C05犬種・猫種別ケア

ベルジアンシェパードと暮らすなら知っておきたい、抜け毛の話

公開日 2022年2月15日|文=mofuwa編集部

明るい草の上に、黒く長い毛の犬が落ち着いて立っている
同じ犬種名で呼ばれていても、被毛の作りは4つに分かれています。抜け毛の出方は、名前ではなく毛の作りについてきます。写真:Gabriel Almanzar/Pexels

グローネンダール、タービュレン、マリノア、ラケノア。この4つの名前は、どれも同じベルジアンシェパードを指しています。名前を分けているのは、被毛の作りです。長毛の黒、長毛の褐色、短毛、剛毛。体つきや役割ではなく、毛の作りだけが4つに分かれています。そして抜け毛の出方は、犬種の名前ではなく毛の作りのほうについてきます。だから「ベルジアンシェパードの抜け毛はこうです」とまとめられた話が、目の前の子にそのまま当てはまらないことがあります。同じ犬種の中に毛の長い子と短い子がいる、という個体差の話ではありません。はじめから、被毛の作りごとに呼び名が分かれています。この記事では長毛タイプと短毛タイプを並べて、まずうちの子がどれなのかを決めるところから始めます。

同じ犬種名で、被毛が4つに分かれる|ベルジアンシェパードの成り立ち

ベルジアンシェパードは、ベルギーで羊を追い、家畜と農場を見守っていた犬です。仕事の中身は地方が変わっても同じでした。違っていたのは、その土地でそろっていた被毛のほうです。結果として、体つきも役割も同じまま、毛の作りだけが4つに分かれた形で今日まで来ています。

長毛で黒一色の子はグローネンダール、長毛で褐色の子はタービュレン、短毛の子はマリノア、剛毛の子はラケノアと呼ばれます。4つとも、犬種としてはベルジアンシェパードです。同じ犬種の中に毛の長い子と短い子がまじっている、という個体差の話とは違います。被毛の作りごとに、はじめから呼び名のほうが分かれています。

ここで迷いやすいのが色です。タービュレンとマリノアは、どちらも褐色に黒いマスクという見た目をしています。色で分けようとすると、この2つはほとんど区別がつきません。分かれているのは色ではなく、毛の長さのほうです。長毛の褐色がタービュレン、短毛の褐色がマリノア。写真で見比べても迷うところなので、色のほうを手がかりにしないでください。

この分かれ方が、そのまま抜け毛の話につながります。ベルジアンシェパードは4つとも上毛と下毛の二層を持っていて、抜けるのは主に下毛です。ここは共通しています。変わるのは、抜けた下毛が体の外へ出るまでに通り抜ける上毛のほうです。長毛タイプでは通り抜ける距離が長く、短毛タイプでは短い。同じ日に同じ量が抜けても、行き先が違えば、困りごとの中身が入れ替わります。

Note情報を探すときは、犬種名だけで検索しないでください

ベルジアンシェパードという名前で見つかる抜け毛の話は、書いた方がどのタイプと暮らしているかで中身が変わります。床の毛が止まらないという話と、床には落ちないという話が、どちらも本当のこととして並びます。矛盾しているのではなく、別のタイプの話が同じ名前で並んでいるだけです。読むときは、まずどのタイプの話かを見てください。

長毛タイプと短毛タイプ|ベルジアンシェパードの抜け毛が向かう先を比較する

4つのうち、毎日のやり方がいちばん大きく分かれるのが長毛タイプと短毛タイプです。比較するのは抜ける量ではなく、抜けた毛がどこで止まるかです。止まる場所が決まれば、手を入れる場所も、道具も、かける時間も自動的に決まります。剛毛タイプについては、この節の最後に書きます。

長毛タイプと短毛タイプで、ベルジアンシェパードの抜け毛の出方がどう変わるか
長毛タイプ短毛タイプ
抜けた下毛の行き先飾り毛の中に留まるそのまま床へ落ちる
困りごとの出方手ざわりが重く、指が入らない床と服に短い毛が広がる
溜まりやすい場所首の飾り毛・後ろ脚の裏・しっぽとくに偏りません
毛先と根元毛先はつやが残り、根元が詰まるどちらも短く、差が出ません
静電気の日乾くと毛先どうしが寄って絡む短い毛が布に刺さって落ちない
換毛期の時期床の量は増えず、体が重くなる床の量がはっきり増えます
先に持つ道具根元まで届く、目の粗いもの毛の流れに沿って面で動かすもの
見落とす理由表面がきれいに見えてしまう落ちた毛を見て、済んだ気になる
長毛タイプと、短毛タイプ 同じベルジアンシェパードでも、被毛の作りによって抜けた下毛の行き先が変わります。長毛タイプでは飾り毛の中に留まり、短毛タイプでは床へ落ちます。手を入れる先も、そこで入れ替わります。 同じ犬種名の中で、条件が2つに分かれます 長毛タイプ 首と後ろ脚に飾り毛がある 抜けた下毛が根元に残る 床の毛はあまり増えない 手を入れる先:根元 短毛タイプ 上毛が短く、飾り毛がない 抜けた下毛が床へ落ちる 換毛期に床の量が増える 手を入れる先:落ちる前 まず、うちの子がどっちのタイプかを決めてください
抜け毛の出方は、犬種名ではなく被毛の作りで分かれます。

長毛タイプでは、床の毛は思ったほど増えません。抜けた下毛が、首の飾り毛や後ろ脚の裏に留まるからです。首をなでると手が沈む、後ろ脚の裏から綿のような手ざわりが返ってくる、という形で表に出ます。毛先にはつやが残っていて外からは整って見えるのに、根元だけが詰まっているということが起こります。目で判断すると、まず気づけません。

短毛タイプでは、抜けた下毛はほとんど床の問題になります。体に触っても手ざわりは軽く、指はすっと根元まで入ります。そのかわり、落ちた毛が短くまっすぐなので、布の織り目に刺さって掃除機で吸えません。やることは、落ちる前に集めることです。落ちてから追いかけると、掃除の回数だけが増えていきます。

剛毛タイプは、この2つのあいだに置くと分かりやすくなります。毛は硬くちぢれていて、抜けた下毛はその中で絡んで留まります。床に落ちる量は長毛タイプに近く、留まり方は毛のちぢれに引っかかる形です。飾り毛のような一か所への偏りが出にくいので、体の広い面をまんべんなく指で分けていくことになります。数としては少ないタイプですが、長毛の手順をそのまま当てても届きません。

うちの子はどのタイプか|首の飾り毛と毛先で決める条件

見分ける手がかりは、色でも体格でもありません。首まわりと後ろ脚に飾り毛があるかどうか、そして毛先の手ざわりです。迎えたときにタイプを聞いていれば、それがいちばん確かです。分からないまま暮らしている場合でも、次の順で触れば決められます。犬を立たせたまま、片手で体を支えて、もう片方の手だけを使います。

  1. 首のまわりを、上から手のひらで押さえる

    長毛タイプには、首の下から胸にかけて飾り毛があります。手のひらが毛の中に沈むなら長毛タイプです。沈まずに、そのまま体の硬さが返ってくるなら短毛タイプです。ここでほとんどの子は決まります。飾り毛は子犬のうちは目立たないので、1歳を過ぎてから見てください。

  2. 後ろ脚の後ろ側と、しっぽを見る

    首で迷ったときの2か所目です。長毛タイプは後ろ脚の後ろ側に飾り毛があり、しっぽが房のようにふくらみます。短毛タイプはどちらも体の線に沿ったままです。首・後ろ脚・しっぽの3か所がそろって初めて決めてください。1か所だけで判断すると、季節による毛量の増減にまどわされます。

  3. 毛先を1本つまんで、根元まで指で送る

    まっすぐ戻るなら長毛か短毛、途中でちぢれが指に引っかかるなら剛毛タイプです。剛毛タイプは色が褐色なので、短毛タイプと見まちがえやすいところです。長さではなく、毛先のちぢれのほうで分けてください。顔の毛が硬く立っているのも、剛毛タイプの手がかりになります。

  4. 色は、いちばん最後に見る

    褐色に黒いマスク、という見た目は長毛タイプにも短毛タイプにもあります。色を先に見ると、タービュレンとマリノアで必ず迷います。黒一色なら長毛タイプと決まりますが、褐色の場合は色から先に入らないでください。手で触った条件のほうを先に決めます。

触った結果から、どのタイプかを決める
首に手のひらが沈むか毛先の手ざわり決まるタイプ
沈むまっすぐ戻る長毛タイプ
沈まないまっすぐ戻る短毛タイプ
やや沈むちぢれが指に引っかかる剛毛タイプ
Pointタイプが決まると、読む記事のほうが決まります

ベルジアンシェパードの抜け毛について書かれたものは、どのタイプの話かが省かれていることがあります。先にうちの子のタイプを決めておくと、読んだ内容が自分に当てはまるかどうかを、その場で判断できます。「床に毛が落ちない」と書いてあるのに落ちるなら、それは短毛タイプの子に長毛タイプの話を当てているだけです。犬のほうを疑う前に、話のほうを見てください。

タイプごとに変わる、換毛期の時期と静電気の日のブラッシング

タイプが決まったら、毎日のやり方はそこから引き出せます。長毛タイプは体の上から取り出す作業、短毛タイプは落ちる前に集める作業です。同じ「ブラッシング」という言葉でも、中身は別のことをしています。時期によって配分が変わるところも、タイプごとに違います。

  1. 長毛タイプは、飾り毛を層に分けてから入れる

    首の下のほうに指で横一線をつくり、その線から上の毛を手で押さえます。下の層だけを出してとかし、終わったら線を少し上へ移す。3〜4回くり返すと首まわり全体に届きます。上から一気にとかすと、毛先だけが整って根元が残ります。後ろ脚の裏としっぽも同じやり方です。1日1か所で足ります。

  2. 短毛タイプは、毛の流れに沿って面で動かす

    根元を分ける必要はありません。抜けた下毛はもう外に出ているので、落ちる前に集めるほうが早く終わります。体の後ろから前へ、毛の流れに沿って面で動かしてください。短い毛は一度布に刺さると取れないので、いつも同じ場所でやると決めておくと、そのぶん掃除が1か所で済みます。

  3. 換毛期の時期は、タイプごとに手を入れる場所を変える

    春と秋、下毛がまとまって動く時期です。長毛タイプは飾り毛のある3か所から先に、短毛タイプは体の広い面から先に始めます。先に始めた場所ほど、犬が落ち着いていて長く触らせてくれます。いちばん出る場所を、いちばん条件のいい時間に回す、という入れ替えです。時期が終わったら、順番も戻します。

  4. 空気が乾く時期は、とかす前に一度なでる

    静電気が起きていると、長毛タイプはとかすほど毛先が広がって寄ります。短毛タイプは抜けた毛が布から離れなくなります。布をわずかに湿らせて毛の表面を一度なでてから始めると、毛先の滑りがそろいます。湿らせたら、その日のうちに乾かしきるところまでを1セットにしてください。地肌が湿ったままの時間が長くなると、うるおいの話ではなく別の問題になります。

時期とタイプで、どこから手を入れるか
長毛タイプ短毛タイプ
ふだんの時期首の飾り毛に指を入れて確かめる毛の流れに沿って、面で1回
換毛期の時期飾り毛の3か所を、1日1か所ずつ体の広い面から、回数を増やす
空気が乾く日とかす前に、毛先の滑りをそろえる落ちた毛が布に刺さる前に集める
やらないこと上から一気にとかす根元を分けて細かい歯を立てる
Caution詰まった根元に、力で入れないでください

長毛タイプの飾り毛が詰まっているときに、上から強く道具を入れると、抜けた毛ではなく、生えている毛と皮膚を一緒に引っぱることになります。詰まりは1回で取りきらなくて構いません。分け目を1本つくって、そこから出てきたぶんだけを外へ運びます。犬が体を引く、声を出すというときは、その層で切り上げてください。翌日に1枚ぶん進めるほうが、結果として早く終わります。

ベルジアンシェパードは一日じゅう外にいられる犬なので、散歩の距離もそのぶん長くなります。体から脂が出るのは毎日で、外の細かいものも毎日その上に乗ります。毎日きれいにしてあげたいという側に立つ道具が、mofuwa のグルーミングスプレーです。布に含ませて、長毛タイプなら首と後ろ脚の飾り毛を、短毛タイプなら体の広い面を、毛の流れに沿ってなでるように拭いてください。舐めても差し支えない基準(清涼飲料水の規格基準)をクリアしているので、体の大きい犬でも量を加減せずに使えます。グルーミングスプレーはブラッシングスプレーとしても使えるので、空気が乾く日に毛先が広がって寄るところまで、同じ1本で扱えます。詰まっている場所へ直接吹きかけて、そのまま乾かさずに置かないでください。

どのタイプにも当てはまらない抜け方が出たときに、見るところ

ここまでは、被毛の作りで説明のつく抜け毛の話でした。決めたタイプと、出ている変化が噛み合わないときは、別の見方をしてください。短毛タイプなのに首が詰まる、長毛タイプなのに床の毛が急に増えた、といった場合です。次のような変わり方は、タイプの話として片づけないほうが安全です。

Cautionブラッシングの回数より先に、動物病院で見てもらいたい変化

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が薄い面が左右で違う、抜け方が急に変わった、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、決めたタイプの手順を1日2回へ増やすより先に、動物病院で地肌のほうを見てもらってください。体の大きい犬は毛量があるぶん、地肌の変化が外から見えにくくなります。首・後ろ脚・しっぽの3か所のうち2か所で同じことが起きているなら、その週のうちに電話をしてください。

相談に行くときは、うちの子がどのタイプか、いつから変わったか、いま使っている道具の3つをメモしてください。この3つがあると、被毛の作りで説明のつく抜け方なのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。取りきれなかった詰まりは、無理に触らずそのまま連れて行ってください。前の晩に頑張ってほどくと、もとの状態が分からなくなります。

ベルジアンシェパードと暮らすうえで、下毛が抜けること自体はなくなりません。二層の被毛は、この犬たちが一日じゅう外で働くためにそなえた作りだからです。減らせるのは量ではなく、抜けた毛が体の上に留まっている時間のほうです。まず、うちの子が4つのどれなのかを決める。決まったら、そのタイプの手順だけを使う。同じ犬種名の中の違いは、そこまで来ればもう迷うところではありません。

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よくある質問

ベルジアンシェパードは、どのタイプでも抜け毛の量は同じですか?
抜ける量そのものは、被毛の作りで大きくは変わりません。変わるのは行き先です。長毛タイプでは抜けた下毛が飾り毛の中に留まり、短毛タイプではそのまま床に落ちます。床の毛の量だけで比較すると、長毛タイプのほうが少なく見えますが、体の上には残っています。
タービュレンとマリノアの見分けがつきません。色は同じですか?
色はどちらも褐色に黒いマスクで、ほとんど同じ見え方をします。分かれているのは毛の長さのほうです。首まわりに手のひらを当てて、毛の中に沈むならタービュレン、そのまま体の硬さが返ってくるならマリノアと考えてください。後ろ脚の裏としっぽも同じように見ると、より確かになります。
短毛タイプの毛が、服やソファから取れません。
短くまっすぐな毛は、布の織り目に刺さると掃除機では吸えません。落ちてから追いかけるより、落ちる前に集めるほうが早く終わります。ブラッシングをする場所をいつも同じ1か所に決めてしまうと、その場所だけの掃除で済みます。換毛期の時期は、回数を増やしてください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。