる子を前提に組み上がっています。保護犬・保護猫を迎えるというのは、その前提のいちばん手前に戻ることでした。基準を持っていること自体は、あとで必ず効いてきます。使う順番が変わるだけです。
- 触らせてくれる場所が、日によって変わる:昨日は背中に手が届いたのに、今日は肩から先へ進めません
- 道具を持つと、体ごと向きを変える:ブラシや爪切りは、まだ手の一部として見られていません
- 人の手より先に、音のほうへ反応する:足音、ドアの音、袋の音。手が届く前に体が動きます
- 呼んでも来ない時間帯がある:朝と夜で、同じ場所にいても距離が違います
- 寝ている場所が、数日ごとに移る:落ち着ける場所を、その子がまだ探している最中です
この段階で「慣れさせるために、早めにトリミングへ連れて行く」という考え方もあります。ただ、サロンは整える場所で、慣らす場所ではありません。トリミングの1回は、短いコースでも1時間前後、知らない人の手の中にいる時間です。その時間を、迎えて2週間の子に置くと、仕上がりより先に、台の上で起きたことのほうが残ります。
比べたくなるのは自然なことです。ただ、比べたところで、いま手を入れられる範囲は変わりません。その子が以前どこでどう暮らしていたかは、こちらには分かりません。分からないところを想像で埋めるより、今日その子が許した場所と秒数だけを見るほうが、次の一手が決まります。保護犬・保護猫を迎える家で記録が効くのは、まさにここです。
トリミングは、触られることに慣れた子を前提に組まれています|台の上で起きていることの背景
トリミングの台の上で起きていることを、作業の工程ではなく、乗せられている側から並べ直してみます。1回のトリミングは、いくつもの前提が同時に満たされて、はじめて成立しています。通っている人ほど、これが前提だと気づきにくいところです。
| 台の上で起きること | その子の側に必要な前提 |
|---|---|
| 抱き上げて台に乗せる | 足が床から離れて、体が浮くことを受け入れられる |
| 台の上で立って待つ | 逃げ場のない場所で、人を待っていられる |
| 器具やドライヤーの音が続く | 音が鳴りやまなくても、その場に留まれる |
| 顔まわりに手と道具が来る | 目と口の近くを触られてよいと思っている |
| 足先を一本ずつ持ち上げる | 残りの三本に体重を預けて、支えを人にゆだねられる |
| 最後まで触るのが飼い主ではない | 触る相手が知らない人でも構わない |
並べてみると、6つとも「触られることに慣れている」という一つのことの中身です。サロンは、この前提から先の工程を引き受ける場所です。だから丁寧なサロンほど、前提が満たされていない子には、途中で止める判断をします。それは断られたのではなく、その日はここまで、という線引きです。
保護犬・保護猫を迎えた家では、6つのうちどれが揃っているのか、迎える時点では分かりません。以前どう過ごしていたかの記録は、こちらの側にないからです。分からないものは、欠けているものとして扱わず、まだ確かめていないものとして扱います。確かめる場所は家で、確かめる相手は飼い主の手になります。
トリミングとは、被毛を切りそろえることを中心に、爪や耳のまわり、足の裏まで含めて全身を整える作業のことです。毛を切らないコースでも、体のすみずみに手と道具が入ります。つまり、毛の長さに関係なく、触られている時間の長さはあまり変わりません。保護犬を迎えたばかりの家がまず考えるのは、どのコースにするかより、どれだけの時間なら台の上にいられるか、のほうです。
予約を入れる前の3〜4週間、家のほうに起きる変化|1回10秒を毎日の記録にする
変えられるのは、サロンの側ではなく家の側です。予約を入れるまでの3〜4週間を、触られる練習の期間として先に取ります。練習といっても、道具は使いません。手だけです。次の順で回してください。
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1日目から、道具を持たずに手だけで10秒
ブラシも爪切りも、この期間は視界に入れません。手のひらを体に当てて、10秒たったら離す。10秒は短すぎるように見えますが、短いほうが、終わりの読める時間になります。終わりが読めると、翌日に逃げる距離が縮みます。毎日のケアの中で、まずここだけを固定します。
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触る場所は、後ろから前へ進める
背中の真ん中から始めて、肩、首の順に進めます。足先と顔まわりは、この3〜4週間では最後です。トリミングでいちばん時間がかかるのがその2か所なので、先に触りたくなります。ただ、その2か所は体の中でいちばん逃げたくなる場所でもあります。順番を後ろからにするだけで、1回あたりに進める距離が変わります。
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音は、手より先に足しておく
ドライヤーは、電源を入れずに床へ置くところから始めます。数日置いて、次は離れた部屋で数十秒だけ回します。音と手を同じ日に足さないでください。サロンの台の上では、音と手と知らない人が同時に来ます。家では、それを1つずつに分けられます。分けられるのは、家だけの利点です。
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台の高さを、家で数秒だけ作る
滑らない敷物を低い台や椅子の上に置いて、数秒だけ乗せて、下ろします。乗せたまま手を入れないでください。この段階の目的は、高い場所に足がつくことだけです。数秒で下ろして、下ろしてから触ります。順番を逆にすると、高い場所そのものを避けるようになります。
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布を1枚、手の延長として足す
手だけで背中に届くようになったら、布を1枚足します。背中の真ん中は、犬でも猫でも自分の口が届かない場所です。迎えたばかりの子が自分で手入れできていないのはたいていそこなので、人が代わって最初に触るのもそこになります。mofuwa スキンケアミストは電解水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。迎えて間もない子は、拭かれた場所を自分でなめて確かめます。何をつけられたのかを口で確認している時期なので、なめても問題のない基準でつくられていることが、この3〜4週間ではそのまま条件になります。ボトルは、その子の見ていないところで布に含ませてください。音は別の日に足す、という前の手順と同じ理由です。含ませた布で、背中だけを一往復。布は手の延長なので、ブラシより先に受け入れられることがあります。ここまで来たら、トリミングの予約を入れて構いません。
| 記録すること | 書き方の例 |
|---|---|
| 触れた場所 | 背中/肩/首。触れなかった場所は空欄のまま |
| 触れていた秒数 | 10秒/15秒。増やさなかった日は、同じ数字をそのまま |
| 終わったあと、その子がどこへ行ったか | その場に残った/寝床へ戻った/部屋を出た |
3つ目の項目が、いちばん効きます。触れた秒数が同じでも、終わったあとにその場へ残るようになったなら、その週は進んでいます。逆に、秒数を伸ばした翌日に部屋を出るようになったなら、伸ばしすぎです。保護犬・保護猫を迎える家では、変化が数字で出るまでに時間がかかります。行き先のほうが先に変わります。
10秒を30秒にするより、10秒を1日3回にするほうが、同じ3〜4週間で進みます。1回が長くなるほど、終わりが読めなくなるからです。そのうえで、増やした翌日は元に戻して、2日続けて増やさないでください。同じ週に条件を2つ以上変えないと決めておくと、どれが効いたのかが後から分かります。記録は、カレンダーの余白で足ります。
初回のトリミングを短く区切って頼む理由|サロンに伝える3つと、動物病院に相談する線
3〜4週間たったら、トリミングの予約を入れます。ここで決めるのは日付ではなく、その日にどこで止めてもらうかです。初回で全身を終わらせない、と先に決めておきます。
- 迎えた日:何週目の子なのかが分かると、サロン側の組み立てが変わります
- 家で触れる場所と、まだ触れない場所:背中は触れる、足先はまだ、という粒度で伝えます
- 今日どこまでで止めてほしいか:爪だけ、顔まわりだけ、洗わずに整えるところまで、など
部分で区切って頼む理由は、その日を短く終わらせるためです。初回に全身を終えると、次の予約までのあいだ、その1回だけがその子にとってのトリミングの記憶になります。途中で止めた回を何度か重ねるほうが、結果として次からの1回が長く持ちます。サロンに通ってきた人ほど、仕上がりを1回で求めない決め方に切り替える必要があります。
予約と予約のあいだは、これまでどおり毎日のケアで持たせます。ただしこの時期に持たせるのは、仕上がりではなく、触られていられる時間のほうです。被毛の絡みは、次のトリミングで戻せます。時間のほうは、家でしか伸びません。
皮膚に赤みがある、においがある、毛が根元から抜けて地肌が見えている、同じ場所をなめ続けている、触ると痛がって声を出す、食欲や元気が落ちている。いずれかに当てはまるときは、練習も予約も後回しにして、先に動物病院にご相談ください。迎えたばかりの時期は、環境が変わったことによる一時的な変化と、体のほうで起きている変化が重なって見えます。その切り分けは家ではできません。迷ったら、早いほうを選んでください。
保護犬・保護猫を迎える家で、最初のトリミングまでにやることは、実のところ多くありません。手だけで10秒、後ろから前へ、音は別の日に、台は数秒。この4つを3〜4週間続けて、記録を3項目だけ残す。サロンが引き受けてくれるのは、触られることに慣れた先の工程です。その手前の区間だけは、家の側にしかありません。前の子のときに6週間で回っていたリズムは、そのうち戻ってきます。戻ってくるまでの数か月をどう使うか、という話でした。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
